「エトワールという言葉に特別な意味はない。ただ踊ること、それこそが僕の人生だ」
  〜 マニュエル・ルグリ(エトワール)〜

「バレエは体を焼き尽くす情熱。それは愛より強い想い」
 〜マリ・アニエス=ジロ(プルミエール・ダンスーズ)〜


・・・2002年5月18日より梅田ガーデンシネマにてロードショー・・・

梅田スカイビル(空中庭園)タワーイースト4F
TEL; 06(6440)5977

☆上映時間☆

5/18日(土)〜24日(金)
(連日) 10:00/12:05/14:10

5/25日(土)〜
(連日) 10:00/12:05/14:10/16:15/18:20

★このページはヘラルド・エンタープライズさんに全て情報提供をして頂き、掲載の承諾を得ています★


・Introduction・

世俗から隔絶されたバレエの殿堂の舞台裏。エトワールの輝きに魅せられた
バレエ・ダンサーたちの身を焦がす情熱を描き出すパリ・オペラ座物語

 パリ、オペラ座。300年以上の歴史をもつバレエの殿堂の舞台裏に初めてムービー・カメラが入った。この話題は制作当時からフランス市民を騒がせ、完成を心待ちにする空気は日に日に高まっていた。そしてついに『エトワール』が公開される日がやってきた。2001年3月14日、8館で始まった興行は週を追うごとに勢いを増し、3週目には23館規模にまで拡大し、大ヒットを記録した。バレエをモチーフにした映画の大ヒットも記憶に新しく、今やバレエは大衆的な広がりを見せ、いつにないブームを迎えている。『エトワール』は、そんな熱気を助長するに違いない、世界一のレベルを誇るパリ・オペラ座バレエを瑞々しく描き出した美しく過酷な人間ドラマである。ドガのタブローを髣髴とさせる繊細な瑞々しさと躍動感に満ちた映像。特殊な世界で交錯する歓喜と絶望。それはファンのみならず、バレエには特別に興味がなかった人々をも感動させる強烈なドラマに満ちている。

 パリ・オペラ座バレエは、エトワール(星)と称される最高位のダンサーを頂点にし、プルミエ・ダンスール、スジェ、コリフェ、カドリーユで成り立つ完璧な階級社会である。団員になるだけでも大変な一握りの選ばれた者たちの世界で、日々、超人的努力をこなすダンサーたちは、残酷な生存競争に耐えながら明日を夢見る。エトワールの座についた者は、歳月を追うごとに芸術への理解力を深めることと、衰え行く肉体という相容れないパラドックスに悩む。一方で、トウ・シューズのなかで血豆をつぶし、抗生物質を飲みながらステージに上がるカドリーユたち。あるいはバレエを続けることと、結婚し家庭を持つことのジレンマに悩むダンサーたち。それはバレエの神に愛された者と、そうでない者たちを峻別する残酷なドラマである。ステージでは見せないエトワールの素顔の美しさに加え、意外なほど正直に、胸のうちに抱える様々な悩みを打ち明けてくれるダンサーたちの人間臭さもこの映画の大きな魅力である。

 監督はベルトラン・タヴェルニエの息子ニルス・タヴェルニエ。この企画は、彼の祖父母の家の隣に堂々とそびえていたオペラ・ガルニエ宮に魅せられた幼少時代に端を発している。出演は、現在最高峰のダンサー、マニュエル・ルグリ他、ニコラ・ル・リッシュ、オーレリ・デュポン、アニエス・ルテステュ、ジョゼ・マルティネス、引退の挨拶が涙を誘うエリザベット・プラテルといったオペラ座を代表するエトワールや、明日のエトワールを夢見るダンサーたち。振付師のイリ・キリアンやモーリス・ベジャールも登場。また、かつての世界的エトワールのノエラ・ポントワを母にもつミテキ・クドーや東洋人として初めて団員に選ばれた藤井美帆も顔を見せている。イリ・キリアンの「優しい嘘」、モーリス・ベジャールの「第九交響曲」、ピエール・ダルドの「祈り」他、「白鳥の湖」「ラ・シルフィード」など、コンテンポラリーとクラッシック・バレエをふんだんに堪能できる。実際のステージとその練習風景やゲネプロを巧みに織り交ぜた構成は、バレエが創作されてゆく舞台裏をエキサイティングに映し出している。



◆監督ニルス・タヴェルニエ インタビュー◆

Q.あなたがこの作品で描き出したかったものは?

 バレエ・ダンサーという職業の多様性、複雑さ、豊かさです。このアスリート的な芸術家たちの一団をつき動かしている、すばらしい”生命の飛躍”を、観客に感じ取ってもらいたかったのです。この映画は、インタビュー、クラッシックとモダンの様々な作品の練習風景や公演風景、日常生活の場面、ツアーでのひとコマなどで構成されています。スナップ的に撮られた場面によって、ダンサーたちの仕事や、彼らの内面に流れるものが理解できると思います。私は言葉と体からほとばしり出る感情が表現されているような作品を撮りたいと思いました。ダンサーたちは常に、完璧な自己イメージを投射するように訓練されています。苦しみのない、輝いた、軽やかなイメージを放ち続けるために。私は厳しい職業としてのバレエの一方で、彼らの喜び、パートナーの関係、愛の関係に目をむけ、敬意とやさしさと称賛の意をこめて撮りました。

Q.シーンごとにモノクロ・スチールを挿入するアイディアはどこから来たのですか?

 ヴェンサン・テシエの写真は、2台目のカメラ、別の角度からの視点のようなものです。私は、動きを止め、動きを停止画像の中へ延長されるアイディアは、非常に詩情にあふれるものだと思います。私はフィルムの編集を行うときも彼の写真を壁に貼り付けます。それが私にとってシークエンスを整理する道標となってくれるのです。コンピュータや紙とペンを使うより、ずっと役に立ちます。

Q.なぜ映画用フィルムで撮ったのですか?

 オペラ・ガルニエへの敬意からフィルムという媒体を選びました。また、映像のキメ、コントラスト、カラー、暖かみやスペース感が必要であるという点において、素材を最高の状態で捉えるためでもありました。もし私がこの作品をテレビ用に撮っていたら、3カ月の撮影期間をとることはできなかったでしょうし、映画館のスクリーンにふさわしい豊かな素材をとりこむこともできなかったでしょう。これは、ガルニエ宮の舞台裏でパリ・オペラ座バレエをフィルムに収めた史上初の長編作品なんです。オペラ座経営陣を説得して信頼を得るのに、何年もかかりました。私を受け入れ、撮影に必要な期間オペラ座の扉を開いてくれた、パリ・オペラ座総裁のユーグ・ガルと、芸術監督のブリジット・ルフェーヴルに感謝を捧げたいと思います。そして、この映画ができたのは、父ベルトラン・タヴェルニエと全ての関係スタッフのおかげです。


出演:マニュエル・ルグリ/ニコラ・ル・リッシュ/オーレリ・デュポン

ローラン・イレール/アニエス・ルテステュ/ジョゼ・マルティネズ

エリザベット・プラテル/ノエラ・ポントワ/ミテキ・クドー

モーリス・ベジャール/イリ・キリアン/藤井美帆 他

監督・撮影:ニルス・タヴェルニエ

撮影:ドミニク=ル・リゴレー  モノクロスチール写真:ヴァサン・テシエ

2000年/フランス/35mm/カラー/アメリカン・ヴィスタ

ドルビーSR/上映時間1時間40分

協力:ベルチェ・アソシエイツ 後援:フランス大使館文化部

協賛:Cartier 配給:キネティック


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