・ SWAN LAKE・
2005, Japan Tour Report


このレポートは皆さまから寄せられたものです。公演日順ではなく、頂いた最新の
レポートが一番上になっています。

by なつむ


◇ゆうさん◇

 前回の公演から2年、こんなに早く再飛来してくれるとは夢にも思いませんでし た。公演決定を知ってから、どんなにワクワクしてこの日をまったことでしょう。 私は大阪・琵琶湖・神戸の3都市で観てきました。3公演とも、ザ・スワンはJ・ パイパー。J・ティラードは見られずに終わりました。

3月21日マチネ/大阪フェスティバルホール
ザ・スワン/ザ・ストレンジャー :ジェイソン・パイパー
王子 :首藤康之
女王 :オクサーナ・パンチェンコ
執事 :アラン・モーズリー
ガールフレンド :リー・ダニエルズ
幼年の王子 :サイモン・カレイスコス

 この日は大阪の最終公演でした。
 キャスト表で首藤王子と知り、ワクワク感が倍増。前回のザ・スワンが今度は王 子ですからね〜。どう演じてくれるか興味津々です。
 さあ、懐かしのオーボエがもの悲しく響き始めると、もう私は胸が詰まって く  る し い。いけない!落ち着かねば!と深呼吸している間に、幼年王子がガバ ッと起きあがりました。でかっ!2年前もS・カレイスコス君でした。まだ成長期 で背が伸びた?

 O・パンチェンコ女王は気品があって、とても綺麗な人でした。若くて母親には見えませんでしたが、ちょっと陰があるというか、根っからの火遊び好き(?)って感じはしませんでした。女王も人に言えぬ苦悩を抱えているのかなって。
 2回目のお手振り台で首藤王子の登場です。ちっさ!もしかして幼少王子より小 さい?(んなことないか)首藤さんの動きは少々遠慮気味で、大人しい王子で始ま りました。

 親子の葛藤の見せ場である第4場・王子の私室でのシーン。初めて「白鳥」を観 た時、このシーンに衝撃を受けたものです。がぜん前のめり体勢に…。んーなんか あっさりとしていました。私としては王子には今までの想いをぶつけるかのごとく 、もっとすがって欲しいし、女王の衝撃と拒否も強い方が好きです。王子が女王の 腰にしがみついてズルスルと引きずられるところなんか、勢いよくザーと引っ張っ て欲しいんだけど、ず、ず、ずる…で終わってしまって…。スピード感が欲しかっ たのに、ゆるゆるとしたシーンになっていました。なんか幕開きから全体に緩いん だなあ、動きが。

 バーから放り出された王子のソロ、さすがに美しい。王子の孤独感がじわじわと 伝わってきました。そう、じわじわなんです。静かに訴えている、そんな感じです 。

 いよいよ第2幕・公園シーンの始まり。J・パイパーのザ・スワンの登場です。彼 のザ・スワンはとてもワイルドでした。身体は大きくはないのですが、動きにキレ があって、手を口の前で合わせてくちばしを思わせるポーズがピシッっと決まりま す。私はこういうキレのいいダンスが好きです。シュッ、シュッっと威嚇の声(? )もよく聞こえて野生味満々でした。
 首藤王子はこのシーンから水を得た魚のごとく、がぜん活き活きとしてきました 。まるで魔法にかかったかのごとく、陶酔状態になって身体が自然に動いていくっ て感じです。それがまさにザ・スワンに惹かれていく王子そのものなので、素晴ら しい表現となっていました。

 ビッグスワン4人のシーンは、ほんと大きくて迫力がありました。とても印象に 残っています。  スワンたちが退場したあとは私も放心状態で、気が付くと王子が飛び跳ねながら 退場し、幕となっていました。パン撒きばあやとのやりとり、全く記憶にありませ ん(笑)。

 華やかな第3幕、姫君たちのキラキラ衣装はとても綺麗でしたが、個性がなくな ったようにも思います。今回一番個性的であったスペインの王女の衣装・スパッツ にブーツですが、どうもいけません(笑)。デザインそのものは悪くはないのです が、あれが似合う人はかなり限られるのではないか……と。

 妖しく危険な香りをプンプンさせたJ・パイパーのストレンジャーは、私が見た中 で最強の危険度でした(笑)。この残酷さが魅力となるストレンジャーゆえに、首 藤王子とのタンゴは絶品でした。タンゴに入るまでは、やはり王子の動きが大人し くて、ストレンジャーと駆け引きを感じることはなかったのですが、タンゴ以降、 王子の精神が混乱してくる様は上手かったと思います。
  一度退場した王子が、ネクタイほどいて再登場した時は「あ、キテるわ」と思いましたから。でもこの後のシーン、よく覚えていません。(どうなるか知っているのに)あっという間に終わって、呆然としてしまいました。だめだー、もっと落ち着いて見なくちゃ(笑)。

 4幕。真っ白い壁から放り込まれた王子。その瞬間から王子の痛々しさを感じま した。とにかく怯えています、首藤王子。全く余裕ありません。今にも崩れそうで す。たまりません。
 王子がベットに戻ったの白鳥たちのシーン。このシーンの照明と振り付け、たま らなく好きです。ぬらぬらとした水面のように頼りなく、でも重い。白昼夢の中に いるような王子の精神状態とぴったりです。目覚めた王子の錯乱振りはすざまじか ったです。床の上を激しくのたうち回っていました。

 ベットの上にザ・スワンが現れました。前回のツアーの皆さんの感想を読んで、 この時のザ・スワンが怪我をしていたと知ったのですが、舞台を観ていては気づき ませんでした。今回初めて、演技を見て感じました。(はっきりと)弱々しく立ち 上がったし、王子に気づいたザ・スワンが、自分の傷を隠そうとパッと身を丸める 動作も初めて理解できました。(遅いって!)
 ザ・スワンとスワン達の戦いはいつ見ても恐ろしいです。なんたってパイパース ワンはワイルド系ですから、戦闘も白熱しています。シュッという威嚇も双方激し いです。スワン全員がベットに上がって、ザ・スワンに向かって羽を動かす動作を するシーンは、何度見ても鳥肌がたちます。

 王子が死んでしまったと思って、叫ぶザ・スワン。雄々しくて、深い悲しみを感 じました。力、入っとるなーて。パイパーがとても大きく見えましたね。
 ザ・スワンが消えた後、王子はベットに戻って、ザ・スワンを探す動作を少しだ けして泣きながら座り込みました。白鳥達の退場後、何かを求めるように腕を伸ば して息絶えました。
 最後の最後に女王の登場。すぐに幕となってしまいますが、私はこの数秒のシー ンが好きです。女王の深い悲しみを知るからです。この人も王子を深く愛していた のは間違いないのだな、っと感じ女王に同情してしまいます。

 カーテンコールは皆さんニコニコで、1階客席を見る限りは、すぐに総立ちにな りました。

   私はこの公演で、首藤王子にノックアウトです。(笑)王子という立場故の悩み というのは、スコットが一番よく現していて、他の王子達はその表現はかなり薄い と思いました。首藤王子もロイヤル度は低く、真面目で、孤独で…自分の殻の中に 閉じこまっている少年のようでした。このナイーブさはちょっとベン・ライトとか ぶりました。でも孤独という点ではスコットに近いんですよね…。
たとえば最初のお手振りのシーンですが、2年前の王子では、不真面目に女の子に手を振ったり、退屈であくびをする王子がいましたが、首藤王子はちゃんと振らなくちゃ、と思いながら、ふーーーと自分の世界に気持ちが飛んでいってしまうような感じでした。

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3月24日マチネ/びわ湖ホール
ザ・スワン/ザ・ストレンジャー :ジェイソン・パイパー
王子 :クリストファー・マーニー
女王 :オクサーナ・パンチェンコ
執事 :アラン・モーズリー
ガールフレンド :ソフィア・ハードリー
幼年の王子 :サイモン・カレイスコス

 21日との違いは、王子とガールフレンドです。わたしはちょっとお茶目な動きを するハードリーのGFが好きでした。バレエ鑑賞の時、お菓子を食べているのを注意 されて、急いで噛み噛みしているのが可笑しくて!

