女教師・紀子




 第二十七章:後悔の記憶(前編)



目が覚めるとそこは保健室のベッドの上だった。
見覚えのある天井とベッドの周囲を取り巻く白いカーテン…。
少し硬めのマットレスに身を沈めて、私は仰向けになって薄い布団を掛けられた状態で寝ていたの。

「私…。保健室でどうして…」

頭もひどくぼんやりとしていて記憶がはっきりしない。
それでも考えようとしたのはカーテンを通して差し込んでいる陽の光がお昼頃なのを示していたから。

このまま寝ていたら今日の授業を全てキャンセルしてしまいそう。
他の先生方に迷惑をかけるだけじゃない、真面目に宿題をこなして予習もしてきてる生徒たちの期待に応えられないの。

身動ぎしてさらに周囲の状況を確認しようとしたけれど、少し動くだけで身体が鉛のように重くて手で掛け布団さえも除けられなかった。
だけど無理に動こうとしなければ不快感はなくて、じっとしていれば身体はむしろ軽く感じている。
諦めて天井を見つめて、思い出せる範囲で今朝の出来事を順に追っていると。

「お目覚めですか? 田辺先生」

記憶を辿っていた私に静かに声が掛けられた。
ベッドと保健室内を仕切るカーテンが開かれる。

「五十嵐…先生?」
「ご気分はいかがかしら? 吐き気や目眩はありませんか?」

現れたのは白衣をまとった細身の三十代くらいの女性だった。
五十嵐由美先生。この学校の学校医の先生だったの。
学内では生徒の健康診断や比較的大きな怪我の治療の他は、普段は近くの医院に務められていて保健室でお会いするのは初めてかもしれない。
先生の顔を見て今朝ここで治療を受けた記憶が甦ってくる。
確か体温や血圧などを測られて、水と薬をいただいてベッドで休んだんだわ…。


「いいえ。大丈夫です」
「それは良かった
「あの…。私は」
「ホームルームの前に教室で倒れられたのです。思い出せないのですか?」
「はい……」

ホームルーム中の教室で??
そう言えば、自分が担任している教室からここまで誰かに付き添われて歩いてきた記憶もある。
でもどうして教室でなんて…。

「市販の睡眠導入剤を飲んで頂いてますから、頭がぼんやりしたり身体がだるい感じがしばらく続くと思います。
 このまま様子を見て問題がなければ帰宅していただき、問題が生じていれば午後から医院で精密検査を受けていただきます」


髪をアップにしてメガネを掛けている五十嵐先生は外見のイメージ通りの落ち着いた声で説明してくれた。
その間にも体温と血圧を測り、カルテに記載する。
私はただベッドに寝ているだけで時間だけが無為に過ぎていく。

「この後、今日の授業に出られるでしょうか?」

保健室の机から運んできた椅子に座り、脚を組んでカルテを見ていた五十嵐先生が顔を上げた。
少し困った表情を浮かべて私を見つめてくる。

「倒れた原因がはっきりしない中で、それは許可できません」
「また倒れてしまう可能性があるから、ですか?」
「ええ。仕事熱心なのはいいことですが、無理をして周囲に迷惑をかけるのはいけませんね」
「すみません…」

案の定怒られてしまった。

「ですが、体調は悪くないようですし受け答えもしっかり出来ています。
 薬が切れてからにしようと思っていましたが、問診を行って倒れた原因を探してみますか?」


でも私の言葉で五十嵐先生は予定を繰り上げて下さったの。
「はい。お願いします」
そして問診が始まったのだけど、それは私が犯した過去の過ちを再認識させられる時間になってしまう…。





