I76
深刻な人口減少に直面し、完全に思考停止している「官僚」、「学者」、「マスコミ」の三人組 −少子化対策の失敗を認めよ−

 6月1日のNHKニュースは、「去年の出生率1.43 人口の減少幅は過去最大に」と言うタイトルで、次のように報じていました。
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去年の出生率1.43 人口の減少幅は過去最大に
6月1日 15時22分  NHK


 1人の女性が産む子どもの数の指標となる去年の出生率は1.43となり、前の年をわずかに下回りました。死亡した人の数から産まれた子どもの数を差し引いた減少幅は、過去最大の39万人余りとなり、人口の減少が
加速している実態が浮き彫りとなりました。

 
厚生労働省によりますと、1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」は、去年は1.43となり前の年を0.01ポイント下回りました。
 都道府県で最も高かったのは、沖縄で1.94、次いで宮崎が1.73、島根が1.72となっています。
 一方、最も低かったのは東京で1.21、次いで北海道の1.29、宮城と京都が1.31となっています。

 去年産まれた子どもの数=出生数は94万6060人と前の年より3万人余り減り、統計を取り始めて以降、最も少なくなりました。
 一方、死亡した人の数=死亡数は134万433人で、前の年より3万2000人余り増加し、戦後、最多となっています。

 その結果、死亡数から出生数を差し引いた減少幅は39万4000人余りと過去最大となっていて、人口の減少が
加速している実態が浮き彫りになりました。
 
厚生労働省は「子どもを産む世代の女性が減り結婚する人も少なくなっていて、出生率が下がったと見られる。今後、子育てがしやすい環境整備を進めて出生率を引き上げていきたい」としています。

(中略)

専門家「
少子化前提で考える時代に」

 人口問題に詳しい政策研究
大学院大学の松谷明彦名誉教授は「合計特殊出生率は、都市部が低くて地方でやや高くなる傾向がある。ただ、子どもを産む年代の女性がこれから減少していくので、少子化の傾向は変えられない」と指摘しています。
 そのうえで、「私たちは
少子化を前提にした社会や経済のシステムを考える時代に立っている」と指摘しています。
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 この記事の中で
厚労省に関しては、「厚生労働省は『子どもを産む世代の女性が減り、結婚する人も少なくなっていて、出生率が下がったと見られる。今後、子育てがしやすい環境整備を進めて出生率を引き上げていきたい』としています」とあります。
 厚労省は
この期に及んでも「子育て支援」しか言うことがないのでしょうか。結婚する人が少なくなった原因についてはなぜ言及しないのでしょうか。

 
学者の意見としては、「人口問題に詳しい政策研究大学院大学松谷明彦名誉教授は『合計特殊出生率は、都市部が低くて地方でやや高くなる傾向がある。ただ、子どもを産む年代の女性がこれから減少していくので、少子化の傾向は変えられない』と指摘しています。
そのうえで、『私たちは
少子化を前提にした社会や経済のシステムを考える時代に立っている』と指摘しています」と報じています。
 学者の松谷さんは
さじを投げたようですが、危機に直面して安易に現状を追認するだけなら、それは研究者のすることではありません。

 
厚労省、学者と数ある関係者の中からこのような人物を選んで、その発言をニュース番組で報じたNHKは彼等と“ひとつ穴の狢(むじな)”と言うべきであり、彼等以上に無責任の誹りを免れないと思います。
 
戦乱が長く続いたり疫病が大流行するなど外的要因がないにもかかわらず、人口が長期にわたって減少を続けるのは社会が病んでいるとしか考えられません。彼等はなぜ原因を突き止め、病気を治そうとはしないのでしょうか。

 彼等の主張についてはとりあえずここまでとして、
疑問・異論・弁解の余地のない問題点として、今までの少子化対策の無残な失敗に対する彼等の対応・反応を取り上げなければなりません。

 1989年の(出生率)
1.57ショック以来、30年近くにわたって続けられ、今日の深刻な少子化・人口減少を招来した、保育所の増設や育児休暇制度の創設に代表される子育て支援による「少子化対策」の失敗は誰の目にも明らかです。いくら子育て支援をしても、出生数は減る一方で何の効果もなかった(むしろ逆効果)のです。
 今後の人口減少問題をまじめに論じるならば、まず眼前にあるその失敗の事実が否応なく目に入るはずです。その
失敗を失敗と認識して総括することは避けて通れないはずです。

 ところが
官僚、学者平気な顔をして避けて通って恥じることがなく、同罪のマスコミは彼等を咎めることがありません。彼等は完全に思考停止しています。

 おそらく当初から子育て支援の推進には少子化対策以外の
他意があったのだと思います。あるいは少子化問題・人口減少問題、ひいては日本の将来よりも、今までの政策・主張の誤りを認めることにより、自分の仕事が減り最悪の場合は失業することの方が心配なのかもしれません。

 
官僚、学者、マスコミ三者がこの有様では、日本は救いがありません。 そして恐ろしいことにこれは少子化問題に限らないのです。

 参考までに
出生率1.43を報じた6月1日の読売新聞の記事を添付しますが、危機感がないのと今までの失敗について何も触れずに避けているのはNHKと同様です。


出生数が最少更新、出生率低下…少子化変わらず
2018年6月1日18時21分 読売

平成30年6月16日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