女教師小説
教師小説

サディステックな放課後(前編)

陰うつな朝がまた来て、私は今日も誠くんの出迎えの車の中で揺られていた。
昨日の放課後、逃げるように自宅へ帰っても
翌朝には、彼はマンションの前で私の出勤を待ち構えていたのだった。

昨日の保健室での事、気付いているのかしら・・・?
時折、横目で彼の表情を盗み見ても
いつもの屈託のない笑顔からは、何も本当の表情は読み取れない。
「じゃあ、紀子先生。教室で・・・」
早朝の校門に横付けされた車から彼が先に降りていく。
今日は、あの写真をネタに脅される事はないみたい・・・。
ホッとしながらも、これまでのように他の生徒に気付かれないよう
周囲に気を配りながら、私は足早に校門に駆け込んでいた。


誠くんへの言い逃れは、いくつか思い付いても
一方的に性欲のはけ口にされた一也くんには
どう納得してもらえるかしら・・・・??
自分が撒いた種なのに、途方に暮れてしまう。

ちゃんとした風に聞こえる、言い訳が思い付くまで
極力、二人と顔を合わせないようにしていても
あの子は・・・一也くんは、私を放っておいてはくれなかった。
授業中の教室で、休み時間の廊下で・・・
私の視線の隅に、彼の姿がチラついていた。
その表情から、彼が何かを言いたげなのは痛いほど分かったけれど
私には、もう少しだけ時間が欲しかった。
純情な彼にだったら
小手先の言い訳で言いくるめられるかも知れなかったけれど
責任のような物ははっきりと付けておきたかった。
誠くんの仕掛ける危険な遊びに、彼を巻き込まない為にも・・・・。


一日中、針のむしろに座らされた後
昨日の放課後以来、私は初めて一也くんと正面から向き合っていた。

「宮下くん、保健委員の仕事で伝えたい事があるの。
  先生と生活指導室へ来てくれないかしら??」
私は周囲に変に思われないよう
わざと毅然とした口調で、彼に告げた。
すると一瞬、一也くんは私と目を合わせたけれど
すぐに視線を逸らせて頬を赤らめた。
制服の裾を握り締めて立つ、いつもの気弱そうな彼の態度を見ると
少しだけプレッシャーから開放される。

「はい、分かりました・・・」
小さな声で答える一也くんに、教室に残っていた幾人かのクラスメイトが
同情の表情を向けていた。
私達の関係を知らないこの子達は、彼が何か問題を起こして
生活指導室で注意を受けるのだと勘違いをしてくれてるみたい。
自分のペースで事態が収まってくれそうな雰囲気に幾分安堵しながら
私は彼を連れて教室を出ようとした。


「田辺先生〜!」
私はすぐに聴きなれた声に廊下で呼び止められた。
誠くんが廊下の端から駆け寄って来る。
いつもの笑顔だっけれど、私は表情を固くして身構えてしまっていた。
今朝は、車の中では何も私に強要しなかった彼だったけれど
あの時の写真は今日も持ってきているはず・・・。

「今度の生徒会の議題について報告と相談があったのを忘れてました。
  これから生活指導室でお話したいんですが」
昨日の当事者の三人が顔を合わせて起こる予測のつかない出来事を警戒をして
身構えていた私は、不意を突かれてすぐに返事が出来ない。

二人きりの生徒指導室で、昨日の事を問い正そうとしてるの??
それとも・・・・純粋に、私を求めて・・・・・?

