I52
「男女共同参画白書」は紙とインクの無駄遣い


 6月18日の産経新聞は、「イクメン化は進まず 男女共同参画白書」と言う見出しで、次のように報じていました。
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イクメン化は進まず 男女共同参画白書
2014年06月18日 産経新聞 東京朝刊 社会面

 政府は17日、平成26年版「男女共同参画白書」を閣議決定した。安倍政権が掲げる「女性の活躍」を進めるためには男性の関与が不可欠として、15回目で初めて男性を“主人公”にした特集を組んだ。男性の労働環境や家族の形などは多様化しているが、家事・育児への参加は進んでいないことが浮き彫りになった。

 白書によると、生涯未婚率は年々増加し、22年には女性10・6%に対し、男性は2倍近い20・1%。男性の場合、正社員や自営業と比べ、完全失業者や非正規労働者の未婚率が高く、経済面の不安定さが結婚を遠ざける一因となっている。

 共働き世帯の数は9年以降、妻が専業主婦の世帯数を上回って推移。ただ、家事や育児の1日の平均時間(23年)は女性を1とした場合、男性は家事が0・4、育児が0・68と大きく下回った。ともに
10年前と同じ数字で、男性の家事や育児参加は進んでいない白書をまとめた内閣府は「従来の考え方に縛られない施策や制度の実施が求められている」としている。
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 政府が作成した「男女共同参画白書」の全文は下記の通りです。
「男女共同参画白書」http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h26/zentai/index.html#honpen

 まず、下記目次を見ただけで、その膨大さに驚きます。「男女共同参画」について、これだけ大風呂敷を広げる必要があるのか、各項目のどこが違うのか、どこがポイントなのか分からないくらい数多くの項目が総花的に並び、とても読む気になりません。15年間も飽きもせずこのようなものを書き続けていたとすれば、人件費、紙代、インク代・・・と、膨大な無駄遣いと言うべきです。男女共同参画について、こんなに書くことがあるのか、内容の乏しさを見かけの量で補おう(ごまかそう)としているのではないかと言う疑問が生じます。

 15年経って、白書の意図するところ(男性の家事・育児参加)が全く進んでいないとすれば、まともな人間であれば、その意図するところが誤りであるか、無理があることに気づくはずです。本来公務員とはそうあるべきものです。男性に家事・育児の参加を求めるのは無理で有り、多くの人が望んでいないと考えるのが普通です。

 また、白書は非正規労働云々と言って、未婚・非婚の原因が非正規労働の増加にあるかのように述べていますが、公務員や大企業の終身雇用以外を非正規労働というなら、かつての日本は個人商店や中小・零細企業で働く人(非正規労働者)が多数の時代がありましたが、決してそれ故に未婚・非婚が問題にはなっていませんでした。また、好景気の時代には、自ら進んで責任が軽く好待遇の派遣社員(非正規労働)を選んだ労働者がいたことも忘れてはなりません。

 正規労働、非正規労働とは何を基準に、どういう定義で論じているのかが不明な中で、生涯未婚・非婚を非正規労働と結びつけるのは、かなりの論理の飛躍があると思います。
 また、この白書が「未婚白書(少子化白書)」ではなく、「男女共同参画白書」であるにもかかわらず、未婚・非婚の増加を論じ、その原因を非正規労働の増加に結びつけているのは他意あるものと思われます。
男女共同参画社会の推進自体が、未婚・非婚の増加、ひいては少子化の原因となっているということを隠そうとしているのだと思います。

 いま、「女性の活躍(男女共同参画)」という美名の下に、扶養手当の廃止、配偶者控除の廃止が議論されていますが、これが実現すれば若者の結婚の障害になることはあっても、間違っても促進剤となることはありません。専業主婦・準専業主婦の家庭を持ちたいと思っている若い男女にとっては、
結婚に対する公的補助がなくなることを意味し、結婚後も働き続ける女性にとっては何も変わらないからです。
 これは一例に過ぎません。男女共同参画の名の下に行われた施策(女性の“社会進出”の推奨、専業・準専業主婦の冷遇)の多くは、言わば
“女性の勤労動員”であり、未婚・非婚の増加を招いたと思います。

