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新聞にとって“公正、信頼”以上に大事なのは、「必要、重要」な情報を「隠さず、漏れなく」報じることである −「わいせつ教師」、「竹島」報道に見る情報の隠蔽−

 11月17日の読売新聞は、「『責任ある報道に使命』…新聞大会開催、災害報道や経営議論」と言う見出しで、次の様に報じていました。
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「責任ある報道に使命」…新聞大会開催、災害報道や経営議論
2021/11/17 22:39 読売

 第74回新聞大会(日本新聞協会主催)が17日、盛岡市で開かれた。頻発する災害や新型コロナウイルス禍で
真偽が不確かな情報があふれる中、新聞は責任あるジャーナリズムの担い手として自らの使命を果たしていくことを誓うとする大会決議を採択した。


新聞大会で行われた研究座談会(17日午後、盛岡市で)

 日本新聞協会の丸山昌宏会長(毎日新聞社社長)はあいさつで、今年は東日本大震災から10年の節目であることを踏まえ、「災害報道の役割や使命について議論を深めたい」と述べた。

(中略)

第74回新聞大会決議(全文)
 東日本大震災から今年で10年となった。被災地の復興は道半ばであり、他の地域でもこの間、大きな自然災害が頻発している。新型コロナウイルス禍は、人々の営みに大きな影響を与え、困難と課題をもたらしている。

 社会の先行きは依然不透明である。
真偽不確かな情報もあふれている。その中で、信頼される情報の重要性は一層高まっており、新聞には、正確な報道と公正な論評を通じて人々に判断材料を提供し、世代を超えて広く議論を喚起する役割が求められる。

 私たちは
責任あるジャーナリズムの担い手として、よりよい社会の実現に向け、自らの使命を果たしていくことを誓う。
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 記事は
「真偽不確かな情報があふれている」、「信頼される情報」、「正確な報道」を強調して自画自賛していますが、大事なのは「真」「信頼」「正確」だけではありません。大事なのは「必要」「重要」な情報を「隠さず」「漏れなく」報じることです。日本の新聞(テレビも、以下同じ))に欠けているのはその点です。
 日本の新聞は、
すぐバレるような嘘は書きませんが、「大事な事、必要なこと」を報じないで「隠す」のは日常的に行われていると言っていいと思います。

 また、「人々に
判断材料を提供」するのが役割と言っていますが、実際にしていることは「判断材料」の提供ではなく、偏った判断材料を提供することにより、「特定の判断」そのものを“提供”して、読者をその判断に“誘導”しているのが実態です。

 この記事の2日後に、「【独自】
わいせつ保育士の再登録「最大10年禁止」へ…処分歴のデータベース化も検討」と言う見出しの次の様な記事がありました。
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【独自】わいせつ保育士の再登録「最大10年禁止」へ…処分歴のデータベース化も検討
2021/11/19 02:00 読売

許すな わいせつ教員
 わいせつ行為を理由に都道府県から登録を取り消された保育士について、厚生労働省が、再登録を厳格化する新たな制度案をまとめたことが18日、わかった。現行制度は、
刑事事件化した場合でも刑の終了から2年が経過すれば再登録できるが、新制度では最大10年にわたり禁止する。さらに、再登録の可否を審査する仕組みを導入し、処分歴のデータベース化も検討する。

 同省は
有識者検討会を開催して年内に正式決定し、来年の通常国会で児童福祉法改正案の提出を目指す。

 児童福祉法は、保育士として働くには
国家資格を取得後、都道府県への登録を義務づけている。



 禁錮以上(児童福祉に関する法律の違反は罰金以上)の
刑が確定した保育士については、都道府県が登録を取り消すよう同法で定めているが、現在は刑の終了から2年経過すれば再登録ができる。またその際、再犯の恐れがないかなどを審査する仕組みはない。

 一方で、
保育士によるわいせつ事案後を絶たず、同省の実態調査では2003年〜20年にわいせつ行為で登録を取り消された保育士は64人(男性61人、女性3人)に上る。子供へのわいせつ行為学校現場でも問題化しており、今年5月には「教員による児童生徒性暴力防止法」が成立。免許失効者の再交付にあたり、専門家らが可否を判断する仕組みが作られた。

 刑法は禁錮以上の刑の終了後、
10年で刑は消滅すると定めている。これに基づき、新制度では、保育士の再登録を禁止する期間を「禁錮以上は10年」「罰金は3年」にのばす。被害者の事情など刑事事件化を見送った場合でも、都道府県がわいせつ行為を理由に処分した際は、再登録の禁止期間を「3年」とする。

