女教師小説
女教師小説

恥辱の家庭訪問
「ふう・・・」
バス停から数えて何度目の溜息だろう?
初夏の柔らかな日差しの中でも、額には汗が滲んでくる。
ゆるやかな坂を石垣沿いに、もう10分は歩いたわね。
早坂君の言葉通り
車の出迎えを受ければよかったかしら・・・。
でも、あの時は教室内に生徒達も多く残っていて
特定の生徒の好意を受ける事に抵抗があったんだもの。
それに、生徒に弱みを見せたくない
新任教師の意地みたいな物もあったのかも。

しかし、お金持ちの優等生を集めた特別な私立中学では
余計な遠慮と見栄だったのかも知れない。
代々続くような名家の子供じゃなければ
受験資格すらな中学校。
小学校からの成績、非行歴など徹底して調べられ
初めて入学が認められる。
そんな、純粋培養お坊ちゃま中学に
新卒の国語教師として入れたのは
父方の遠縁がこの中学の前校長をしていたおかげ。
とてもじゃないけれど、大学出たての新米教師は
コネがなければ入れなかったと思う。
それ以前に、生徒としてもここには入れなかっただろう。
もちろん、中学が共学だったらの話だけれど。

「ふうぅ・・・」
今度の溜息は、今日最後のものになりそう。
ようやっと、遠くに大きな門構えが見えてきた。
それは、近づくにつれ大きさを増して
呼び鈴が押せる頃には、目の前に立ちはだかって
私を見下ろしていた。


呼び鈴を1度押す。
と、同時に音も無く門扉上に備え付けられていたカメラが
私の姿を捕らえようと首を回した。
家の中から来客を確認しているのね。
少しぎこちない笑顔でカメラに愛想を振るってみる。
「私立友愛中学校の教師、田辺と申しますが〜」
呼び鈴横のスピーカーにも身元を告げる。
待つ間もなく、返事が返ってきた。
「あ、紀子先生? 今すぐ開けるから待ってて」いつもの元気な明るい声。早坂誠君。
成績優秀、常に学年トップスリーでクラス委員をしている優等生。
まだ入学して1学期しかたたない
しかも、こんな優等生な子に進学指導など必要ないのだろうけれど
これもここの中学の教育方針の1つらしい。
こまめな校内カウンセリングと家庭訪問で生徒指導を徹底している。
そして、今日はこの子の家の家庭訪問。
重々しい門が開くものと身構えていた私の期待を裏切って
横手の通用口が開いて、1学期の間見慣れた
人懐っこい笑顔が私を出迎えてくれた。


「紀子先生は、今日、ここが最後なんだよね?」
ソファーにもたれて、早坂君が尋ねてくる。
クラス委員の優等生だけあって
私服も育ちのよさそうな物を着こなしている。
今はまだ、平均身長にはまだ少し足りないけれど
あどけなさが残っているその利発そうな顔立ちは
身長が伸びた頃には、他校の女生徒が放っておかない男の子になる
要素を十分持っていた。

柔らかなソファーにお尻が沈んで露わになりそうな
タイトスカートの裾を押さえて、生徒に向き直る。
「ええ、この後の予定はないわ」
豪華なテーブルの上に出された
紅茶のカップに手を伸ばしながら答えると
ちょっと、すまなさそうに早坂君が弁解した。
「随分前から家庭訪問の事言っていたのに
  うちの両親、まだ仕事から帰っていないんだ・・・」
どうりで・・・。
今日回ったどの家でも
真っ先に生徒の親が我が子の学校生活を
あます事なく聞き出そうと笑顔を振りまいて出迎えてくれた。
でも、早坂家は門をくぐってもガランとしていて
メイドの女性が数人、正面玄関で出迎えてくれたぐらい。
なるほど、まだ両親は帰っていないのね。

「今日のお昼には成田へ着くって言っていたのにな〜」
「早坂君が悪いんじゃないわ。私も予定ないし、待てるから」
中学生のしょんぼりした顔を見せられると
非難など出来ないのは当然。
「でも、ほんとに遅くなるようだったら、送ってもらおうかな?」
「あ、うん。それくらいだったら十分出来るよ!」
満面の笑顔で答えられて、毎週見ていたドラマへの未練も
すっかり無くなっていた。


