官能小説・女教師紀子
女教師・紀子


第二十三章:休日の生活指導(前編)


「あれ・・・? 紀子?? やだ、久し振り〜っ!」

やっとの思いで縦列駐車を済ませて
運転席で深い溜息をついていた私は、聞き覚えのある声に顔を向けた。

「なんか、縦列でモタってる外車があるから
 どんな奴が乗ってるんだろうって覗いたら、紀子だったなんて〜」
「・・・和美?、あ、ほんと久し振りね」

大学時代の同好会の友人、和美が歩道から私を見下ろしていた。

「久し振りったって、卒業して半年も経ってないけどね〜。
 勤務先、この辺だったんだ?? 確か、私立中学の先生だったよね?」
「う、うん・・・でも、学校も自宅もここからは遠いわよ」

懐かしい友人との思いがけない再会だったけれど、素直には喜べなかった。
知り合いと顔を合わせないように、自宅からも学校からも反対方向の駅前を
待ち合わせの場所に選んだのに・・・。
逆に、偶然を呪ってしまう。

「私立の教師って、お給料いいんだね〜。それ、フランス車でしょ??」
「う、うん。でも、知人から借りた車だから・・・・」

「そうなんだぁ・・・昨日、その車で酔った彼を送ってあげたのね」
「・・・・え??」
和美は口元をニヤニヤさせている。
「そして、今日は彼に車を返すついでに、お礼のデート・・・って訳?」

「そ、そんなんじゃないのっ・・・違うのよ!」

友人の勘違いに、私は必要以上に取り乱してしまう。
「そんな強烈に否定しなくたって・・・ま、でもね
 その格好で言い訳されたって、説得力ないわよ〜」
和美の視線が、これ見よがしに私の胸元や腰周りを嘗め回す。

「そ、それは・・・・」
「ま、いいわ! 実は私もこれからデートなのよ。だから
 紀子を問い詰めるのはまたにするわ。じゃあ、お互い楽しんできましょ!」

口ごもる私を責めずに、和美はミニスカートを翻して駅の方へと歩いていった。
すれ違う男性のほとんどが、彼女自慢の美脚に見とれて振り返る。
でも、和美はその視線を意識する素振りも見せずに、雑踏の中に消えていった。

「・・・私は、和美のようにはなれないもの」

知り合った頃から、男性との付き合いに積極的だった和美に
ある意味、女としての憧れのような感情を抱いたことはあったけれど
到底、自分にはそんな勇気なんてない事は分かっていた。

「でも・・・今は、どうなの?? こんな服を着て
 中学生の教え子とデートする私は、あの頃と一緒なの?」

建物の影から、不安げな顔をして現れた一也くんを視界に捕らえながら
私は、そう自分自身に問い掛けていた・・・・。



昨日、職員室であんなに嬉しそうにしていた一也くんだったけれど
助手席に収まってからは、緊張してるのか
話し掛けてもほとんど応えてはくれなかった。

どこに行きたいか、最初に尋ねても曖昧だったから
私は、あらかじめ考えていたドライブコースを走ってる。
街を抜けて山道に入ると、車窓の外は緑でまぶしい景色へ変わっていた。


「ほんと、天気が良くて良かったわね」

緩いカーブにハンドルを切りながら
私は、今日何度目かの同じ内容の台詞を口にしていた。
「・・・・うん」
だけど、返って来たのはそれまでの返事と同じ
感情の篭ってない言葉だったの。

「一也くん・・・・やっぱり、気になる? 先生の格好」
「・・・・っ!」

ハンドルを握って前を向いていても、助手席から
言葉を詰まらせる一也くんの様子が覗われる。

「先生のこんな服装・・・変かしら??
 学校での雰囲気と違ってて、戸惑ってしまう?」

私は、わざとフロントグラスの先を見つめながら
一也くんが抱えてる胸のつかえを取り除こうと言葉を繋ぐ。

「それは・・・・・」

短い言葉の後の長い沈黙の中に
一也くんの戸惑いと熱い視線を感じる・・・。

ノースリーブの白いサマーセーターは
私ぐらいの年齢の女性が着てても
さほど違和感は無い物だったけれど
薄地のジーンズ生地に包まれた腰から下は
私を想ってくれている一也くんでなくても
男の子なら正視するには躊躇う姿だったの。

もし、その当然の反応を覚悟してなかったなら
きっと私、運転中でも構わずに
その視線から逃れようと抗ってたはずだった。

「・・・うん、少し驚いてるけど・・・」
「・・・けど?? 嫌じゃない?」
「・・・・・うん」

腰のラインを余す所なく際立たせてる、ジーンズのショートパンツから伸びた脚が
太股からショートブーツのつま先まで教え子の視線に曝されて、羞恥を強く感じながらも
私は、彼の素直な返事に安堵の表情を浮かべてた。


