2011年の山旅 (1月〜8月)


二 上 山

【登 山 日】 2011年2月25日
【コースタイム】當麻二上神社 10:07…祐泉寺10:20…馬ノ背10:55〜11:00…雄岳11:13〜12:00…雌岳11:57〜12:00…岩屋峠12:12…祐泉寺12:30…二上神社12:45


 先月、思いもかけぬ相棒の入院騒ぎもあって、これが今年初めての山歩き。当麻二上神社にお参りして歩き始めたのは10時を過ぎていた。流れに沿って次第に急になる舗装路を登り、15分たらずで祐泉寺に着く。山門をくぐってまっすぐ馬ノ背に向かう。昨日の雨でまだ湿り気の残る道は急な鉄の階段や木馬道の連続だが、快調に登り続けて馬ノ背着。ゆっくり歩いたつもりだったが、まずまずのペースだ。元気な小学生たちが先を争いながら登ってきたので、ベンチを譲って雄岳に向かう。別の学校の児童たちが降りてくるのに出会うが、道を譲ることを知らないのでペースを乱される。雄岳頂上に着くと北側から続々と同じ学校の児童たちが登ってくる。葛城二上神社に手を合わせ、お隣の
葛城第26経塚に般若心経を唱納して、少し下った大津皇子墓にお参りする。
 雌岳は子供たちで占領されているだろうという予測で、神社南側の小広場で食事中に、今度は20人近くの若い女性の大グループが小広場に到着して賑やかになる。早々に昼食を済ませて出発。風が強まり汗ばんだ身体を冷やす。どんどん下って馬ノ背から登り返し、案の定ごったがえしている雌岳頂上に着く。写真を撮り合っただけで、すぐに下山。今年も美しく咲くサザンカの並木道を下る。竹之内峠を挟んで聳える葛城山は真っ黒な雲に覆われている。岩屋峠から滑りやすいじめじめした下り道に入ると、風は嘘のようになくなった。祐泉寺前から二上神社に帰り着く頃になって、雲の切れ目から青空が覗き始めた。 二人とも快調に歩けて、「この分なら…」と少し自信を取り戻せた山歩きだった

葛 城 山

【登山日】 2011年3月18日 
【コースタイム】駐車場所10:30…中間ベンチ11:25〜11:35…山頂12:30〜12:35…ツツジ園上12:45…ツツジ園下(昼食)12:55〜13:25…水越峠14:15…駐車場所14:30

水分下の橋に車を停めて山に入り、同じ頃スタートした柴犬を連れたご夫婦と前後しながら天狗谷道を登る。♀ペンは何時になく辛そうで最初の水場までは時間がかかったが次第に調子がでてくる。中間ベンチに腰を下し犬を連れた夫婦と話を交わす。なんと郡山に来るまで住んでいた大東市の、しかも同じ町内の人だった。ベンチから上は真っ白な残雪が出てきて、それを踏んで急坂を登る。上にくるにつれて雪がしまり、キュッキュッと小気味の良い音を立てる。5月には斜面一面を彩るショウジョウバカも今は雪の中。日当たりのよい場所でやっと青い葉っぱが出ているのを見つけた。
 山頂は日当たりがよく、雪が溶けて地面が露出しているところでは予想通り、泥んこ状態。女の子と子犬を連れて登ってきた若いお母さんに記念写真のシャッターを押してもらう。他にはだれもいない静かな山頂だった。金剛山を正面に見てツツジ園に下る。少し水越峠側に下り、左手が切り開かれて整地されたところで、眼下に拡がる見事な展望を眺めながら、遅めのランチタイム。下り道は急坂の連続だが、日当たりが良いので雪はそれほど残っていない。水越峠に下り着くと早や14時を過ぎている。二年前はちょうど正午で、続けて金剛山へ登った。もっとも出かける時間が遅かったこともあるが、僅か二年の間の体力の衰えをまざまざ感じさせられる。暖かい日差しを浴びながら車道をてくてく歩いて駐車場所に帰った。

竜 王 山

【登山日】 2011年5月17日 
【コースタイム】 長岳寺7:20…田竜王社08:45…竜王山(南城跡)09:00〜09:30…北城跡09:55〜10:05…長岳寺11:30


