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非婚者の増加、既婚者のセックスレスの増加は何を物語るか−根本原因は誤った男女平等思想−


 9月26日の読売新聞は、「中高年セックスレス 『夫婦関係の希薄化』指摘」と言う見出しで、次のように報じていました。
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中高年セックスレス 「夫婦関係の希薄化」指摘…医療部 岩永直子
2014年9月26日3時0分 読売新聞

 中高年夫婦のセックスレスがここ10年で急増していることが、医師らによる実態調査で分かった。生殖とは関係が薄く、愛情確認やコミュニケーションの手段と考える人が多い中高年の肌の触れ合い。性や結婚に対する日本人の意識は大きく変化している。

◆10年で倍増

 調査を行ったのは、日本性科学会の医師や臨床心理士らで作る「セクシュアリティ研究会」(研究代表者=荒木乳根子ちねこ・元田園調布学園大教授)。40〜79歳の既婚者863人に、性交の有無や性への考え方などを、1999〜2000年に続き11〜12年に聞いた。

 その結果、「配偶者と1年間全く性交渉がない」とする既婚者は00年調査で男性25%、女性23%だったのに対し、12年ではそれぞれ52%、54%と倍増した。

 中高年の性は生殖とは関係が薄い。むしろそこから自由になっているとも言える。もちろん夫婦ともに必要ないと考えるならば、性交がなくても問題はない。

 だが、日本性科学会理事長で婦人科医の大川玲子さんは「性機能の衰えは10年間でほぼ変化はなく、ホルモン剤や勃起障害治療薬を積極的に使う人も増えている。性的刺激があると一部の心身症状が改善され、健康な高齢者は性的な活動が盛んという調査もあり、医学的にも性は生涯重要であり続ける」と指摘する。

 この調査でも、「性はどのような意味を持つか」との問いに、男女どの世代でも最も多かったのが「愛情表現・愛情の確認」。「触れ合い・コミュニケーション」「やすらぎ・安心感」が続いた。

 ところが、「性交渉を伴う愛情関係」を望む既婚者で、月1回以上実現しているのは、00年には男性78%、女性79%だったのに対し、12年は44%、68%に減少。男女ともに自慰は倍増し、配偶者に求めても満たされない人が特に夫側で増えた。

◆性欲減退ではなく

 日本家族計画協会が10代後半〜40代に行った調査でもセックスレスは増えているが、性への関心自体が薄い「草食化」が目立つ。これに対し、中高年夫婦間のセックスレス増加は、性欲減退が主な原因ではない。荒木さんは「夫婦関係の希薄化や、性規範の緩みが影響している」と指摘する。

 「配偶者への愛情がない」「どちらかといえばない」とした既婚者は、男性の40、50代で3倍、女性の40代でも約2倍に増え、離婚願望も増えた。夫の半分は「相手の関心の喪失」を、妻の4割は「自分の関心の喪失」をセックスレスの理由とする。

 
共働きが増え、出産後、より育児の負担がかかる妻が避け始めたという声は多い。加えて荒木さんは「女性の社会進出が進み、『夫の求めに従うのは妻の役割』という意識は薄れた。仕事に追われて家庭を顧みなかった夫が、不況や退職で家庭に安らぎを求めても、妻の心が離れていることも背景にある」と分析する。

 一方、配偶者以外の異性と親密な付き合いがある人は3倍になり、婚外の性交渉も「家族に迷惑がかからないなら構わない」とする既婚者は男女ともほぼ倍増した。「携帯電話の普及で秘密の連絡も取りやすくなり、経済面や世間体、老いの不安を考えると家庭は壊したくないが、家庭外で性を満たす動きは加速している」と荒木さんは考える。

 だが、介護現場での性に関する研究もある
荒木さんは疑問を投げかける。「体が弱るほど、死が迫るのを実感し、人肌のぬくもりに触れて安心する人は多い。多くの思い出を共有した夫婦ならなおさら心地よいはずで、そんな深い喜びを放棄してもいいのだろうか」

 調査結果は日本性科学会に申し込めば有料で手に入る。夫婦関係を見つめ直すきっかけにしてほしい。
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 この記事を書いた岩永直子さんと、調査をした「セクシュアリティ研究会」の代表者、荒木乳根子さんは女性ですが、共に夫婦間のセックスレスを好ましくない現象と捉えていて、中高年の夫婦間の性行為を奨励しています。

 しかし、本当に夫婦間の性行為が減少したのを憂慮しているのなら、現状を指摘するだけでなく、なぜ夫婦間の性行為が減少したのかその原因(障害)を探り、その障害を取り除くことを提案・アドバイスすることが重要だと思います。

 岩永さん荒木さんもその原因に触れています。男女双方とも性欲が減退したのではなく、
共働きが増え女性の負担が増し、女性の社会進出に伴い、女性の権利意識が強まり、退職後に夫が家庭に安らぎを求めても妻の心が離れているなどが原因として指摘されています。
 もし、それが原因(障害)だとしたら、その障害を取り除く方法をアドバイスするか、その障害を乗り越える方法をアドバイスしなければ、改善は望めないのではないでしょうか。

 結婚とか性欲とかは
「貧乏人の子だくさん」ということわざもあるように、貧富にかかわらず維持されて来たと思います。人間の歴史を見ればそう言えると思います。人間(動物)の本能といえます。それが短期間にこれほど極端に低下してきているのはまさに異常な事態と言わなければなりません(ただし、2000年と2012年との比較は老齢人口の割合が増加したという要因があるはずで、単純に比較は出来ません)。

 今回の調査は非婚者の増加には何も触れていませんが、
非婚者も大半は当然セックスレスと思われますので、非婚者の増加と既婚者のセックスレスの増加は、ともに男女関係の希薄化・疎遠化の共通現象と捉えることが出来、直接的には「共働きの増加」を原因とし、根本原因としては“誤った男女平等思想”の蔓延・強制を背景とする、同一線上にある現象と考えることが出来ると思います。

 従って、この問題を本当に解決しようとするならば、
「男女平等思想の是非」に立ち入らなければなりません。この記事を書いた岩永さんも、調査をした荒木さんも何となくそれを感じてはいるものの、それに言及する意思と勇気に欠け、結局何を言いたいのか不明で終わっています。

平成26年9月26日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