昨日の職員室での恥ずべき情事から仕組まれてただろうこのレールに
私は自分の意思で乗っていたの。

いつものように車で送られた時、聞かされたデートプランに半信半疑だった私は
朝、マンション前に停められてた決して安くはない外国車を見て一瞬たじろいだ。
これが誠くんの100%の善意じゃないのは承知していたけれど
今日のデートの目的を誠くんと同じ思惑でいた私は
多少の不安を抱きながらも、彼の提案に乗せられる事にしたの。

たとえ、デートを盗み見られても、それをインターネットで曝されて
再び誠くんの歪んだ欲求を満たす材料になっても
今は一也くんの事を一番に考えてあげたかった。

それに・・・どんなデートをしようと、元々、誠くんが仕組んだもの。
きっと誠くんは私達を監視して、強引にでも自分の思惑通りに仕向けてくるわ。
だったら、彼の目から逃れるのにビクビクしてるより
彼の用意した車に乗り、車内にあった服を身に着けてデートした方が
いくらかマシなのかも知れない・・・。


「嫌じゃないって事は、好きって事・・・で、いいのかしら??」

視線は前を向きながら、私はわざとシートの上で
お尻を強調するように身じろぎする。

「・・・・う、うん、紀子先生・・・その服、すごく魅力的」
「うれしいわ、一也くん・・・ありがとう」

彼には横顔だけの笑顔だったけれど、緊張を癒す薬にはなったみたい・・・。
デートコースとして選んだ山頂の展望台までの間、楽しい会話が車中に満ちた。
そして、リラックスした雰囲気の中で時折感じる一也くんの想いのこもった視線は
少しずつ、私自身の気持ちをも昂ぶらせていったの・・・。



展望台の駐車場は、さほど混雑はしていなかったので
すんなりと停める事が出来た。
家族連れのワンボックス車の影になるように停めた車内で
私は、ハンドルを握ってから初めて、助手席の一也くんと向かい合う。

こんな場所だけど・・・もし、彼が求めてきたら・・・・。

デートの真の目的地はまだ先だったけれど
私は、このいい雰囲気を壊したくなかったから
もし彼に求められたら、ある程度は許してしまってたかも知れない・・・。
でも、そんな心の葛藤は、一也くんの顔色を見て吹き飛んでしまう。


山道でのカーブの連続のせいで疲れてしまった一也くんの為に
私は車から降りて、展望台の売店で冷たいジュースを買い求める。
でも、山頂の抜けるような青空と澄んだ空気のせいで
まっすぐ車には戻らず、少し寄り道をしてしまっていた。

目の前に広がる深緑の公園に足を止めて、展望台のベンチに腰掛ける。
大きく背伸びをして深呼吸すると、澄んだ山の空気が身体中に満ちて
いろいろあった一週間の疲れが癒されていくように感じた。

「このまま、どこかへ行っちゃおう・・・かな」

抱えた悩みも仕事も、全て放り出して
遠いどこかへ一人旅する誘惑に捕らわれて、私は独り言していた。

「じゃあ、僕らとどこか行きませんか??」

誰もいないと思っていたベンチの後ろから声がする。
振り返ると、大学生風の男性が二人・・・私に笑顔を向けて立っていた。

「お一人だったら、僕ら、付き合いますけど・・・どうですか?」
オシャレな服に髪の毛は少し染めて、見るからに軟派な男達だったけれど
私を年上だと見て、意外と丁寧な言葉でナンパをする。
「あ、そこいいですよね??」
そして、半ば強引に私の両隣に座って口説き始めてしまったの。



「僕らも、天気が良かったから気分転換に上がってきたんですよ」
「カラオケや飲み屋ばかりじゃ、やっぱ不健康ですしね」

さわやかに語る言葉とは裏腹に
あからさまではないけれど
彼らの視線は私の胸元や脚に注がれていた。
きっと、ここに来てるのも単にナンパが目当てみたい。

「もし、お邪魔じゃなかったら
 昼飯とか一緒にどうです??」
「いつも行ってる美味い店
 ここから近いから案内しますよ」

誠意を込めた言葉で口説きながら、ベンチの両端から
私を挟み込むように擦り寄ってくる二人。
手を伸ばせは届きそうな距離にまで近付くと
彼らの笑顔の奥に淫らな下心がはっきりと感じられた。
女を値踏みするような視線が
私の身体に絡みつく・・・。。

