さよならだけ残して

長い電話のさよならは
どちらが云っても淋しいものよ
云いそびれていつまでも続くの
あなたがはじめて囁いた
やさしい言葉を聞いたとこ
青い電話ボックスが
ちいさな声でそっと教えてくれた
時々なんにも云えない
二人を包んでくれた
過ぎてく季節にさよならも
かわりに云ってもらったらって

長い手紙のさよならは
どこで書いても寂しいものよ
書きそびれていつまでも続くの
思いを込めて封筒に
秋には銀杏をいれたっけ
一枚残った便せんが
ほほえみながらそっと教えてくれた
時々こぼれた涙の
粒をぬぐってくれた
過ぎてく季節にさよならも
かわりに書いてもらったらって


戻る