・ Japan Tour Report・


このレポートは皆さまから寄せられたものです。公演日順ではなく、頂いた最新の
レポートが一番上になっています。

by なつむ


◇Rieさん◇

 Highland Flingレポを読んで私ももう一度思い返してみました。思い返して・・・
一番頭に焼きついているのは・・・Willではなく・・・
ノイ・トルマーのシルフと友谷さんのマッジですね。

 小学生の頃とかに、好きな子には意地悪する子っていましたよね?ノイのシルフはあんな感じですね。私、初めて異性を好きになったとき、「男の子のことを好きになるなんて恥ずかしいことなんだ」となぜか思って好きになるのは止めようと思った事があります。でも、好きだからずっとその子の事を見ていたり、わざと悪戯したり、わざと話しかけたりしていました。
周りの女の子に「○○クンの事、好きなんでしょ?」と聞かれても「好きじゃないよ!」と言っていました。そんな小さい頃の淡い記憶をを思い出させてくれました。
「人を好きになった時ってあんな感じだったよな」とノイのシルフを見て思い出しました。

 他のシルフ達に、「人を好きになるって幸せだよ」って無邪気に言うシルフ・・・ 「ジェームスが好き」っていう、自分に酔っているシルフ・・・ そんな思いを体中で表現していて、キュンとしました。

 そんなノイの表現があるから、ラストが生きてくるんですよね。ラストにシルフが一人で物悲しく踊るシーンでは、涙がでそうになりました。

 友谷さんのマッジは、ちょっと年上のお姉さんが、今でもジェームスの事が好きで報われない愛なんだけどジェームスの事を面倒みちゃうって感じでしょうか。とにかくインパクトがありましたよね。
 友谷さん自体は、それほど背も大きくなく他のメンバーに埋もれてしまいそうなのになぜか大きく見えました。友谷さんの踊りがとても大きいからですよね。正直、あんなにパワーがある踊りをする人だとは思っていませんでした。(踊れない者が、何を偉そうに言ってんだ!ってかんじですが)

 くるみの公演の時も友谷さんを見たはずなんですがなぜか記憶に残ってないんです。(ごめんなさい!友谷さん)でも、今回は十分に私の頭の中にインプットされました。同じ日本人として、友谷さんのようなダンサーが遠いイギリスで活躍していることをとても誇りに思います。

 そして、Willですが・・・・
Willはけして悪くはなっかたです。ただ、記憶に残っていないんです。観終った後は、Willの踊りを生で見れたことだけで感激したんですが、冷静に考えると、もっとすごいものを期待していたんです。
 初めてWillをSwan Lakeの映像で見つけたとき、大勢いるSwanの中からWillだけが飛び出してみえたし、Car Manのときにも、気弱な青年が破滅していく姿を体中で表現していたし・・・・
映像で見たから良く見えただけなのかな〜、生では違うのかな〜なんて思ってしまいました。

 Willの踊りをみて一つ感じだことは、なつむさんも書いてますが、「ロイヤルバレエで基礎をつんできた人なんだ」と思ったことです。こう感じだ事が意外でした。映像で見る限りでは感じなかったんです。そして、その事がとても異質なことのように感じました。
 他のメンバーも、クラシック出身の人はいると思うんです。でも、彼らはマシューカンパニーでいつも踊っていて、マシューの考えや特異な振り付けを体で自然に熟知していると思うんです。踊り方、見せ方なども頭でなく体でわかっていますよね。Willは少しの間離れた事で、その事を体が忘れてしまったんではないでしょうか?

 良い作品て、良い振付家と演出家がいて、それを表現し熟知しているダンサーがいないと生まれませんよね。マシューの作品は、マシューを熟知しているダンサーでないと踊れないと思います。その良い例が、友谷さんですよね。マシュー作品を熟知してきたからこそ、あれだけインパクトのある表現が出来るようになったのだと思います。

 Willの話に戻りますが、彼が出演すると思っていた「シザーハンズ」も結局出演しませんよね。 どんないきさつがあったかは知りませんが、久しぶりにマシュー作品に出演して、Will自身がいろんな事を感じたんだと思います。(憶測にすぎませんが・・・)
 だから、ウイリアム・タケットの「ピノキオ」を選択したんでしょう。それはそれで、良い選択だったのだとWillのファンとしては思いたいです。でも、きっとタケットの作品は日本では公演しませんよね。イギリスまで行きなさいってことでしょうか?