「もう少し待つようだから、僕の部屋も見ておかない?」
紅茶の2杯目をいただいた頃、早坂君が思い立ったように提案した。
家庭訪問では、両親との話も大切だけど
生徒の家での生活振りを確かめるのも仕事の1つになっている。
家庭内で荒れた生活態度だと、とたんに
自分の部屋の様子に反映されるらしい。
生徒の部屋を見るのは、制服の乱れをチェックするのと同じくらい
素行不良の早期解決に繋がる〜と、先任の先生からも言われていた。

早坂君の案内で2階の自分の部屋へエスコートされる。
「さぁ、ここだよ。僕の城は〜」
開け放たれた扉の中に一歩踏み出した途端
自分がどこにいるのかが分からなくなってしまった。
「ね、奇麗に整理されているでしょう」
得意げに喋る彼の言葉も耳に届かないほど
ショックを受けて、私は呆然とその場にたたずんでいた。

壁一面にはポスター・・・いえ、ポスター大に引き伸ばされた
私の写真が隙間も見えないほど貼り詰められている。
スーツ姿で教壇に立ち、授業をしている写真・・・。
階段でタイトスカートの中から白い下着を覗かせている
ローアングルな写真・・・。
そのスカートまでも下ろして、下半身を丸出しにして
便座に座って用を足している写真・・・。

学校内だけではない。
望遠カメラで写したのか、マンションのテラス越しに
涼しげなタンクトップとショートパンツで
無防備にくつろいでいる写真・・・。
そして、湯気で細部はぼやけていても
胸もアンダーヘアーもしっかり写っている写真までもが・・・!
「な、なぜ・・・」
あまりのショックに、私にはその一言しか声に出なかった。
大写しの自分の痴態に囲まれて、放心状態で立ち続けていた。

「気に入ってくれたかな??」
無邪気な笑顔のまま、早坂君が語り掛ける。
返事が出来ない私に構わず、彼は机の引き出しから
アルバムを取り出して、私の前に広げた。
「お気に入りは、こうしてじっくり見るようにしているんだ」
豪華な装丁のアルバムの中には、ページ大の写真が並んでいた。
それまでとは違った暗い写真。
ベッド?? シーツが足元にはだけられ女性の身体が見える。
パジャマの胸のボタンは外され、白い乳房が暗闇に浮かんでいる。
そしてズボンがずり下げられ、下着が露わになっていて
その女性の両手は、はだけられた胸と下半身に伸び
直接肌に触れているよう。
「暗くて良く見えないんだけど、そこがいいんだよね」
見慣れたベッド、シーツ、パジャマを目の前に突き出されても
私の思考回路は何も働かず、白い靄がかかったまま。
「高感度写真だと、もっとはっきり分かるよ」
次のページをめくられた途端
声にならない悲鳴が私の口元から上がった。

暗い寝室の中、ベッドに身体を横たえ
パジャマを乱し、興奮で背中と首筋を反らしながら
胸と股間に手を伸ばして弄っている・・・。
「こうすると、もっと臨場感が出るよ」
小さな機械音がしたと同時に、聞きなれた声が部屋に響いた。
「あっ、ああっ! はぁはぁはぁ・・・うぅっ! あんっ!!」
枕に押し付けられ、くぐもった私の喘ぎ声が・・・!
「ああっ、そこっ・・・いいのっ、もっと、もっとして・・・っ!」
恥ずかしい妄想の中で、声を出さずにいられない
私のオナニー・・・。
その妄想の相手は、昔の恋人だったり、好きな俳優だったり
見知らぬ誰かだったり・・・。
「あんっ! ううっっ・・・もう、イクっ、イクのぉぉ〜!」
ベッドが激しく軋む音と共に、喉元から絞り出すような悲鳴を上げて
テープの中の私が激しく絶頂を迎えた・・・。
悲鳴が収まると、荒い息使いがしばらく続いてテープは止まった。
それと同時に、金縛りから解けた私は
笑顔を崩していない彼の肩を掴み、夢中で激しく揺すっていた。


