第二十四〜五章インターミッション
「とある女教師の寝室」
自宅マンションに帰りついたのは深夜ではなかったけれど
長い一日が終わった疲労感でクタクタだった。
玄関を開けて靴を脱いだ私は、壁にもたれかかりながら大きなため息をつく。
マンションの前に今日のデートに使った車を止めたままだったけれど
あまり気にならない・・・。
誠くんが用意した車だもの、朝になれば何事も無かったかのように消えているに違いないわ。
車の事、その中にあった服の事、そして利尿剤・・・。
きっと誠くんが敷いたレールに、私も一也くんも乗せられていたんだわ。
そして、それを何処からか観察してて、一人で悦に浸ってる。
そうよ・・・君の思い描く通りの展開だったのよ。
私も一也くんも、正しい恋愛なんて出来ない人間
普通に愛し合うだけじゃ満足出来ない歪んだ性癖なんだって思い知らせる為に・・・。
でもっ、そんな事、君に言われたってしょうがないじゃない。
悪いから直せって言うの?? そんなのいい迷惑、お節介だわ!
心の中で悪態をつきながら、寝室に着替えを取りにも行かないで
そのまま、リビング横のバスルームへと足を運ぶ。
着ていた服を乱暴に脱いで、まとめて洗濯機に放り込むとスイッチを入れた。
下着も脱いで、洗濯機の上に乗せる。
帰りの車内ではあまり気にならなかった公園での情事の跡が
ショーツやストッキングにこびり付いて匂いを放っている・・・。
出来るだけ目に付かないように、それらをブラジャーでお団子状に縛り付けてから
私はバスルームへと入った。
いつもより温度を上げたシャワーを浴びた身体にボディーソープを塗りたくった後
リンスインシャンプーをたっぷり頭に振りかけて、身体中を泡だらけにする。
石鹸と花の香りに包まれると、二人の問題児への悩みを一時的に忘れられる。
しばらく香りを楽しんでから、熱いお湯で洗い流し、冷たい水で肌と心を引き締めた。
カラスの行水のような素早さでバスルームを出ると
私はタオルで水気を拭ってから寝室へ向かった。
そう・・・素肌に何も身に着けずに。
誠くんが部屋の盗撮を続けているかも知れない。
寝室のカーテン越しに全裸のシルエットが写ってしまうかもしれない。
でも、それでもいいの。
あんなバカな事した後だもの、奔放に振舞いたくなったっていいじゃない。
特に今日は、公園で教え子とあんな大胆なセックスをする事と比べれば
裸のままベッドに腰掛けて髪にドライヤーをあてるなんて
羞恥心も感じずに平気で出来てしまう。
いろんな男性経験を重ねて、私、少しスレて来ているのかな??
薄暗い寝室の中、枕もとの間接照明に照らされて艶やかに光る肌や
張りがあって、桜色の蕾を誇らしげに突き出している胸や
肉付きのいい腰から太股・・・細く締まった足首まで
大学生時代、付き合っていた彼と平穏な恋愛をしていた時と比べて
ひどく女らしい色香をたたえて来てさえもいるし・・・。
ううん、そんな事ないわ!
よく男性経験が女を美しく変えるなんて記事を雑誌などで目にするけど
愛のないセックスでも女が変わるなんて、身勝手な男の妄想に過ぎないわ。
裸でいられるのも男性の目を気にしなくていいからよ。
愛する彼がいる前で、こんな大胆な格好をして平然と振舞えないわ。
そんな思いを巡らせている中、不意に電話が鳴ったの。
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