「では昨日、学校であったことを覚えている範囲でお聞かせください」
「えっ…。昨日のことですか?」

私は最初の質問から言い淀んでしまっていた。

「はい。特に今朝倒れられた教室での出来事をお願いします」
「それは……」

覚えていない訳ではない。思い出したくない出来事だから。
そして他人には簡単に話せない記憶だったから。

「どうされました?」
「あ、すみません…

朝のホームルーム。そして授業での出来事…。
差し障りのない部分だけ選んで話をすると先生はカルテに何かを書き込んでいった。
時折大きく脚を組み直してスレンダーな美脚を揺らしている。
こんな知的な女医さんなら私と同じ立場に立たされても、きっと上手く相手をあしらえるのだろうなと、ぼんやり考えていた。

「昨日の学校内での出来事は以上ですか?」
「はい…」

嘘を付くのは心苦しかったけれど、ありのまま話せばきっと大事になってしまう。
担任教師が放課後に、クラスの教え子に穿いていた下着を差し出し、
自分が受け持つ教室で部活の生徒を見つめながらオナニーに耽り
他のクラスの生徒の目の前で、この学校の校務員の男とセックスをしていただなんて…。

「お話を聞く限り問題はないように見えますね」
「そうですか」

正直に告白したら生徒の個人名や、そこに至るまでの経緯までも話さなければならなくなる。
私個人が懲罰を受けるのは覚悟できていても、生徒たちの未来まで傷付けるのは嫌だった。
全て教師である私に責任が押し付けられればいいけれど、生徒側から強く求められなければ成立しない事案も多くて
例え相手が女医さんであっても、それをいきなり告白するのは躊躇われてしまう。


「では、別のことをお伺いします」

そんなことを考えていると、沈黙していた五十嵐先生が変な質問をぶつけてきたの。
急なことだったので冷静になれずに慌ててしまう。



「田辺先生は今まで、男子生徒を性欲の対象にしたことはありませんか?」



「えっ、えっ? あのっ…それってどういう意味ですか?」
「文字通りの質問ですよ。
 この学校の生徒とセックスしたいと思ったことはありませんか?」


婦人科の問診でもこんなにはっきりと自分の性欲に関して質問されたことはない。
答えはNO!って即答したい…。だけど私にそれを言う資格なんてないわ。
でもだからと言って素直に答える訳にはいかなかったの。
もし教え子への性欲を認めてしまったら五十嵐先生は更に踏み込んで質問して来そうだったから。
思春期の教え子の性欲と、彼氏のいない女教師の性欲が触れ合って行き着く先は…。


「教師が生徒に対して、そんな感情を抱くだなんて…」
「変でしょうか? 精通を終えた男の子はもう立派な男性ですよ?
 田辺先生も生徒からラブレターや言葉で求愛された経験はおありでしょう?
 とても仕事熱心で生徒想いでお美しい先生なんですもの、
 指導され親身にされて生徒が恋愛感情を抱いてもおかしくありませんわ。
 そんな彼らを男性として見てしまった経験はありませんか?」

「自分の教え子にそんなことっ…」
「田辺先生は今年新任されたばかりの未婚の女性教諭です。
 まだ未熟な彼らからの性的欲求を強く否定出来ますか?
 仕事熱心で生徒想いの先生なのですから、叱れずに困惑されたことはありませんか?
 見逃した上で後から、その相手を異性として意識したことはないですか?
 女性として求められて、彼らから男性を強く感じたことは一度もないとおっしゃるのですか?」

「それは………」


五十嵐先生の言葉は的を射た内容だった。
私はそんな彼らからの求愛を強く拒絶も出来ず、受け流せずに過ちを犯して来たのだから。
若い女性に恋愛感情と性欲を抱く年頃の生徒たち…。
親しい肉親以外の女性に恋をして、性欲をたぎらせて来ることはある程度覚悟していたはずなのに。
あんな非合法な手段で求めて来るなんて思いもしなかったの……。



クラス委員で成績も人格も優秀だった早坂誠くんから、私は家庭訪問先で利尿剤を飲まされてしまう。
その上で彼の部屋で私の部屋でのプライベートを盗撮した写真を数多く見せられ、
盗撮されたベッドでの自慰行為の声までも聞かされるっ。