「食事の後、家へ送ってもいいしさ」
「そうそう、強引に引き止めたりしないし」

でも、どうしてだろう・・・。
今は嫌悪感より好奇心の方が勝ってしまう。
もし二人について行ったら・・・と考えても
恐怖感は生まれてこない。
ドライブだけ、食事だけじゃ済まないって分かってるのに
私はベンチから立ち上がれずにいたの。

一也くんの為だけに
こんな男を誘う服を身に着けてるのに・・・。
一也くんに見つめられて
こんなに気持ちが昂ぶってしまってるのに・・・。

二人の肩が同時に私の肩を挟み込む。
意識させるように、何度か私の剥き出しの肩に日焼けした腕を擦り付けた後
彼らの手が、そっと私の太股に置かれる。
ストッキングの感触を確かめるように太股を優しく撫でながら
耳元に息を吹きかける二人・・・・。

「ねっ、いいだろ・・・君もこんな服を着て、その気で待っていたんだろ?」
「・・・・せんせいっ!」


耳元で囁かれた言葉がより大きな言葉に遮られる。
三人が同時に振り返った先には、顔色の悪い男の子が眉間に皺を寄せて立っていた。
そして、ベンチの前に回りこむと、私の腕を掴む。

「・・・な、なんだよ、お前は・・・・?!」

両端の彼らが語気を荒げる前に、私は自分から立ち上がり一也くんの隣に立った。

「ごめんなさい、私の弟・・・ちょっとヤキモチ焼きだから、これで失礼するわね」

そして、今度は私が一也くんの手を引いて強引にその場を立ち去る。
チラリと振り返ったベンチには、困惑した顔をして私達を見送る二人がいた。



展望台の駐車場を後にして、しばらく走った先で
私はハンドルを左に切ると、数件並ぶ派手な建物の駐車場へ車を乗り入れていた。

建物下の駐車場の薄暗さに、少し不安げな一也くんを促して車から降りると
近くの階段を登って、小さなロビーに出る。
フロントで手続きを済ますと、小さなエレベーターでキーの番号の階まで上がった。

「紀子先生・・・ここって、その・・・・」

部屋に入って、ようやく一也くんもこの建物の意味が判ったみたいで
大きな鏡が並ぶ部屋の中央に設えられた大きな丸いベッドに、驚きの色を隠さない。

「ええ、想像の通りよ。ここで少し休んで、食事もしていきましょう」
「・・・え? 食事??」

ラブホテルエッチをするだけの場所だと思い込んでた一也くんを
私は微笑ましく思いながら、フロントに電話を入れてルームサービスを注文する。
テレビを見ている間、さほど待たずに簡単なランチが運ばれて来て
部屋の窓際のソファーで少し早めの昼食を取る。
食事と休息のお陰で、一也くんの顔色もだいぶ良くなってきてくれた。


「さっきは、ありがとう・・・でも今日は人前では、先生って言わない約束よね?」
「あ・・・ご、ごめんなさい・・・・」

あの時、約束を忘れて叫んでしまった一也くんの気持ちは十分分かっていたから
私に、本気で非難するつもりはなかった。
そう・・・非難されるのは、私の方なのだから・・・。

「ううん、謝るのは先生の方だわ・・・今日は、一也くんとのデートなのにね」

私は一也くんの隣に座り膝を寄せると、彼の手のひらにそっと手を重ねた。

「ごめんなさい、一也くん・・・嫌だった? ナンパされて、先生が逃げなかった事」

うつむいてた一也くんが顔を上げる。

「先生は・・・紀子先生は、清楚で綺麗で優しいから・・・だから
 先生を汚すような目で見る奴は・・・許せなかったし
 そんな奴の話を黙って聞いてる先生の姿も、僕、凄く嫌だった・・・」


そうなんだわ・・・・。

保健室で告白してくれたように
私を自慰行為の対象にしてる事に強い罪悪感がある一方で
過度に私の汚れた下着に興奮してしまう一也くん・・・。
彼は、私に理想の女性像を思い描くあまり
逆に、清らかな物を汚したい負の衝動に突き動かされてるのかも知れない。
二律背反な心理が、一也くんに歪んだ欲求を抱かせてるんだわ・・・。

「じゃあ、一也くんは先生を汚した事は他にはないのね??」
「・・・・えっ??」
「保健室で聞いた、私を思い浮かべてする一人エッチ以外・・・私を汚してはいないのね?」

ドライブの疲れから回復しかけていた一也くんの顔色が
みるみるうちに悪くなってゆく・・・。

「さっき、怒ってくれた時・・・先生、凄くうれしかった。
 汚されてしまいそうになるのを助けてもらえて、うれしかったの。
 だから、一也くんには汚れた気持ちで先生を愛して欲しくないの。
 愛してくれるのなら、清らかに先生を愛して欲しい・・・」