私の顔色が変わるのが分かったのかしら。
俯いていた一也くんが、チラチラと私の顔を盗み見してる・・・。
そう・・・きっと、すぐに顔に出てしまったんだわ。
誠くんに「生徒指導室」と告げられた瞬間・・・・驚きとも恐れとも違う
何かに・・・身体の芯がギュッ!と鷲掴みにされるような感覚に襲われてしまったのだから。

紅潮した顔を隠そうと俯いて返答を躊躇っている私に
誠くんは答えを促してくる。
「僕の用事はすぐに済みますよ」
意味ありげに言われて、私は彼の目を見てしまった。
視線が合うと、誠くんは口元に笑みを湛えながらチラリと舌で唇を舐めて見せる。

「じゃあ、田辺先生行きましょうか」
「ぁ・・・・・ええ」
立ち尽くしていた私は、誠くんの後を夢遊病者のように付いていく。
「先生・・・・」
遠くの方で一也くんの声が聞こえたような気がしたけれど
私は振り返らず、見覚えのある部屋へ導かれていった。



「んっ・・・んんっ・・・くっ」
部屋の鍵が内側からかけられると同時に、私はを塞がれた。

誠くんに連れて来られてたのは、生活指導室ではなくて教員用の女子更衣室だった。
忘れようも無い、室内温水プールと体育館に隣接したこの部屋で
彼と激しく結ばれてから、そんなに日は経っていない。

廊下と壁一枚で隔てられた生徒指導室と違って
ここは扉に鍵をかけてしまうと、ほとんど密室になる。
中から声が漏れ聞こえないこの部屋に連れ込まれて
私は、言い知れぬ恐怖心を抱いた。
「んんっ・・・んぅ・・・だめよっ!」
思わず誠くんの身体を押し返す。
でも意外だったのは、私が腕に少し力を加えると
誠くんは、すんなりと私をキスから開放してくれた。
そして、立ったままじっと見つめる。

「いやなの?」
そして、凄く意外そうな顔をして、私に尋ねる。
確かに、そうよね・・・・。
こんな所までノコノコと付いてくる女がキスさえも拒絶するなんて。

口篭もっている私を見て、誠くんはにこりと微笑んだ。
そう、さっき教室の前で見せたような笑顔を。

「見せてよ、紀子先生。もう濡れてるんでしょ?」

「誠くん・・・・え? なにを??」
しどろもどろの私を尻目に、誠くんは心の奥を覗き込むかのように
じっと私の目を見詰めている。
「もう、アソコは濡れちゃっているんでしょ?
  恥ずかしがらなくてもいいよ」
私は頭に一気に血が上る思いがした。
恥ずかしさで全身が震え出す。
でも、誠くんは構わずに、私を促し続ける。

「きっと、今頃はストッキングまで濡らしちゃってるんじゃないかな?」
スカートの中を透視されているような感覚に
私の心臓の鼓動はますます乱れてしまった。
「さっき先生を誘った時から、興奮していたんでしょ??」
本当の事を言い当てられて、私は何も反論出来なくなってしまった。


そう・・・生徒指導室という言葉を耳にした時
SEXを想像して身体が熱くなったばかりじゃなくて・・・下半身も。
そうなの、全身が凄く敏感になってしまって
立っているだけで・・・ほんの少し膝を擦り合わせただけで
捩れたショーツがあの部分を刺激して、濡らしてしまってたの・・・。
一也くんのいる前で・・・まだ教室に生徒達が残っているのに
私、欲情してしまってたの。

知っていたんだわ、私の身体の変化に・・・・。
だから、強引に責めて来ないで、ワザと焦らしているんだわ。

「さぁ、僕に見せてよ」
誠くんは、揺れるスカートの裾を見つめている。
自分で捲り上げて、濡れた下半身を見せろ・・・と命じている。
「いやらしく・・・男を誘うように、ゆっくりとだよ」
囁くような誠くんの言葉に、私の手が無意識にスカートに伸びる。
写真で脅されている訳ではないのに・・・
彼の命令が心に忍び込んで来る。

「ぁぁ・・・・恥ずかしいわ」

扉の鍵を開けて逃げ出してしまえば済む事なのに
私が出来た抵抗は
少女のように頬を赤らめて左右に首を打ち振る事だけだった。
でも、それは上辺だけの、理性を満足させる為の抵抗かも知れない。
私の両手は、スカートの裾を掴んで
徐々に・・・確実に、股間を露にしていたのだから・・・。