そして強い尿意に苦しんでいる担任教師に彼は男性経験の有無まで尋ねてきた。
部屋の鍵を開けて解放してもらう代わりに私は過去の性体験を口にする。
高校の先輩との痛いだけだった最初のセックス…。
大学に入り付き合った彼に初めてセックスの絶頂を教えられたこと…。
その彼とも今は別れていて、性欲はオナニーだけで癒やしていることまで教え子に全部話してしまうっ。

自分の声を耳にして彼が興奮して、いつ襲いかかって来ないか気が気でなかったわ。
例え相手が年下の男の子でも密室で本気になられたら逃げられないっ。
羞恥心に顔を赤らめながらも彼の股間を注視してしまうっ。
だけど痛くなるほどの尿意の中で嘘をつく余裕なんてなかったのだから。

結局押し倒されることはなく解放されたのだけど、駆け込んだ先でも彼の視線を強く感じてしまう。
ここにも盗撮カメラが隠されているかもしれない!
でも激しい尿意には抗えなくて、私はそんな場所で下着を脱ぎ落として急いで用を足す。

授業やホームルームであれだけ真面目だった生徒が担任教師に思いを募らせて、
盗撮機器を彼女の部屋に仕掛け、プライベートを覗き見てた…。
着替えだけでなく自慰行為の声まで聞いて彼は何度股間を膨らましていたんだろう…。
そして担任教師の裸を知る彼は教室で私をどんな目で見ていたのだろう。
スーツで覆い隠された女の素肌を早坂誠くんは授業中もじっと見つめていたのかしら…。

そして今も! 今もきっと私を見つめてる!
便座に座って放尿し続けてる担任教師をどこからか見つめているのっ。
それを意識すると冷静になんていられない。
こんな姿、彼氏にも見せたことないのだから!


なのに私は放尿が終わっても奇妙な高揚感のまま膝も閉じずに便座に座り続けていた。
きっと隠し撮りされている下半身を晒したまま…。
そしてその日を境に私は、教え子の性欲にひどく敏感になっていく……。



「教師が生徒に親しみ以上の好意を抱いても不思議ではありません。
 よく報じられる男性教諭の女子生徒との不祥事以外にも、
 女性教諭と男子生徒との一般倫理には反する事例も数多く報告されています。
 特別なことではないのですよ?
 年の差があっても性欲を抱く男女が性愛のパートナーを求めるのは自然の行為なのです」

内々にそう言った不祥事に関する通達はあるわ。
不祥事の赤裸々な事例を知らされたことだってある。
堂々と生徒と学校内で性行為を繰り返していたり、夫がいながら生徒と不倫関係に陥っていたり…。
そんな行為を自分が犯してしまうなんて、その時は思いもしなかったけれど。

「生徒から異性として求められた経験は?」
「ありません…」
「直接言葉で求愛される以外にも、視線でそれを感じたりしたことは?」
「ありません…」
「ご自身が生徒の性欲の対象になっているのではないかと疑った事は?」
「ありません…」
「不慮の接触で生徒が性的に興奮してしまったご経験は?」
「ありませんからっ。そんな時は強く叱ってあげますっ」

一度嘘をついてしまうと五十嵐先生の質問を全て否定するしかなかった。
それに先生からの問診は生徒の性欲だけでなく自身の性欲にも悩んでいた私の過去を炙り出そうとしていたの……。



あの日、家庭訪問から帰宅しても心は落ち着かなかった。
真面目だった教え子があんな真似までして私を知りたい!と思うなんて、
それだけあの子の私への想いが性欲が強いのだとわかる。
そして思い出してしまう!
閉じ込められた部屋から解放された時に見えた彼の股間の膨らみをっ。

冷静な態度を装いながら私を犯したいと願っていたんだわ。
生徒としてではなく男として担任教師を女にしたいって望んでた…。
きっと今頃はトイレの盗撮を見ながらオナニーしてる。
大きくズボンの前を膨らませた男性器を剥き出しにして刺激しているに違いないのっ。

