AMP " SWAN LAKE " in Broadway report On 3rd November 1998 〜Vol.10〜


暗くなった部屋。せつない音楽。そして、この部屋には二人だけ。(壁に同化した報道官は除く)
しかも、その二人がアダムとスコットなんて、嬉しすぎる〜っっっっ出来過ぎ〜っっっっ!とこれからはじまる展開を思い描き、一人ドキドキしているところへ、再びあの私には理解不可能なアメリカ人の大きな笑い声がっっっっっっ!!!!!

どうして、ここで笑うのっっっっっ?????君たちにはせつなさとか、切実さとかを感じ取るという感性はないのかっっっっ!!!!!!!と一人エキサイト。
まあ、たしかにタイミング良く王子が黒鳥の手を取ってパートナーチェンジをやり遂げたのは少しおかしいかもしれないけれど、ビデオでも良く聞くとくすくす笑いは聞こえてくる気がするけど、ここまでばか笑いするシーンではないはずですっっ!!!

 そこではたと、こんなバカ(失礼っ)につきあっている暇はないと気づき、再び舞台に集中。怒り狂っている場合ではなかったのです。
客席の反応をよそに二人はしっかり自分たちの世界を作り上げています。黒鳥を追い求める王子と、そんな王子の気持ちを弄ぶ黒鳥。
誘っては突き放し、追いかけさせては脅して追い払う。
そんな駆け引きを黒鳥は楽しみ、王子は弄ばれている事を分かりつつも追いすがってしまうのです。
その王子のせつない思いがこちらにダイレクトに伝わり胸が痛むと同時に、毒のある魅力的な黒鳥に私も触れてみたくなる・・・なんていい場面なんでしょう!

 黒鳥につつかれるような仕草で追い払われ、でも再び黒鳥に近寄り彼の太もものあたりにそっと触れる王子。
 そのそっと触れる触れ方が、彼のデリケートでナーバスな心を表すと同時に、とてもセクシャルで思わずドキッとしてしまいます。
二人でターンし、王子に体重を預けるようにもたれる黒鳥。再び攻撃的になる黒鳥に王子は腕を強く握られ、心だけでなく体も傷つく王子。
 そんな王子に心からではなく、形だけ詫び、黒鳥は立ち去りました。
何でこう、いつまでも見ていたいシーンはあっと言う間に終わるのか。再び他の招待客が現れはじめました。

 そこで再び黒鳥登場。例の鼻筋に黒い線を親指で書き入れ、白鳥を思いださせて不敵に笑うというシーンです。これが、また悪く見える事。
しかも今日のアダムは山賊ですから(本当にファンか?)更にワルく見えるのです。
これでは王子でなくても怯えてしまう・・・でも、一つずつポーズをぴたっと決めながら王子の方へ進んでいく黒鳥は、ほれぼれするほど美しく、格好いいのです!
一つ一つの動作のキレが素晴らしく、スピードもあり、しかも柔軟なのです。
黒鳥は更に白鳥をはっきりと連想させるように腕を羽ばたかせるように動かすのですが、その手の動きのしなやかさはビデオの時よりも磨きがかかっています。

 そして、王子の首の後ろを黒鳥が掴み、彼を舞台中央に引きずり出し、つつくように攻撃しました。
見ているこっちはすっかり王子モードに入り込み、彼の痛みに胸が痛みます。
つつかれ、手をねじり上げられ、身体的にも心情的にもすっかり痛みつけられた王子。

 そこに招待客が次々に入って来て、彼を取り囲みました。  


☆上の写真は、AMP「SWAN LAKE」公演中のニールサイモン劇場です(著者撮影)☆


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