AMP " SWAN LAKE " in Broadway report On 5th November 1998 vol.2


昨日と同じく、会場を笑いの渦に変える4羽の白鳥の踊りが終わり、白鳥の群舞へと繋がってこのシーンが終わりました。
それにしても、始終ウィルの動きを横目で必死に追いかけるスコットの表情がおかしいと、一人くすくす笑ってしまいます。やはり一つの舞台を違うキャストで観るのは楽しいものだと実感します。

さて、これから黒鳥のシーンはどうなるのか。どんなウィルの黒鳥が登場するのか!?というお楽しみを前に、幕が下りて休憩が始りました。

休憩がはじまるやいなや、さっさと階段を下りて地階へ移動。今日は絶対にこれを買おうと決めていた、アダムの白鳥と黒鳥のポスターを買うべくグッズを売っているブースへ直行。
白鳥のポスターは水色の背景で、膝を折って座っている所を横から撮った写真で、黒鳥は真紅の背景に爪先立ちをしてポーズをとっている写真です。折れないように気をつけて日本まで運ぶんだと慎重に受け取りました。

更に、ともこさんと二人揃って紺色にロゴの入ったマグカップを購入。
すっかりミーハー心を満足させて、自分たちの席へ戻るべく階段を登り始めます。

2階席のドアを通り抜け、客席の階段を下りて自分たちの席のある列へ。手前に座っている、ふくよかな体型のおじさんとおばさんのカップルに「すみません」と声をかけて通してもらおうとすると、
「嫌だ!駄目だ!そこで観たまえ!」
とおどけた様子で階段を指差すおじさん。
そこで通せんぼの2人と通せんぼされた方の2人で顔を見あわせつつ、くすくすと笑ってしまいました。
笑いが収まらないうちに、通せんぼのお二人は素早く立ち上がり、どうぞどうぞと道をあけてくれます。
ありがとうと言いつつ無事狭い通路を通って自分たちの席へ移動し、面白いねともう一度笑って席につきました。

再び場内が暗くなり、コンダクターが登場。いよいよ黒鳥の幕が始ります。
昨日までと寸分違わぬ展開で舞台はどんどん進み、あっという間に黒鳥の登場のファンファーレが鳴り響きました。さあ、ウィルの黒鳥、初お目見えです!

わくわくしながら舞台正面に据え付けられたバルコニーの白い手すりを見つめます。
そして・・・出てきました。ウィルの黒鳥が!正面を向き、トンと手すりから舞台に降り立ちます。その瞬間、私の頭に浮かんだ言葉は・・・
「七五三!?」(これで、ウィルファンの人の反感を今、私は山のように買ったような気がするのですが、正直に書かせて頂くと、こんな感じです(笑))
かっこいい。確かにかっこいいんだけれども、いかんせん、迫力を出そうとしすぎてアイシャドーを塗り過ぎた感じ。
目の上にダークブラウンかダークグレーのアイシャドーを塗って、『悪』を演出しようと、目にドスをきかせようとしているというのは分かるのですが、どうも塗り過ぎているようで、不自然さが出てしまっていると私には感じられるのです。そう、逆に子供っぽくなってしまったような・・・
もう少しナチュラルな方がずっといいのに。ハンサムな彼なだけに、もったいない・・・
アダムの無精髭作戦は山賊(私はファンなんですよと、一応念の為書かせて頂きます)っぽくて余り好きになれませんでしたが、このウィルのシャドーももう少し薄くていいと思います。

まあ、それはメイクの問題だからとその件は横に置いといて、再び舞台に集中。ふてぶてしい態度で現れた黒鳥。
お決まりの女王の手を舐め上げるシーンを経て、ロシアの踊りの音楽が始ります。

今日の一人目のお相手もビデオ版SWAN LAKEと同じサラ・バロン。ところがウィルはアダムと比べると小柄なので、並ぶとサラがやけに大柄に見えます。
白鳥のシーンのスコットのリフトの時と同様に、サラのリフトを前に私が勝手にハラハラ。
黒鳥の体に王女が寄り掛かり、右足を持ち上げるというリフトは、やはり私だけでなく本人達も慎重になっているようで、特に乗っかる方のサラの表情がやけに真剣です。怪我は絶対にしたくない!と思っているのでしょう。
もしかすると、全員がドキドキしているのかもっ!と思っているうちに、無事王女が着地し、第一関門突破。

そして、第二関門の3回転!でも、ちょっと調子が悪かったのか、ここはあえなく2回転に。少し勢いのつけ方が足りなかったのでしょうか。

一人の王女が去ると、また次の王女が来て、また他の王女も彼の前にあらわれる。
このシーンは言うまでもなくジゴロのような黒鳥に女達が惑わされてるというものなのですが、今夜のこのシーンはちょっと感じが違います。
そう、次々に現れる王女よりも、黒鳥の方がずっと可愛いくて若い。
つまり、女達に振り回される若い男の子、翻弄しているというより、翻弄されているという図が出来上がっていて、ウィル君、大丈夫?!という感じ。

それは、次々に王女達が黒鳥の前に並び、相手をしてよ!とばかりに彼と踊っていくというテンポの早いシーンでピークに達しました。
次々に押し寄せる、結構体格のいい王女達。その人達の襲撃に必死に答えるウィル黒鳥。
まるで手ごめにあっているかのような彼に、大丈夫、大丈夫かウィル君!!!お姉さんは心配になっちゃうよっ!!!と一人、心の中でぜぃぜぃ言っているうちに、ウィルは最後の追い込みに入り、無事女王のテーブルに辿り着きました。

勝手に保護者と化している私はほっと胸をなで下ろします。
そして、安堵に浸っている中、スペインの踊りが始りました。


☆上の写真は、AMP「SWAN LAKE」公演中のニールサイモン劇場です(著者撮影)☆


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