天の岩屋戸
天照大御神は、天の岩屋へおはいりになって、岩戸をおしめになりました。明るかった世の中が、急にまっくらになりました。大勢の神様が、お集りになって、「どうしたら、よかろうか。」と、ごそうだんなさいました。「思金神」という知恵のある神様が、たいそうよいことをお考えになりました。それによって、神様がたは、いろいろなことを、なさることになりました。
まず、たくさんの鶏を集めて、しきりにお鳴かせになりました。ある神様は、大きな鏡をお作りになりました。ある神様は、きれいな玉をたくさん作って、首かざりのように、ひもにお通しになりました。またある神様は、山へ行って、榊木を、根のついたままほって、持っていらっしゃいました。「太玉のみこと」は、この榊木に、鏡と玉をかざって、岩屋の前にお立てになりました。「天児屋命」は、岩屋の前へ進んで、祝詞をおよみになりました。
「天宇受売命」は、舞を、お舞になりました。かずらをたすきにかけ、ささの葉を手に持って、ふせた桶をだいにして、とんとんふみ鳴らしながら、おもしろくお舞になりました。大勢の神様は、どっとお笑いになりました。あまりにおもしろそうなので、天照大御神は、少しばかり岩戸をおあけになって、おのぞきになりました。神様がたは、榊木を、ずっと前へお出しになって、鏡を大御神に見せておあげになりました。大御神はふしぎに思いになって、少し戸の外へ出ようとなさいました。岩戸のそばにいらっしゃった「天手力男神」は、この時とばかり、さっと岩戸をおあけになりました。天照大御神が外へお出ましになると、世の中が、もとのように明るくなりました。大勢の神様は、手をうってお喜びになりました。
後記
☆伊勢神宮(三重県伊勢市豊川町)天照大御神を祭神とする
皇大神宮(内宮)と豊受大神を祀る豊受大神宮(外宮)からなる。
☆天岩戸神社(宮崎県西臼杵郡高千穂町)
☆長鳴鳥(鶏の鳴き声は夜を終わらせ、太陽を蘇らせる)
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