彼の興奮は私に伝わり、身体を投げ出した自宅のベッドの上で、
まだ服を着たまま自分の股間に手を伸ばしてしまう!
まだ盗聴器も盗撮カメラも残っているはずの寝室で性欲を抑えきれなくなる!
布団の中に逃げ込んで身体を隠すけれど、 いつもより興奮したオナニーでそれも自ら跳ね除けてしまうっ。
パンストの上からの愛撫が物足りなくなって下着を下ろして指を這わせてた。
ぐちょぐちょに濡れたあの場所からさらに淫らな蜜が溢れ出してシーツを濡らすっ。

彼が見てるのにっ。教え子がそれでオナニーしているのにっ。
今いじってる場所に興奮したオチン○ンを入れたいって誠くんはきっと願っているのにっ。
こんな恥ずかしいオナニーをしてイクの! イッてしまうわ!
声まで上げて、セックスのようにイッてしまうーーーーッ!

最後は何かを叫んで果ててしまった。
自分の指はあの子のオチン○ンに変わり、私は教え子とのセックスを思い浮かべながら果てていたわ。
教え子からの強い性欲が教師の倫理観を崩していく……。



「そうですか。では、質問を変えますね」

五十嵐先生は質問を全否定されてその内容を変えて来た。

「田辺先生には彼氏はいらっしゃるのかしら?」

やっと素直に答えられる質問が来て少しホッとする。

「今はいません」
「セックスのご経験はお有りなのね?」
「は…はい」

だけど五十嵐先生は更に深くまで尋ねてくる。まるであの子のように。

「彼氏とのセックスでアクメ、絶頂感を感じられたことは?」
「それは……」
「一度も?」
「い、いえ」
「セックスでの絶頂感、経験がおありなのね?」
「はい……」

「自慰行為、オナニーではどうかしら?」
「それは」
「毎回、しっかりと絶頂まで感じているのかしら?」
「は……はい」

性愛と自慰行為に関する踏み込んだ質問になんとか答えられる。
あの家庭訪問以前に同じことを尋ねられたら、顔を真っ赤にして何も言えなかったかもしれない。


「では、その彼氏とのセックス。最後にされたのはどれくらい前でしょう?」
「それは…。少し前です。偶然再会をして、そして…」
「満たされたセックスでしたか?」
「はい。きっと」

「でも、よりを戻さなかったのですね?」
「それはお互いに社会人としての生活が始まっていて…」
「すれ違いになるのが目に見えていたから?」
「はい」
「遠距離でセックスレスになると?」
「それも多分、あります…」

高校時代に付き合った先輩にはヴァージンを捧げたけれど長続きはしなかった。
二度目の彼氏とは大学のコンパで知り合って、結ばれるまでは時間はかかったけれど、
彼とのセックスで愛される悦びを知ることが出来たわ。
彼は比較的おとなしい性格で結ばれてからも頻繁に愛し合っていた訳ではないけれど、
抱かれれば必ず満たされてたし、セックスでの絶頂も何度か体験してた。

そんな彼とは就活の忙しさで疎遠になって、社会人になってから別れてしまったのだけど、
お互いに好きな人が別に出来た訳ではなかったから、再会をしてセックスをしたの。
それは生徒たちから感じる強い性欲に惹かれそうになっていた自分を思い留まらせる為の行為だったのだけれど……。


「それからは、ずっとオナニーを?」
「は、はい」
「指を使ってされているのかしら?」
「はい…」
「それだけで満足されているの?」
「ダメなのですか?」

「指以外でも器具を使ってセックスの疑似体験が出来ます」
「知っています…」
「使われたことは?」
「あります…」
「どうでしたか?」
「どうって…」
「指だけよりも良かったですか?」
「それは…。はい」

再会した元彼とのセックスは呆気なく終わってしまい物足りなさだけが残ってしまっていた。
だからなのかしら。
私はあの子、誠くんから送られてきた男性のペニスを模したアダルトグッズに手を伸ばしていた……。