◇草加さん◇

7月3日(日) マチネ
James ・・・Adam Galbraith
Effie・・・ Kerry Biggin
Robbie ・・・James Leece
Dorty・・・ Shelby Wiiliams
Gurn ・・・ Philip Willingham
Mudge ・・・Gemma Payne
Angus ・・・ Matt Flint
Ewan ・・・Ross Carpenter
Jeannie ・・・Mikah Smillie
Morag ・・・HannahVassallo
The Sylph ・・・Mireille No Tolmer

 今回はこの一回きりの鑑賞です。去年、今年とMatthewの舞台を見終わった後に必ず後悔します。「どうしてもう一公演買わなかったの!!!?」と。
 東京芸術劇場は初体験ですが、席は前から6列目、どまんなか。まず、始まるまで、セットの落書きを丹念に見ようとオペラグラスで見ますが、目が悪いので一部しか読むことが出来ませんでした。残念。でもパンフを買ったらJames とEffieのハートの左下

YOUR HOSE IS SMALL AND YOUR PUMP IS WEAK
YOU BETTER STAND CLOSE OR YOU'LL PISS ON YOR FEET

が判読出来ました。パンフを読むとAlan Cummingが書いたということも分かり、ふむふむ。
 装置からしてわくわくしてしまいます。私の席の前にはLee Smikle、その隣にEttaが着席。Leeがタンクトップを着ていたのでちょっとさわりたくなりましたが、何とか最後まで我慢しました。

 AdamのJamesはレアものだったみたいですが、Adam、前に何回か見ているはずなのにどういう個性だったかまったく記憶にない。まず、一言で言えば、顔が面白い。
 いやいや、ダンサーに顔が面白いと言ってはいけないとは思いますけれど、でも、顔というか表情がコミカルで面白いのでそれだけで笑ってしまいます。どこか関西のベタな笑いも取り入れているようで、「えーっと吉本を研究しました?」とAdam君に聞いてみたいぐらい。多分、人の笑わないところでも、彼の顔を見ていた私ひとりだけ笑っていたと思います。
 ダンサーなんだからダンスの事を言わなければいけないかもしれないけれど・・・、う〜ん特徴は思い出せない。他のJames と比較も出来ないし・・・。とにかくコミカルに演じていた、とだけ言っておきましょう。

The SylphのMireille No Tolmerは、こどもっぽい妖精でした。「真夏の夜の夢」のパック、あるいは「うりこ姫」のあまんじゃくみたいな感じ。だから、Jamesに心を引かれていくところも「恋心」というよりも「好奇心」の方が強く出ていたような気がします。一方Jamesは、ちょっとおちゃらけたやつなので、わりとまっとうなEffieよりも、いたずら大好きなSylphに心惹かれていったように見えました。

 最初にSylphが出てきたとき、「あ、キョンシー」と思いました。妖精の世界もキョンシーがいっぱい・・・。妖精の世界で何とか皆さんに気に入られ仲間になりたいジェームス君の踊り、ここもアダムは笑いをとりにいってましたね。

 実はほとんど前知識なしにこの舞台を見ました。その方が、感動も大きいかと思って・・・。最後は本当に衝撃的でした。ここまで血みどろになるか〜?というぐらい痛々しい。失神しかけているSylphと無理矢理踊ろうとするJamesに「もうそのぐらいにしておきなさい」と言いたかった。

 本当にマシューは毎回驚きと感動を与えてくれます。やっぱり最低もう1ステージはみておきたかった・・・。来年のEdward Scissorhandsは絶対頑張るぞー!