 マーニー王子は王子サマにピッタリの容姿で、踊りもとても綺麗でした。首藤さ んとは、また違う少年っぽさを感じました。あまり悲愴感がなくて、死ぬにはまだ 余裕がある(笑)感じ。バーから放り出されて執事の罠だと知った時、王子はフッ と笑いました。自分を省みる余裕がまだあるなと…。この笑いがすごく印象に残っ ています。

 パイパーは相変わらずワイルドで、威嚇も凄みが(!)ありました。動きもよく 切れていて、ノッてるなあて思いました。

 びわ湖ホールなんで(笑)カーテンコールの盛り上がりが心配でしたが、拍手は すごかったし、スタンディングも半分はいて、地元としてはホッとしました。
 ここのロビーは琵琶湖側が一面ガラス張りなんですが、開演前はきれいな水色の 空に水色の湖面だったのに終演後ロビーに出ると、一転してとても暗い灰色の空と湖。舞台と重なってドラマチックでした。


◇Satomiさん◇

4月17日ソワレ
ザ・スワン/ザ・ストレンジャー・・・ジェイソン・パイパー
王子・・首藤康之
女王・・ニコラ・トラナ
執事・・アラン・アランモーズリー
ガールフレンド・・ソフィア・ハードリー
幼年の王子・・ギャブ・パーサンド

4月26日ソワレ
王子・・クリストファー・マーニー
(王子以外は4/17に同じ)

 3月以降のあまりの忙しさに、不調なまま劇場へ。席に着き、少しでも疲れをとろうと目を閉じてリラックスしていると、50代くらいでしょうか・・お隣のご夫婦が”ここって座席がひどいわね〜”と。訪れる度に思うのですが確かにそうなんですよね。席はやや右よりなので何とか視線をずらして大丈夫そうです。

 いよいよ幕があがります。不思議なもので、どんなに疲れていても舞台の幕が開けば疲れも何処かへいってしまいます。(しばらく寝た?せいもあります(笑))

 この日の王子は首藤さんです。スワンの時よりもはるかに期待大!でした。

 幼年の王子・ギャブくんは見る回数を重ねるほど、どんどん大人に見えてきます。ベッドからおりる際に一番上手でかがんでいるのは、コーディ・チョイです。王子が背中に乗った瞬間、これ以上いったらつぶれます、というくらいまで屈んで、苦しそうな、面白い表情をしています。彼はそれ以外の場面でも、よく面白い表情をしています。踊りも首の動かし方や、肩のひねり方がちょっと違って、目立ちますよね。

 首藤王子登場・・あれ?髪が短くなっている?それに、色が赤茶色に見える。第一印象は、気難しく繊細な感じの王子です。
 驚いたり、恥ずかしかったりすると、”グウ”にした手を口元に持っていきます。ガールフレンドが積極的に近寄ったりすると、”そんなに恥ずかしいの?”と思うほど身を引きます。このあたりまでは、まだまだ繊細でシャイな王子です。

 ニコラ女王の第一印象はあまり何も感じなかったのですが、士官候補生たちと踊る女王は、なんて優雅なんでしょう!

 この時初めて気づいたことがありました。この後の暗転での踊りは、白い手袋と黒い衣装で、視覚的に私の好きな場面ひとつなのですが、女王と踊っている彼らは手袋を肩章に挟んでいるんですね・・・・。今まで何回か見たのに、今頃気づくなんて。舞台装置や衣装には知らず知らず気をとられる私なのに・・。今まではきっと、踊りや表情や、違うところに目がいってたんでしょうね。確かに、今回の日本ツアーは前回に比べ、自分がとても客観的な感じなので、そのせいでしょうか?

 さて、王子の寝室。(随分とばしました・・)傷心している王子。女王の愛を求めています。繊細さの奥から、徐々に激しさが出てきます。”あぁ、王子って本当に孤独なのね”と、初めてこのシーンを緊張してみました。切なかった・・・。

 バーのシーンはいつも通り、楽しさと忙しさ満載。上手のテーブルに座っているスクールボーイが、ファンダンサーたちを見ているとライラックのかつらの男性が、”見ちゃダメよ”というように、隣からスクールボーイの目を手でふさいでいます。(4/26にはやっていませんでした)そうして、いつものようにあっという間に、バーから追い出されてしまう王子。

 2幕、スワンと王子の出会いです。このスワンと王子は、踊りの相性が良さそうに見えます。王子も楽しそうだし、スワンも笑顔が多いような。初めて王子がスワンに触れるときですら、拒んでいるのに表情は柔らかなスワン。この日は他の白鳥たちも活き活きして見えます。

 2幕が終わり、休憩中・・・・・隣のご夫婦が白鳥について語り合っています。 ”○○○(どこか外国の地名ですが、聞き取れませんでした)で見た、白鳥そのものね””白鳥ってホントにあういう風に威嚇したりするもんな””白鳥を男性が踊るって、あってるのかもね””着地したり、飛び立ったりする時、本当にああやって羽ばたくもんね”と、こんな感じで休憩の間中お話しされてました。子供のころ、瓢湖で初めて白鳥を見てびっくりして、近寄る事が出来なかった記憶がよみがえりました。

 舞踏会。王子は退屈そうです。気のない感じで、”しょうがなくここにいます”感が漂っています。

 ストレンジャー登場!(やはり、ガムはかんでいません)ダンスの途中、ストレンジャーと王子の視線が初めて合うシーン。今までは、一瞬ドキッとするくらいでしたが、このストレンジャーと王子は違いました。
 私の中では、舞台上の空気が止まりました。ものすごく張りつめた感じで、”しーん”って音がしそうなくらいの静けさです。しかも、今まで見たより何倍も長い時間に感じました。やはり、この二人には同調する何かがあるように感じます。

 3幕はほとんど、王子に視線を奪われてしまった私。このシーンは色々なところに目がいっているので、集中的に誰か一人を見ていることはあまりなかったのですが、この日ばかりは王子にどうしても目がいきます。
 こんなところにいて、こんなにストレンジャーを見ながら、そのうち、うちひしがれて、舞台袖に行くのね〜って。舞台に戻ってきた王子は、なにやら様子が変。また、激しい王子がでてきました。それが、悲劇を招くんですね。

4幕の白鳥たち。
今回見た中で、一番活き活きしていたんじゃないでしょうか。白鳥たちの仲間意識が強いというか、まとまりがあるというのでしょうか?それ故、怖さも増します。 傷ついたスワンは王子を求めています。(そのように見えます)王子を助けたり、救ってくれるスワンではなく、この日のスワンは明らかに王子を探して求めています。それ故に、やはり王子は繊細で孤独でありながら、とても強いひとなのだと実感。私にはやはり、運命を共にしている同士に見える二人です。この二人なら、絶対に他の世界で、共に生きていけるだろうと思わずにいられませんでした。(ただ単に ”結ばれた” では終わらない関係に感じられました)

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 4/26は、私、初のオケ付きです。会場に入った瞬間から、楽器の音が鳴り響き、懐かしい感じがします。(学生時代、ちょっと吹奏楽をやっていたので)お客さんの入りも良いようでした。指揮者登場でわくわく!です。

 音楽が始まり、王子の寝室からシーンが進んでいきます。しばらくして、気づきました。踊りがクリアに見えます、というか、踊りにとても集中して視線が行きます。空気が流れるようです。音は空気の振動、やはり生って違うのだと、ここで 実感した次第。

 特に3幕の舞踏会のシーン。首藤王子を見て以来、ここは王子を追ってしまいます。ガールフレンドがいることに気づくや、執事のところに行って”どうして彼女がいるんだ!追い出してくれ”と言っているようです。ホントにだだっ子のように嫌がっていますね。
 とても淡々としている執事。今回、執事はとてもインパクトが薄くスティーブ・カーカムの姿を思い出してしまった私です。(アラン・モーズリーごめんなさい)

 女王のニコラ・トラナは、とても優雅。王女たちと同じ振りで踊っていますが、 腕がスッと上がるし、同じ振りと思えないほど、踊りが違います。このシーンは女王の優雅な踊り(特に腕)に釘付けでした。踊り終わった後の余韻もあり、音楽の大切さをまたしても実感。

 ジェイソンストレンジャーは、いろんなところでいろんな人を、真っ正面から誘惑しています。皆、なんだか分からない魅力に惹かれるというよりも、その性的魅力にやられている感じです。この日のジェイソンはホントにすごい勢いで、投げキスをしていましたね。

 ただ、この日は、ジェイソンをはじめ、白鳥たちが疲れて見えました。いつも、オーバーなくらいおかしなコーディー・チョイも、表情はまだしも踊りはなんとかやってます、ってかんじでした。

 4幕、白鳥たちが王子のベッドの上に群がっているシーン。あの場面は以前から、グリーンのライトでしたか?全然記憶がなく、この日になって”あれ?”と思ったのです。ライトなんて一番気づくだろ〜〜と自分につっこみ入れました。白鳥たちに集中しすぎてたのか・・・・・?

 スコットに似ているという、ニールは是非とも見たかったのですが結局、当日券で見たりする時間的余裕も、体力もなく、ホセ&ニールは見られませんでした。残念。

 私は前回の日本ツアーで初めてこの『SWAN LAKE』を見た後、耳慣れたこの楽曲が、”こんなに素晴らしいのか”と驚き、CDを購入したのです。DVDを観て、観てみたい!と、今回一緒に観た友人も、帰りにCDを買っていました。素晴らしい音楽が、素晴らしいダンスを生み、素晴らしいダンスが、楽曲の良さを再認識させる。前回ほど熱中はしませんでしたが、やはりすごい力を持った演目なのだと感じました。


◇草加さん◇

2005年5月3日マチネ 神戸国際会館
The Swan/The Stranger ジェイソン・パイパー
The Prince クリストファー・マーニー
The Queen ニコラ・トラナ
The Private Secretary アラン・モーズリー
The Girlfriend ソフィア・ハードリー
The Young Prince  ?