盗聴!? 早坂君は何をしているのか分かっているの!」
自分よりも背の高い大人に、身体を揺すられても
彼はまったく動じなかった。
それどころか、私の行動を予期してたように
揺すられても抵抗せず、私をまっすぐ見つめている。

「分かっているよ、紀子先生。
  先生が好きだから、プライベートな写真を集めたんだ」
プライベート!? トイレやお風呂場の盗撮写真が??
理解出来ない理屈を真顔で言われ、私はしばらく硬直した。
「好きだから、先生の全部が見たいんだ。
  お風呂で身体を洗う姿も、オシッコしている姿も
  夜、ベッドでオナニーをして激しくイッしまう姿も・・・」
「そんな事・・・」
それしか答えられなかった、それは屈折した愛〜だとか
身勝手な愛だと、糾弾出来なかった。
ショックがあまりに大きくて・・・。
まったく異性対象と見ていなかった中学生が、自分の生徒が
こんな形で私に愛情告白するなんて・・・。

でも、少しずつ時間をかければ〜
男女の愛とはどういう物なのか、少しずつ教えていってあげれば
一過性の思春期の過ち、として通り過ごせるかも知れない。
直接、暴行されたわけではないのだから・・・。

胸の鼓動が収まるにつれ、この事態をなんとかしようと
頭が働き出した、その時。
部屋に入ってから、身動きしなかった身体の中の異変が
頭をもたげ始めた・・・。
「紀子先生、どうしたの??」
気付いた時には、もう切羽詰まった状態に陥っていた。
顔が見る見るうちに赤くなっていくのが分かる。
「オシッコ、したいんだよね」
まるでこの事を予期していたかのように言い放つ彼。
さっき出された紅茶二杯だけで
こんなに激しくもよおす事なんて絶対に無い!
この家に足を踏み込んだ時から
こうなるように仕組まれていたのかも知れない!?

「ご両親、待っていても来ないんでしょ!」
語気を強めて問いただす。
彼の返事は想像通りの物だった。
「そうだよ、2週間ほど二人で旅行に出ているんだ。
  来年辺りには、僕もお兄ちゃんになっているかもね」
あからさまではないけれど、SEXに関する言葉を耳にして
なぜか心の動揺が激しくなる。
太ももに力を入れて、尿意を我慢するので精いっぱいのはずなのに。

「駄目だよ先生、こんな所でもらしちゃ〜。
  でも、その表情、とっても素敵だな・・・」
扉を背にした彼の瞳が怪しく光る。
「僕しか見られないんだよね、紀子先生のオシッコを我慢する顔」
うっとりした目で、上から下まで嘗め回すように視線を送る。
さっきまでの中学生らしい屈託のない笑顔は消えて
を値踏みする牡の目に変わっていた。


「ねぇ、その大きなバストサイズはどれくらいなの?」
視線に耐え切れず、顔をそらせていた私に突然質問が浴びせられた。
「そ、そんな事、中学生が知る事じゃありません!」
教壇で生徒を叱る口調で理不尽な質問を拒絶した。
スーツを着ていても自己主張をして目立つその部分は
時折、教壇の上で生徒達の視線を集めていた。
流石に凝視する子はいなかったけれど
優等生が集まるこの中学でも
女性の身体への関心が強い年頃の子供達なんだと再認識して
刺激しないよう、下着やブラウスの生地には気を使っていた。
なのに、この子は・・・彼は
臆面もなく、私の女の部分を言葉で露にしようとしている。

「いいよ、答えたくなかったら。
  でも、その時は部屋のカーペット全部
  先生が撒き散らしたオシッコの掃除、してもらうからね」
そうだった、この部屋から出ないと
酷い醜態を生徒の目の前で見せなければならなくなる!
彼の計略に乗せられた時から
私には、もう刃向かう事は出来なかったのかも知れない。