長岳寺の境内を抜け柿畑の横を登ると、舗装路は山道に変わる。U字形にえぐれたところや木の階段道を登って、ロープの張ってある急坂を過ぎると、歩き始めて45分でお不動さんの石仏の前を通る。ややなだらかな道で奥ノ院への分岐を過ぎ、再び木の階段の連続になる。やがて天理ダムから登ってくる林道に飛び出す。「田(でん・地名)竜王社」の祠の前で顔を洗って、しばらく舗装路を登る。 林道を離れて再び何度か階段を上ると南城址の頂上に着いた。今日は近くの古墳がぼんやり霞んで見える程度である。まだ9時。貸切りの頂上でお湯を沸かし、サンドウィッチでモーニングコーヒーを味わい頂上滞在30分で下る。
 帰りは「柳本竜王社」を通って林道に出る。少し歩き足りないので北城へ足を伸ばす。だらだらと舗装の林道を下り、大きな石碑のところから林の中を登る。「土塁」や「虎口」など見ながら、最後に急坂を上ると北城址にでる。南城と違って草ぼうぼう。西端からわずかに展望が得られる。10分足らずの滞在の間に♀ペンがワラビを収穫した。何年か前は、もっと太くて立派なワラビがたくさん生えていたのに痩せて貧弱だ。分岐に帰り元の道を下る。分岐にある説明版には、この山にまつわる「れんげの生えない訳」と「ジャンジャン火」の伝説が記されている。いずれも十市氏が寄ったこの山城が、永禄年間に松永弾正によって落城したことにまつわる話である。ゆっくり元の道を下って11時半に長岳寺に帰った。ようやく帰り道の不動石仏下で男性二人、柿畑で女性三人組に出会っただけの静かな山だった。

葛 城 山

【登山日】 2011年5月20日 
【コースタイム】駐車場所07:15…中間ベンチ08:05〜08:15…キャンプ場08:50…ツツジ園09:15〜09:15…頂上09:30〜09:35…駐車場所11:05


開花が遅れていた今年のツツジも、もう見頃と思って出かける。駐車場所の混雑と昼間の暑さを見越して6時過ぎに家を出たので、まだ道も空いていて1時間ほどでいつもの駐車場所に着いた。駐車の数も少なく好きな場所を選んで置けた。天狗谷沿いの青崩道は予想通り、ひんやりした朝の山気に包まれて気持ちよく、快適に登る。水場でも休まず、ベンチ手前の急坂の階段道も何段あるか数えながら行くと疲れも感じない(211段あった)。それでも汗ばんで上のシャツを脱いで中間点ベンチに着く。明るく伐採された尾根道を登り、正面に山頂部を見ながら左へカーブする山腹道を歩き、再び水のない沢に沿って登る。花が終わり背の高くなったショウジョウバカマの群落を過ぎて、河内の弘川寺からの道に合流。混雑しないうちにと先にツツジ園へ。ダイトレ下り道入口では人出を見越して売店が開店準備を始めている。真紅のツツジの向こうに金剛山が見え、大型カメラや三脚まで持ったアマチュアカメラマンが何人もいる。下のベンチまで下って見る。残念ながら今年のツツジは少し色が悪いようだ。開花が遅れているところに急に暑くなったせいだろうか?蕾のうちから早や色褪せた株がたくさん見られる。最低鞍部から右手のなだらかな広い道を国民宿舎裏手の方に登る。
 かんかん照りの中を頂上に立った。大きな山名版は順番待ちの人気スポットで、写真を撮るのに5分ほどかかり、いい休憩になった。暑いので長居は無用。涼を求めて元の天狗谷道へ下る。ショウジョウバカマの群落の中を漕ぐようにして、去年、ひろせさんと行った右手の林道へツツジを見に行く。こちらはまだ蕾か、ようやく開花が始まったばかりだった。天狗谷道を下るうちに次第に人が増えてきた。道を譲るたびに開花状況を聞かれるが「満開近し」と伝えておいた。「こんなに大勢の人やのに、誰も知ってる人に出会わんなあ」といっていると、大岩の鎖場の下で見たことのある芝イヌを連れた人が…。何と、前回3月、残雪の葛城登山で出会った中垣内のご夫婦だった。しばらく立ち話をして別れたが、彼らもあの時以来の葛城山だそうで、まさに奇遇だった。11時過ぎ駐車場帰着。冷えたビールの待つ我が家へ一直線に飛んで帰った。