 今年、私はアダムの「危険な関係」に全神経を傾けていた為にSwanはパスしようかと思っていたのですが、最後の最後になって、友達が神戸国際会館に行く・・・と聞いてちょっと羨ましくなり、行くことにしました。神戸国際会館というホール自体も初体験。新しくて美しいのですが、天井が高い、ステージが広いのが吉と出るか凶と出るか・・・です。

 The Swan/The StrangerはJason。実はホセでもジェイソンでもどっちでも受け入れオッケーな体勢だったので、飛び上がるほど嬉しかったというわけではありませんが、噂のジェイソン楽しみ。
 キャスト表の幼年王子?と書いたのは、英語はGav Persandなのにカタカナはデイヴィッド・リースとありました。「Gav Persandと書いて、デイヴィッド・リース」と読むなーんてことはありえませんし、私の席からではほとんど顔は分からない、またギャヴ君ファンの方には申し訳ないですが、私はどちらであったとしても分からない・・・。でも、カーテンコールの時に、大人の王子より幼年の方が大きいぞ!と思ったので、皆さんご判断下さい。

 2年ぶりに見たわけですけれど、ガールフレンドがエスカレートしているように思いましたが、いかがでしょうか?ここまで下品になる必要があるか?ちょっとした疑問です。クリス王子、なかなかシャイで、気が弱い感じです。どちらかという と引きこもり?最初のうちは踊っていてもあまり踊っているようには見えなかったので、Swank Barから放り出された時のソロで踊った時には「何だ!踊れるじゃん」と思いました。(ゴメンナサイ)

 さて、ジェイソン・スワンです。しなやかで柔らかい体なのに、筋肉は鋼のようにシャープです。一つ一つが非常に正確で、決めるときは気持ちがいいほど決まる!カッコイイ。動き全体は波のようになめらかです。ただ、これは私だけかもしれ ませんが、もっと飛ぶと勝手に思っていたので、ジャンプは控えめのような気がしました。動きに無駄がない、一つ一つ美しく決めてくれます。

 ステージが広いせいか、swan達の躍りも1人1人の個性が光るように思いました。でも、私は偉そうなことは言えないのは、例えばアダムだったりするとアダムだけをみてしまうので、これまでswan達にまで目を向ける余裕が無かったのかもし れません。

 舞踏会の衣装を楽しみにしていました、ここまで全部黒で統一されているとは思いませんでした。もちろん、素材、デザインなどはとても洗練されたものでしょうけれど、遠目にみると、それほど個性が際だちません。ガールフレンドのソフィア が小さいので、どこにいるのかちょっと分かりにくい。イタリアのプリンセスもお下品系?ハンガリーのプリンセスとのやりとり、ステージが広いせいか「あ、そんなところでやってたの?」みたいに思って見逃した感がありましたが、やりとり をしている二人にもそれほど注目させる力はなかったかもと思うほどあっさり。

 ジェイソン・ストレンジャー・・・彼は小柄なので、あの長い上着はちょっと損をする。プリンセス達(女王様も)と踊っている時、なーんとなくセクシーさに欠けるというか、お仕事風というか。決められた事はちゃんとやりましょう、はい、やりました、的に私には見えましたが、相手がプリンスになった途端、いい!すごくいい!緊張が走るシーンになっていました。

 最後のスワンの攻撃場面は今まで見た中で一番よかったような気がします。何というかswan軍団のフォーメーションが非常に美しい。一人一人のダンスもパワーアップしているように感じました。若さみなぎるswan軍団、美しさと恐ろしさが表裏 一体となっていました。
 最後にジェイソンが幼年王子を抱き上げるところ、ジェイソン・・・見えない、幼年王子デカイ。

 楽しみしていたのは生オケですが・・・「あれ?」と思ったところが何カ所か。出とちりというほどではないかもしれないけれど、「?」な感じが残りました。編曲した・・・?にしてもおかしい。
 また、ホールの空間のせいなのか、生オケの良さがそれほど感じられなかったのが残念です。前から24列目でしたが、私の列も含め空席が目立ちました。今日で神戸もおしまい。皆さまお疲れさまでした〜!


◇なおこさん◇

19 Apr 2005, New Adventures "Swan Lake" @Bunkamura 2回目
ザ・スワン/ザ・ストレンジャー : ホセ・ティラード
王子 : ニール・ウエストモーランド
女王 : ヘザー・レジス・ダンカン
執事 : アラン・モーズリー
ガールフレンド : リー・ダニエルズ
幼年の王子 : ギャブ・パーサンド

 本日は私のSwan Lake観劇史上初のオケ付きです!!!前回は2列めの端の方だったこともあり、舞台全体に目がいかなくて、細かいところばかりが目に付いてしまいました。
 本日は2階席とかなり後方でしたが、返って舞台全体を自然に観ることが出来、フォーメーション、照明、舞台装置、すべてが融合しているほんとにすばらしい作品であることを改めて実感。今日の舞台は出演者すべての息が良く合っていて、最高の舞台だったと思います!

私のお初シリーズでは、王子ニール・ウエストモーランド。いいです〜!ロンドン公演以来ホセ&ニーるのコンビが多いと聞いていましたが、今日のホセは先日よりもずっと踊りやすそうで、二人のラブラブ感が良かったです。ニールの王子がDVD のスコット・アンブラー以来かなり好きになりました。
 全般的に大人しい印象ですが、徐々に感情が高まっていく感があるし、踊りもいいし、何より容姿がいいですね!(結局ただの面食い?)

 ところで、今回の公演で観た王子は二人とも、3幕の最後に女王からストレンジャーを引き離した後、ぶちゅーってストレンジャーにキスするんですね〜二人ともほんとに王子は白鳥を(性的に)愛しちゃってるという解釈なのでしょうか?それとも演出が変わったのかな?キスがないと、白鳥は単に憧れの象徴という感じに仕上がる気がします。どちらも好みです。

 女王のヘザー・レジス・ダンカンは踊りの技術面ではバリバリバレリーナではないけれど、よく踊れていたし、何より女王のおばちゃんのいやらしい色気が良く出ていて良かったです。これも私が女王に求める重要なファクターなので、かなり合格!

 今日はSWANたちも良かったです。ビッグ・スワンの中にいて多分イタリアのエスコートの人。。(多分アシュレイ・ベインだと思います) 踊りにキレがあって、どこにいても目に付きました。
 ところで、本日の幼年の王子役のギャブ・パーサンドの名前がSWANの中にはなかったのですが、出てましたよね?? 一人「シャー、シャー」言ってて、SWANたちの闘争心を掻き立てていたような。。気がしたのですが。。?
 確かに最後のカーテンコールではSWANメイクはしてなくて、「あわてて落としたのかな?」とか思ったのです。。。

 肝心のオケ!時々音がよれったり、出なかったりするのもご愛嬌。生の音楽の響きってやっぱり違います。お金出すから、絶対このステージは生オケでやってほしいです!

22 Apr 2005, New Adventures "Swan Lake" @Bunkamura 3回目

ザ・スワン/ザ・ストレンジャー : ジェイソン・パイパー
王子 : 首藤 康之
執事 : アラン・モーズリー
ガールフレンド : ソフィア・ハードリー
幼年の王子 : ギャブ・パーサンド

 ついにジェイソンに当ったばかりでなく、なんと首藤王子!なかなか興味深い舞台になりそう。。と期待を膨らます。

 首藤王子。正直言って、一昨年の彼のSwan役は評価できなくて、どんなものなんだろうと不安でしたが、とても良かったです。王子の衣装がお似合い。私には線が細い印象なので、王子役のイメージに合います。踊りも、バレエのテクニックがにじみ出る(?)踊りで、特に1幕の王子の部屋での女王とパドドゥは王子の心の葛藤を最も良く表現出来ていると思いました。
 2幕の白鳥とのパドドゥの踊りもきれいに決まっていました。表情も豊か。白鳥と出会った喜びや最後の狂気と絶望の表情も良かったです。 

 さて、待ちに待ったジェイソン・スワン。もう最高でした!この日は短めのモヒカン??トサカ?以外はほとんど剃ってました。。かなり大胆です。
 ジェイソンの体は筋肉以外の無駄なものが一切なく、とても華奢。 その体が鞭のようにしなるその踊りはとても力強く、それでいて指先、足先まできれい。あと、片足でのバランスがとても良くて、2幕で良くでてくるアラベスクで、ぐらつくことがまったくありませんでした。

