バージェス頁岩の変な三葉虫  「ナラオイア」



分類:節足動物門三葉形綱ナラオイア目
生存時期:カンブリア紀前期〜中期
主な種:ナラオイア・コンパクタ [Naraoia compacta 
     ナラオイア・スピニフェラ [N. spinifera 
     ナラオイア・スピノサ  [N. spinosa]  


  バージェス頁岩産の古生物には奇妙な連中が多く、分類が出来ないもの、以前は違う系統に分類されていたもの、それだけで独立の系統を作ってしまうもの(1目1科1属!?)など系統分類の混乱がみられます。マルレラなどは三葉虫から追放された仲間ですが、逆に三葉虫の中に入れられたものもあります。それがここで紹介するナラオイアです。
 まず、図をみてください。(図はナラオイア・コンパクタ [Naraoia compacta] です。)普通、三葉虫には頭部、腹部、尾板の3つに分かれるのですが、この種は2つにしか分かれていません。この為、当初この種は甲殻類、あるいは三葉形類に分類されていました。
 が、H.ウィッティントンの研究により、この種は二肢型の付属肢をもち、かつ頭部には口の前に一対の触角および口の後ろに三対の付属肢をもつことが解ったため、改めて三葉虫に同定されました。(但し目は新たに開設されましたが。)
 かれらの背甲が二つになっている理由は、殻が硬化していないためその強度不足を関節数の減少でおぎなったものとおもわれます。ちなみに眼はありません。
 現在では、この仲間はバージェス以外に中国、ポーランド、ロシアなどからもみつかっています。