「見えるよ、紀子先生・・・たっぷりと濡れてるね」

今、誠くんが見つめる中、ロッカーを背にして
下半身だけを曝している・・・・。
途中、彼の言葉が催眠術のように、私の心に忍び込んできた。
何を言われたのか・・・どうしてだろう、ハッキリと覚えていない。
たた、私は言葉のままに、ホックを外してスカートを脱ぎ捨てると
命じられるまま、パンティーストッキングを・・・そして
ショーツまでも引き降ろしてしまっていたのだった。

あぁ・・・太股まで、零れ出してる・・・。
どこも触られていないのに、奥からトクトクと愛液が零れ出ていた。
誠くんのペニスを待ちわびている私のオ○ンコ・・・。
もうすぐ、歓喜の声を上げながら果てる悦びを味わえるんだわ。
もう後戻り出来なくなってしまった私は覚悟を決めた、その時・・・!

(カチャリ!)
小さな金属音とともに、私の手首にひんやりとした何かが巻かれた。
(カチャ!)
確認する暇もなく、私の背後で続けて同じ音がした。
手首に幅の広い、やや堅い何かが巻き付けられている!
違和感から逃れようと身じろぐと、手首が引っ張られ痛みが走る。
「あまり動かない方が良いですよ。手首を捻って傷めてしまうから」
誠くんの手の中で、小さな鍵のような物が踊っている。

鍵・・・手錠?? 何か拘束具のような物をされたんだわ!

慌てて後ろを覗き込むと
革製の太いベルトのような物が両手首に巻き付けられていた。
ベルトの外側に小さな金具が付いていて
そこに黄銅色のシリンダー錠がぶら下がっている・・・。

鉄製の短い鎖が、鈍く光りながらロッカーの取っ手まで伸びていた。
ロッカーの取っ手にその鎖が巻き付けられていて
二つの手錠を繋ぐ鎖が延びる範囲にしか身体を動かせない。

「誠くん! これは、いったい・・・・」
本能的に危険を感じて、彼に真意を問いただす。
でも、彼は無言で鍵をポケットに入れると
ゆったりとした動作で、私から少し離れた壁にもたれ掛かった。

「ねぇ、初めて先生と結ばれた時の事、覚えている??」
「・・・・嘘っ。駄目よ・・・・!」

誠くんがもたれてる壁には、小さなプラスチック製の箱が取り付けられていた。
彼の真意を知って蒼白になる私を尻目に、インターホンのボタンに手を伸ばす。
「やめてっ! そんなっ・・・押さないで!!
私の懇願を無視して、誠くんが言葉を続ける。
「先生はあの時、ひょっとしたら僕とのSEXに感じてたんじゃなくて
  こいつの興奮した声に感じてたんじゃないのかな??って思う事があるんだ」
そして、そのまま躊躇わず、呼び出しボタンを奥まで押し込んだ。


(ピーンポーン・・・!)
インターホンの赤いボタンが押されると
スピーカーのスイッチも一緒に入って
職員室で呼び出し音が鳴る微かな音がスピーカーに返って来た。

なんて事をするの・・・お願いっ、そんな事しないで!!

(ピーンポーン、ピーンポーン・・・!!)
ヒステリックに叫び出したかったけれど
ボタンを押している間も回線は繋がっているので
声を出せば職員室まで届いてしまう。
女子更衣室から女の叫び声が聞こえれば、どうなるか・・・・。
私は声を殺して、誰もインターホンに出ない事を祈り続けるしかなかった。
でも私の祈りは、職員室側の受話器を取り上げる小さな音で打ち破られてしまった。

『はいはい、何かありましたか?』

インターホンのスピーカーから少しゆったりした男性の声が流れ出る。
あの時の・・・聞き覚えのある声・・・・。
あぁ、どう答えたらいいの??
生徒と逢い引き中に、手錠をかけられたので外して! と素直に言うの??
『もしも〜し、そちらは女子更衣室ですよね』
どこの緊急用インターホンからの送信か
職員室側のコンソール上で、ランプの点灯で分かる仕組みだった。

「あっ、その・・・、大丈夫です! 来なくても大丈夫ですからっ」

私はとっさにインターホンに応えてしまっていた。
何も言わずにいられたら、悪戯か故障と思われたかも知れないのに・・・。
ううん、きっと彼は、確認の為にここへ来てしまうわ!
合鍵を使って開けた部屋の中には
下半身を露にして、手錠で繋がれた私が・・・・。
どう見ても、普通じゃない状況よ。言い逃れられるの??