 そして、ストレンジャー役の時はフェロモンバリバリの悪っぷり。あちこちにアドリブが入っていて、女性ダンサーへの色目の飛ばし方(?)がものすごいんです。王女たちにはもれなくキスしたように思いますし、3回転してテーブルにジャン プ座りする時には回りに投げキスを飛ばしてから、回転を始める余裕ぶり。
 スペインが近くに来てポーズを決めた時にはそのウェストに手を差し伸べたり、投げキスするし。。手拍子合わせるし。。3幕最後の男女の踊り合い?のところでも、女王が両手を「ぱっぱっ」と振るのに自分も一緒に合わせて同じ動きをしてみたり。。女性ダンサーもみんな彼のペースに引き込まれて、いつも以上に色気を出していたように思いました。
 ジェイソンはインタビューで「ストレンジャーは過去の嫌な自分みたいだ」って言ってましたが、要は。。プレイ・ボーイだったってことでしょうか??? 確かにとても動きが自然でした。。逆に王子に対しては挑発的な態度といたぶり方がす ごい。。 

 一転して4幕。ジェイソン・スワン、傷ついて弱った感が良く出ている〜! そんな中でも必死に王子を守ろうとする。。。引き裂かれ、力尽きてベッドからスワンたちの中へ倒れこむところの表情が印象的でした。 

すっかり彼のファンになった私です!(あ、アダムがもちろん不動の首位です)

26 Apr 2005, New Adventures "Swan Lake" @Bunkamura 4回目

ザ・スワン/ザ・ストレンジャー : ジェイソン・パイパー
王子 : クリストファー・マーニー
女王 : ニコラ・トラナ
執事 : アラン・モーズリー
ガールフレンド : ソフィア・ハードリー
幼年の王子 : ギャブ・パーサンド

 東京千秋楽前日。私にとっては千秋楽。もう一度ジェイソンを観たいけど、どっちだ〜!!と祈るような気持ちでキャスティング表をみると、ジェイソン&クリスだ! 幸せ〜♪♪♪♪

 しかし、2幕のパドドゥ途中であれ?ジェイソン調子悪い?との思いがよぎりました。決めるところはきちんと決まっているのだけど、所々力が抜けたようになるのが目に付くのです。
 でもソロはきれいに決まった!ジェイソンの踊りは柔軟性も跳躍の高さもないかもしれないけど、一切の無駄のない筋肉による俊敏さ、手足の先までの隙のなさ、そしてバランスの良さによる安定感。。。静止したポーズがとても印象にのこりま す。
 大柄好きの私には珍しくその踊りにほれ込んでしまいました。最後のコーダ。 舞台奥から王子と二人で駆け上がってきてジャンプする前にちらっと王子を振り返た仕草に胸がきゅっとなった。スワンの愛を感じたのです。。きっちり最後のリフトも回転決まって感激。。2幕が終わった後は王子のように夢見る瞳になってしまった。。

 さて、お楽しみの3幕ストレンジャー。ん〜やっぱり金曜よりオーラがない。。気がする。。。なんだか辛そうに見える。
 でも、アドリブの投げキスやスペインの手拍子に合わせるのは忘れてない。 あれ〜??と思ったのはその後。立ち上がって、スペインの踊りの後ろにいる各国の王女たちに愛想を振りまきながらイタリアへ移動するシーン。ジェイソンは立ち 上がってすぐに舞台袖に入ってしまったのです!で、しばらく出てこなくて、ぎりぎりのタイミングで奥から登場。辛うじてイタリアと絡み始めました。。どうしたんでしょう???
 チャルダッシュはそつなくこなしていましたが、次に女王が手袋をとってパドドゥを始める時。。。ここは目線が大事なシーンなのに、ジェイソンは息を整えるようにうつむいたまま王子を手で制止するような動きをしました。すぐに女王の方へ 駆け寄ってなんとかパドドゥ開始。。。段々動きが良くなって、後はすっかり元通りでした。タンゴは良かったです〜
 王子を弄ぶような視線。。スワンを思わせる身のこなし。。そして冷酷に突き放す。。。あ〜王子が悶えるのもわかっちゃうような。。そう言えば、最後に王子が女王とストレンジャーを引き離すところで、クリス王子はちゅーしないでただ倒れるように抱きついていってました。

 第4幕のジェイソンスワン。。好きですね〜 ベッドの下から現れた後、手負いな感じがほんとに良く出ているし、そっと王子と寄り添おうとするところが、愛があっていいのです〜。
 SWANたちと戦うシーンではあまりに勢い良く「シャー」したので、一部観客から笑いが漏れたような。。こらっ!せっかくいいところなのに!
 慟哭の表情、徐々に力尽きていく演技。。何度観ても毎回心打たれます。。。。欲を言うなら、最後の幕をもうちょっと遅らせて欲しい。。。ちび王子と安らかに天国に旅立つ表情がもっと観たいのよっ! 

 すみません。はっきり言ってジェイソンしか観てませんでした。。クリス王子は。。え〜っとほとんど印象にないです。。ごめんなさい。首藤さんを観た後ではかなり印象が薄くなってしまった感が。。

 カーテンコールで最初に主役の二人が登場し、舞台中央から前に歩み始めた時、ジェイソンはクリスの肩に手をかけて、前で観客に手を上げた後クリスの頬にキスしてました!二人のコンビは最後なのかしら?

 ニコラ・トラナ以下は先週半ばからずっと出っ放し。。同日マチネとソワレもこなして何連投???。。さぞかしお疲れのことでしょう。 あと1日怪我なく無事に終わりますように。


◇むりゃさん◇

4月17日(日)マチネ
ザ・スワン/ザ・ストレンジャー:ホセ・ティラード
王子 : クリストファー・マーニー
女王 : キャンディス・エヴァンス(途中よりニコラ・トラナ)
執事 : アラン・モーズリー
ガールフレンド :ソフィア・ハードリー
幼年の王子 : ギャブ・パーサンド

 序奏、幼年王子の夢に現れるホセSwan。Bunkamuraインタビューにて「公園で出会う前からThe Swanは王子を知っていたんじゃないか」と言っていた通り、王子を見守っているように優しく見えます。動きの激しいパイパーSwanとはかなり違っています。

 1幕、彫像が出てくる時では、前に見た時はホセの足首まで見えていましたが、今日は足がちょっと見えるくらいでした。布を大きくしたのか、被せ方を工夫したのでしょうか?しかし布をちょっと引きずり気味だったために持ってきた人が踏みそうになってました。危険ですッ。

 寝室での王子と女王のパ・ド・ドゥ。「あれ?何か女王が老けてない?」と思ったら1幕途中からニコラ・トラナに変わったのだと休憩時間にアナウンスが入りました。初めて拝見するトラナの女王、早く知ってたらもっと注目しましたのに。パンフの写真よりお若く見えました。

 女王が入れ変わったのはここからなのか、それともその前のロイヤル・ボックスだったのでしょうか。確かに、ロイヤルボックスでGFが差し出したお菓子を女王が上から押さえてバッグに仕舞わせうとする仕草が無かったですけど。そこでは拍手の代わり(拍手を促す?)にボックスの手すりを叩いただけ。でもこれは他のキャストでもありえることですし。

 Barのオーナー、今日はノリノリです。動きが面白過ぎッ(笑)。誰だったのでしょう?このシーンはほとんどのキャストがヅラに髭にサングラスで私には見分けがつきません。よっぽど前の席でないとわからないです。(それでも目が節穴な私にわかったかどうか;汗)

 怪我の為に大阪は欠場し、名古屋から復帰したホセ。今日はかなりいい感じでした。はるばる大阪から観に来た甲斐があったというものです(嬉涙)。ぐらつく所もありましたけど、それは怪我してなくってもある程度のもの。気になりません。

 3幕。ホセStranger、手すりの上をスタスタと歩いて登場。やはりダンサーの皆さんはバランス感覚が優れているからこんなのも余裕で歩けるのでしょうね。でかいから「来たーッ」って感じがします(笑)
 パイパーが色んな事をするやんちゃなStrangerだったのに対し、ホセは裏の世界の住人っぽく見えました。その手のプロっぽく余計なことは何もしません(苦笑)。辛うじてイタリアの王女の投げキスに応える程度。小ネタ好きの私にはちょっと寂しいです。
 イタリアの王女がナポリの踊りでStrangerの前に手を伸ばした時にも反応はほとんど無し。パイパーはここでイタリアの手を取りキスをしようとして、キスする直前にイタリアの手をエスコートに取り上げられていましたが。この時のエスコートのしてやったりと言う表情もいいですよね。ホセがここで何もしないとそのエスコートの表情も空回りで残念です。