膝の上で握り締められてる拳から彼の震えが伝わる。
私は、重ねた手を包み込むように添えた。

「せんせい・・・僕、先生を・・・こんなに好きなのに・・・なのに・・・」

そこからは声にはならなかった。
でも、言いたい気持ちは十分に伝わったので、私は愛情をこめて彼の頬にキスをする。

「大丈夫よ、ちゃんと正しい異性の愛し方を知れば、一也くんも悩まなくて済むわ。
 愛する女性と悦びを分かち合える愛し方・・・先生が、ここで教えてあげる」




汗を落として、シャワールームの扉を開けた私は
パウダールームに、わざと脱ぎ散らかした下着に目をやって安心する。
下着のどれもが、脱いだままの形を保っていた。

素肌にバスローブだけを羽織って、ベッドルームを覗き込むと
先にシャワーを済ませた一也くんの背中が見える。
やっぱり、緊張してるのかしら??
広いベッドの端に落ち着きなく腰掛けて、部屋のテレビを見つめている。

恋人同士だったら、後ろから忍び寄って背中に抱き付いたりして
じゃれ合う事も出来るけれど、今の一也くんだと逆効果になってしまいそう・・・。
私は忍び足を止めて堂々とベッドを横切って、彼の横に座る。

「テレビ、点けてた方がいい??」

愛し合う時間にテレビは邪魔だと、非難したつもりじゃなかったけれど
慌ててリモコンでテレビを消す一也くん。
そして沈黙の中、うつむいたまま固まってしまう。

私は、心の中で小さな溜息をつくと
背伸びをしながら倒れこんで、シーツの上に仰向けに寝転がった。
部屋に入った時には気付かなかったけれど、ラブホテルの寝室だけあって
ベッドの周囲だけでなく、真上の天井にも大きな鏡が張られていて
どの角度からでも、愛の営みが見られるようになっていた。

「ねぇ、一也くんも寝転がってみて・・・天井に鏡なんて、凄くイヤらしくない?」

私の声に、呪文から覚めたように一也くんが反応する。
並んで横になって、一緒に鏡張りの天井を見上げる。

「愛し合ってる自分の姿を自分で見るなんて・・・変な感じがしない??」
「・・・・先生は、イヤなの??」

一也くんが少し困った顔をしてこちらを見ている。
まだ半信半疑でいるのかしら??
私がこの部屋を気に入らなくて、レッスンを止めてしまうと本気で考えてるみたい・・・。

「そうね・・・最初に一也くんからキスしてくれたら、嫌じゃないかも」
「え・・・?」

ベッドの上で横になりながら、しばらく見つめ合う・・・。
一つ大きく息を吐き出して、一也くんがソロソロと身体をこちらに寄せてくる。
やがて、息がかかるくらいにまで二人の顔が近付いた。

「最初は、一也くんが好きなようにしてみせて・・・先生が添削してあげる」


そう言って、瞳を閉じて唇を突き出すと、すぐに唇に彼の唇が重なった。
少し震えながら唇を押し付けてくる力に身を任せて
仰向けに寝そべって、キスを受け止める。

ただ唇を重ねるだけのキスが続く・・・。

私は、自分の唇を上下に蠢かせるキスの基本を彼に教える。
すぐに一也くんもレクチャーに応えて、私の唇を優しく愛撫してくれる。

優しいキス・・・飲み込みが早いのね、とっても上手だわ。

うっすらと目を開けると、また少しぎこちないけれど
一也くん自身も瞳を閉じて、情感のこもったキスを味わっているようだった。


キスの基本を覚えた彼に、今度は応用を教える。
私は腕を回して肩を抱くと、一也くんの身体を優しく引き寄せた。

唇の密着度が増して、より濃厚なキスになると
一也くんも同じように、私の肩を抱いて身体を重ねてきた。
身体の重みで、私の上半身も柔らかなシーツに沈み込む。

「・・・ん・・・っ、ん・・・ふ・・・ぅ」

キスを受け止めながら、鼻を擦り合わせて
彼の呼吸に自分のを重ね合わせる。
息遣いが少しずつ荒くなっていくのを感じると
胸の奥から愛しさがこみ上げてきて
私は、彼の頬に添えていた手を首筋から襟足へ滑らせて、指先で優しく撫でつける。
濃密なキスと、優しい愛撫・・・優秀な教え子は、すぐにそれらを私にも与えてくれる。


「ぅん・・・はぁ・・・いいわよ、とっても素敵なキスだわ・・・」

その心地良さに、レッスンを忘れてしまいそうになる自分を奮い立たせながら
教え子に自信を抱かせる言葉をかける。
覚えたてのキスを誉められて、一也くんも素直に微笑んでくれた。