今は何とか取り繕って、彼が来ないようこの場を乗り切るしかなかった。
『は・・・・ぁ?』
切羽詰まった私の答えに、彼は戸惑いの声を上げている。
「・・・大丈夫です、ほんとに・・・だから・・・」
『・・・・・・』
私が言葉を続けると、なぜか無言になってしまった。
「鍵が・・・部屋の鍵が見付からなくて、でも今、見付かりましたから・・・」
『・・・・・・・・・』
「だから、来なくてもいいんです。ほんと・・・ご迷惑をおかけしました」

『・・・・・・田辺先生ですよね?』
「えっ・・・??」
男の突然の返事に戸惑う。
『一年の田辺先生・・・なんでしょう??』
落ち着いた口調の中に、私は冷たい何かを感じた。


「そ、そうですけれど、もう用事は・・・・あぅっ!
用件を終えようとした私の言葉は小さな悲鳴で途切れた。
あの時のように、何時の間にか誠くんが私の背後に回って
思い切り両胸を掴んだのだった!

(やめて! お願い・・・お願いよっ)
出来るだけ声と音がインターホンに届かないよう
囁くように抗議しながら、身体を揺すって抵抗を試みる。
でも、インターホンの先では
私の悲鳴の意味を感じ取ってしまっていた。

『・・・・・また、なんですか?』

声に含み笑いが混じっているように感じる。
あの日の出来事・・・ここで、誠くんに初めて抱かれたあの時
職員室へ、このインターホンを繋いだまま
淫らな言葉を吐きながら、激しく達してしまった情景が
頭の中に蘇ってくる・・・・。

あの情事の後、不安になって調べてみると
放課後のこの時間
職員室のインターホンに出る可能性があるのは
校内保安員の男性、一人だけだった。
歳は50歳過ぎだけど
用務員にしてはガッチリとした体格で
身元も経歴もしっかりした人物らしかった。
お金持ちの私立中学の用務員だけあって
誘拐防止の為のガードマンも兼ねた存在の彼は
見た感じは、寡黙で誠実そうな人物だった。
だけど・・・彼は
校長や教頭にはあの日の事は報告していない。
更衣室の出来事は、一切、職員室では持ち上がっていなかった。
心に留めておいてくれたの?
それとも、声の主を確認して脅しのネタにしようとしているの??
職員室で時折見せる、彼の私への視線には
穏やかな中にも、何かを探ろうとしてる意志が混じっているように感じられた。


「違いますっ・・・本当に何の問題も・・・ないから・・・っ」
『・・・・・・・』
誠くんの愛撫から逃れようと身もがいて起こる
衣擦れの音が届いてしまってるのかも知れない。
更衣室の様子をうかがおうと
聞き耳を立てているように感じられる。

「何も・・・ないンっ、んくっ・・・だから・・・ぁぁ」
手錠で逃げられない私の背後から、誠くんの両手が伸びて
柔丘をブラウスの上から弄っている。
強弱を付けて、ブラの中の柔肉を揉みしだかれて
時折、指先で胸の頂きを捏ね回されると
燻っていた官能の火照りが、勢いを増してきてしまう!
「あぁ・・・何も・・・はぁぁ、何もな・・・んンンぅっ!
私の弱い個所を知りつくした彼の手が、指先が
平常を装うとする私の理性を、簡単に崩してしまう。