 ルーマニアの王女は小柄なので、まだまだ子供なのに大人ぶってるちょっと生意気な少女風に見えました。エスコートが彼女を持て余してる感じが面白いですね。ロシアの踊りでStrangerが王女達を次々とリフトしていった後、床に座り込んだルーマニアの頭の上でStrangerが足をまわす所。ルーマニアが小柄だから、背の高いホセがやるとすごい余裕でした(笑)。

 この日、ハンガリーの王女が飲み干したタンブラーをテーブルに叩きつけた時に勢い余ってタンブラーがテーブルから転げ落ちてしまいました。"女王様"風なハンガリーが拾うのは変だし、エスコートは向こうの方に行ってるので誰が拾うんだろうと思っていたら、すっとホセStrangerが拾い上げました。そしてテーブルに戻す前に軽くタンブラーに口付け。いい演出です。

 溌剌としていて魅力的なスペインの王女。キャラ的には今回の王女はかなり好きです。しかしマタドール風の衣装は(太っていないのに)太って見えるのがちょっと不憫ですね(涙)

 DVDでは浮気性なイタリアの王女を引き止めるのに必死なエスコートでしたが、一応付き合っているというのはわかりました。今回の(前回のツアーでも)王女とエスコートは親の決めた間柄のように見えました。エスコートは王女にお熱だけど、王女は彼にうんざりしてるという感じ。
 そのイタリアのナポリの踊りでイタリアの王女を男性ダンサー達が担ぎ上げる時に担ぎ上げそこなった人がいて非常に怖かったです。その後、ナポリの踊りは最後までガタガタ(汗)

 女王と踊るStrangerを見つめるクリス王子の目つきが怖いっす。凄過ぎです。じと目に力が入ってますから。
 そしてその後の王子とStrangerのデュエット。王子がStrangerに肩を組むようにして身を預け、Strangerが足を使って王子を軽くリフト(?)する所。(こんな説明でわかりますか?)ホセStrangerは足で持ち上げるだけでなくクリス王子を軽く跳ね上げてました。すごいですッ。体格差を上手く利用した技ですね。

 今回初めてテーブル越えで足を添えるホセStrangerを見る事ができました。前に名古屋でホセを見た時は全部足を添えずにやってましたから。(その時、女王は高々とテーブルを越えていたのでもう足を添えても大丈夫じゃない〜、とヤキモキしてました。)やはり背が高いと見栄えがしますね。

 この後、女王とStrangerが乾杯する時にグラスの効果音が入りますが、この時はかなり遅れて入ってました。こんなにずれてるなら入れない方がマシじゃないかと。もう飲み終わりますって(汗)。何だかこのマチネはハプニングが多いです。

 4幕のホセはとても良かったです。弱りきってるのに、息も絶え絶えになりながらも必死に王子を守ろうとする姿に胸が締め付けられました。終わりが近づくにつれ涙腺がじわじわと弛んできます。

 The Swanが消えてしまった後、王子はベッドの上で腕を伸ばして死にます。死の直前、クリス王子が笑ったように私には見えました。目の錯覚だったのかもしれませんけれどもあの時、王子の目にはThe Swanが映っていたのだと思いました。 喪失感からどうしようもなく腕を伸ばしていたのではなく、王子にはThe Swanの姿が見えていて彼のもとに行こうと腕を差し伸べながら死んだのだと。そう思った瞬間、涙腺を押さえきれなくなってしまいました。(この調子であと何回泣かされるのやら;苦笑)

 今回のツアーも結構な回数を通っているのですけれど、観に行く度に違った印象を受け(キャストが同じでも)新鮮な感動を味わえます。本当にすごい作品ですね。


◇なおこさん◇

4月8日(金)ソワレ
ザ・スワン/ザ・ストレンジャー : ホセ・ティラード
王子 : クリストファー・マーニー
女王 : ニコラ・トラナ
執事 : ピーター・ファーネス
ガールフレンド : リー・ダニエルズ
幼年の王子 : サイモン・カレイスコス

 なかなか予定が合わず、今頃初鑑賞となってしまいました。久しぶりのSwan Lake。前奏曲が流れ始めるともうわくわくです。

 幕が上がってしばらくして窓の外に現れるThe Swan。顔がちょうど枠にあたっていて、腕の動きしかわかりませんでしたが、随分きっぱり、はっきりした動きです。大きさとしてはアダム・クーパーと同じぐらい?後の像の除幕式で全身がわか るわけでしたが、うむむ。。白く塗ってるはずなのに、なんだか美しく感じられない。。。

 そして幼年の王子から大人の王子へ変わる時。。。噂通り(笑)ほんとに違いがなくてわかりませんでしたっ!知ってるからいいんだけど。
 お隣の席の方は最後のカーテンコールの時に「王子って二人いたのね〜」っ て言ってましたよ!本日の大人の王子役のクリストファー・マーニーはあまりに小柄。。。幼年の王子役はだいたい小柄なswanさんがやるものなのでしょうが、王子役を考慮してもうちょっとなんとかしてほしい。。。!

 女王のニコラ・トラナ、いいです〜!やっぱり女王役はしっかりとクラッシックを踊ってきた人にやって欲しい役柄です。踊りの優雅さが違います!
 一方、ガールフレンドの方はちょっと役作りが中途半端な感じがしました。ダンスもいまひとつな感じが。お笑いのところはやけに大げさなんだけど。。   さて、すでに皆さんご指摘ですが、劇中バレエはセットが少し変わっていて、ロイヤルボックスが見やすくなってました。携帯電話など演出もちょっと変化あり。 ロイヤルボックスの幕?は今いちかな〜。空席のままの方がいいと思いました〜木こりが踊りも演技も下手すぎと思ってしまったのは私だけかしら??? 

 Swankバーも演出や踊りに変更がありました。ちょっとまとまりない感じに見えたのですが。。。公演プログラムにこのシーンの登場人物解説があったのがおもろしかったです。
 追い出された王子のソロ。良かったです〜。 踊りがしなやか。女王とのパ・ド・ドゥではちょっとわからなかったな〜

 さて、いよいよThe Swan登場!ホセ・ティラード。。。とっても細いのに下腹がぽっこりしているような〜。。そしてかなり汗っかき。。。そんな外見の好みばかり言っててはいけませんね。肝心の踊り。えぇと、滞空時間の長いジャンプ、きれい伸びた手先や足先はさすがという感じ。ソロの踊りは舞台が狭く感じられる大きな動き。
 一方、王子のクリスもがんばっていい踊りをしているのですが、二人の身長差によるバランスの悪さがどうにも。。。他の白鳥さんたち。。う〜ん、全般的にダンスの質が随分落ちているような。。みんなお疲れなのかしら? 動きに切れのない方が多く感じました。

 第二幕の見所は王女たちの新しい衣装。全員黒。。しかもドレスではなくパンツが多いのにちょっと驚きました。。スパンコールはとても素敵に輝いてしたが。。特にスペインがマタドールのようにパンツになって、振り付けもそれに合わせるように変わっていたのがかなり違和感。。。
 さて、ティラードのTheStranger、身長があるし見栄えがしますね〜。お顔の雰囲気は若い頃のトラボルタに似ている気がします。
 3回転テーブル乗りはきれいに決まりました♪最後の見せ場、女王とのテーブル越え。一発目のテーブルが前に出すぎて踏み切れず、見送り。その後3つは無難にこなしました。テーブル越えって4回だっけ?
 最後のピストルの音の大きさにびっくり。1発になっててよかった。。

第三幕。。今日はこれが一番良かったように感じました。ティラードの傷を負いながらも王子といるために必死でSwanたちの攻撃に立ち向かうSwan。。。慟哭のところではかなりぐっと来ました。

。。ということで、好き嫌いがかなりはっきりした舞台でした。演出の変更などでは違和感はどうしてもありますが、こんな風に変化していくのを見ていけるって、作品が愛されて長生きしているからこそですよね。うれしいことです。
 さらに欲を言うと、バレエ・カンパニーがこの作品を上演するようになるといいな〜すっごく観てみたいです。

 後2回オケ付きの日に行く予定です!オケ付きは初めてなので、楽しみです!そして、一度はジェイソン・パイパーに当たりますように〜!