◇Rieさん◇

「Highland Fling」見ました。初日と7月1日と最終日の合計3回。3回ともWillでした。Willの大ファンなので、初めて生で踊るWillを見ることができてそれだけで十分大満足でした。

 このところ体調が悪いというより気分的にのらない日々が続いて、何を見ても何を聞いても「良かった」という感想しか持てずにそれ以上の湧き出るような感動を得る事が出来ませんでした。
そんな時期に「Highland Fling」を見たらもやもやしていたものがイッキにとれてなんかいつもの私にもどれたんです。毎日をたんたんとすごしていたんですが、おかげで仕事も遊びもはりっきて出来るようになりました。こんな事って初めてです。
 Willの踊りを見たからとか、そんな単純なことではなくてこの作品が私の気分を変えてくれたというか・・・・ダンサーの皆さんからパワーをもらったというか・・・なんかいきなりスイッチがonになったというか・・・なんなんでしょう!!自分でもよくわからないです。この気持ちをうまく表現できる文才がなくて残念ですがとにかく元気がでました。

 あのキモかわいいシルフさん達が大好きです。友谷さん!背は小さいのにとっても目立ちますよね。パワフルな踊りをする人ですね。「Highland Fling」・・・マシューの作品の中では白鳥の次に好きです。


◇弥生さん◇

 初日、2日(土)マチネ、9日(土)マチネ、を観ました。
キャストはメモしなかったので、今記憶に残っている人しかわかりません(しかも間違ってるかも)。すみません。

初日
ジェイムズ・・・ウィル・ケンプ
エフィー・・・ミカ・スマイリー(たぶん・・・)
ロビー・・・アダム・ガルブレイス
ガーン・・・リー・スマイクル
ユアン・・・ロス・カーペンター

2日(土)マチネ
ジェイムズ・・・ジェイムズ・リース
シルフ・・・ノイ・トルマー
ロビー・・・アダム・ガルブレイス
ガーン・・・フィリップ・ウィンガム
ユアン・・・ロス・カーペンター
モーラッグ・・・友谷真実

9日(土)マチネ
ジェイムズ・・・ウィル・ケンプ
シルフ・・・ノイ・トルマー
ロビー・・・アダム・ガルブレイス
ガーン・・・フィリップ・ウィンガム
マッジ・・・友谷真実

 ふざけた奴だと思われるかもしれないですが、私がこの作品で一番気に入ったシーンは、2匹のモグラやリスさんやウサギなどのぬいぐるみ達が総出演する場面です。モグラなんて、棒が透明とかではなく、わざとか?と思ってしまうような太くて黒い棒で見え見えなところが気に入りました。この場面を見ると大爆笑すると共に、バレエ作品の中でこんなくだらんことにコスト(ぬいぐるみ代と人件費)かけて大真面目にやってくれるマシュー・ボーンってスバラシイ!と感動し、改めてマシューのファンになりました。

 次に気に入ったのが、モーラッグという役。田舎からでてきたダサい女の子です。めがね、おさげ、ブラウス&上までボタンを締めたダサいカーディガン&中途半端な長さのスカート、そして白靴下&黒靴。最高です。PWWの新居祝いパーティーに出てくるダサい女に引き続き、こういう"ダサダサ"な女の子の役を必ず作るところに、マシューの人間愛を感じてしまいます。一緒に観劇した職場の後輩2人も、この田舎から出てきたダサい女の子が気に入った、と言ってました。

 皆さんもそうだと思いますが、この作品を見ていると、「あ、このシーン、あの作品のあの場面に似てる!」と思うことが何度もありました。それは、私自身これまで見たマシュー作品の数が増えてきていることもあると思いますが、この作品が、それ以降のマシュー作品の原点になっていることもあるのでしょう。

 妖精達の動きは時々SWANLAKEの白鳥みたいだったし、2幕で妖精たちの真似して手をバタバタさせながらジャンプする間抜けなジェイムズは、カーマンで、ルカにボクシングを教わって一生懸命真似する滑稽なアンジェロの姿を思い出させました。

 また、妖精たちが「ハッ」とかいいながら踊るのは、カーマンの2幕「キャバレーアクト」、3人で踊るマーサ・グラハム風の踊りを思い出しました。

 主役のジェイムズは、ウィル、リース、ウィル、と見ました。アダム・ガルブレイスは日本でジェイムズを踊ったのでしょうか?彼も見たかったです。

 リースは、本物のスコティッシュ、アダムはスコティッシュとイングリッシュのハーフ、ということで、やはりこの2人両方見たかったです。ウィルは、初日観た時、ぴんときませんでした。やっぱ彼はイングリッシュだし、スコティッシュを演じるには、顔が綺麗過ぎるわ、と思って。でも、9日のマチネで見たら、初日より格段によくなってました。肩の力が抜けてラフな感じが出ていて。やっぱり初日って緊張してかたかったのだな、と思いました。

