ドタドタと音をさせながら４羽のひな白鳥が登場。それだけで会場からは笑いが・・・
個人的にはフィルが居ないのでちょっとキュートさに欠けるかな？と思うのですが、やはり何度見てもこのダンスは実に良くできています。

今やこの音楽を聴くと絶対男性ダンサーが頭の中で踊ってくれるという強烈な印象のダンスに、会場から絶え間ない笑いが起こります。
そして、小さなひな白鳥が少し大きめのひな白鳥におんぶされて退場する時には、大きな拍手がわき起こりました。私も初めて生で見たひな達に大きな拍手を送ります。
さあ、次はアダムとスコットの登場です！

再び、辺りは静寂に包まれ夜の闇が広がってきます。そこに白鳥と王子がやってきました。
舞台左端に王子が座り、右端に白鳥が手を交差して佇みます。ゆっくりと振り向き、音楽が始ります。そして、白鳥がしなやかに踊りだしました。

しつこいようですが、アダムの白鳥はひときは大きいのにもかかわらず、その動きはしなやかで、着地の音がしません。のびのびと白い体が夜の闇の中で美しく舞っています。
その様子を私も王子同様、固唾を飲んで見守もります。時折見せる白鳥らしいしぐさ。そして君の為に踊っているのだという事を語りかけている白鳥の視線。
さぞかし王子も喜んでいる事でいる事でしょう。ほうっとため息をついて見ているうちに、さっさとアダムは決めのポーズを取って舞台から退場。
またしても、去っていくのが早すぎますっ！そしてまたまた王子は彼を追っかけて一緒に退場していくのでした。
もう王子、しっかりつかまえててよっっ！！！！と言う間も無く４羽のビッグ・スワンが登場。

ビッグと言われてもあのアダムの白鳥の後では皆普通サイズに見えてしまうなぁなどと思いつつ、しっかりまた白鳥チェック。
そして、頭の中ではちゃんとビデオ版のウィリアム・ケンプの遠心力を使ったビッグ・スワンの踊りが再生されていて、私の中では５羽の白鳥が踊っているのでした。あのかわいかった彼も今や白鳥／黒鳥なのよね〜と感慨深く舞台の４人の踊りを眺めます。

ビデオと同じ動きだなぁと思っていると、何と最後のパートが変更されていました。舞台を横切って次々に白鳥達が消えていくと思っていたら、白鳥達はあっさりとそのまま一番近い舞台そでに消えて行ったのです。
あれ？地味になっちゃったと少しがっかり。でもまあ、あのジャンプして横切るというのは、案外怪我が多かったのかもしれないと勝手に変更の理由まで即時に決めてしまいました。

舞台はいよいよ佳境に入ってきました。白鳥達が勢ぞろいします。そして、再びひときは大きいアダムの白鳥が翼をはためかせて王子とともに入ってきました。
同じ衣装なのに、アダムの白鳥は出てきた途端に分かるのです。そう、「でた〜！」という感じ。（お化けではないっ）

スコットの王子はますます喜びで足がうきうきしている感じで、白鳥と同じダンスを嬉しそうに踊っています。もう、二人一緒に踊られるとどっちを見たらいいのか分からな〜いっっっ！と心で叫びつつも、目はしっかりアダムにくぎ付け。
そしてまた白鳥はさっさと舞台そでに移動し、またまた王子は追いかける。もう、スコット、捕まえててよ〜と言う間もなく、また白鳥達が登場し、白鳥チェック！もう、忙しいっっっ！と勝手に忙しくなっている私の目の前にまたまた舞台奥からアダムとスコットが登場。
もう、嬉しすぎる〜っっっっ！二人のぴったり息のあった踊りにうっとりとなり、スコット王子と同じく私の目もきらきら。
群舞の白鳥も加わり、同じ振り付けで踊り始めます。

音楽の楽しげなリズムにのり、王子はますます嬉しそうにステップを踏んでいます。白鳥を王子がリフトし、優しく下ろします。そして喜びのステップを再び踏み、王子の手が白鳥の腰にまわされました。二人でターンし、一瞬二人が見つめあいます。その時の二人の優しい眼差しといったら！
もう〜っと一人で盛り上がっているうちに、さっさとアダムを含む白鳥たちが退場。
一人残された王子同様私まで夢だったのかも・・・とぼんやりと舞台の奥を見つめてしまいました。

ビデオではここで背景の月が王子の心を表すかのようにオレンジ色に変化していたのですが、舞台ではやめたようで白のまま。どうしてやめてしまったのかしらと思います。
その後、生きる希望をしっかり見出した王子は遺書を破り捨て、白鳥にえさをやっているおばさんにキスをし、コートと帽子をかぶって舞台を駆け出します。
その時のスコットの嬉しそうな表情といったら！純粋な瞳はきらきらと輝き、顔中に輝く笑みがひろがっています。
か、かわいいっっっっ！！！３０代後半（はっきり言うと確か３８歳）なのに、この少年のようなかわいさは何っ！！！！！スコット〜っっ！！！！と心の中で叫んでいるうちにさっさと幕が下りてきました。そう。舞台はどんどん私を置いていく・・・・

ここでしばらく休憩のようです。明るくなった会場。そしてがやがやと急に立ち上がる観客達。
劇場は急に魔法が解けたかのように、現実の世界に早変わりしました。

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