 10年、15年と同じ目標に向かって何かをしてきて、結局何の成果も得られなかったら、民間企業であったら間違いなく責任者・担当者はクビでしょう。15年間このような“紙とインクの無駄”としか言いようのない白書を、毎年飽きもせず、疑問を感じることもなく書き続けるのは、よっぽどの暇人か
思考停止の愚か者のどちらかであると思います。
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1 平成25年度男女共同参画社会の形成の状況

 男女共同参画白書の刊行に当たって
 特集 変わりゆく男性の仕事と暮らし
  第1節 家族・世帯及び男女の仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の現状と変化
  第2節 男女の就業の現状と変化
  第3節 男女共同参画に関する男女の意識の現状と変化
  第4節 今後の展望

 第1章 政策・方針決定過程への女性の参画
  第1節 国の政策・方針決定過程への女性の参画
  第2節 地方公共団体の政策・方針決定過程への女性の参画
  第3節 様々な分野における女性の参画

 第2章 女性の活躍と経済社会の活性化
  第1節 就業をめぐる状況
  第2節 雇用の場における女性

 第3章 女性に対する暴力
  第1節 配偶者等からの暴力の実態
  第2節 性犯罪の実態
  第3節 売買春の実態
  第4節 人身取引の実態
  第5節 セクシュアル・ハラスメントの実態
  第6節 ストーカー行為の実態

 第4章 生涯を通じた男女の健康と高齢期の状況
  第1節 生涯を通じた男女の健康
  第2節 高齢期の状況

 第5章 教育・研究における男女共同参画
  第1節 教育分野における男女共同参画
  第2節 研究分野における男女共同参画

 第6章 防災・復興における男女共同参画
  第1節 防災における男女共同参画
  第2節 復興における男女共同参画


 (コラム)
  コラム1 夫婦双方で利用できる育児休業制度
  コラム2 「イクメン」から「イクボス」への広がり
  コラム3 男女共同参画センターにおける男性を対象としたプログラム
  コラム4 男性の新たな職域拡大
  コラム5 母子家庭の支援から,父子家庭を含めたひとり親家庭の支援へ
  コラム6 指導的地位に就く女性の増加に向けた男性リーダーの取組(オーストラリア)

2 男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

第1部 平成25年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

    はじめに 平成25年度を振り返って

 第1章 男女共同参画社会に向けた施策の総合的な推進
  第1節 国内本部機構の強化
  第2節 第3次基本計画,女子差別撤廃委員会の最終見解等の実施状況についての監視機能等の強化
  第3節 政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響についての調査の充実
  第4節 地方公共団体や民間団体等における取組への支援

 第2章 政策・方針決定過程への女性の参画の拡大
  第1節 政治分野における女性の参画の拡大
  第2節 司法分野における女性の参画の拡大
  第3節 行政分野における女性の参画の拡大
  第4節 雇用分野における女性の参画の拡大
  第5節 その他の分野における女性の参画の拡大

 第3章 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し,意識の改革
  第1節 男女共同参画の視点に立った社会制度の見直し
  第2節 国民的広がりを持った広報・啓発活動の展開
  第3節 男女の人権尊重の理念と法律・制度の理解促進及び救済・相談の充実
  第4節 男女共同参画に関わる調査研究,情報の収集・整備・提供

 第4章 男性,子どもにとっての男女共同参画
  第1節 男性にとっての男女共同参画
  第2節 子どもの頃からの男女共同参画の理解の促進と将来を見通した自己形成
  第3節 子どもの健やかな成長と安全で安心な社会の実現

 第5章 雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保
  第1節 雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保対策の推進
  第2節 非正規雇用における雇用環境の整備
  第3節 ポジティブ・アクションの推進
  第4節 女性の能力発揮促進のための支援
  第5節 多様な生き方,多様な能力の発揮を可能にするための支援
  第6節 女性の活躍による経済社会の活性化

 第6章 男女の仕事と生活の調和
  第1節 仕事と生活の調和の実現
  第2節 多様なライフスタイルに対応した子育てや介護の支援
  第3節 働く男女の健康管理対策の推進

 第7章 活力ある農山漁村の実現に向けた男女共同参画の推進
  第1節 意識改革と政策・方針決定過程への女性の参画の拡大
  第2節 女性の経済的地位の向上と就業条件・環境の整備
  第3節 女性が住みやすく活動しやすい環境づくり

 第8章 貧困など生活上の困難に直面する男女への支援
  第1節 セーフティネットの機能の強化
  第2節 雇用・就業の安定に向けた課題
  第3節 安心して親子が生活できる環境づくりに関わる課題
  第4節 男女の自立に向けた力を高める取組