同じく送られてたセクシーな下着を身に着けて、姿見の鏡の前で身体を晒す。
スーツを着ていなければ、こんなにいやらしい身体をしているの。
スーツの下には大人の女の身体があって、それを知らずに生徒たちは授業を受けている。
でも何人かの子はそれに気付いていて授業中にも関わらず私を見つめてくるっ。
ジャケットの下…。ブラウスの奥…。スカートの中を想像しようと強く見つめてくるのよっ。

だってこんなにいやらしいのだから…。
この身体でセックスもオナニーもしてて、もっといやらしく身悶えてるの。
それをあの子たちに教えたら、オナニーを我慢できる子は何人いるのかしら?
真面目なあの子も、あの子だって担任教師をオカズにしてオナニーするの?しちゃうの?
イクまで先生を見つめて、イクまでオチン○ンを勃たせて求めてくるのっ?

そして、そんな想像中にかかってきたあの子からの電話。
声でも求められて、私は誠くんにアダルトグッズを使ったオナニーでイク生の声を聞かせてしまうっ。
教え子に促されて性欲を淫らに吐き出していた……。



「そうですか。
 真面目そうな田辺先生も、ご自身の性欲には比較的素直でいらっしゃるのね」

五十嵐先生は満足げに微笑むと椅子の上で再び大きく脚を組み直した。
その弾みでタイトスカートが持ち上げられて黒に近いストッキングに包まれた太ももが露わになる。
だけど先生はスカートの裾を直そうとはしないで問診を続けたの。

「そこまでされていて、どうしてセックスパートナーを作られないのかしら?」
「えっ…」
「セックスフレンドとも呼びます。
 恋愛感情の元に性愛を行う関係ではなく、セックスを目的にした相手のことです」


「それは知っていますが…。私にそんな彼氏を作れと?」
「お嫌かしら?」
「だって、身体の関係だけなんて…」
「虚しいとお思いですか?」
「虚しくなりませんか?」
「そう感じる方もいらっしゃいます。貞操感の強い方とかはそうですね」

高校時代の一時の熱情から同じ学校の先輩と付き合って、すぐに初体験してしまった私は後悔をして、
大学時代には恋愛に消極的な学生になっていたの。
コンパで知り合った彼に告白されて付き合い始めても、深い関係には中々辿り着けなかったわ。
だから恋愛感情のない性欲だけで繋がる関係だなんて嫌悪していた。
性格もよく知らない相手に抱かれて満たされるなんてあり得ないって。

なのに私は誠くんに求愛されてからそんな貞操感までも失くしてしまう。
彼に電話でオナニーの詳細を伝えながら激しく果てた翌日の通勤電車の中で、
初対面の男から卑劣な行為を受けたのに、彼を受け入れようと思ってしまったのだから……。


学校までの電車に乗り学校での早坂誠くんへの対応を考えていて、 気付いたら見知らぬ男からお尻を触られていた。
いつもなら手をつねったり抵抗をして、 それでも止めない時は声を上げて周囲に助けを求めていた私だったのに、
パンスト越しにお尻を撫で回されてもいつもの嫌悪感は湧かなくて痴漢行為を許してしまう。

私が大した抵抗を見せないとわかると、男は焦らずに丁寧にお尻を撫で回してきた。
時折指に力を入れてお尻の肉を掴んで来ても、すぐに優しく労るように撫でてくるっ。
そのベッドでの愛撫のような強弱を付けた痴漢の手に、私はどんどん気持ちを昂ぶらせてしまうっ。
このままではいけない!と思って少し大きく声を上げようとすると、
男は身体を密着させて耳元に息を吹きかけてくる!

ゾクゾクッ!と身体が震えて全身の力が抜けていくっ…。
出そうとした抗議の声も弱々しい溜息に変えられてしまった。

いつものオナニーで触る場所以外を触られ刺激されると甘い性感がこみ上げてきた。
パンストの上からお尻の割れ目を擦られて変な声まで出てしまうっ。
通勤電車の中なのに、名前も知らない相手なのに。
そもそもこんなこと許していないのに、私は久しぶりの異性からの愛撫に興奮してしまう!

