I80
両親による児童虐待問題の背景である日本社会劣化の現実に目をつぶり、対症療法だけに議論を止めている「特別養子縁組制度」の創設 −子供達の、日本の社会の悲鳴が聞こえないのか−

 1月30日の読売新聞は、「特別養子縁組『15歳未満』…法制審答申へ 『6歳』から拡大」と言う見出しで、次のように報じていました。
------------------------------------------------------------------------------------------------------
特別養子縁組「15歳未満」…法制審答申へ 「6歳」から拡大
2019年1月30日5時0分 読売



 法制審議会(法相の諮問機関)の部会は29日、特別養子縁組制度に関する法改正の要綱案を決定した。「原則6歳未満」とされる対象年齢を、「原則15歳未満」に引き上げることが柱だ。政府はこの内容を盛り込んだ民法などの改正案を今国会に提出する方針で、成立すれば1988年の制度開始以来、初の見直しとなる。

 要綱案を決めたのは特別養子制度部会。2月の法制審の総会で正式決定後、山下法相に答申され、政府は3月にも法案を国会に提出する方針だ。

 特別養子縁組は、
児童虐待経済的事情などで実親じつおやと暮らせない子どもと血縁のない夫婦が親子となる制度。普通養子縁組や里親と異なり、実親との親子関係は終了し、戸籍上も養父母の実子と同じ扱いになる。

(中略)

  保護必要な子 社会で救う

 特別養子縁組は、
両親から虐待を受けるなど家庭環境に恵まれない子どもたちを、社会全体で救う制度の一つだ。対象年齢を引き上げる意義は大きい。

 日本国内で保護を必要とする子どもは約
4万4000人(厚生労働省調べ。2018年)いる。児童相談所が保護し、その後、児童養護施設や里親に預けられたり、養子になったりする。ただ、特別養子縁組の成立は年500〜600件程度と低調だ。実親の同意が得られなかったり、「原則6歳未満」とする対象年齢を超えたりして、縁組を断念するケースも多いという。

 特別養子縁組の支援を行う認定NPO法人「環(わ)の会」の星野寛美代表理事は、法制審の要綱案について「対象年齢の引き上げを歓迎する。児童相談所の所長が縁組を申し立てられるようになれば、養父母の負担も軽減される」と期待感を語った。

 だが、ある程度の年齢になった子どもの場合、養父母との人間関係構築が難しいケースも考えられる。制度見直しに伴い、養父母の支援や負担軽減策も課題となりそうだ。

(政治部 伊賀幸太)

---------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 記事では、「特別養子縁組制度」の目的は、「児童虐待や
経済的事情など」と、「両親から虐待を受けるなど」とし、2箇所で異なる記述をしていますが、「経済的事情」というのは不適切です。なぜなら、経済的事情であれば、それは既存の生活保護で足りるはずであり、実の両親から子供を引き離す特別養子縁組は、子供の年齢に拘わらず有害でしかありません。

 制度の目的は実の両親による子供の虐待という、
病的な異常事態の激増が背景にあるはずですが、記事はその点を曖昧にして隠しています。
 
「実の両親による子供の虐待」とは、人間として異常などと言うレベルではなく、高等、下等を問わず生物としてあり得ない異常行動です。日本は今、その異常行動の激増という異常事態にあるのです。


2018.8.30 22:11 産経
https://www.sankei.com/life/news/180830/lif1808300028-n1.html

 この事態に対して我々がすべきことは、この異常事態が
なぜ激増したのか、それをなくすためにはどうしたら良いのかと言う、この問題の本質に対する対処です。当面の策として可哀想な子供達を救済することはもちろん必要ですが、目先の対応(対症療法)だけで終わって良い問題ではありません。

 それは似たような現象である
学校内のいじめについても同様な指摘が出来ます。今議論されているのは、その被害生徒への対応を教師が担当するか、専門のカウンセラーが必要かとか、心のケアーが必要だとかの「対症療法」に関してばかりで、なぜいじめが激増するのか、いじめをなくすためにはどうしたら良いのかという根本的な問題は、問題として認識されることさえなくパスされています。

 
家庭内の子供の虐待問題、学校内のいじめなどについては、なぜ「対症療法」の議論に終始し、根本的な議論が回避されているのでしょうか。
 
 「家庭内の子供の虐待問題、学校内のいじめ」は、
日本の社会の劣化象徴する現象と言って良いと思います。そしてその劣化の原因は“反日”・“否日”・“避日”・“非日”思想、言論の蔓延による、日本の伝統的価値観とそれに基づく行動の否定と、その結果としての健全な男女分業・夫婦の役割分担社会の崩壊にあると思います(未婚の増加に伴う少子化も、離婚の増加に伴うひとり親の増加も同一線上にある事態です)。

 子供への虐待といじめの増加はその
劣化社会の産物と言うべきなのです。それにも拘わらず、政治家、官僚、マスコミ、学者などが現実を直視せず、対症療法の議論だけに止まっているのは、彼等の多くが劣化社会の出現に少なからぬ関与とそれに伴う責任を負っていて、その責任追及を避けるために、議論が本質に及ぶことを避けているからです。
 彼等には
子供達の、日本社会の悲鳴が聞こえないのでしょうか、それとも聞こえないふりをしているのでしょうか。

 社会の劣化に対して
対症療法に終始する安倍総理は日本社会の劣化を進行するに任せているだけで、何ら本質を見極めた施策を実施していません。これは彼の家族観・家庭観の健全性に問題があるからであり、安倍総理に内政は任せられないと言うべきだと思います。

平成31年2月3日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ

〈2月7日追記〉
 2月7日の読売新聞に下記の記事がありました。
------------------------------------------------------------------------------------------------------------
国会論戦の詳報…6日の参院予算委から
2019.02.07 読売 

野田市の虐待事件
児童虐待根絶に
総力…首相

(中略)

児童福祉司・心理司を
増員…厚労相

 ■児童虐待

 足立氏 児童福祉司、児童心理司の
適正人数をどう考えるか。

 根本厚生労働相 2019年度からの4年間で児童福祉司は
2020人程度増員したい。児童心理司も792人程度増員する。

 
足立氏 イングランドでは児童家庭を対象とするソーシャルワーカーは人口当たり日本の20倍だ。

 安倍首相 千葉県野田市で10歳の女の子が死亡し、両親が逮捕された事案は
誠に痛ましく、あってはならないことだ。関係省庁が連携してやれることは全てやる。何より子供の命を守ることを最優先に、あらゆる手段を尽くして児童虐待の根絶に向けて総力を挙げていきたい。

 足立氏 
居住地を移した場合、具体的にどうするか答えがない。

 厚労相 移管元と移管先で緊急性判断を
書面をもって共有する。緊急性の高い事案は原則対面で引き継ぎをする。引き継ぎ完了までは移管元の児童相談所が援助などの解除をしない対応をしていきたい。

(以下略)

------------------------------------------------------------------------------------------------------
 国民民主党の
足立議員の、暗に「対症療法」を担当する公務員の増員を迫る質問を受けて、厚労相が公務員の超大増員を発表し、安倍総理は、「誠に痛ましく、あってはならない」、「全てやる」、「最優先」、「あらゆる」、「根絶」、「総力」と、具体的な中身のない勇ましい言葉を連発しています。
 厚労相と質問した野党議員の
頭にある事は「対症療法」だけで、安倍総理の口から出てくるのは、勇ましい言葉だけです。
 与野党とも
なぜ児童への虐待が激増するのか、どうしたらなくすことが出来るのかと言う、問題の本質(日本の社会の劣化)については全く頭に無いようです。