 第9章 高齢者,障害者,外国人等が安心して暮らせる環境の整備
  第1節 高齢者が安心して暮らせる環境の整備
  第2節 障害者が安心して暮らせる環境の整備
  第3節 外国人が安心して暮らせる環境の整備
  第4節 女性であることで複合的に困難な状況に置かれている人々等への対応

 第10章 女性に対するあらゆる暴力の根絶
  第1節 女性に対する暴力の予防と根絶のための基盤づくり
  第2節 配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護等の推進
  第3節 性犯罪への対策の推進
  第4節 子どもに対する性的な暴力の根絶に向けた対策の推進
  第5節 売買春への対策の推進
  第6節 人身取引対策の推進
  第7節 セクシュアル・ハラスメント防止対策の推進
  第8節 メディアにおける性・暴力表現への対応

 第11章 生涯を通じた女性の健康支援
  第1節 生涯を通じた男女の健康の保持増進
  第2節 妊娠・出産等に関する健康支援
  第3節 健康を脅かす問題についての対策の推進
  第4節 性差に応じた健康支援の推進
  第5節 医療分野における女性の参画の拡大
  第6節 生涯にわたるスポーツ活動の推進

 第12章 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実
  第1節 男女平等を推進する教育・学習
  第2節 多様な選択を可能にする教育・能力開発・学習機会の充実
  第3節 学校教育の分野における政策・方針決定過程への女性の参画の拡大

 第13章 科学技術・学術分野における男女共同参画
  第1節 科学技術・学術分野における女性の参画の拡大
  第2節 女性研究者の参画拡大に向けた環境づくり
  第3節 女子学生・生徒の理工系分野への進学促進

 第14章 メディアにおける男女共同参画の推進
  第1節 女性の人権を尊重した表現の推進のためのメディアの取組の支援等
  第2節 国の行政機関の作成する広報・出版物等における男女共同参画の視点に立った表現の促進
  第3節 メディア分野における女性の参画の拡大

 第15章 地域,防災・環境その他の分野における男女共同参画の推進
  第1節 地域における男女共同参画推進の基盤づくり
  第2節 地域の活動における男女共同参画の推進
  第3節 男女共同参画の視点に立った地域おこし,まちづくり,観光,文化を通じた地域経済の活性化等の推進
  第4節 防災(復興)における男女共同参画の推進
  第5節 男女共同参画の視点に立った環境問題への取組の推進

 第16章 国際規範の尊重と国際社会の「平等・開発・平和」への貢献
  第1節 国際的協調:条約等の積極的遵守・国内における実施強化・国内への周知
  第2節 男女共同参画の視点に立った国際貢献
  第3節 対外発信機能の強化


第2部 平成26年度に講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

 第1章 男女共同参画社会に向けた施策の総合的な推進
  第1節 国内本部機構の強化
  第2節 第3次基本計画,女子差別撤廃委員会の最終見解等の実施状況についての監視機能等の強化
  第3節 政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響についての調査の充実
  第4節 地方公共団体や民間団体等における取組への支援

 第2章 政策・方針決定過程への女性の参画の拡大
  第1節 政治分野における女性の参画の拡大
  第2節 司法分野における女性の参画の拡大
  第3節 行政分野における女性の参画の拡大
  第4節 雇用分野における女性の参画の拡大
  第5節 その他の分野における女性の参画の拡大

 第3章 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し,意識の改革
  第1節 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し
  第2節 国民的広がりを持った広報・啓発活動の展開
  第3節 男女の人権尊重の理念と法律・制度の理解促進及び救済・相談の充実
  第4節 男女共同参画に関わる調査研究,情報の収集・整備・提供

 第4章 男性,子どもにとっての男女共同参画
  第1節 男性にとっての男女共同参画
  第2節 子どもの頃からの男女共同参画の理解の促進と将来を見通した自己形成
  第3節 子どもの健やかな成長と安全で安心な社会の実現

 第5章 雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保
  第1節 雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保対策の推進
  第2節 非正規雇用における雇用環境の整備
  第3節 ポジティブ・アクションの推進
  第4節 女性の能力発揮促進のための支援
  第5節 多様な生き方,多様な能力の発揮を可能にするための支援
  第6節 「M字カーブ問題」の解消に向けた取組の推進
  第7節 女性の活躍による経済社会の活性化