パンストのゴムが引っ張られて、その中に男の手が入ってきても。
直接肌に触れられてイヤらしく撫で回されても。
同じように興奮して勃起させたペニスをズボン越しに太ももに押し付けて来ても。
私は抗わずにスリリングな行為を許してしまうっ。
小さいけれど艶めかしい喘ぎ声を上げ、頬を赤く染めて痴漢行為をされ続けていたの。

このまま彼にイカされたら…。この人とセックスまでしてしまうのかしら?
電車から連れ出されて降りた駅のトイレで彼とセックスしてしまうの?
学校では教え子たちが朝のホームルームで私を待っているのに、
担任教師は彼氏ではない男と汚れたトイレでセックスしようとしてる!
教師である自分を一番良く知っている生徒とではなく、
この昂ぶった性欲を初対面の異性にぶつけようとしてるっ。
自分を敬愛し慕ってくれる存在を裏切って、 肉欲のままに見知らぬ男と不道徳に性愛の快楽を貪ろうとしているのよ!

もしもあの時、私を監視していた誠くんが電車内で声を掛けてくれなかったら、 本当にそうなっていたかもしれない。
そんなセックスで性欲を満たされていたかもしれない。
だけどあの子は担任教師が痴漢をされて淫らに興奮してたと知りながらも驚きもせず責めもなかったの。
まるで私の中にある抑えきれない性欲までも見透かしているかのように……。



「田辺先生も貞操感が強い方なのかしら?
 それとも教師だからという理由で身体だけの関係は控えておられるのかしら?」

私の過ちを知らない五十嵐先生は矛盾点を追求してくる。
もし過ちを犯さなかったら、彼氏ではない男性とプライベートでセックスを重ねていたかもしれない。

「だけどそれは性欲を溜め込むことになるのですよ?
 オナニーをして一時的に解消できたとしても長続きはしません。
 周囲の生徒たちはすぐに田辺先生から性欲を感じ取ってしまいます。
 内に溜め込んだものは、いずれ外に漏れ出すものなのです」

五十嵐先生は真剣に私を見つめながらそう語った。私も否定はしないで話を聞く。
確かにあの家庭訪問後から実際に生徒たちの私を見る目の色が変わっていたの。
階段の踊り場でたたずむ女教師のスカートの中を階下で盗撮して、
逃げ込んだ部室で下着写真を見ながら赤裸々なオナニーを始めてしまうくらいに……。


彼らは私が追いかけて来たことを知らずに勃起させたペニスを露出して刺激していた。
スカートの中で股間に貼り付いている大人びた下着がはっきりと写し出した写真を見つめて、
想像の中で声に出して私に求愛してくるっ。
そして勝手にセックスを始めてしまったの!
女教師が穿いているショーツを脱がせて勃起させたオチン○ンをねじ込む!
そのまま腰を前後に振って快楽を貪っていたわ。

だけど彼らは私を犯すことに余程興奮したのか、行為はすぐに終わってしまう。
盗撮写真を置いたまま部室を去っていく…。

彼らが去った後に写真を取り戻そうと部屋に入ると、二人の汗と精液の臭いが私を取り囲んだ。
べったりと精液をつけた写真を手にして私自身もおかしくなっていく。
ここが校内で、まだ生徒は残っている時間帯なのに激しく煽られた性欲が下半身を熱くしていた。
お尻を揺らすとじんわりと溢れ出してくるものを感じる。
写真の中で精液で濡らされた私の股間が、リアルでは自分のた淫らな蜜で濡れているっ。

気付いたらもうスカートの中に手を差し入れてしまっていたわ。
下着の上からあの場所を、あの子たちが求めてた場所を撫で回すっ。
でもそれじゃあ物足りなくて下着を下ろして直接割れ目を刺激する!
あの子たちは想像の中でしか描けない場所を晒しながら指先をそこに潜り込ませるっ。

汗でしっとりと恥丘に張り付いている陰毛を掻き分けると、 肉の割れ目から顔をのぞかせている充血したヒダが指先に絡みついてくる。
セックスではオチン○ンに絡みついて射精を促すその部分が更なる刺激を求めてた。
指で押し広げ、挟んで擦るっ。
痛みに近い刺激が溢れ出すけど、私は室内に甲高い喘ぎ声を撒き散らしてた!