「ここの部屋の鍵は、特別に暗証番号でロックされるんだ」
私の詰問が不発に終わって、ますます彼の顔に勝利の笑みが浮かぶ。
「だから、ね。教えてよ、紀子先生のバストサイズ〜」
額から汗が滲む・・・。
尿意の苦しさと、理不尽な暴走に屈服する悔しさ。
小刻みに震える身体を両手で押さえて、私は答えた。
「87・・・センチ。よ・・・」
「カップは何カップ??」
「D・・・いえ、よ」
今までの彼にも言った事がない言葉。
嘘をつく余裕もなく、私は生徒に素直に答えてしまっていた。

「初体験はいつ? やっぱり高校の先輩と??」
私の身体のサイズから始まった彼の質問はエスカレートしていき
誰にも言えない事さえ聞き出してきた。
「それは、そんな事・・・まだよ! まだないわ」
恥ずかしさに初めて嘘をつく。
今時23歳で処女なんて、小説の中の嘘でしか存在しないのに。
「だめだよ、そんな見え透いた嘘」
中学一年生でも分かる嘘。
そんな嘘をつきたくなるくらい、正直に答えるのには抵抗があった。

「僕が調べた結果、高校2年の時
  好きだった先輩にバージンをささげたんだよね」
「・・・!!」
驚きに声も出ない私に彼はなおも真実を続けた。
「その先輩とは半年で別れているね。
  大学に入って、コンパで知り合った工学部の彼と
  1年のお付き合いでやっと身体を許したんだ。
  でも今は、お互い仕事が忙しくて疎遠になっているみたいだけど」
何も答えられなかった。
「おや、びっくりした顔してるよ。
  今時の興信所はお金さえつめば、これくらいの調査は簡単だよ」

呆然としている私へ、忘れかけていた尿意の痛みが
激しく下腹部を襲った。
「ねぇ、最初の先輩の時、気持ち良かった?」
腰を屈め、お腹を押さえて苦痛に堪えている私に
容赦ない質問を続ける彼。
「二人めの彼の時は、ちゃんと毎回イッてた??」

「うっっ・・・そんな事、忘れたわ」
でも、必死の抵抗も限界が見えていた。
立っていられるのがやっとな状態。
腰はガクガク震え、脂汗が額を伝っていた。
「ねっ、お願い! 部屋から出して。トイレに行かせて!!
彼の質問に答えなければ叶えられない懇願をする。
「彼とのセックス、良かった? いつもイッてた??」
彼の瞳がこれが最後質問だよ〜と告げている。
これさえ言ってしまえば、もう彼には縛られない!
苦痛と甘い打算が、恥ずべき言葉を私の口から零れさせた。

「初めは・・・痛かっただけ。
  無理矢理、うっ! されて、気持ち良くなんて・・・」
「じゃあ、二人目の彼とは?」
「優しかったから、優しくされたから・・・くっ!
  流されるまま流されて、気持ち良いって初めて感じて」
「イカされたんだ??」
「そうよ・・・ううっ!、彼に抱かれて初めてイッたの!
  愛されてるって感じたの!!」
「いつも?」
「そんな、いつもなんて・・・時々よ
  エッチが好きで付き合っていると思われたくなかったから」  オナニーは付き合っている時もしてたの?」
「そ、そんな事・・・うぅ! 会える時間がなくなってから・・・」
「満たされない欲情をオナニーで静めているんだね??」
そっ、そうよ! 寂しい時だってあるもの!
  先生もなのよ、身体が静まらない時だってあるわっ。
  ねぇ!もういいでしょ!?
  お願い! 開けてっ、ドアを早くぅぅ!!」


「限界みたいだね」
溜息をつくと、彼は後ろを向いてドアの横のボタンを押した。
ノブを回して扉を開ける。
「ど、どこなの? トイレ、トイレは!?
彼の指差す長い廊下の端に向って
足を引きずりながら必死に辿り着く。
入るなり、スカートの皺も気にせず
一気にパンストとショーツごと引き降ろし、便座に座り込む。