 第6章 男女の仕事と生活の調和
  第1節 仕事と生活の調和の実現
  第2節 多様なライフスタイルに対応した子育てや介護の支援
  第3節 働く男女の健康管理対策の推進

 第7章 活力ある農山漁村の実現に向けた男女共同参画の推進
  第1節 意識改革と政策・方針決定過程への女性の参画の拡大
  第2節 女性の経済的地位の向上と就業条件・環境の整備
  第3節 女性が住みやすく活動しやすい環境づくり

 第8章 貧困など生活上の困難に直面する男女への支援
  第1節 セーフティネットの機能の強化
  第2節 雇用・就業の安定に向けた課題
  第3節 安心して親子が生活できる環境づくりに関わる課題
  第4節 男女の自立に向けた力を高める取組

 第9章 高齢者,障害者,外国人等が安心して暮らせる環境の整備
  第1節 高齢者が安心して暮らせる環境の整備
  第2節 障害者が安心して暮らせる環境の整備
  第3節 外国人が安心して暮らせる環境の整備
  第4節 女性であることで複合的に困難な状況に置かれている人々等への対応

 第10章 女性に対するあらゆる暴力の根絶
  第1節 女性に対する暴力の予防と根絶のための基盤づくり
  第2節 配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護等の推進
  第3節 性犯罪への対策の推進
  第4節 子どもに対する性的な暴力の根絶に向けた対策の推進
  第5節 売買春への対策の推進
  第6節 人身取引対策の推進
  第7節 セクシュアル・ハラスメント防止対策の推進
  第8節 メディアにおける性・暴力表現への対応

 第11章 生涯を通じた女性の健康支援
  第1節 生涯を通じた男女の健康の保持増進
  第2節 妊娠・出産等に関する健康支援
  第3節 健康を脅かす問題についての対策の推進
  第4節 性差に応じた健康支援の推進
  第5節 医療分野における女性の参画の拡大
  第6節 生涯にわたるスポーツ活動の推進

 第12章 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実
  第1節 男女平等を推進する教育・学習
  第2節 多様な選択を可能にする教育・能力開発・学習機会の充実
  第3節 学校教育の分野における政策・方針決定過程への女性の参画の拡大

 第13章 科学技術・学術分野における男女共同参画
  第1節 科学技術・学術分野における女性の参画の拡大
  第2節 女性研究者の参画拡大に向けた環境づくり
  第3節 女子学生・生徒の理工系分野への進学促進

 第14章 メディアにおける男女共同参画の推進
  第1節 女性の人権を尊重した表現の推進のためのメディアの取組の支援等
  第2節 国の行政機関の作成する広報・出版物等における男女共同参画の視点に立った表現の促進
  第3節 メディア分野における女性の参画の拡大

 第15章 地域,防災・環境その他の分野における男女共同参画の推進
  第1節 地域における男女共同参画推進の基盤づくり
  第2節 地域の活動における男女共同参画の推進
  第3節 男女共同参画の視点に立った地域おこし,まちづくり,観光,文化を通じた地域経済の活性化等の推進
  第4節 防災(復興)における男女共同参画の推進
  第5節 男女共同参画の視点に立った環境問題への取組の推進

 第16章 国際規範の尊重と国際社会の「平等・開発・平和」への貢献
  第1節 国際的協調:条約等の積極的遵守・国内における実施強化・国内への周知
  第2節 男女共同参画の視点に立った国際貢献
  第3節 対外発信機能の強化

資料
 男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)
 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約
 女子差別撤廃委員会の最終見解(仮訳)
 女子差別撤廃委員会の最終見解に対する日本政府コメント(仮訳)
 女子差別撤廃委員会の最終見解に対する日本政府コメントについての同委員会の見解  (仮訳)
 女子差別撤廃委員会の最終見解(CEDAW/C/JPN/CO/6)に対する日本政府コメントに係 る追加的情報提供(仮訳)
 女子差別撤廃委員会の最終見解に対する日本政府コメントに係る追加的情報提供につい ての同委員会の見解(仮訳)
 平成26年度男女共同参画基本計画関係予算の概要(男女共同参画の推進の見地から当 面特に留意すべき事項)
 平成24年度男女共同参画計画関係予算額の使用実績
 第3次男女共同参画基本計画における成果目標の動向
 第3次男女共同参画基本計画における参考指標の動向
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