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体罰と虐待は明らかに別のものであり区別すべき −家庭・親権はしつけ・教育の原点、話のすり替え、体罰への責任転嫁を許すな−

 3月19日のNHKのテレビニュースは、「親による体罰禁止 児童虐待防止へ法改正案決定」と言うタイトルで、次のように報じていました。
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親による体罰禁止 児童虐待防止へ法改正案決定
2019年3月19日 9時51分児童虐待 NHK

 
児童虐待の防止策を強化するため、政府は、19日の閣議で、親による体罰を禁止するほか、児童相談所に弁護士や医師の配置を義務づけるなどとした法律の改正案を決定しました。

 
児童虐待事件が相次いでいることを受けて、19日の閣議で決定された児童虐待防止法などの改正案では、親が、しつけにあたって子どもに体罰を加えることを禁止しています。

 また、児童相談所の機能を強化するため、専門的な知見を踏まえた対応ができるよう、
弁護士や医師などの配置を義務づけたほか、都道府県と政令指定都市だけでなく、人口20万人以上の中核市や東京23区にも児童相談所を設置できるよう、改正法の施行後5年をめどに施設の整備などを進めるとしています。

 また、DV=ドメスティック・バイオレンスの相談や対応にあたる機関の職員も、児童虐待の早期発見に努めるなど、DV対策との連携を強化するとしています。

 さらに、親が子を戒める
民法の「懲戒権」について改正法の施行後2年をめどに見直すとしているほか、児童福祉司の資質を高めるため、国家資格化することも含め資格の在り方について、施行後1年をめどに検討するとしています。

 児童虐待対策をめぐっては、野党側も独自に法案の取りまとめを進めていて、与党側は
幅広い合意を得て、今の国会で改正案を成立させたい考えです。

首相「予防・早期発見・迅速対応など切れ目なく」

 安倍総理大臣は、関係閣僚会議で「
児童虐待の通告件数は年々増加しており、発生の予防、早期発見、迅速で的確な対応、虐待を受けた児童の自立支援、という一連の対策を切れ目なく実行していくことが大切だ」と述べました。

 そのうえで「児童虐待の
根絶に向けてあらゆる手段を講じて、子どもたちを守るという強い決意を持って臨んでほしい」と指示しました。

 そして会議では、虐待が疑われるケースは児童相談所と警察が情報を共有し連携を強化することや、子どもを一時保護するための
施設の整備に取り組むなど、さらなる対策を進めることも確認しました。

文科相「専門スタッフ配置など学校の体制強化」

 柴山文部科学大臣は、記者会見で「文部科学省としては、
児童虐待を防止するため、専門スタッフの配置などによる学校と教育委員会の体制強化のほか、学校、教育委員会と児童相談所、警察などとの連携強化など、子どもたちを守るための取り組みを進めていく」と述べました。

厚労相「子どもの
ケア保護に全力」

 根本厚生労働大臣は、閣議のあと記者団に、今月上旬まで1か月間行われた、児童虐待に関する政府の緊急点検について、「すべての自治体から報告を受けているが、個別に精査する必要があり、終了ししだい速やかに公表する。中には、子どもを一時保護するなど今回の安全確認を通じて保護されたケースもあったと報告を受けており、引き続きこうした子どもたちの
ケア保護に全力をあげていきたい」と述べました。
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体罰禁止は話のすり替え、責任転嫁

 安倍総理は「児童虐待の通告件数は年々増加しており、発生の
予防、早期発見、迅速で的確な対応、虐待を受けた児童の自立支援、という一連の対策を切れ目なく実行していくことが大切だ」と述べ、「児童虐待の根絶に向けてあらゆる手段を講じて、子どもたちを守るという強い決意を持って臨んでほしい」と指示したと報じられていますが、予防・根絶するには虐待が発生する原因の把握と、適切な対策の実行が不可欠だと思います。起きてからでは遅いのです。起きないようにするのが対策の目的であるべきです。

 しかるに、報じられている中では、
原因も対策も明らかにされず、ただ“ケア”“保護”などの対症療法だけが、論じられています。これで本当に根絶できると思っているのでしょうか。「決意」だけで根絶できるのであれば、こんな気楽なことはありません。

 報道では、
「体罰」を禁止するとあって、体罰を虐待の「原因」、体罰禁止を虐待防止の「対策」と考えているように見えますが、これは正しい考え方でしょうか。体罰を禁止すれば虐待はなくなるでしょうか。

 
目黒区の5歳女児の事件も、野田市の14歳の女生徒の事件も、虐待の原因は児童の側には全く見られず、原因は両親の側にあり、体罰の問題ではなく体罰の延長線上の問題でもありません。
 関係があるとすれば、両親が
「体罰」を口実に児相の指導に抵抗(反抗)し、児相等も体罰云々を言い訳にして、毅然とした対応を取らなかったことが考えられるぐらいです。

 
体罰はしつけ・教育の延長線上にあり、親権者の非常手段として子供の非行を防ぐ上で有効です。子供のことを一番心配している親は子供の最大の味方であり、親がしなければ誰も親以上のことをしては呉れないのが普通です。

 一方、
虐待は最初から虐待(非の無い子供への暴力)であり、体罰の延長線上の出来事で虐待が発生することはないと思います。虐待の原因とは言えない体罰を禁止するのは、体罰への責任転嫁と言えるのではないでしょうか。

 一時の感情による
行き過ぎた体罰はあり得ますが、虐待とは区別が付くと思います。行き過ぎた体罰の場合は直後に反省・後悔が起こりますが、虐待にはそれがなく、更にエスカレートしていくのか普通です。体罰と虐待は根本的な違いがあり、両者は区別すべきであり、容易に区別が付くものです。

 それにも拘わらず法案が体罰と虐待を
区別せずに“混同"し、虐待の問題を体罰の問題に、話をすり替えんとするのは他意があるからだと思います。

 
体罰禁止論(体罰暴力論)は虐待が激増する以前から少数意見としてあったもので、彼等・彼女らはこの機会を絶好のチャンスとして声を上げた可能性があると思います。

 またその他に、虐待の激増の
背景(家庭・家族、学校の劣化・崩壊と、子供を保育園に預けることなどによる親子関係の希薄化、さらにその背景にある男女共同参画社会の推進、否日・避日・非日教育の深化など)について心当たりがある、あるいは身に覚えのある人達(厚労省・文科省の女性官僚など)が、その背景に焦点が当たることを恐れ、世間の目を逸らし、焦点をぼかす必要から、話をすり替えんとしているのだと思います。

平成31年3月19日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