勢いよく飛び出した黄色い小水が、派手な音を立て続ける。
一気に身体の力が抜けて、放心状態で座っていた私の頭の中で
警戒音が小さく響いた。
そう、ここは彼〜ベッドやお風呂場、トイレを盗聴
盗撮したあの子の家なんだわ!
人の家にカメラを仕掛けられる子が
自分の家のトイレで出来ないはずがない!!
今の私の姿をどこからかカメラで撮っているのは確実だわ。
でも・・・、やだっ、まだ止まらない!
恐らく利尿剤入りの紅茶の効果は、普段の倍以上の長さで
私に放尿を強要した。

見られている!
身体を固くして身構えても、下半身はまったく無防備。
剥き出しのアソコをカメラがしっかりと捕えているかも知れない!
ようやく穏やかになった小用だけど
まだ、チョロチョロと続いている。
我慢していた分、膀胱の締まりがなくなったのかも知れなかった。
一番恥ずかしい部分を(恐らく)生徒に見られながら
便座に座り続けなければならない自分が情けなくなる。

多分、今ごろ彼はモニター越しに
私のアソコをじっくりと観察しているんだわ・・・。
そう想像すると、生徒達の視線を胸に受けるより
何倍もの恥ずかしさに身体が震える。
モニターに写った大写しの私のアソコ・・・。
それを食い入るように見つめる彼・・・。
興奮しているのかしら?
ふと、想像が自分の痴態ではなく
彼の股間の変化に移ってしまった。

中学生と言っても、身体は大人な子も沢山いる。
高校なら履くだろうジャージも、中学ではまだ半ズボンのまま。
体育やクラブで運動場を半ズボンで駆け回る生徒達の
ズボンの膨らみに、偶然目が行ってしまう事も度々あった。
特に、中学一年生はまだその仕組みが理解出来ない子も多くて
何かの具合で膨らんでしまった股間を隠しもせず
私の前に立つ事も・・・。
その時は、出来るだけその子を傷付けないように
それは、はしたない行為だから〜と注意をしたけれど
顔を赤らめて話す私を不思議そうに見つめるその子には
結局、真意は伝わらなかったみたい。

その時の映像がダブって、想像の中に出てきた時には
自分でもびっくりした。
やだ、私、あの子のアレを想像している・・・。

計略を謀り、私を追いつめて
こんな痴態を覗き見している憎むべき彼の股間の膨らみを
どうしてだか、頭の中から払いのける事が出来なかった。
ズボンを押し上げて自己主張するアレ・・・。
私に一人エッチの質問をするくらいだから
それは経験済みなんだろうな。
もしかしたら、モニター画面を見つめながら
ズボンのチャックを下ろして、直接アレを指で・・・・・。

もう、とうに用は終わっているのに
私は便座に座り続けていた。
湧き起こった妄想を振り払うのに必死で、下着もつけないまま。

コンコン! と、突然のノックの音。
現実に引き戻された私は慌てて、濡れた股間を拭き取り
下着をつけ、スカートを正した。
「紀子先生、大丈夫ですか??」
彼、早坂君の声が扉越しに聞こえる。
だ、大丈夫よ! もう用は終わったから」
紅潮した頬を手洗いの水に濡らしたハンカチで冷やしながら答える。

扉を開けると、さっきまでの表情をすっかり改めて彼が立っていた。
「遅くなったから、これから先生を車で送るよう言ってくるね」
「あ、はい。ありがとう・・・」
その変わり身の速さに、思わずお礼を言ってしまう。
「じゃあ先生、1階の玄関で待っているよ」
身を翻して廊下を走っていく彼の後ろ姿を見ながら
自分がどんな酷い目にあったのかさえ、忘れかけていた。

廊下の途中、彼の部屋の前で立ち止まりドアのノブを回してみる。
ロックされているのだろう、扉は開かなかった。
もう一度、あの盗撮写真を目にすれば
強い決意で彼に臨めたのに、ショックの連続で
はっきりした記憶が抜け落ちて漠然とした記憶しか残っていない。
盗撮写真、盗聴テープ、それから・・・それから・・・。

「先生! 車玄関に回してるよ〜」
記憶の整理が中断されて、そのまま私は早坂家の車で
マンションまで送り届けてもらった。
生徒の剥き出しの股間を妄想した、その残り火を抱えて・・・。


<恥辱の家庭訪問・終>

<次章「転落の始まり」>


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