「今度はね、舌を突き出してみて・・・そう、舌を絡めるの・・・」

見つめる彼の唇から躊躇いがちに舌が突き出されると
私も顎を突き出して、自分の舌の先で彼の舌を優しく突付いた。

二人の視線が交錯する一点で、濡れ光る舌先が艶かしく蠢く。

躊躇いがちに何度も触れ合い、名残惜しげに何度も離れた後
まるで、相手を取り込んで食そうとするかのように
二匹の軟体動物はお互いに絡み合って一つに交わった。


「あ・・・んっ・・・(ぴちゃ、ぴちゅ)・・・はふ・・・ぅん(ちゅぷ、ちゅぷ)」

覆い被さってる彼の口から絡み合っている舌を伝って
が滴り落ちてきた。
濃厚なキスのせいで
もうたっぷり口の中に溜まっている私の唾液の中に
彼のが混じり合い、一つになる・・・。

まるで、愛液と精液とが
交じり合うかのような濃密な淫靡さに
私は教える立場も忘れて
本能的に彼の頭を掻き撫でていた手を引き寄せ
唇を大きく開いたまま、彼の舌を根元ごと引き入れてた。

そして舌を絡めたまま、滴る彼の唾液を啜り取ると
情愛を込めて、躊躇わずに飲み下していく。

「・・・ふ・・・んっ、くぅん、ぅっ、んんン・・・ふはぁぁ」

二人分の唾液を飲み干すと
私は息苦しさから一也くんのキスから逃れた。
「先生・・・っ、はぁ、はぁ、紀子先生・・・・」
一也くんも同じように荒い息をついて、私の肩に顔を埋める。

昂ぶったお互いの気持ちを受け止めた後は
まるで情事が終わった時のように、気だるい余韻が残る。
これが彼にとって初めての情事だったなら
ファーストレッスンは、ここまでにしてたかも知れない。

でも、二度もその味を体験している彼に
ここでお預けにする程、私は残酷じゃなかった。
上半身に覆い被りながら、無意識に肌を擦り合わせてる一也くんを
横向きに導いて、そっと手を彼の股間に滑り込ませる。


「・・・・紀子先生」
「もう、十分・・・なのね。一也くん、ぁぁ素敵よ・・・」

濃厚なキスで肌蹴たバスローブから露になってる
ブリーフを押し上げて十分に勃起してる彼のペニスに
優しく指を這わせながら、私は心を込めた言葉で囁く。

「一也くん・・・もう、たまらない?? 我慢できない?」

その言葉は、私自身の心の裏返しだった。
教える立場として、自分から求める事は出来なかったから
教え子の懇願を引き出そうとしてる・・・。
そして、彼もそれに気付いてるかのように
ペニスを指で弄られて恍惚の表情を浮かべながらも
昂ぶった気持ちを押さえられない私の表情を見つめていた。

「・・・うん、先生・・・僕、もう我慢できないよ」

彼の肯定の言葉に、はやる気持ちを押さえながら
私は、指先でブリーフの間から勃起したペニスを弄り出すと
身を沈めるように彼の股間に顔を近づけていった。
そして、開いた片方の手でバスローブのポケットから
パウダールームに置かれていた避妊具を取り出して封を切る。

「愛し合う前にはこの儀式が必要なの・・・でも、一也くんは
 まだ経験がないだろうから、最初は先生が着けて見せてあげるわね」

出来るだけ刺激しないように、勃起した肉茎を優しく扱いながら
コンドームをペニスに被せた。
薄いゴムの皮膜に覆われた男性器は妙に愛らしくて艶かしい・・・。
悪戯したくなる衝動を振り払って
私は身体を引き起こして、一也くんと再びキスを交わす。


腰紐の外れてバスローブの前が肌蹴たまま
身体を寄せて、両手を一也くんの背中に回す。
厚手のタオル地に指を絡めながら、横向きに抱き合う姿勢から
正常位で愛し合えるよう、彼をリードした。

覆い被さる彼とベッドに身体を挟まれると
愛されている悦びを強く感じてしまう。
正常位が愛を一番感じられる体位なのは
彼の重みを全身で受け止められるからなのかも知れない・・・。

「一也くん・・・愛して、先生を愛して・・・・」

名残惜しくキスを止めて、情感を込めて囁きながら
仰向けに膝を立てると、お互いの下半身がより強く密着する。

「・・・・うん」

まだ伸び切っていない自分の身長では
キスをしたままでは交われないと気付いた一也くんは
少し身体を起こすと、少しずつ腰を沈める。
そして、緊張した手つきで二人が繋がるべき個所を弄る・・・。

