ニューヨーク旅行記
〜ヴァージン・メガストア編〜 



<11/1・夕方>

 シューバート劇場から出ると、街は夕方になってきたせいか、少し暗くなって きていました。また少し違った顔を見せ始めた街に、思わず見入ってしまいます。

 開演前は急いでいたのでゆっくり見ることが出来なかった看板やポスターを、改めてチェック。 まず隣の劇場の「紅はこべ」のネオンを見上げ、次にメインの正面に見えるライオン キングの看板を遠くから眺めます。
当時ライオン・キングは開始から一年もたっておらず、チケット入手は困難を極めた 一番旬な舞台でした。 これが噂の劇場なのねと、思わず見入ってしまいます。

 シューバートの小路に掲げられているポスターは、紅はこべ、ミス・サイゴン、パレードにキャバレーと、とってもミュージカルしています。もちろん当時話題だった「ART」も掛かっていました。そして、しっかりAMPの「SwanLake」も!
アダムのあの目がこちらをにらんでいます。にらまれても、とにかくうれしいっ! と明日の舞台がとっても待ち遠しくなってしまいます。
シュバート周辺の見学を終え、ブロードウェイの大通りに向かいます。

 NYといえばここ!TVで見なれたTickets。所狭しと並んだビルボード。 本物だ〜とあちこちきょろきょろと見まわします。
大きなビルボード、そしてネオン。私が今回見たくて仕方が無い、でも見られないミ ュージカル 「キャバレー」のビルボードもあります。
あの目はキャバレーのMC役でトニー賞を受賞したアラン・カミングです。ん〜見たい !あの毒のある舞台が観たい、観たい、観たいっ!でも今回はSwanに3回通うので、 残念ながら日程的に無理です。
更に、ガーシュイン劇場の壁一面には「ピーターパン」のポスターが。こっちは予告 です。これも気になる!! 信号待ちが終わり、まずは「バージン・メガ・ストアー」へ。おなじみのロゴが大き く壁に掲げられています。

 店はかなりの大きさで、人があふれていました。早速ミュージカル関係のCD売り場を探します。
どうやら地下にあるようなので、エスカレーターで地階へ移動。 ありました。オリジナルキャスト版のCDがずらっと並んでいます。 そして、今売りだし中のキャッツのビデオ。 とにかく、キャッツがずらっと並び、天井に取りつけられたモニターもキャッツ。 今の売りは、何がなんでも、とにかく一押し、「キャッツ」なのです。

 その中、私はキャッツにわき目も振らず、もくもくと今見てきた舞台、「シカゴ」の ブロードウェイ・オリジナルキャスト版、そして見られないならこれだけでもと「キャバレー」のオリジナルキャスト版のCDと、当時話題だった、キャメロン・マッキントッシュの記念コンサート「ヘイ!ミスター・プロデューサー」を探します。
めぼしいものは、これぐらいかしらと顔を上げると、同じフロアーに書籍売り場があ るのを発見!更に、そこには楽譜が!!

 コール・ポーターのピアノ譜が前から欲しかった私は、一応CDの清算を済ませてから 、吸い寄せられるようにそちらに向かいました。
まず目に入ったのはライオンキングの写真集。テイモアが最も注目を集めている演出 家兼デザイナーだった年だけに、彼女に関する出版物が平積みされています。 その奥にはルドルフ・ヌレエフの本が平積みになっていました。 その両方に心ひかれますが、まずは楽譜です。

 ピアノのコーナーの前に陣取り、ゆっくりと背表紙を読み上げていきます。ありました。思った通りです。未だコール・ポーターの音楽はNYで生きていると昨日から思っていた通り、彼の楽譜が小さな売り場スペースにも関わらず、ちゃんと並んでいます。一つを手に取り、掲載されている曲のラインナップを確認します。
Night and day, Beigin the begin, I gat you under my skin, So in love,  Anything gose …
どれも欲しかった楽譜です。嬉しいっ!でも、他のはどうなの?と次の楽譜にとりか かります。 うーん。こっちもだいたい同じような曲がセレクトされています。どっちがいいアレ ンジなのかしら。 と次々に目移りしていると、隣に居た男性が声をかけてきました。
「ピアニストなの?」
ここでふと、ピアノを専門に学んでいた大学生の頃、教授がアメリカ人は「ちょっと 弾けるだけでもピアニストと言う」と言っていたのを思いだし、思わず素直に
「ええ」
と答えてしまいまいた。でも、答えた後で我ながらちょっとドキドキしてし まう小心者の私。
再び楽譜選びに戻り、結局表紙にミュージカルの初演の頃のポスターが数多くプリン トされているものに決定。テイモアとヌレエフの本をぱらぱらと見た後、元に戻して 再びレジに並びます。

 無事欲しいものは一応全て入手し、満足してヴァージンから出ると、NYはますます暗闇にネオンが映える美しい街に変化していました。
想像通り、昼と夜の顔が違う街NY。 人ごみの中の一人となり、この街の風景の一つとなり、我々はバス停に向かいました 。


・上の写真は、シューバートに貼られていたポスターです。(著者撮影)


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