◇そらさん◇

3月6日(日)マチネー
ザ・スワン/ザ・ストレンジャー:ジェイソン・パイパー
王子: 首藤 康之
女王: オクサーナ・パンチェンコ
執事:アラン・モーズリー
ガールフレンド:ソフィア・ハードリー
幼年王子:ギャブ・パーサンド

 ジェイソンは写真よりもかなりいい男でした。思ったより身体は大きくなく、筋肉質なのに細い!何に惹かれたのかわかりませんが(笑)すごくかっこよかったです。すました表情も良いですが、含み笑いをした時には王子をあざ笑っているかのようでドキドキしました。インパクトは少し弱いかな?
 プロローグで、ザ・スワンが窓辺で羽ばたいている時、腕(羽根)がウェーブしていました。それって鳥じゃなくない?この動きに少し冷めてしまったのは私だけでしょうか?あのシーンが極めて重要な事がわかりました。
 ダンスはクラシックベース希望の私の心配?を吹き飛ばしてくれたので◎としておきます。彼には彼の良さがありました。

 ギャブ王子は白鳥のぬいぐるみの首を握り締めていました。あぁ、そこはノきゃ〜やめて!も、もげるノ。なではしませんが、それでも白鳥を放さない感じがかわいく、観ていて楽しいです。悪たれ王子を好演していました。
 余談ですが、DVDで王子が朝起きる時、向かって左を向いてお布団に入っていた白鳥のぬいぐるみが、アップになると右を向いていました。(ここでも編集していたのねと再近気がつきました。遅い?)

 王子が召使の背中を渡る時、最後の召使が重いよ〜とアピールしていました。もっと大げさでもいいかな?最後は王子を落とさないように潰れてみるとか、なんて勝手に思っていました。身支度の際のスプレー、ホントに出ていたんですね。やたらと大きいスプレー缶でした。ギャブ王子がワゴンに乗って女王の前に飛び出してしまうところでは、台が止まるのが急すぎて?王子がポーンと飛んでいきました。ちょっとびっくりしましたが、オーバーなくらいでちょうど良かったです。
 女王はオードリー・ヘップバーン似のきれいな人ですね。女王の気高さからくるツンケンとした感じが弱かった気がしました。女王というよりまだ王女という感じ。王子をあしらう様も、少し淡白だったようなノ。執事は写真では悪人顔でしたが(し、失礼)、実際は男前でニヒルな笑みが似合っていました。

 さて2幕、ジェイソン白鳥はノ野性的過ぎ!!もう、本物の鳥です。または怪我をしている時に脇を通っただけで威嚇してくる動物のような激しさといえるでしょう。
 白鳥の群れが王子に向かってポーズに入る時、ジェイソン白鳥がなぜかニヤッとしたので、新たなストーリーの誕生?なんてドキドキしてみましたが、単に顔が緩んだだけ?いつもなのでしょうか?身体は「人体の不思議展」の生きた標本でした。腹筋ノたての線がすでに線ではなく、彫刻刀で彫ったように影ができていました。鮮明に現れる筋肉美をお持ちです。

 首藤さんは相変わらずシャープな動きで、ジャンプやアレグロなシーンでは、2幕最後ジェイソンよりキレがあったぐらいでした。(ジェイソン終盤で疲れていたのかもですが。)
 ダンスのメインがThe Swanなら、ストーリーのメインは王子なので人間的に弱いキャラクターを演じつつ、ある意味個性の強い王子でストーリーを引っ張っていく感じが出ていました。(異様なくらい畏縮しているのでかえって目立つ)もう少し大きかったらスワン役でもっと惹かれたかなと思いました。
 感情の変化も表情や動作でよく表現していて、最後は何か得たかのように目をランランと輝かせて飛び回っていました。白鳥達は元気で迫力があり、立ち位置がきれいにまとまっていました。

 ジェイソンストレンジャーは、ユッキーさんのロンドンレビューでは(楽しませて頂きありがとうございます!)ガムなしとのことで私も少々がっかりしていました。しかーし!今日はガムを噛んでいました。
 アダムのように悪びれたガムの噛み方ではないので「ワル」感はあまりなく、クチャクチャというよりモグモグしていました。ジェイソンの笑った時の目元が優しいのでイチゴ味でも食べているような甘い感じがしました。(意味わからない)
 それでもあの格好であの場所に現れてしまう姿が良く似合っていました。テーブル業は全て成功。各国女王たちとのダンスの始まりは、やけに距離が近かった感じでした。もう、顔がぶつかっていたくらい。踊りに一生懸命で?表情はあまりなかったかな?(記憶にないノ。)

 女王が一度退席して、エスコートとなにやら楽しんでくるところでは、エスコートが乱れた服を直しながら戻ってきました。ここでも女王の演技が弱く、エスコートが着替えに間に合わなかったダンサーのように見えてしまう危険がノ。

 GFは、「礼儀は知らないが悪気もなく、はつらつとしたクセのないキャラ」のように私の目には映りました。舞踏会では、女王と王子の両方を気にしている気遣い屋さんに見えてきて、生前(笑)の屈託のない笑顔が印象的だっただけに、亡くなった時には軽いショックを覚えました。
 執事の発砲シーンでは、火薬多すぎ!?音はあんなに大きかったかしら?客席が飛んでしまいました。(GFが死んでもショックが軽かった訳。)執事の周りはモクモクと結構な煙が帯びていました。驚いている間にGFが果てており、ざわざわしているうちに幕が下りてゆきましたノ。ダンサー達も驚いたのでは?動揺しても驚いても、人一人死んでるので(しかも宮廷で)全然問題ないですが。

 白鳥の後、男性ダンサーは舞踏会で服を着てしまうので、その体にまとわりつく布はとったほうが?と思ってしまうほど、いまいましかったです。ノよね? 2幕で、すらっと背が高くなんだか目につくスワン。アシュレイ・ベインでした。イタリアのエスコートでしたが、プレスの前、一人舞台の中央でモデルポーズをきめる彼。引っ込むときに、なぜかはにかんだ顔をしたのを見逃さなかったです。坊主になって男前でした。『くるみ〜』を観に行った時にはニッカボッカーをしていたので、舞踏会でねば〜っとした感じがありフラッシュバックして笑ってしまいました。

 4幕、ジェイソン白鳥がベッドに王子を呼ぶ前「何でお前ここにいるんだよ!?」という感じに見えてしまいました。威嚇してる??なんで!?気合入りすぎ?ちょっと混乱する私。
 王子と仲良しになった感が私にはあまり感じられなくて少し残念。感動が薄れてしまうノ。それでもThe Swanが泣き叫ぶところは良い顔してました。気を取り直してじわっと涙がノ。
 白鳥達は更に技量がUPしたように思えました。迫真の演技ともいえる表情をそれぞれが浮かべ、そこにチャイコフスキーの壮大な音楽がクライマックスに差し掛かりノ涙 先程まで舞踏会で活き活きと踊っていた人たちがスワンとなり、揃いも揃って恐ろしい顔になっています。「シャー!」とか「サー!」とか(サー?)それはもう激しく威嚇していました。
 目が合うと目をそらさずにじーっと見つめてきます。まるで呪いをかけるかのように。コ、コワイノでもキレイノ。ニックはあのメイクが似合いますね。

 白鳥達が舞台を所狭しと動き回るシーンは見所なのに、目が痛い!瞬きすまいとただでさえ乾いている私達の目を、彼らは空気をかき回して更に刺激してくれます。
 ジェイソン白鳥が消えてしまって、3階席辺りに幻を追うような首藤さんの絶望的な表情にはぐぐっときました。うっかりこちらもスワンメイクになりかねないのでこらえましたが。
 王子はThe Swanの存在に負けがちだと勝手に思っているのですが(The Swanが王子の憧れなだけに)、存在も演技もダンスも引けをとらず、彼はダンサーであると同時に役者でした。この人はこの作品が本当に好きなんだなと感じました。  しかし!ノ4幕死ぬところ、感情移入し過ぎたのか慌てて死んだ感があって、ちょっとが〜んノ笑えるんですが。所定の位置に収まるのに急いで飛び込んで死んだノようですノ王子よノ。

 最後、The Swanに抱かれて昇天するギャブ王子は起きていました。私には動かない王子が頭にあったので新鮮でした。王子はジェイソン白鳥の首にぎゅ〜っと抱きついていきました。(確かそうだった。)なんか妬ける。(笑)ジェイソン白鳥は父親にみえました。

 う〜ん、5列目でもスクリーンが1枚あるような距離を感じたのは、ジェイソンが客席にビシバシ訴えかけないからノか?白鳥の呪縛にでもかかっている?悪くないのですが、こう、ビビッとこなかったのです。まとまって見えるからこれも良し?厳しすぎ?よくわかりませんノ。待ちくたびれて、私が勝手に夢の世界になっていただけかも。
 もちろん良いところもたくさんあって、ジェイソンはThe Swanのキャラクターの荒々しさを保ちつつ、一つ一つ大事に踊っている印象を受けました。だから優しく見えたのかもしれません。
 アダム白鳥が「自分自身が音楽」のようにボスオーラを発して踊るとすれば、ジェイソン白鳥は「音楽と踊っている」ような感じもしたかな?目つきで言えば(笑)、アダムには「しれっ」としたつれない感じで引き込まれますが、ジェイソンには「なんだこいつ?変だけど気になるなぁ。」と、スワン側も王子に興味があるような動物的かわいさがうかがえました。ノベッドに引き込まれて消えてしまうところは、一瞬見せる表情から、優しさが災いして仲間に消されてしまったという印象を受けました。激しいはずなのに、最後は強さより優しさを感じました。そして今回は首藤王子の演技からか、「すべては夢だった」ように見えました。