「・・・・あっ、先生・・・?」

一旦辿り着いた彼の指先が、驚きの声とともに躊躇う。

「驚いた、一也くん?? 上手なキスのせいで、先生
 こんなに淫らにされちゃったのよ・・・」

バスローブの下に下着を身に着けていなかった驚き以上に
一也くんは、愛撫を始める前からこんなにも愛液の滴らせてる秘部に
驚き、戸惑ってるようだった。
指先に濡れ光る、キスだけで溢れ出た愛液をじっと見つめ続けてる。

「だから・・・お願い、焦らさないで・・・早く、先生を愛して」

彼の手が、再び股間へと滑り降りていく。
指先でその位置を確認すると、自分の股間に手をやった。

あぁ・・・早く、早く来て欲しい!!

数センチの距離にまで迫ってるだろうペニスの先に向かって
自分から腰を突き上げて求めてしまう衝動を必死に堪えながら
一つに繋がる瞬間を待ち望んだ・・・。

「そこ・・・そこよ、一也くぅん・・・ぁぁ、そこに・・・ぃ!」

凄く長く感じる時間の中で、ペニスの先が秘部にそっと触れて
濡れた肉襞を少しずつ・・・ぁぁ、そんなに焦らせないで!・・・少しずつ
掻き分け、押し広げて私の中に入っていく・・・。

「ぁあ・・・っ! 一也くん・・・っ、いいわ! あぁぁ・・・はぁぅ」

すっかり発情の蜜に塗れた膣の入り口でも
ペニスと肉襞が擦れて、キスでは味わえない
痺れるような甘美な刺激が全身を包み込んで私の口から
歓喜の喘ぎを零れさせた。

そうよ・・・そうなの! そのまま奥まで・・・奥まで突き入れて!!
先生のオマ○コを、奥まで犯して・・・っ!



「ぁっ・・・ぁぁ、はぁ!
 ぁぁぁ・・・っ、はぅぅン!!」

少しずつ・・・少しずつ押し込まれていく
一也くんのペニスが、私の口から
糸を引くような喘ぎを搾り出させた!

「先生・・・紀子先生・・・っ!!」
「か・・・一也くん・・・ぁぁ、一也くぅん!」

ペニスを根元まで突き入れたまま
喘ぐように私の名を呼ぶ一也くんを
私は強く抱き締めてた。

無意識に、開いた脚が跳ね上がって
腰が沈みこむ・・・。
ほんの少し挿入の角度が変わっただけで
より深く強く、二人の性器が
一つに繋がっていく・・・!

一也くんの背中に回した両手が
バスローブを弄りもみくちゃにしていく。
弾けるような官能は湧き起こらなくても
一つに繋がった性器から、押し潰された胸の頂から
ジンジンと痺れるような官能の波が押し寄せて
私を飲み込んでしまうの!

「愛されてるわ・・・先生、一也くんに凄く愛されてる!」

跳ね上げた両足をクロスさせて、一也くんの腰を強く引き寄せる。
頭の中に、埋め込まれたペニスの形が詳細に浮かんでは消える・・・。
もうこれ以上深くは交われないのに
発情した本能が、彼にしがみつきながらグイグイと腰を突き上げている。

天井の鏡に写った、そんなはしたない姿を目にしても
引き出された貪欲な性欲は、私に恥じらいすらも与えない。

絶え間なく湧き起こり続ける官能の波に抗うように、彼の背中を掻き毟り続けながらも
突き立てられたペニス、覆い被さる重みに
女として愛されてる悦びを身体中で感じながら
すぐに訪れてくるだろう歓喜の淫欲を待ちわびる!


もう少し・・・ぁぁ、もう少しなの!
もう少し乳首を・・・もう少しクリトリスを押し潰されたら
私、それだけでイクわ! 果ててしまう!!

女としての悦びを一番感じる瞬間まで・・・あと少し・・・一也くん、あと少しなの!

あなたの視線に曝されて、熱く燻ったまま
見知らぬ男達にフェロモンを撒き散らしてた
恥知らずの私の身体が、もうすぐ・・・あなたのペニスで満たされる!

理性も立場も全部忘れ去って、浸れる甘美な快楽・・・・。
身体だけじゃない、心の奥までもが溶け出して一つになれる・・・。

ぁあ、早く・・・早く、紀子にそれを与えて!!
何もかも、一也くんと一つになりたいの!


