夏の光

いつのまにか通りすぎて
振り返る僕の背には
夏の光が照りかえる
あゝ 振り返らなければと

 演説をぶつ男 若い若いおまわり
 毒気のない笑い 水俣の庶民

そしてそれから振り返るもの
振り返ってはならぬものを
ひとまとめにして西銀座
交差点前広場の灼けつく午後に

何を選んだか選ばないか
わきあがる僕の頭に
夏の光が射してくる
あゝ 振り返らなければと

 ふくらんだ買い物かご 眠ったままの放浪者
 踊らない人波 うたわない人群れ

そしてそれから流れるもの
流してはならぬものを
ひとまとめにして新宿駅
西口タクシー乗り場の立ち止まる広場に


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