大台ケ原

【登山日】 2011年6月9日 
【コースタイム】山上駐車所07:45…日出ヶ岳08;25〜08:30…シャクナゲ平08:40〜08:45…日出ヶ岳08:55〜09:00…正木嶺09:15…牛石ヶ原10:03…大蛇ー10:30…昼食10:35〜11:00…シオカラ吊橋11:50…駐車場12:35


大台スカイラインに入ると濃いガスの中に突入。慎重に運転してちょうど2時間でガラガラの駐車場着。どちらから回るか、ちょっと迷ったが結局、今日の一番の目的、大杉谷への下り道にあるシャクナゲ平へ先に行くことにする。快調に木の階段道を登り日出ヶ岳山頂着。濃いガスの中で周りの景色は何も見えない。大杉谷へは何度も下った道だが、見違えるように整備されている。10分足らずでシャクナゲ平。花期には少し遅いかと心配していたが、何とか間に合ったようだ。この時期では1995年に義父母と来て以来だ。思えばこのとき、義父84歳、義母80歳。私たちもまだまだ負けていられない。待望の花に出会え満足して山頂に帰り、水分を補給して周回コースへ入る。
 「正木峠」で振り返ると時々霧が流れて日出ヶ岳が現れる。ここまで、ずっと満開のシロヤシオの中に続く木の階段道を歩いて来た。鞍部から正木嶺に続くこの階段道ができたときは、嫌気がさして二人とも「もう大台ヶ原に来るのは止めよう」と言っていたのに、それからまた毎年のように訪れるのは、この山に手軽に高山の気分が味わえる魅力が時期を問わずにあるからだろう。白骨林の正木嶺を下ると、ようやく土の道になる。正木ヶ原に今日はシカの姿は見えない。ゴロゴロの石の道を登り、本ナゴヤ嶺(1593mピーク)を下って再びイトザサの広い台地、牛石ヶ原にでると数頭のシカの群れを発見!きょとんとした顔で見送ってくれた。シオカラ谷への分岐から大蛇ーに向かうとアケボノツツジの花が美しく咲き、道の上にも散り敷いている。木の枝越しに微かに見える蒸篭ーの岸壁の縁も、ぼんやりピンク色に染まっていたが、すぐに流れる霧に隠れてしまった。いつもの「ヒルメシ岩」の下にザックを降ろし身軽になって大蛇ーへ。しかし濃い霧の中で向かい側の竜口尾根はおろか、すぐ前の蒸篭ーすら見えない。すぐに見切りをつけてヒルメシ岩に帰り、食事をしながら岩の上で晴れるのを待つ。周囲はアケボノツツジとシロヤシオの競演だった。30分近く過ごしたが霧は一向に晴れる気配がなく、かえって濃くなってきたので分岐からシオカラ谷へ下る。シャクナゲ林の中だが、残念ながら殆どの花は終わり褐色に変わっている。今日は休憩なしで吊り橋を渡る。登り返しの急登はさすがにこたえた。何度か立休みをしながら、ゆっくり歩いて駐車場に帰る。半日殆ど霧の中で展望こそなかったが、美しい花を愛でながら静かな自然の中を歩き、シカさんにまで出会えて大満足で帰途についた。

交 野 山

生駒山脈の最北端部にある標高341mの低山で、山を始めた頃は岩登りの練習に通った懐かしい山である。
【登山日】 2011年6月14日 
【コースタイム】駐車場07:50…交野山08:10〜08:20…源氏の滝分岐08:45…白旗池08:55…国見山09:40〜09:50…白旗池10::20〜10:25…駐車場10:55

