KIRIKOU

-小さな男の子の好奇心が世界を変えた-

スタジオジブリ第一回洋画アニメーション提供作

人類誕生の
アフリカの大地だけが
生み出し得た
全く新しい世界神話

なぜ?
どうして?

小さなキリクの大きな好奇心が
世界を変える

愛と赦しと
よろこびの物語


★このページは日本ヘラルドさんに全て情報提供をして頂き、掲載の承諾を得ています★


愛と赦しと人間解放の世界寓話

日本語版翻訳・演出 高畑 勲

 昔から、子供というものは知りたがり屋で、「なぜ?どうして?」と質問しては大人たちを困らせる存在でした。ところがいまや、ブラックボックスのような機器が家庭にあふれ、映像の中では超リアルにメカが空を飛び、車も乗れないはずの子供のヒーローが操縦して敵を倒してしまいます。もはや誰も、「どうして空を飛べるの?」なんて質問しません。答えは、「だってアニメだもん」と決まっています。子供だけではなく大人までが、素晴らしい技量に支えられた日本のアニメが与えてくれる、めくるめきやこころよさに身をゆだね、心を奪われ、癒されています。「なぜそんなにうまくいくの?」などという質問は興ざめさせるだけです。

 そういうとき、私は『キリクと魔女』に出会って衝撃を受けました。ここ数年来、これほど感心したアニメーション映画はありませんでした。大好きな『トイストーリー2』よりも、見事な『千と千尋の神隠し』よりも、ぼくは感動しました。

 「どうして魔女カラバは意地悪なの?」-この問いかけからすべてがはじまります。「それは魔女だからさ」という答えに、この映画の主人公、キリクは決して納得しないのです。キリクは、生まれ方は神話的ですが、その実、真っ裸のただのちびの子供にすぎません。猛烈な速さで走れるだけで、体力もなければ魔力もない。キリクはひとりで闘うけれど、ひとりでは闘えません。人の協力が必要です。そのキリクが、なぜ村を支配する魔女に立ち向かえるのか。それは、キリクが連発する、まさに昔からの子どもの武器、「なぜ?どうして?」の質問によってなのです。また、キリクは次に何をするか、どうすれば成功するか、よく考えてから果敢に行動に移ります。これも日本のアニメにほとんど見られないものです。見すすむにつれて、だんだんと謎が解けてゆき、すべてがくっきりと明かになります。子どもたちや村人が折りにふれて歌う、ユッスー・ンドゥールの大地からわき上がるような歌がまた素晴らしい。喜びの太鼓と歌が爆発して大団円を迎えたとき、ぼくは心も頭もすっきりと解き放たれて、じつに爽快な気分になりました。

 ミッシェル・オスロは、人類発祥の地アフリカの村を舞台に、女性たちを中心にすえて、まったく新しい、愛と赦しと人間解放の世界寓話を創作したのです。ぜひ御覧になってください。


 ・・・わたしの主人公が、小さかった頃わたしがした質問をするだけでじゅうぶんだったのです。それは昔話のなかでは決してなされない質問です。
「どうして悪玉メシャンは意地悪メシャンなの?」
すべてはこれでごく自然につながっていきました。母親のひかえめな存在、魔女の美しさ、ほかの多くの人たちのように恥ずべき男たちによって虐待されたカラバのドラマ、トゲの苦痛、祖父の英知、フェティシュの秘密、ゆるし、魔法のキス、そして死のかわりに、愛・・・。
                   (ミッシェル・オスロ『キリクと魔女』原作本あとがきより)


原作・脚本・監督:ミッシェル・オスロ

音楽:ユッスー・ンドゥール

日本語吹替版:浅野温子 神木隆之介 日本語翻訳・演出:高畑勲

1998年/フランス映画

ドルビーSR/ビスタサイズ/上映時間71分

協力:ローソン

提供:スタジオジブリ・日本テレビ・博報堂・ニューセレクト

配給:アルバトロス・フィルム


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