「ぁ・・・ンっ、大丈夫・・・大丈夫だから・・・・ふぁぁぁ!」

平静を装っていても、乳首を弄られると
途端に鼻にかかった甘い声が零れ出てしまう。
きっと音質の悪いインターホンを通しても
私の喘ぎ声は届いてしまっているに違いなかった。
用務員の彼のお喋りは無くなったけれど
彼の興奮した息遣いは、微かに聞こえていたから。

「だ、だめ・・・ょ! あっ・・・ああぁっ!」

ついに、誠くんの手が私の剥き出しの下半身に伸びてきた。
名前を呼びそうになるのは堪えたけれど
甲高い喘ぎは押え込めなかった。
「はっ・・・はぁ! ぁぁぁ・・・いやぁ・・・くぅぅン!」
愛撫される前から敏感になってしまっていたアソコを弄られて
私は、引っ切り無しに甘い叫びを上げ続けてしまっていた。
自分の声が途切れる僅かな間にも、愛液が誠くんの指に絡まって
ヌチャヌチャ・・・と、淫らな音を更衣室に響かせていた。

インターホンが繋がってなければ、きっと
この何倍も大きな声を上げて、誠くんの指戯に
身を委ねていたに違いなかった。
このままでもイッてしまいそうな位、感じている・・・。
ホントに・・・このまま果ててしまいたい!

でも、誠くんは私の望みを叶えてはくれなかった・・・。


誠くんは、突然、愛撫の手を止めると
私の前に回り込んで、ニコリと微笑んだ。
そして、荒い息をつく私の目の前に、手錠の鍵を掲げた。
チャリン!と小さな音がして
人工芝が敷き詰められた更衣室の床に鍵が落とされる。

終ったの??
今日はもう解放してくれるの?

少し安堵してる私に、誠くんは顔を近付けて軽くキスをした。
そして離れ際に私の耳元で囁く・・・・。
(後は、先生のしたいように・・・ね)
スッと、そのまま後ずさりすると、音を立てずにゆっくり出口に向かい
誠くんは更衣室の扉を開けて出ていってしまった。

したいようにって・・・どういう事なの?
彼の意図は掴み兼ねたけど
ここは考えるより、床の鍵を拾うのが先決だった。
でも・・・・。

「あ、やだ・・・っ!」

その時になって、私は繋がれた手錠の鎖の思った以上の短さに気が付いた。
革手錠の鎖は、どう頑張っても20センチも伸びてくれない。
両手を後ろ手に思い切り伸ばしても、床の鍵まで届かない!
肩と腕が悲鳴を上げるのを我慢しながら、何度も試してみても
あと30センチほどを残して、鍵の周囲を引っ掻くだけで
爪先に届いてくれなかった。

何度も足を伸ばしながら、私はふと、足にまだ絡まっている
パンティーストッキングに気付いた。
足の指で引っかけながら、片方を脱いでみる。
すると丁度、足の先に薄い紐のようにストッキングが残った。

これを使ったら・・・ひょっとしたら・・・。

私は片足を蹴り出して、投網のように
ストッキングを手錠の鍵目掛けて投げてみた。
すると、軽い鍵はストッキングに当たって、ほんの少し右側にずれた。
もし、鍵の真上に投げられたら、そのままストッキングごと
引き寄せられるかもしれない!

私は足首を使って、投げ出したストッキングを引き戻すと
再度、試そうと足をしならせた・・・。


『田辺先生・・・もう、イッてしまったんですか??』
「え・・・・っ?」

焦っていた所に突然声をかけられて、私は間の抜けた返事をしていた。
誠くんの容赦の無い愛撫は無くなったけれど
私が置かれた危うい立場は変わっていなかったのに・・・。

「あ・・・と、私・・・・・」
『以前は、一緒にイッてくれましたよね』
インターホンの彼は、私が行為を
勝手に終わらせてしまった、と勘違いしていた。
そう言えば、あの時、彼も一緒に果てたんだわ・・・。
彼の口調に、残念さよりも、微かに怒りを感じて私は慌てた。

「ううん、違うの・・・あなたの声が聞こえなかったから・・・・
  気持ちが乗らなくて・・・・私・・・・」
私は、彼がここへ来ないよう、私の今の姿を見られないよう
出来るだけ時間を引き伸ばす必要があった。
もう数回・・・もう十数分もあれば、きっと鍵は手に入るわ!