郡南街道沿いの駐車場に駐車。「こげらの小路」の標識からスタート。要所に道標や標識が設けられて道幅も広く、整備されて歩きやすくなっている。支尾根に出て「せみしぐれの小路」、「やまかぜの道」から「石仏の道」分岐と過ぎる。赤い鳥居をくぐって消防施設のパイプ沿いに登ると、短い梯子で交野山頂の「観音岩」の前にでた。太い鎖に囲まれて「交野山古代岩座跡」と彫られた石柱が立っている。岩の上に登ると大阪市街のかなたに遠く六甲や北摂の山々が望めるのだが、今日はまだ昨日までの湿気が残るせいかぼんやりしている。ササユリを探しに「源氏の滝」の方に下る。急な階段道を下り始めてすぐ緑の笹原の中に淡い色が見え、道の両脇に美しいササユリが咲いている。「おにやんまの小路」という下り道のT字路で「やすらぎの道」を分けるとトンボ池があり、すぐにゴルフ場専用自動車道路に出た。左へ「源氏の滝」を示す標識から細い流れを逆に右へ遡る。白旗池の土手を仰ぐ笹原に咲くササユリを見つけた。池の畔には「いきものふれあいセンター」が建ち、季節にはオシドリが泳ぐ姿が見られる「交野いきものふれあいの里」のシンボル的な池である。
 このまま帰るのは物足りないので国見山へ足を延ばす。池の畔を東に歩き、交野カントリー倶楽部ゴルフ場の中を通るトンネルを抜けてしばらく行ったところでもササユリが咲いていた。三叉路に出て、右は枚方野外活動センターへの道。国見山は左に折れ北に向かう。途中、左の尾根に登って無名ピークを通り、峠のような場所から木の階段道を登ると左手に交野山が見え、正面が大きく開ける国見山山頂(284m)だった。しばらく枚方市街の建物や霞む北摂の景色を眺めて同じ道を引き返す。帰りは白旗池畔の「いたどりの小路」を南へ。ゴルフ場専用道を少し登ってみる。少し登ると朝の見覚えのある道標にでた。「せみしぐれの道」はセミが活躍するには時期が早く、代わりにホトトギスの鳴き声がずっと追いかけてきた。低山ながら適度なアップダウンもあって収穫の多い幸せな半日の山歩きだった。

金 剛 山

【登山日】 2011年7月27日 
【コースタイム】 高天原神社07:30…御所分岐09:20…国見城址09:45〜10:00…葛城神社(山頂)10:20…高天原神社12:03

 高天は天孫降臨の伝説地、いわゆる高天原で、高天原神社の祭神は高皇産霊神(葛城氏の祖神)だが、もともとは天彦神という葛城山(昔は金剛と葛城は区別しない同じ山)の地主神を祀ったという。参道は杉の古木が生い茂った神々しい感じである。10分ほどで高天滝に着く。台風の痕を避けて新しい踏み跡を直登する。正規の登山道に合流してすぐ標高600m地点にベンチがあり、ここから歩きにくいごろ石の道や、木の階段道を織り交ぜて登り750m地点のベンチで水分を補給。しばらく尾根を登り、旧道に合すると木の階段道や水平な植林帯の道が交互に現れて、最後の崩壊地をトラバースするとゴロゴロ石の登りになる。天高彦神社のご神体とされてきた白雲岳が次第に大きくなる。標高900m地点から500段の急な階段登り。このルート最大の苦しい個所だが20分足らずで登り切って、御所からのダイアモンドトレールと合流して一の鳥居を潜る。
 「雄略天皇御狩場跡」に寄り道して社務所近くに来ると、大阪側からの登山者でぐんと賑やかになった。それでもいつもの金剛山に比べると静かな日だった。横の電光温度計は19℃を示していた。涼しいはずだ。いつも賑わう国見城跡広場でも、わずか数人の人影しか見えない。早めの昼食を終えて転法輪寺にお参りし、福石前から山頂葛木神社へ参拝。葛木神社の祭神は一言主神社、副祭神は楠正成である。金剛山と楠一族との縁は深く、末社の列の中にも「南木(なぎ)神社」の名があった。雨上がりで空気が澄んできたのか、ブナ林からは葛城山がくっきりと眺められた。ゆっくりと元の道を下り、天高滝の下で汗を拭って駐車場に帰る。膝にサポーターを捲いてかばいながらの山行だったが、いつもに比べて休みを多く取ったので疲れも全く感じず、膝の痛みもほとんどなく歩けた。曇り空で時々雨にあったが、かえって涼しく登り降りできて快適だった。