こんな姿、あの二人が戻ってきて目にしたら、きっと再びオチン○ンを硬くして求愛してくるに違いないのに!
男として、オスとして求めて来たら私はどうすればいいの?
いじっているこの場所で女として彼らを受け入れてあげればいいの?
性愛の悦びを教えてあげればいいのかしら?

股間に差し入れた指があの子たちのオチン○ンに変わる。
そのオチン○ンの先が肉ヒダを何度も擦って中に入りたがってる!
首を振って一線を越えてしまうことを拒絶するけど膝がどんどん開いていったわ。
昂ぶっている性欲は生徒とのセックスを求めてる!
互いの欲望が一致して指が…オチン○ンがオマ○コに入ってきた!
気持ち良くて、たまらなくて、大きな声を上げながら身悶えるっ。
イキそう! イキたいのっ! イカせてっ…先生を、このままイカせてちょうだい!!

淫らな妄想の中で私は彼らと同じようにオナニーで果ててしまっていた。
プライベートでは行きずりのセックスに興じる勇気なんてないのに、 勤務中にこんな場所でオナニーして果ててしまう奔放さに驚きながら……。



「それは今も漏れ出しているのですよ? お気付きにならない?」
「えっ……」

五十嵐先生は私に微笑むと手を伸ばして来た。
そして身体を包んでいる掛け布団を掴んで引き剥がす!

「えっ? わたし…そんなっ、嘘っ!!」

そこで初めて目が覚めてからの違和感の正体に気付く。
露わになった身体には何も身に着けていない!

「いっ、嫌ーーーーーッッ!!」

慌てて両手で胸と股間を隠すけど、そんな私を見ても五十嵐先生は少しも表情を変えない。
むしろ更に見つめて反応を確かめているようだった。

「保健室には私たちだけしか居ませんよ?」
「恥ずかしいんですっ。例え先生の前であってもっ」

強く抗議すると先生は意味深な言葉を返して来る。

「田辺先生が恥じらっている理由はそれだけなのでしょうか?」
「どういうことですか?」
「女医に裸を見られてるだけで、こんなに恥じらっていらっしゃるの?」

五十嵐先生は冷静な口調で問いかけてきた。
そしてベッドから少し離れると布団と同じようにそれに手をかけた。

「待って……。お願い待ってくださいっ!」

羞恥心のレベルが上がっていくっ。
目の前には五十嵐先生しかいないのにっ。保健室には他に誰もいないはずなのにっ。

「ダメっ…。止めてっ…。感じさせないでっ。そんなのを!」
「いいえ。感じていただきます。
 田辺先生が日常的に感じられているものを、今ここで」

五十嵐先生の手が勢い良くカーテンを引いた!
天井から吊り下がったベッドの周囲を巡るレールが乾いた音を立てる!


「イヤーーーっ!! こんな姿っ、あの子たちに見せないでぇ!」

ベッドの周囲をぐるりと覆っていたカーテンが取り払われて保健室全体が見渡せるようになる!
光が差し込む窓の向こうではきっと体育の授業が行われ生徒たちが汗を流しているっ。
校舎内で授業を受けている生徒たちも授業が終われば廊下へ溢れ出してくるのっ。
その中には私の様態が気になって保健室の前まで来てしまう生徒だっているかもしれないっ。

例え面会謝絶でもひどく心配して保健室の中を覗こうとする子だって現れかねないっ。
その子が見たらっ。まだ私の裸に耐性がない生徒が目にしたらっ。
その子もまた私を強く求めてくるの? オチン○ンを硬くしながら求愛してくるのっ?


