I53
幼稚園潰しの執念(5歳児義務教育化に隠された意図)


 6月20日の産経新聞は、「【金曜討論】5歳児から義務教育 細川珠生氏、佐川光晴氏」と言う見出しで、次のように報じていました。
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【金曜討論】5歳児から義務教育 細川珠生氏、佐川光晴氏
2014年06月20日 産経新聞 東京朝刊 オピニオン面

 政府の教育再生実行会議は11日、小中一貫教育を制度化するとともに、5歳児の義務教育化を検討することなどを求める学制改革の提言素案を示した。今後、幼稚園保育園の枠組みを残したまま最終学年を無償化し、義務教育とする方向での検討が進められることになりそうだ。実行会議は7月にも提言をまとめ、安倍晋三首相に提出する。5歳児から義務教育とすることの是非について、政治ジャーナリストの細川珠生氏と、作家の佐川光晴氏に見解を聞いた。(溝上健良)
                   ◇
 ≪細川珠生氏≫

(中略)
 −−義務教育化で、
幼稚園と保育園の一体化が進みそうだ
 「保育園は親の就労を前提としている一方で、幼稚園は専業主婦でないと入園が難しいのが現実だ。私は子供を延長保育のない幼稚園に入れたので仕事の上で余裕がなく非常に厳しかった。幼・保のそれぞれの枠組みは義務教育化されても残ると思うが、
幼稚園の時間を延長できるよう、国による支援が必要だ。仕事をもち育児にあまり関われない母親の子供にこそ幼稚園での教育的要素は必要で、品川区では保育園でも音楽や体操などを取り入れている。社会の変化をふまえて、子供の能力を引き出すために5歳児の義務教育化は必要だと考える」

 −−その実現可能性について
 「政治家のやる気次第だ。数千億円の財源が必要とはいえ、捻出は可能なはず。国会議員を減らしてでも実現したほうが、将来の日本のためになる」

                   ◇
(中略)

【プロフィル】細川珠生
 ほそかわ・たまお 昭和43年、東京都生まれ。45歳。聖心女子大卒。20代からフリーのジャーナリストとして活動し、著書多数。平成15年から8年間、東京都品川区の教育委員を務める。1児の母。

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【プロフィル】佐川光晴
 さがわ・みつはる 昭和40年、東京都生まれ。49歳。北海道大卒。食肉処理場勤務などを経て作家デビュー。主夫のかたわら小説を書き続け、芥川賞候補5回。著書に「家族芝居」「おれのおばさん」など。

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 5歳児義務教育化にそのような
「幼保一体化」の思惑が秘められているとは想像もしませんでした。幼保一体化には、幼稚園側が激しく抵抗しています。この細川さんは専業主婦ではないにも拘わらず、無理して幼稚園に入れて仕事との両立で苦労したそうですが、なぜ、働く女性のための施設である「保育園」に入れなかったのでしょうか。何か保育園に問題があるのでしょうか。

 そうであれば、保育園を改革すべきではないでしょうか。教育時間の延長に反対している幼稚園に、時間延長を強制するのではなく、保育園で幼稚園に準じた教育をするように改革すればそれで良いはずです。

 現在の幼稚園には幼稚園の良さが有り、年齢相応な適度な教育時間、家庭と母親と幼稚園の緊密な連携による運営を維持したいと考えている幼稚園や、園児の父母に保育園との一体化を強要するのは不当です。
 この種の議論では、幼稚園側の意見はいつも無視されています。これは、「5歳児義務教育化」に名を借りた、形を変えた幼稚園潰しと思われます。
 
幼稚園潰しにかける、彼女達の深慮遠謀と執念深さに驚きました。

平成26年6月25日   ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