高 見 山

【登山日】 2011年8月9日 
【コースタイム】 杉谷登山口0:27…小峠08:27〜08:45…平野分岐09;05〜09;10…頂上10:20〜10:30…大峠11:25〜11:45…小峠12:05〜12:20…杉谷


高見山には何度も登っているが主に雪のシーズンが多く、夏に登ることはまず珍しい。 杉谷登山口の正福寺前に車を置かせて貰って山に入る。「山神」の祠から杉の植林の中を登っていくと「旧伊勢南街道(紀州街道)」の説明版があり、ところどころ美しい石畳が敷かれ往時の賑わいが偲ばれる。「撞木松」を過ぎて尾根に出ると、林を抜けて草原になり朝露に濡れたススキを分けるように登る。たちまち全身から汗が噴き出した。抉れた道から再び石畳道になり、「古市」「雲母曲(きららひじ)」を過ぎて小峠にでた。ここから頂上へは、大峠からの暑さを予想して平野分岐のコースを選んだ。高角神社の鳥居をくぐると、急勾配をジグザグに登る厳しい道が続くが、非常に快適に登れた。
 胸のすくような登りで、最後は鎖のある岩の間を抜けて平野からくる道との合流点で稜線に出る。登っていくと大きな露岩が次々に出てくる。神武天皇が国見をしたという「国見岩」、「多武峰 大職冠 藤原鎌足公」 と三度唱えると揺るぎだしたという「揺岩」、高見山の開祖聖人が岩頭に登り笛を吹くと、両谷から雌雄の大蛇が駆け上がり、笛の音を陶然として聞き入ったという「笛吹岩」…。笛吹岩からは正面に国見山、その右に遠く薊岳が見えた。なだらかな登り道が急坂に変わり、登りきると左側が開けた山頂部にでた。1248.9m三角点と高角神社が鎮座する山頂は、日陰がないのはともかく、羽虫の多さに閉口する。展望台に登って北の曽爾・宇陀の山々、南に大峰・大台の山波と360度の展望を慌ただしく眺めて、10分足らずの頂上滞在で山頂を後にする。ブナやイタヤメイゲツなどの林の中を下る。リョウブの花盛りだった。大峠に降り立ち、四阿の陰で簡単なランチタイム。南伊勢街道は駐車場の上を通っていて、階段を登り返すのが面倒なので、車道を歩いて小峠へ下る。小峠からは朝の同じ道を下る。全コースを通じて、暑さとアブやブヨなど羽虫の多さに悩まされた。この山には、やはり冬の雪や樹氷がふさわしい。

御在所岳

【登山日】 2011年8月24日 
【コースタイム】 一ノ谷新道登山口(御在所山の家)08:30…展望台09:55〜10:05…御在所山上公園11:20〜11:30…頂上三角点11:45〜11:55…中道下山口12:15〜12:30…キレット13:35…中道登山口14:35