「私以外の誰かに見られてると感じておられるの?」
「それはっ…」
「その相手はこの学校の生徒かしら?」
「そんなことっ…」
「ではどうして、そんなに震えてらっしゃるの?」
「だってっ…」
「保健室には私たち以外に誰もいないのですから別に構わないでしょう?」

そう言うと五十嵐先生は着ていた白衣を脱いでいく。
私が見ている前でジャケットもブラウスもスカートまで脱いで私の前に立った。
ファッションモデルのようなスレンダーなボディラインに、黒のレース使いのブラやショーツ、
ガーター・ベルトにストッキングが魅惑的に貼り付いていて 白い肌を更に白く際立たせていた。


「例え生徒が保健室を覗いてたとしても問題があるのかしら?
 治療や問診では相手に冷静になってもらいたいから白衣を着ますけど
 外から勝手に覗いて、勝手に興奮して、どこかでオナニーして射精するだけなら何の問題もありませんよ?
 その生徒が下着姿に一目惚れをして告白してきても簡単にあしらえます。
 想いが募って眠れないというのならオナニーをして眠りなさいとアドバイスしてあげます。
 何ならもう一度見せてあげてもいいかしら?
 でもそれで終わり。セックスパートナーを求めていなければ何の問題も起きないのです」

下着姿のままで五十嵐先生はベッドの側を離れて保健室の窓まで歩いていく。
窓の外から見られてしまうかもしれないのに堂々とグラウンドを見つめている。

「でも田辺先生はそうじゃないのですよね?
 素肌を生徒に見られてしまうかもしれないという恐れを強く持っていらっしゃる。
 それは普段の服装でも、生徒たちから強い性欲を感じているからではありませんか?
 生徒の視線がスーツの上から下着を、素肌を見通そうとしていると感じてしまうからでは?
 彼らが自分を教師としてではなく女性として見つめて
 性欲の対象にしていると思ってらっしゃるからなのですね?」

窓際を離れた先生はスレンダーに肢体を晒しながら机の置かれた保健室の中央に進むと私に振り返った。

「それなのに田辺先生はセックスで癒そうとなさらない。オナニーで十分だとおっしゃる。
 本当にそれだけで我慢出来ているのでしょうか? 
 満足されているの? そんなに成熟した身体をされているのに…」

五十嵐先生は保健室の机にもたれ掛かると右手でそっとブラの上を撫でた。
フッと息を吐き出して指先でその場所をくすぐっている。そして徐々に足を開いていく…。
黒のショーツも細かなレースがあしらわれてて透けた白い素肌に張り付くように生えている 黒い縮れ毛までもが透けて見えていた。

「セックスなんて要りませんっ。生徒から求められることもありませんっ。
 オナニーだってしたくてしてるんじゃないの!
 自然と触ってしまうから。それだけで気持ちいいから。
 それだけなんですっ。今はそれで十分だからっ……」

嘘をついて五十嵐先生の仮説を否定した。
先生が語る生徒からの性欲に煽られて彼らに身体を許してしまう女教師ではないと強く否定する。


「そう…。では、仕方がないわね」
「先生っ? 先生っ? 待って…お願い、本当にそんなことっ!」

五十嵐先生はオナニーの真似を止めて足を閉じると、再び私に背を向けて奥へと歩いていく。
そしてその先に保健室の扉があることに気付いて私は声を大きくした!

「先生っ…。やめて。これ以上もう!」

薬の効果が切れてきていて身体はある程度動かせるようになっていたけれど、
全裸のまま逃げ出すことも出来なくて、ベッドの上でただ声を上げることしか出来なかった。

「田辺先生。朝のホームルームを始めますよ?」

五十嵐先生は保健室の扉の前に辿り着くと振り返って号令をかけた。
保健室の扉が…ううん! 教室の扉が開かれる!!



<第二十七章:後悔の記憶(前編)・終>





<< 次章「後悔の記憶(後編)」 >>




<親父の趣味の部屋へ戻る>

<タイトルページへ戻る>