 カーテンコールでは、割れんばかりの拍手!ノまではいかなかったです。前回が熱狂的過ぎたかノ私の前で立っている人はほんの一握り。かく言う私も立ち上がるタイミングを逃し、しばし動けずノ。友人が「泣けた〜。」というので、「それなら立ってあげて。」というと、彼女も立ち上がりました。すると周りもばばばっと立ち上がり、な〜んだ、皆タイミングを逃していたのねと一安心。盛り上がるのが遅い?観客が立ち出すと、ダンサー達はほっとしたようで、急に顔がほころんだように見えました。(なぜかこちらもほっとした。)首藤さんとジェイソンが微笑みあっていました。

 悲劇の人が複数出てくるストーリーは、何年経っても色褪せないことをマシュー・ボーンは潜在的に察知していたのでしょう。4人(鳥含め)もいたぶるなんて!最後の最後まで魅せてくれる細やかな演出に、いつも感心してしまいます。
 王子が息を引きとり、あの女王が泣き崩れる究極の悲劇のはずなのに、それとは対照的に夜明けの照明になっていくのは、1分にも満たないわずかな時間でストーリー全体を凝縮し、昇華したかのように効果的でした。これで後味の悪い単なる悲劇ではなく、美しい伝説となるのでしょう。そして観る人、観る時、観る席、配役によってストーリーが変わって2度と同じものは観られないところも醍醐味であり、何度でも足を運びたくなる所以なのだと思います。

 次回鑑賞は当分先なので、みなさまの感想を楽しみにしております。


◇Satomiさん◇

 2/27と3/6のソワレを観に行きました。

2月27日18:00
ザ・スワン/ザ・ストレンジャー:ジェイソン・パイパー
王子:クリストファー・マーニー
女王:オクサーナ・パンチェンコ
執事:アラン・モーズリー
ガールフレンド:リー・ダニエルズ
幼年の王子:ギャブ・パーサンド

3月6日18:00
ザ・スワン/ザ・ストレンジャー:ジェイソン・パイパー
王子:クリストファー・マーニー
女王:オクサーナ・パンチェンコ
執事:アラン・モーズリー
ガールフレンド:ソフィア・ハードリー
幼年の王子:サイモン・カレイスコス

 両日ともほぼ同じキャストでした。ジェイソンのスワンの第一印象は”軽やか”でした。ジャンプしたそのまま飛んでいくかと思った瞬間もありました。野性的で激しいスワンですね。
 ちいままさんも仰っていましたが、彫像はとても美しいです。”脚きれい〜”とみとれてしまいました。

 クリス王子は感情表現がとてもストレートで、表情がくるくる変わります。4幕で、白鳥たちが出てきてからはずっと怖がっているように見えますし。
 2/27 には気付かなかったのですが、 4幕で王子の部屋で一人、苦しみながら踊るシーンでお辞儀をする振りが、(クリスがパンフレットで語っているように)とても悲しく、切ないですね。
 3/6の幼年の王子のサイモンは、2年前より随分大人っぽくなっていて、正直”こんなに大きかったっけ?”と思ったほどです。あまり表情もないので、クリスにかわると、かえって若返った気がしたのですが。

 今回、個人的にとても楽しみにしていたのが、スワロフスキーを使ったドレスです。舞踏会のシーンでは、ドレスの細部までじっくり注目です。勿論、人物たちの関係にも目を配らせながら、ドレスを観る!忙しいです(笑)
 今までと違って、ガールフレンドも黒いドレスになっているので、ガールフレンドが出てくると、”あ、そこにいたの?”とびっくりしたりしていた私です。ドレスが変わったからなのか、女王が若いからなのか、ガールフレンドと女王の年齢差があまり感じられず、恋を楽しんでる女王が活き活きと楽しそうで、よけいに王子がかわいそうに見えてきたりしました。ドレスは本当にきれいでした。

 3/6は、舞踏会のシーンにギャブくんがスパニッシュダンサーとして登場。終始、笑顔で楽しそうに踊っていました。2/27での幼年の王子のギャブくんははじけていましたが、白鳥を踊るギャブくんは随分大人になっていました。
 分かっているから目がそちらに向いてしまうからかもしれないですが、ギャブくんを観ていた時間はかなり長いのではないかと・・・・。

 やはり何度観ても素晴らしく、良くできた舞台だと思いました。観るたびに自分の感情が、変化したり、呼び覚まされたりします。今回は王子を中心に舞台を観ていた気がします。まだクリス王子しか観ていないので是非、他の王子を観てみたいです。


◇ねこ鮫さん◇

初日と3/3のマチネとソワレ、3/6ソワレを見てきました。キャストは以下の通りです。

2月22日19:00 および 3月3日14:00

ザ・スワン/ザ・ストレンジャー:ジェイソン・パイパー
王子:クリストファー・マーニー
女王:オクサーナ・パンチェンコ
執事:アラン・モーズリー
ガールフレンド:リー・ダニエルズ
幼年の王子:ギャブ・パーサンド

3月3日17:00

ザ・スワン/ザ・ストレンジャー:ホセ・ティラード
王子:ニール・ウエストモーランド
女王:オクサーナ・パンチェンコ
執事:ピーター・ファーネス
ガールフレンド:リー・ダニエルズ
幼年の王子:サイモン・カレイスコス

3月6日18:00

ザ・スワン/ザ・ストレンジャー:ジェイソン・パイパー
王子:クリストファー・マーニー
女王:オクサーナ・パンチェンコ
執事:アラン・モーズリー
ガールフレンド:ソフィア・ハードリー
幼年の王子:サイモン・カレイスコス

 初日はやはり所々で「あ、ここ変わってる」と思いました。振付け、衣装、立ち位置・・。スワン達の威嚇もより一層激しく、恐さを増していました。といっても、見終わると、あまり細かいことは覚えていなかったり。ただもう「やっぱり素晴らしい!素敵だった!」って、それだけで。何度も見てる作品なのに、やっぱりドキドキしてしまいます。
 あらすじを知っているのに、どうなるの〜〜ああ〜〜とハラハラして。2幕は王子と同じように、色んな想いが溢れてきて、最後は私も飛び上がりたくなります。
 4幕などは、走ったときのように心臓が早くなっていて、自分でも驚きました。ラストはわかってるはずなのに、何処かで「2人は助かるんじゃないか」って思ってるんです。不思議です。

 それにしても、本当にキャストによって大違いですね。3日のソワレで初めてホセ&ニール組を見て、それまでに見たジェイソン&クリス組との違いに驚きました。もう真逆といってもいいくらい。今のところジェイソン&クリスばかり見ているので、どうしてもその二人の印象が強いのですが、とりあえず、それぞれの王子、ザ・スワン/ストレンジャーについて、感じたことをまとめてみました。

 クリスの王子は、幼年の王子からあまり育った気がしないような可愛らしい容貌ですが、それに反し結構激しいというか、感情表現がとてもストレート。我が儘そうだったり、無邪気で純粋だったり、今まで見た中で一番子供のような王子かもしれません。踊りも大きく、アクションも派手です。
 1幕では、ガールフレンドへの愛情がとても感じられました。劇中劇では、ずっとソワソワしてガールフレンドをチラチラ見ていて。彼女がパンフレットをガサガサ捲るときも、一緒になってニコニコしながら「あ、これがこの人じゃない?」みたくお喋りして。キスをされたときも嬉しそうにしてましたし、見てて思わずこちらも微笑んでしまうことが多かったです。

 ジェイソンのスワンはとても個性的です。最初に登場したとき、今まで見たどのスワンとも違う、妙な感じを受けました。なんというか・・踊り方が違うのです。彼がコンテンポラリーのダンサーだからでしょうか?そして、とても野性的。威嚇も激しくて、ホセがやらない所でも「シャー!」とやっています。そして白鳥というよりは、もっと別の・・四足歩行の動物のような感じを受けました。
 後からパンフレットを読むと、狼をモデルにしてると書いてあり、なるほどと思いました。鳥類より哺乳類よりの為か、感情表現も豊かで。4幕で、抱きかかえていた王子が床に滑り落ちる所や、その後に翼で庇うようにする所も、とても優しいというか、王子に話し掛けてるような顔をしていて、なんだか胸が切なくなりました。
 ストレンジャーではもうブイブイという感じです。官能的で挑戦的。そして、いい意味でリラックスした感じがあります。でもホント恐いんです。王子とのデュエットではガンガンに王子をいたぶり、見てるこっちはもうアタフタしてしまって。でもあれぐらいやってくれるストレンジャー、好きです。全体的にジェイソンは、何気ない仕種や間の取り方が上手く、ホセよりもスマートに感じました。