 この山には様々な思い出がある。最初は1962年、冬山の訓練に藤内壁の1ルンゼ、3ルンゼなどの氷瀑を登った。平成12 年には標高の1212mにちなんで、12月12日12時12分に頂上で低山俳諧派のオフ会。他にも四季を通じて家族でも何度か親しんだ山である。今日は一ノ谷新道を登り中道を下る。御在所山の家横から薄暗い樹林帯に入る。この道は初めてで、ガイドブックには『膝の悪い中高年の人は難渋しそうだ』と記述されている。ゆっくりなら登れるだろうと考えて尾根に取りつく。最初からかなりの急勾配で掘割状のところが多い。木の根や幹を掴んでぐいぐい高度を上げる。15分ほど登ると、マッタケ岩という自然の作った奇石がある。他にも暗い樹林の中に時々大きい岩が現れる。尾根の右を巻くように登っていくと、大きな露岩の上の見晴らし台があった。濃い霧が流れると一瞬だが白いロープウェイの鉄塔と上下するゴンドラや頂上部が望めた。ここからまた樹林の中の急登が続く。一息つきたくなる頃、大きな岩が何本か直立する「鷹見岩」があった。恵比寿岩からは、さらに厳しい登りになる。長い鎖場やロープ、ハシゴも出てくる。木の根や幹も頼りにぐいぐいよじ登っていくと、ようやくクマザサが出てきて頂上部が近くなる。最後の急坂を上ると山上公園の一角、レストランの前に飛び出した。夏休みらしく補虫網を持った子供たちが走り回っている。霧が流れると目の前の建物も見えなくなるが、ひんやりとした空気に山の気配が漂っている。しばらく休んだ後、西公園の最高点に歩く。しばらく待ったが、ガスが濃く展望は全くないので引き返す。
 東の朝陽台も大勢の人で賑わっている。中道への降り口で昼食を済ませ、富士見岩から樹林帯の急坂を下る。この中道は登山者が多く何度も道を譲ったり、あとから来た人と前後したりした。急坂を下り六合目でしばらく休む。樹林帯を抜けると開けた鞍部のキレットで、階段状のしっかりした岩場を登る。「地蔵岩」からは国見尾根がかすかに見えるが釈迦ヶ岳は雲の中だ。「五合目・ケーブル展望所」を過ぎると、二つの岩が斜めに重なった「負ぶれ石」があり、見るたびに自然の造形の巧みさに驚かされる。ロープウエイの下を潜り、再び樹林帯の下りになる。裏道への分岐からは崩れた花崗岩の砂地で、急傾斜の溝状になっている。長いロープやハシゴもあり、少々うんざりする頃に川の音が聞こえだし目の前に国道が見えた。涼しさを求めて行った山だが、頂上付近の他は湿度も気温も高く、おまけにアブなど羽虫が多くて決して快適とは言えなかった。しかし岩場の登降では何の不安も感じず、心配した足も膝も全く痛まなかったので、少し自信を回復できて収穫のある山行になった。

葛 城 山

【登山日】 2011年8月30日 
【コースタイム】青崩07:20…中間ベンチ08:20〜08:30…山頂09:20〜09:30…ツツジ園(下山開始)10:00…中間ベンチ10:40…10:50…青崩11:40


 快晴の朝、空は高く、晩夏というより初秋の気配が漂っている。青崩集落の一番上の民家を過ぎ、急坂の舗装路が終わり植林帯に入ると、ひんやりした冷気が身体を包む。暗い樹林帯が終わり、道が細く急になる辺りは夏の名残りの花と開き始めた秋の花の競演だ。流れを小石伝いに渡り、木の階段や岩交じりの急坂になる。この谷沿いの道はずっと日陰で涼しいので助かる。シギンカラマツや、咲き残ったイワタバコを見ながら鎖の付いた岩場を過ぎて水場に出る。ゆっくり登り続けて中間ベンチに着く。少し手前から感じていた風はここでは冷たいくらいに吹き過ぎ、火照った身体をたちまち冷やしてくれる。木の階段道は来る度に整備が進んでいる。短い植林帯の登りを過ぎ、水平の捲き道から五つ辻への旧道を分けて左に折れショウジョウバカマの群落の中を登る。キャンプ地を過ぎて何時も人通りの絶えないロープからの道へ出ても、不思議なほど誰にも出会わない。白樺食堂の前から山頂への途中で、コオニユリにアゲハが羽を休めていた。その後ろにはススキの穂が出始めている。山頂の広場も全くの貸切状態で、ただ爽やかな風だけが吹き抜けている。金剛山を背にオミナエシが秋らしい色彩を見せ、ススキの穂が風に揺れていた。ツツジ園の方へ行ってみると、ここも全くの無人。戸を閉めた売店の横に空の自動販売機が二台、ポツンと立っていた。帰りもゆっくり花を眺めながら下ることにする。今日、出会った登山者は結局、頂上のトイレ前にいた山ガールと合わせて三人だけだった。歩き始めどうなるかと思った体調も次第に回復して、静かな山をゆっくり花を愛でながらマイペースで登れた。
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