さっきから、前を歩く友達を除いて、人に全くあいません。てくてくてくてく、て
くてくてくてく。ひたすら歩きます。
歩くにつれ、下ってくる道。そして、それに反比例して高くなってくる壁。最初は面
一だったセントラルパークが、ひざの位置になり、腰の位置になり、肩になって頭を
越し、今や見上げる状態になっています。そして、いくら歩いても全く人に会わない
。更に我々の歩く歩道のすぐ横は車道なのです。
こ、怖いよ〜。ここで突然人が現れたらもっと怖いけど。もしここで襲われたと
しても、誰も助けに来てくれないだろうし、行き交う車から人が降りてきてくれると
も思えない。怖すぎる・・・
何せ部分的には悪名高いセントラルパークだし。今、ものすごく無謀なことをしてい
るのではなかろうかという後悔に苛まれます。
そして、遂にトンネルの手前に辿りつきました。いや〜な雰囲気が更に全身をかけ
ぬけます。頭の中は今歩いて来た道のりと、この先の推測される距離の比較でいっぱ
いです。
ここに来るまでに既に怖かった道を今更ひき返すのは・・・もっと怖いかもしれな
い。でも、トンネル・・・あれ?これはNYに到着した日に空港から来た時にくぐっ
たあのトンネルか。そう気づいたところで、何の気休めになるわけでもなく、緊張が
ピークに達してきました。
ドキドキドキドキ。もう、無言でひたすら早足で突き進みます。さっきから二人の間
に会話は存在していません。とにかく、一刻も早くこの場から立ち去りたいっ!!!
その一心でわき目もふらず直進します。
早く、早くここから出なきゃっ!!かちんこちんに緊張しながら、ひたすら前進を 続ける2人。車に乗っている人には、「何やってんだ?こんなところで」あるいは、 「なぜこんな所に人が歩いてるんだ?」と思われているのかもしれません。
今や、誰にも会いませんようにと心で念じるしかないっ!怖いっ!怖い怖い怖いっ
!!!
と心中パニックに陥りながら、すっかり小走りになって進んでいくと、トンネルの終
点に辿りつきました。
急に視界が明るくなります。そして高かった壁も徐々に元の高さに戻ってきました
。
た、助かった・・・急に緊張が解け、歩調も元に戻ってきます。無事世の中に生還!
なんて大げさな事を考えながら、メトロポリタン方面に進んで行きました。
二人の間にも漸く会話が戻ってきます。とにかくこれからは地図だけで判断しない 、イーストサイドに抜ける時は交通機関を使おうと話し合います。
冷たい風を受けながら、漸くメトロポリタン・ミュージアムに到着。これがその昔「NHK
みんなの歌」で大貫妙子が「♪メトロポリタン、ミュージアム」と歌っていた所なの
ねとは思わず、この中はめちゃくちゃ広いんだろうなぁと思いながら入館。
入館料を払うと、黄緑色の金属製のクリップのようなものを貰いました。これが見えるところについているかどうかで、入館料を払ったかどうかを判断するのです。つまり、見えるところにつ
けなければなりません。早速カーディガンのボタンホール周辺にクリップを止めまし
た。
入るとすぐに広いエントランスで案内地図を見て打ち合わせ。広い館内で地図解読 能力が著しく低い私が、一人で無事カフェに辿りつけるのかという一抹の不安を抱え つつも、見たいところを各自見る方がいいに決まっているので、お昼にカフェで待ち 合わせという事にして自由行動に入りました。
さて、どこから周るのか。地図を広げて考えます。絶対みたいもの。それは絵画と
エジプトの展示。これは外せません。
一日中ここにいるとは言え完全制覇は、広いだけに無理だと判断します。的を
絞って見たい所から見て周る。そう決めてまず中央の階段を上っていきました。
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