もし彼が来てしまったら・・・きっと、逃げ出せない私を辱めた挙げ句
その事をネタに脅してくるかも知れなかった。
それよりも、誰なのかバレてるとしても、声だけじゃ証拠も薄いから
彼も強引に迫って来れないはずよ・・・。

私は、オナニーを他人に聴かせる事で感じてしまう
淫乱女の演技を続ける覚悟を決めた。


「だから・・・ねぇ、イヤらしい事・・・言って欲しいの・・・」
『欲張りな先生だ・・・・』
意を決して話し始めた私の演技に、彼は乗ってきてくれた様子だった。
少なくとも、すぐにここへ乗り込んで来る雰囲気は感じられない。
あの時のように、インターホン越しの
テレフォンセックスを楽しもうとしてる。
もっと刺激的な声を聞かせて、射精を促して彼の性欲を削げば
手錠の鍵を得るだけじゃなく、余裕で逃げ出せる時間が稼げるかも知れない。

自慰行為を、見も知らずの男に聞かれるって・・・どんな気持ちかな?』
「・・・それは、見られているような・・・とても恥ずかしい気分なの」
私は、今までに見たアダルトビデオや映画のSEXシーンを思い浮かべながら
イヤらしい台詞を紡ぎ出していく・・・。
「まるで、アソコを覗かれながら・・・オナニーを強要されてるように・・・」
相手を一旦演技に乗せてしまえば、鍵を引き寄せる時間の余裕も生まれるはず・・・。
私は目をつぶって、思い入れたっぷりに語っていく。

『見られるより、聞かれる方がいいのか・・・・それもいいかな』
「思い切り声を上げられるわ・・・はしたない声・・・
  面と向っては、誰にも聞かせられない恥ずかしい喘ぎ声を・・・・」
『なら、聞かせて欲しいな・・・あなたがオナニーで上げる声を』

「あっ・・・・・・」
私は彼のリクエスト通り、AV女優が上げるような声を作ろうとした。
だけど、喉元にせり上がって来た声の先端は
自分で聴いても作り物にしか聞こえない物だったので
私は慌てて、それを飲み込む。
『ほら、アソコを弄ってごらん・・・さっきのような声が出るよ』
彼は、ついさっきまで上げていた、私の声の事を言っている。
誠くんに弱い部分を愛撫され、我慢しきれなくなって
本当に感じてしまったあの声を・・・・。


私は、まだ濡れたままのアソコに神経を集中させた。
太股を何度も擦り合わせていくと、ムズ痒さが湧き起こって来る・・・。
閉じた瞳の中で、後ろ手に縛られている自分を思い浮かべる。
スカートも下着も剥ぎ取られて、下半身を無様に曝している私。
逃げ出せない私の足元に・・・
あの男が・・・インターホンの彼がいるの。
いつもの落ち着いた表情じゃなくて
ギラギラした脂ぎった視線で
私の剥き出しのアソコを、じっと見つめてる・・・・。
恥ずかしい! 凄く恥ずかしいのに・・・両足が開いていく。
彼に足首を掴まれて、強引に広げられていく股間。
・・・もう、息がかかるくらい近くに、彼の顔があるわ。
びっしょり濡れたアソコを・・・・
ああ、舐めてる! 舐めてるの!!
美味しそうに・・・ピチャピチャ・・・
クリトリスの周りを丹念に・・・。
そんなに舐められたら・・・本当に・・・本気の声が出ちゃう!
気持ちいいのっ!
ザラザラした舌が・・・ぁぁ・・・ぁぁあああ。

「はぁ・・・ぁぁ、そんなに・・・ああっ! 感じちゃうっ、感じちゃうわ!!」

思い切り背中が反って、手錠の鎖がガチャガチャと音を立てたけれど
私の耳にはほとんど届かなかった。
舌の感触が・・・想像で作り上げた感触が、甘美な刺激となって
背筋をゾクゾク!と駆け上っていった。
身体が震えて・・・・ほんと、本当に舐められている感じなの!