「先生・・・っ、好きだ! 好きだよ、紀子先生っ!!」

「一也くんっ! 先生も好きよ・・・大好きっ!!」

「あ・・・愛してるんだ、僕! 先生をこんなに・・・こんなに愛してる!!」

「愛して・・・一也ぁ・・・紀子を、もっと愛してぇ!!」

今までにない強い力で抱き締められて、一瞬息が止まりそうになる!
その苦しさに、彼の腕を握り締めた瞬間
くぐもった喘ぎを漏らしながら、一也くんの身体が小刻みに震えた!

「せんせい・・・っ、せんせい・・・っ・・・」

私の胸に顔を埋めたまま、何度も身体を震わせて一也くんの射精が続く・・・。
そして数度の震えの後、身体中の力が抜けたようにぐったりと
私の身体の上で、射精の余韻に身も心も浸してまどろむ一也くん・・・。


「・・・・せん・・・せい」

荒かった呼吸がようやく落ち着くと、一也くんは私に声をかけた。

「先生は・・・よかったの? 僕・・・身勝手じゃなかった??」

さっきは、あんなに力強く抱き締めながら私への愛情を熱く語ってくれたのに
欲望を放った後は、いつもの気弱な彼へと戻ってしまっていた。
そんな彼に、愛する事に自信を持ってもらうため、私も優しく言葉を返す。

「ええ、先生も・・・凄く感じたわ・・・凄くよかった・・・」
「ほんと?・・・・よかった」

安堵の言葉と同じように、まるで役目を終えて力を失った性器が
秘部から抜き取られるのが分かる。

「・・・・・・」

でも、これまでにも
射精したすぐ後に逞しさを回復して、私を困らせた一也くんだもの
少し休めば、あの時のようにまた・・・・。

「一也・・・くん・・・」
「・・・??」
「あ、ううん・・・先生、シャワー使って来るわね」

心底疲れてる彼の表情を見て、私はすぐに頭の中を切り替えてた。

きっと、車中の疲れがまだ癒えてないんだわ・・・。
それに、今日は正しい愛し方をレクチャーするためのデートなんだから
彼が満足して、愛し方に自信を持てたなら、それでいいの。
せっかく上手く行っているのに、必要以上に彼を求めて
自信を台無しにしてしまう危険は冒したくないもの・・・。

「先生・・・僕、少し休んでていい?」

シーツに顔を半分埋めてまどろむ彼の髪を撫でつけながら、私は身を起こす。

「・・・ええ、ゆっくり休んでて」



肌蹴たバスローブの前を整えながらベッドから降りると
私はシャワールームに向かった。

シャワールーム内のバスタブの隣に設えられてる
三方をすりガラスに囲まれたシャワーボックスに入ると
ノブをひねり、たっぷりのお湯を素肌に浴びる。

でも、望んでいた程にはお湯の温度は上がってくれない。
肌には心地いい温度だけど、洗い流したいモヤモヤした気持ちは
身体の中に残ってしまう・・・。


「一也くん・・・もう、あんな事しないでくれるかしら・・・」

一旦シャワーを止めて、ボディーソープを含ませたスポンジを泡立たせながら
私は、漫然とした不安を口にしていた。

「私が・・・そう、彼を性欲の捌け口としてしまった私が
 最後まで責任を取らなくちゃいけない・・・」

全身に泡を身にまとうと、バラの花の香料が立ちこめた。

「今日のデートだけで、すぐに直ってくれるとは思わない。
 焦る必要はないけれど・・・何度抱かれなければならないのかしら」

目を閉じると、ベッドルームの天井の鏡に写った自分の姿が浮かんでくる。
まだ中学生の彼に、はしたなく抱き付いて肉欲に浸る私・・・。

「そう・・・抱かれる事自体は嫌じゃない。
 私、あんなに淫らに求めてたのだから・・・だけど・・・・」

再びシャワーノブをひねると、暖かい雨が肌に心地良く降り注ぐ。

「だけど・・・いつも、今日のように満たされないまま終わってしまったら」

ノブをさらにひねると、雫が肌により強く打ち付けられる・・・。

「こんなに火照ってしまってるのに・・・あんなに求めたのに
 満たされないまま我慢しなくちゃいけないなんて・・・そんなの・・・」

私は両手で胸を掻き抱きながら、目一杯ノブをひねって
夕立のように激しく打ち据えるシャワーの雨に
官能の疼きで弾けてしまいそうな裸体を曝し続けていた。


「分かってるわ、今日は一也くんの為のデート・・・一也くんの為のセックス。
 でも・・・でも、こんな中途半端なのは・・・ぁぁ、たまらない・・・っ
 イクまで・・・セックスでイクまで抱かれたい! 満たされたい!」

両腕に代わって、両手が胸の膨らみを玩ぶ・・・。
押さえきれない淫らな本能が待ち望んでた、その強い刺激に
私の口から、シャワールーム全体に響くくらいの喘ぎが溢れ出てしまう。

「ぁああっ、はぁぁ・・・あンっ、ンンっ・・・こんな場所で、一也くんに隠れて
 どうしてオナニーなんか・・・ぁぁぁ、でも、でもっ、凄く感じちゃう!」

こんな姿・・・シャワーに打たれながら、立ったままオナニーに耽る姿を
一也くんに見られたら、今までの苦労が無駄になっちゃうかも知れない!

