身を清める
聖地に入山を許されるには、神々に大祓詞(おほはらへのことば)を神職とともにお唱えする。最初に境内の東北に位置する水谷(みずや)神社で、東日本大震災からの早期復興を願い、全員で「大祓詞」をお唱えする。水谷神社の御例祭は、鎮花祭(ちんかさい)ともいわれ、夏の時期に多い悪疫を退散すると伝えられている。御祭神は神仏習合時代、祇園精舎の守護神で医薬の神として崇められていた「牛頭天王(ごずてんのう)」とされている。また、祇園祭で有名な京都の八坂神社は、当神社の御分霊と記録されている。水谷橋から「人形の祓」を水谷川に流し、身を清める。
その後、春日大社御本殿を参拝し、春日大明神に「大祓詞」をお唱する。春日大社は、今から1300年前、奈良朝時代のはじめ、平城京鎮護のため、武甕槌命は、茨城の鹿島神宮から御蓋山に奉還され、その後に西麓の神地(現在の回廊内)に祀られたが、称徳天皇の勅命により、左大臣 藤原永手らが、はじめて南面とする神殿を創建して、第一殿に武甕槌命、第二殿に千葉県は香取の神である経津主命(ふつぬしのみこと)、大阪は八尾の枚岡に祀る藤原氏の祖先、天児屋根命(あめのこやねのみこ)と比売神(ひめがみ)を三殿と四殿に、四柱の神を併祀したのがはじまり。それまでは「御蓋山」を御神体としていた。東回廊を下り南門へ、そこから、1136年に藤原忠通公により五穀豊穣と人民救済の為に行われ、日本の「祭儀」がすべてに備わっていると言われる「若宮おん祭り」の若宮神社に参拝。その後、左側にある朱塗りの小さな鳥居の前で手を合わせ、一礼をすると、いよいよ禁足の地、春日山原始林、御蓋山「本宮神社」へと、足を踏み入れる事になる。