「はぅぅ・・・ぁぁ・・・私・・・・」
『いいですよ、私も興奮してきました・・・・』

感触のリアルさに恐れを抱きながら
うっすらと目を開けると、更衣室には誰もいない。
さっきのは・・・本当に妄想が生み出した刺激だったの??
下半身を見下ろすと、太股がキツく内側に捩れ合わさっていた・・・。

『久し振りに、こんなに固く・・・ぅぅ、ズボンの中が窮屈だ』

くぐもった声がインターホンから流れる。
彼が喋っている間は、足を伸ばして鍵を拾うチャンスなのに
どうしてしまったのか、私の頭の中で
リアルな中年男性のペニスが反り返っていて
それを振り払う事が出来ない・・・!
そして、足を少しでも動かすと官能的な刺激が湧き起こって
冷静でいられなくなってしまう!

『田辺先生のせいなんですよ、あなたが淫らに徴発するからです』
「私が悪いの? ・・・・・私、そんな」
『そうですよ、美しくて清楚な貴女が、こんな破廉恥な事をするなんて・・・』

破廉恥な行為・・・・そうよ、教え子に弄ばれながら感じてしまう・・・。
演技の為の妄想で、はしたない声を上げてしまう・・・女教師。

『だから、もっと淫らに・・・いいんですよ、もっと弄りなさい』

「いいの? 本当に・・・。軽蔑したりしない??」
再び太股を擦り合わせ始める・・・。
『軽蔑なんて・・・。もっと淫らな女を私に聞かせるんです』
目を閉じる・・・股下にロープが張られ、徐々に上に釣り上げられていく・・・。
弄りたいわ・・・はぁン! ・・・聞いて・・・紀子のオナニー!」

もう、鍵の事は頭の中には残っていなかった・・・。
淫らな妄想の中、股間に食い込むロープにアソコが擦られ
実際に、痛みに近い刺激が全身を襲う!