正しい愛し方に、せっかく自信を持てたのに・・・。
もし、私がセックスで満たされていなかったと知ったら
自信をなくして、またあの独りよがりな世界に閉じ篭ってしまうかもしれない!

「止めなきゃ・・・我慢するのよ・・・・でも、どうしてこんなに気持ちいいの??
 一也くんとのセックスより、オチン○ンより、自分の指の方がいいなんて・・・っ」

乳首を弄っていたはずの右手が、本能の命ずるまま
無意識に股間に滑り降りて、秘部の肉襞を指で掻き毟ってしまう!


「ぁあ・・・こんな姿・・・あの二人が言ってた通りだわ」

股間を弄りながら目を閉じると、途中の展望台でナンパしてきた二人が思い浮かぶ。

「肌を露出させて、思わせ振りに振舞って・・・男を誘う淫らな女って言われて・・・」

彼らに言い寄られても、太股を撫でられても抵抗しなかった私・・・。
怖くて抵抗出来なかったんじゃない・・・ひょっとしたら、それを待ち望んでたのかもしれない。
車の中で一也くんの視線に火照らされた身体を抱えて、私、心の奥では望んでしまってたの??
二人に、あのままナンパされて、淫らに辱められる事を・・・!



「もし・・・あの時、展望台の駐車場で
 一也くんが車の中で寝入ってしまってたら。
 彼らにホテルに連れ込まれたら・・・」

恐ろしい考え・・・だけど、今の私はそれを望んでしまってる!
例え妄想の中ででも、一也くんを裏切って
もっと激しく・・・もっと淫らに弄ばれる欲求に身悶えてるの!


「ぁああ・・・そんな・・・ダメぇぇ・・・!!」

シャワールームの中、二人一度に弄ばれてしまう私!

後ろから抱きすくめられて
目の前で両方の乳首がこね回されてしまう!
そして、首筋へのキス・・・弱い耳をしゃぶられて
抵抗する力を奪われたまま
前からは股間へと手が伸びていくの!

「は・・・ぁぁぁっ、弄らないでぇ・・・
 ダメなの、そこ・・・そこ!」

こんな場所で・・・それも、立ったまま・・・
二人の目の前でイカされちゃう!
執拗に、丹念に、容赦なく責められて・・・
イク寸前まで昂ぶらされてしまう!
はしたない声を上げて、果ててしまいそう!!

「イヤぁぁ・・・!
 イキそう・・・紀子、もうイキそう!!」

二人の指が、前と後ろの淫らな穴を捕らえて離さない!
アソコを弄られてるだけで、すぐに果ててしまいそうなのに
アナルまで・・・いつの間にか性感帯になってしまってる、恥ずべき個所までもが
指先で辱められ続けて、私を恥辱の官能の虜に貶めてしまう!

「お尻は・・・ぁぁっ、お尻は・・・感じすぎちゃうの!
 ダメぇぇ、しないでぇ・・・辱めないでぇ!!」


汚されて、感じてる・・・っっ!!
一番大切な場所と一番恥ずかしい場所を・・・同時に男達に汚されて、私、感じてる!

「あぁぁ・・・オマ○コだけじゃなく、お尻で・・・お尻でもイッちゃいそうなの!!
 あんな、女を性欲の捌け口としてしか見てない男に辱められる妄想で
 私、どうしてこんなに感じてしまうの!?」

「汚されて・・・汚されてるのに、気持ちがいいの!!
 イキたい・・・イカされたい!
 汚らわしい二人に、このまま汚らわしくイカされたいっ!」

「ぁぁ、もっと・・・もっと紀子を、汚して・・・汚してちょうだいっ!!」



顔に降り注ぐ暖かい雨が、まるで射精された大量の精液のように思える。

全身を精液で汚されてる妄想が気絶しそうな恥辱を生み出して
私を、二度目の優しい絶頂に導いてくれる・・・・。


激しい水音と、官能の余韻の喘ぎが満ちる中で
私は、シャワールームの床に座り込んたまま
扉のすりガラスに写る影を、ただぼんやりと見つめ続けていた・・・・。









<休日の生活指導(前編)・終>

<次章「休日の生活指導(後編)」>


<第二十三章「あとがき」を読む>

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