 でも、やっぱり、「ウィルのハマリ作品はカーマンだわ。」と思ってしまいました。オリジナルキャストとして(ハマリ役)アンジェロを演じながらルカまで演じ、しかも別人のように見事に演じ分けたウィルは本当に素晴らしかった。あのウィルを見てしまうと、このジェイムズはハマリ役ではないなあ、と思ってしまうのです。

 個人的には、カーマン来日公演時にハマったダンサー、ロス・カーペンターくんに釘付けでした。3回観たうち、最初の2回にユアン役で出ていたので、その2回はロスくんに目を奪われてしまいました。かわいい!相変わらず足腰がヨチヨチしてて幼さを残してて、子供みたいに純粋な満面の笑みで、心から楽しそうに「ぼく、踊るのが楽しくって仕方ないんだ!」という表情で踊っているロスくんを見てると、お母さんの気持ちになってしまって、あまりの可愛さに涙ぐんでしまいました。カーマン来日時21歳くらいだったのでもう26歳くらいなはず。あの純朴さは彼の宝だと思います。
キャストに名前があったので、ガーン(エフィーを一途に思う男の子)役のロスくんを見たかった・・・。

 2000年にAMPファンになった私は、もちろん初演のハイランド・フリングは見たことありません。初演時のそれは、サウスバンク・ショーでちらっと映像を見たり写真で見たりしただけですが、スコット演じるジェイムズを中心とする初演のハイランド〜のイメージが出来上がっていた私にとって、今回の作品は、ちょっと「小綺麗で明るく若く軽く」なってしまったな、という感想です。それがちょっと残念。初演時にはちゃんと感じられた、スコティッシュっぽさ、つまり、粗野感とか荒々しさとか垢抜けなさ・・・が無くなっていたというか。といっても、今回の作品、(ウィルは例外として)全体的に、ちゃんと、スコっぽさを感じるような、庶民的で田舎臭さを表現できるダンサーのみを選んでましたね。マシューもちゃんと考えているな、とわかりました。

 それにしてもよく出来た悲劇です。あまり素直ではない(ちょっとやそっとの演出では泣かない)私が、ラストのシーンでは毎回泣いてしまいました。SWANLAKEもある意味では悲劇なのですが、ハイランドの方が、全然現実的なストーリーの悲劇だから、ぐっときます。

 毎回、シルフが羽を切られて血を流して出てきたとたん、客席がシーンとなって緊迫するのがわかりました。なんとなくダラダラと見てたお客さんも、このシーンではっと我に帰って身を乗り出すのがわかって。舞台上の出来事なのに、まるで現実のように、いい歳をしたおじ様おば様まで、まるで子供のように純粋にショックを受けているのがわかる。これはすごいことです。

 スコフェチな私が今回楽しみにしていたのは、キルトやスコットランド国旗のTシャツ(ユアン役の男の子が着ました)を着たダンサーを見られる!ということ。だいたい、現代の若い男の子がキルトを着るのは、結婚式かサッカーのスコットランド代表戦くらい。スコットランドの結婚式に呼ばれるなんてことは私の人生ではありえないので、お目にかかれるのは、テレビでサッカーのスコットランド代表の試合でサポーターの男の子が着ているのを拝見するだけ。なので、今回はキルト姿の男の子(しかも踊る姿)を生で拝見できて貴重な体験となりました。男性のキルト姿ってセクシーです。

 くるみ割りもそうですが、昔の作品を再演してくれ、しかも日本で公演してくれるなんて、本当にありがたいです。ちょっと前は考えられなかったことですよね。Town&Countryなども再演してくれないかしら、と思ってしまいました。


Highland Fling Talk show Report Vol.1を読む

Highland Fling Talk show Report Vol.2を読む

Highland Fling Talk show Report Vol.3を読む

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