アダムが舞台中央に移動するとともに、私の期待度も高まります。
さあ、ここで回る！と思うと同時にきれいに３回クルクルクルっとターンを決めてくれました。
やっぱりかっこいいっっっ！！！と一人心の中で叫びまくり、再び舞台の上を駆け抜けていくアダムを必死に目で追います。

　次々に各国の王女をリフトしていく黒鳥。
しかし、ここで再び最初に感じたタイミングのちょっとしたずれというか、テンポの悪さが現れてきました。
もしかして疲れてきているのでしょうか。うーん。どうもしっくり来ないのです。もしかすると、オケとの関係なのかしら？と理由をあれこれ考えているうちに、アダムは舞台左奥へ。
はっ！ああ、考え事をしているうちに最後のテーブルの上に飛び乗る所まで来てしまっていました。いけない、いけない、などとやたらに多い独り言を心の中でつぶやいているうちに、黒鳥はまわりながら舞台右前方へ。
ここで、かっこ良く決まるのよっっ！と拍手の用意をしながら彼の動きを固唾を呑んで凝視します。

　頭の中ではあのスピード感あふれる映像が再生されていて、目ではアダムを見ているという状況の中、少しずつその二つの動きにずれが生じてきました。
そしてそれはテーブルの上の腰掛ける所で完全にずれたのです。ビデオでは思いきり良く飛び乗っていますが、舞台ではちゃんと位置を確認して、少しスピードをゆるめてから飛び乗っている。これは、やはり怪我を防止する為なのでしょう。
そして、もしかすると音楽のテンポの問題なのかもしれません。舞台を続けていく上の知恵なんだ！と一人納得。でも、何だかちょっとクールに決まったっっ！という感じではないかもしれない・・・
　とうだうだ考えつつも、しっかり締めくくってくれたアダムに、私は反射的にしっかり盛大な拍手を送っているのでした。会場からも大きな拍手が沸き起こっています。

　その拍手の中、黒鳥は女王からグラスを受け取り再び「不敵な奴」に早変わり。
そして、スペインの踊り部隊が登場。正しくぞろぞろという感じで登場し、舞台は一変に雰囲気が変わりました。
以前より派手な扇の飾りをつけた姫と、黒ではなく、赤いボレロを着た数人の男性達。振り付けは変わらず、変更された所といえば、途中で「オーレッ！」と掛け声がかかるぐらいでしょうか。

　ここはアダムが出ていないのでゆっくり観劇といきたい所ですが、目はしっかり彼の動きもチェックしています。
そう、黒鳥はこのダンスの間にナポリ王女の所まで移動しなくてはならないのです。
あちこちで少しずつ話しながら、徐々にナポリの姫との距離を縮めていく黒鳥。そして、スペインの踊りが終わりにかけて盛り上がりをみせる頃には、しっかり彼女と抱きあってキスを交わしているのでした。

もう、スペインの踊りは見なくちゃならないし、アダムからは目が離せないしで忙しいったらっ！と嬉しい悲鳴をあげつつ、去っていくスペイン・ダンス・チーム（勝手に命名）に拍手を送ります。
　そして、ナポリの音楽のイントロが始り、エスコートの男性が二人に気づき怒って立ち上がり、テーブルをパシンッ！と叩きました。
さあ、またまた好きなシーンが近づいてきました。あの、黒鳥がナポリ王女の靴を脱がせるシーンがもうすぐです！

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