 ニールの王子は、クリスを見てから見ると、最初はとてもおとなしく感じました。でも、澄んだ瞳に憂いをたたえた姿が、とても美しいんです。おとぎ話に出てくる王子様のようで、溜息が出そうでした。
 初日に客席にいたときはホントに普通のオニーヤンで、もっと老けて見えたので(ごめんなさい)驚きました。最初のほうは彼の抑えた演技に少し物足りなさを感じたのですが、物語が進むにつれ、彼の中から色んな感情が泉のように湧き出てくるんです。
 2幕でスワン達が去った後の、あの顔。目がキラキラして、本当に素敵で。彼の中にどうしようもない驚きと興奮と喜びが沸き上がっているのが、すごく伝わってきました。見ている私も同じような気持ちになり、もう胸が苦しい程で。
 だから4幕でスワンを失うところを見たときは、なんて残酷な物語なんだろうと思いました。だって2幕ではあんなにキラキラしていた彼の瞳が、4幕では絶望と悲しみに染まって、涙をたくさんこぼしているんです。そのとき「ああ!!王子が死んでしまう!!」って思いました。あらすじを知っているからではなく、彼の姿を見て瞬間的にそう思ったんです。この人もう死んでしまうって。

 そういえば、3幕で王子がストレンジャーの体に触る所。最初に腕に触って、そのまま胸まで手を滑らせる所ですが、クリス王子がベストの上から触っていたのに対し、ニール王子はベストの中まで手を差し入れていて、ドキっとしました。たまたまでしょうか?他の部分でも、なんとなく彼の王子はクリスに比べ、セクシャルなニュアンスを感じたような・・気もします。

 ホセのスワンは、登場した瞬間「でか!!」と思いました。事前に「アダムを思い出すスワンだ」という話しを聞いていたのですが、確かに、あの手足の長さはアダム並というか、それ以上。アダムのスワンを見たとき、長い腕が本当に白鳥の翼みたいで、とっても素敵だと思ったんですが、ホセのスワンにもそういう感じがあります。ただ、それ以外のことについては、あまり印象が残っていないのです。どちらかと言うと、踊りに関してはイマイチだったような・・。
 彼はとても大きいので、席が近すぎて(6列目)よくわからなかったというのもありますが、ひょっとして彼、体調が悪いんでしょうか?2月のイベントも欠席したということですし、6日のソワレも彼が踊ると聞いていたのに、行ってみたらジェイソンで。だからジェイソンは3連チャンで、だいぶ疲れているようでした。その後公演を見た人からも「ホセ、フラフラだった」って聞きました。もし体調を崩しているんだとしたら、あの舞台をこなすのは相当キツイですよね・・。大丈夫なんでしょうか。とりあえず、ホセの舞台は是非もう一度見てみたいです。

 そんなこんなで、それぞれの魅力たっぷりの彼らでしたが、大きく分けると、ホセ&ニールは正当派。一般的な(?)SWAN LAKEの王子とスワンのイメージに近いように思います。一方、ジェイソン&クリスは、よりエモーショナルで自由な雰囲気を感じました。そしてとにかく激しいです。

 女性陣についても少し。女王は今のところすべて、オクサーナ・パンチェンコです(というか、ほとんど彼女が踊っているようですが・・)。なんというか、士官候補生やストレンジャーと踊っている姿は、まるで恋する少女のようで、こりゃ騙される男もいるよ、と思いました。魔性です。
 ジェイソンのストレンジャーと踊っているときは思わず「お似合いだなぁ」と思ってしまいました。ガールフレンドは二人とも、比較的頭が弱そうな感じといいますか・・。リー・ダニエルズのほうは、ちょっと安っぽいというか、下品にも見えますが、その分いっそう哀れな感じがしました。一方、ソフィア・ハードリーは、天然チャンといった感じです。スワンクバーでの踊りが面白い!動きだけじゃなく顔も面白い!あれってワザトなんでしょうか・・ちょっとコントみたいでした。

 それにしても今回は空いてますね・・。初日はほぼ満席でしたが、その後は空席が目立ちます。6日ソワレは一番酷く、1階後方は2/3くらい、2階は半分強しか埋まっていなかったのでは?3日ソワレも当日券で6列目でしたし。
 前回の大ヒットにはやはりアダムが貢献してましたし、今回はさすがにそこまでは・・と思っていましたが、それでもこんなに減るとは思いませんでした。これからお客さんがもっと増えて、盛り上がればいいなぁと思っています。

 ところで、アンドリュー・コルベットは今回ホントにド派手外人ですね。初日は昔のトータス松本のような格好で頭も凄いことになってましたし、もうグラミー賞かブリットアワードでも始まるのかと思いました。ミドルスワンの怪我続出により、9日ソワレで踊ったと聞きましたが(スワンやエスコート役で登場したとか・・)、もしご覧になった方がいらしたら感想聞かせて頂けると嬉しいです。


◇ユッキーさん◇

 初日に、観てきました。実は今回のSwanをロンドンで観ています。
待望のニール王子を求めてオーチャードに行ったわけですが、がーーーん!大方の予想をはずしてジェイソン&クリスコンビでした。危うくキャスト表を破りそうでした……。

 が!!!マシュー・マジックが起きました!クリスが素晴らしかったのです! もう夢中!スワンより見入ってしまいました!!!
 londonで見たときは、その表情の巧みさに感動したのですが日本でのクリスはその感情表現が“体全体”へと進化!!とくに、手術のシーンでの彼はかわいそうすぎて見るに耐えませんでした。

 マシューが語っている「この舞台は「王子」の物語なんだ」ということをようやく理解できました。正直なところ前回公演はadamしか目に入らなかったので王子はほとんど見れてなかった……。ベン王子も見たのに!

 カーテンコールでは手がおかしくなるくらい拍手しました。もちろんスタオベさせていただきました!気づいたらヒューヒュー言ってました。毎公演ごとに思いますが、マシューはすごい!!!(←こればっかりですみません)とあらためて思いました。

この感動がニール・スコットの生れ変わり・王子を見ても変わらないことを祈って……!!二回目、ニールに当たって欲しいような欲しくないような。。。女心は複雑でございます。


◇ちいままさん◇

2月22日のソワレを見てきました。

スワンノノジェイソン・パイパー
王子ノノノクリストファー・マーニー
女王ノノノオクサーナ・パンチェンコ
執事ノノノアラン・モーズリー
幼年王子ノギャブ・パーサンド

 と、分かっていたことではありますが、去年とはほとんどのキャストが変わっているのです。 しかも、みんな若い。今日の主要キャストの中で去年も来たのは、ギャブくんだけです。

 キャスト表見たとき、ギャブくんの名前があって嬉しかった!だけど、ギャブくん大人になってたらどうしよう。ヤングプリンス出来るの?なんて思いましたが、去年すでに24歳でしたよね。立派な大人でした。

 会場には、アンドリュー・コルベット、ヴィッキー・エヴァンス、今日は出番がない、ホセ・ティラードや沢山のキャストがいました。仮屋崎省悟(どんな字?)もいました。  仮屋崎の髪も凄いけど、アンドリューの髪型はもっとすごいです。近くで見ないと分からないかもしれませんが、豹柄です!黒のワイシャツに真っ赤なネクタイ。似合ってしまうところが恐ろしい。今年は踊らないから、はじけちゃったのかな?!

 幕は役10分遅れで上がりました。去年とは所々振付や演出が変わってます。だからどうしたと言うほどのことはありません。個人の好みもあるだろうし、素晴らしい演目なのには変わりありませんから。目立った変更はと言うと、劇中劇のときのガールフレンドの振る舞いはますますエスカレートしてます。今回は携帯がなったりもします。それって、本物の観客に対する皮肉?警鐘?スワンクバーでは、服装倒錯者がいなくなってます。代わりに薄紫のカツラをかぶった男がいます。

 舞踏会では、ストレンジャーがキュッと酒をあおるテーブルや、イタリアの王女の靴を脱がすテーブルが一番奥から、手前になってます。女王も王女達も衣装が変わってます。その他にも色々と変わってます。そういうところを考えながら、探しながら、比べちゃいけないんだけど、去年の記憶を引きずり出し、反芻しながら楽しんできました。

 今日は初日だったからか、全体的に堅かったように思いました。舞踏会でのテーブル越えも最後の1個は失敗でした。ギャブくんの子供王子っぷりもはじけてなく、なんか普通な感じ。  女王様は若い若い。体型も、踊りもキャピキャピで中年では無理があるかも。

 肝心のジェイソンスワンの感想ですが、裸の彫像はため息が出るほど美しいですよ。踊りは、好きずきでしょう。身長がそれほど大きくないので、雄々しくは見えないかな。

 昨年の公演よりも随分平均年齢が下がってるのではないか?と思いましたがどうなんでしょうか?


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