「あぅっ! ・・・ぅぅ・・・はンっ
ひぁああ・・・ン!!」
つま先立ちになりながら
ピン!と張ったロープにアソコを擦り付けると
悲鳴に似た喘ぎが上がる。
クリトリスも淫襞も、全部押し潰されて凄い刺激!
「はぁぁん! あぁぁん!・・・・食い込んでるの!
アソコが・・・オ○ンコが!」
腰を前後にスライドすると 段々と痛みが快感に変わっていく。 両手を縛られ、股間にロープを食い込まされて・・・ まるで拷問なのに・・・私、拷問されているのに こんなに感じちゃうなんて! ああ・・・でもっ、もっと続けて! 「ひぃぅっ! はぁぁぁん・・・ぅ いい、凄くいいのぉ・・・!」 もう、本当にイキそうよ! 彼か果てる前に、私の方が先にイッちゃうっ!! 演技なのに・・・もう、どうでもいいっ! イカせて! 誰か紀子を・・・・メチャメチャにしてっ!! 「はぅ・・・ぅぅ! はっぁぁ・・・ああンンっっ!! 全身が何度も痙攣した後に、フッと意識が遠のく・・・。 力が抜けた身体がゆっくり倒れて、背中からロッカーの扉にぶつかった。 ドスン!と鈍い音がして、じんわりとした痛みが 少しだけ頭の中をハッキリさせてくれた。 何度も深呼吸して、気持ちを落ち着かせようとする。 「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・」 「大丈夫、ですか??」 その声は何故かはっきりと、耳元で聞こえた。 でもそれは、用務員の彼の声だったので 私は荒い息のまま、インターホンのマイクに向かって話し掛ける。 「私・・・感じ過ぎちゃって、恥ずかしいけど・・・・」 演技をする余裕は私には無かった、本心を彼に告げてしまう。 「手錠をされたまま・・・だったんですか??」 彼の声に驚きの色が見える。 「ええ、だから鍵を・・・・・」 「これが、そのですね?」 (ガタン!) その音は、故意に鳴らされたように更衣室の中に大きく響いた。 「・・・・えっ!?」 壁のインターホンから、音のした方へ顔を向けると・・・そこには さっきまでスピーカー越しに聞いていた声の主が、更衣室の扉を背に立っていた! 「そんな・・・っ、どうして・・・・嫌っ! 来ないで!!」 パニックになっている私に、平然とした顔で近付く彼! 恐怖に駆られた私が叫び声を上げるより一瞬早く、彼の大きな手が私の口を塞いだ。 「部屋に入って丁度、あなたのイッた顔が見れて良かったですよ」 180センチはあるだろう身長で、上から見下ろしながら 彼は落ち着いた口調で言い放った。 駄目っ! 私、犯される!! 彼から逃げようと必死に身を捩っても 手錠で両手の自由を奪われ 男の強い力でロッカーに押し付けられると身動き出来ない! 「ほう、マニアな小道具を使っているんですね」 私の抵抗にも少しも動揺せず、彼は私の両手に巻かれた革製の手錠を覗き込んだ。 「一人で着けたんですか?」 一瞬、私の顔色が変わるのを見た彼も、表情を強張らせて呟く。 「こいつ・・・もう、御主人様がいるのか・・・・」 誠くんの存在がバレた訳ではないけれど、私はひどく動揺して 抵抗も止めて、彼から視線を逸らしていた。 そんな私を見て、彼は意外な事を言う。 「いいですよ、貴女の御主人様が誰か?なんて・・・詮索しませんから」 しかし、私の肩をつかんでいた彼の右手は 容赦無く、私の左胸を鷲掴みにして捏ね回し始めた! 「御主人様の許しが出てるようですね。こんな所に繋がれたままでいるのは・・・」 (んっ! んんっ・・・くぅっ!) 「この間も・・・そして今日も、御主人様に可愛がれていたんですね??」 私からを聞き出そうと、大きな手で胸ごと鷲掴むと、ブラウスのボタンが 千切れそうになるくらい強く捏ね回す。 自慰行為にしては、ちょっと激しい乱れ方でしたからね」 指先に力を込めながらも、彼は笑みさえ浮かべている。 そして、涙目で痛みを訴える私に冷たく言い放った。 マゾ教師は、これくらいで音を上げちゃいけませんよ」 マゾ? マゾヒスト?? 誠くんも何度か指摘したけれど・・・。 違うわ! 私はそんな変態なんかじゃないっ。 これは誠くんが・・・あぅっ、痛い!! お願い止めて! 「そうですよ、その眼がいいですね・・・田辺先生」 私は、彼の言っている意味が分からなかった。 さっきの表情とどこが違うと言うの?? でも、私は、彼が容赦なく与え続ける苦痛に 耐え続けなければならなかった。 もう逃れられないのなら・・・このまま犯されるなら せめて、優しく。優しく抱いて欲しい! でも瞳で懇願しても彼は動じなかった。 心の中の微かな希望が消えていって、絶望感が満ちて来る。 この先受けるだろう屈辱的な行為を思い浮かべて 私の目から痛みとは違った涙が溢れ出て、頬を伝った・・・。 「やっと、その気になってくれましたか」 私の顔を見て、何故だろう? 突然彼の強引な愛撫が止んだ。 それだけでなく、痛みを和らげるように 優しく胸を摩りながら、片方の手で私の頬の涙を拭う。 「・・・乱暴しないで下さい。何でもしますから・・・」 私は全てを諦めて、うつむいた・・・・。


<サディステックな放課後(前編)・終>

<次章「サディスティックな放課後(後編)」>


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