ニューヨーク旅行記
〜EJ's Luncheonette 編〜 



<11/1・未明〜朝>

 一応羽根布団らしき上掛けと、丁度いいぐらいのベッドのスプリングに満足し、これなら安眠できると安心して電気を消して就寝。ところが、安眠が訪れないのです!

 道路に面したベッドルームの外では、クラクションが鳴り響き、怒鳴り声のような人の声が聞こえてくる始末。 サイレンが鳴り、車が行き交い、またクラクション!しかも、短く鳴らすのではな く、押さえっぱなしにして
「バーーーーーーーーーーー!!!!!」
と鳴らしているのです!! あっちこっちから聞こえてくる鳴らしっぱなしのクラクションと、人の怒鳴り声。 銃声が聞こえてきたらどうしよう。火事でも起こったらどうしよう。
言い争っている人たちの声は更にエスカレートしています。 あ、何かを今、蹴飛ばした!また叫んでるっ!!!あ、またサイレン!!

 えらい所に来てしまった・・・と暗闇の中、すっかり怯えて布団の中で小さくなりま す。 これから毎晩こんな事が続くのでしょうか。怖い・・・旅の疲れで眠たいのに、表の 騒ぎで どうしても眠りに落ちられないという辛い状態に追いこまれます。その横ですやすや と眠る友達。
そして、夜が明ける頃、今度は早朝からパッカー車がごみの収集にまわりはじめまし た。 NYは徹底して私の安眠を邪魔してくれるのねっ!!
 表の騒ぎに恐怖を覚え、眠いのに眠れない事にジレンマを覚え、すっかり疲れて迎えた朝。それでも少しは眠っていたようで、幾分体の疲れはとれていました。
昨夜は凄かったと話した私に、そう?どうしたの?と答える友人・・・ 私もたいがい寝つきはいいのですが、友達には負けたと感心してしまいました。

 7時半に起床し、身支度を整え、絶対行きたいと思っていた「Good Enough to eat」を目指して出発です。昨日のお昼に行った店と同じく、ここも有名なお店でしかもアパートから徒歩10分程度。チェスターフィールドは本当にいいロケーションです。

 アムステルダムアベニューをてくてくと歩くこと数分。途中、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの白黒の写真が大きく引き伸ばされた、ビルの壁一面に掲げられたAppleコンピューターのポスターを通りすぎ、そう言えばジョン・レノンが最後に住んだ「ダコタアパート」はこの近くだったなぁと思い出します。

 地図でいうともうそろそろなので、それらしきお店が見えてきてもいいはずです。 ところが、日曜日が悪いのか、ほとんどの店がまだ準備中という感じで活気がありま せん。 漸く住所通りの場所にたどり着きましたが、あいにく閉まっていました。
ガイドブックの営業時間と少し違うようです。仕方なく諦め、後日来ようという事 に。 とにかく開いている店に入る事にして、パンケーキが売りのカフェに決定。 バス停前の「EJ's Luncheonette 」というお店です。

 ガラスを通してじっくり観察してから入店します。店内は2部屋に別れていて、私達 は奥の 広い部屋に通されました。

 ここは地元の人がほとんどで、スタッフはとてもフレンドリーな感じ。 お店の人と顔見知りのお客さんが多いようで、仲良く話しています。
小さな男の子と赤ちゃんを連れた家族が後から入ってきましたが、男の子はとてもお 行儀良く 自分の持ってきた小さなおもちゃで遊び、両親はスタッフとにこやかに話していま す。 のんびりした雰囲気が漂う店内は、まさしく休日の朝です。

 そんな中、我々はメニューとにらめっこ。昨日2度の食事でアメリカの量は並でないという認識をしっかり持たされた我々は、まず周囲を見まわし、この店の「量」を確認。
フレンチトーストとパンケーキを頼んでいる人が主流です。そのプレートが、やはり 普通ではない 大きさでした。これは、シェアするべきだという結論に達します。
という事で、プレーン・パンケーキとフルーツサラダ1つづつと、友人はコーヒー、 私はオレンジジュースを 頼みました。

 今日こそ適切な量を注文できたに違いない!と期待して料理が来るのを待ちます。 それにしても、気になるのはテーブルの上のメープルシロップ。 台所用洗剤の入っているあの出口がプラスチックになっていて引っ張り上げると中の 液体が 出てくるという入れ物に入れられて、どんと 置かれています。高さは25cmぐらいあるでしょうか。
とにかく、メープルシロップかけ放題の大サービスです。アメリカ人が日本の喫茶店 でホットケーキ を注文したら、小さな小さな入れ物に入ったシロップに驚くに違いありません。

 まずはドリンクが運ばれてきます。大きなマグカップになみなみと注がれたコー ヒー。白いマグには ちゃんとこの店のロゴが入っています。そして、私のジュース。果肉の入ったオレン ジジュースで、 ロンドン旅行以来私のお気に入りなのですが、それがひときは大きなコップに入って いました。
コーヒーは飲み放題のようで、少し飲むとすぐに入れてくれて、一体どれだけ自分が 飲んだのか 全く分からないという恐ろしい代物ですが、さすがにジュースはおかわりなしでし た。

さて、いよいよ問題のパンケーキが運ばれてきます。 大きなプレートに直径23cmぐらいの大判パンケーキが3枚どーんとのっています。 どう考えても1人1枚半あれば十分です。適量です。
次にフルーツサラダが登場。これは意外にも普通のサイズ。日本のものとさほど変わ らない 大きさのボウルに色々なフルーツがのっています。
注意すれば、ちゃんと自分の胃袋にみあった量が頼めるじゃないの!と我ながら満 足。 味も、goodです。

 今日は残さないぞと、私たちが果敢に大判パンケーキと格闘していると、そこに一組 の 日本人女性旅行客(推測)が入ってきました。
通りに面した席に陣取った彼女達をなんとなく眺めてしまいます。そう、どういう注 文をするのか。 昨日の私達のように、失敗するのか否か、とっても興味が沸いてしまいます。

 おそらくあれは一人一つづつ注文したんだろうなと確信しながら観察を続けている と、思った通り 大きなプレートが2つ運ばれてきました。それを見た途端、笑いだす二人。
「やっちゃいましたね」
「やっぱりね」
とつぶやき合う私達。 恐らくこの日を境に、彼女達もまず周囲を見まわしてから注文するという知恵を身に つけることでしょう!

支払いを済ませ、残さず食べたという満足感に包まれながら、我々はマンションへの 道を戻りました。


・上の写真は、私が小さくなって怯えていたベッドです。(著者撮影)


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