 再登録時は、
都道府県の審査会が審査する。保育士が処分歴を隠して別の自治体で採用されることを回避するため、保育所などが処分歴を閲覧できるデータベースの構築も目指す。
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 この種の「わいせつ事件」とは、そもそも被害者の幼児・児童には全く落ち度がなく、
悪質・卑劣極まる刑事事件であり、厳罰に処すべきであるにも拘わらず、刑事事件としないのはなぜなのでしょうか。また、悪質・卑劣な事件であるにも拘わらず新聞が加害者・犯人の実名・顔写真を報じて居ません。

 刑事事件にならない
理由として、「被害者の事情などで」とありますが、例え被害者に事情があったとしても、刑事事件にして処罰しない事が同種事件の頻発を招いて社会の大きな不利益となっていて、それが被害者の僅かな利益を大きく上回ることは明らかです。
 保育園や学校などでは、
刑事事件化による被害者の不利益を最少にする努力をしているのでしょうか。

 一方で
刑事事件にしない事で、一番大きな利益を受けるのが加害者(犯人)であることは言うまでもありません。それが周囲の教育関係者(文科省・教育委員会・犯人の仲間)刑事事件にしない本当の目的ではないのでしょうか。その為に被害者の父母に「刑事事件化(被害者幼児・児童名の公表)をしないで下さい」と言わせているのでは無いでしょうか。
 現在の手厚い
“加害者保護制度”の存在は、彼らを疑うに十分であり、また、新聞社にとっても刑事事件とならないことは、匿名報道を正当化する口実になります。
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 次に11月19日の読売新聞は、「[ニュースQ+]記事では、竹島とは?…日本領土、韓国が不法占拠」と言う見出しで、次の様に報じていました。
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[ニュースQ+]記事では、竹島とは?…日本領土、韓国が不法占拠
2021/11/19 05:00 読売


島根県の竹島(2012年8月10日撮影)=ロイター



 Q 竹島とは。

 A 隠岐諸島の北西約158キロ・メートルの日本海上にある群島で、島根県隠岐の島町に属する。男島、女島の二つの島と数十の岩礁からなり、総面積は約0・20平方キロ・メートル。断崖絶壁に囲まれ、植物や飲料水が乏しく、居住には向かない。

 現在、韓国は日本側の抗議を無視して不法占拠を続けている。2012年8月には、韓国の 李明博イミョンバク 大統領(当時)が上陸を強行した。

 Q 竹島の歴史は。

 A かつては「松島」と呼ばれ、日本は江戸時代初期には領有権を確立し、明治時代まで漁業基地として活用していた。1905年に明治政府は「竹島」の名称を閣議決定し、領有する意思を宣言。韓国側は1693年に日本に渡った朝鮮の漁民2人が帰国後、「幕府が竹島を朝鮮領と認めた」と供述したと訴えるが、日本側に記録がなく信頼性は乏しい。

 Q 韓国による不法占拠の
経緯は。

 A 日本が独立を回復するサンフランシスコ講和条約の発効直前の
1952年1月、韓国の 李承晩イスンマン 大統領(当時)が竹島を韓国領に組み入れた「李承晩ライン」を一方的に設定した。54年には韓国沿岸警備隊の部隊を送り込み、以来、駐留を続けている。

 Q 解決の道は。

 A 日本は平和的な解決に向け、54年、62年、2012年の3回にわたり、国際司法裁判所(ICJ)への共同付託を提案したが、韓国側がいずれも拒否し、付託には至っていない。
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 経緯については、次の点が抜けています。
 1945年の日本の敗戦後日本を占領していた
アメリカは、GHQの指令、SCAPIN第677号(1946年1月29日)以来、数多くの指令により、竹島を日本人の接近、上陸を禁止するなど、日本から切り離し韓国に結びつける行為を重ねてきました。
 そして
1946年6月22日のSCAPIN第1033号では、竹島を韓国側におく日韓境界線、マッカーサーラインを制定し、これが後日の「李承晩ライン」として宣言されたものです。
(参照 F107 日本の領土問題(竹島、尖閣、千島)とアメリカの関与)


「戦後韓国はどうやって竹島を奪ったか―竹島問題の現位置」より
https://ironna.jp/article/1771
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 読売新聞に限らず、宅配紙新聞各社は、
ネットの世界の情報を「フェイクニュース」と批判し、自分たちの報道信頼できる情報自画自賛するのが常ですが、自分たちが重要な情報を隠していると言う一面には全く触れれることがありません。

 わいせつ保育士・教師の例で言えば、たとえ
刑事事件にならなくても、保育士・教師の氏名・顔写真を報道することは、再発防止・同種事件の発生防止のために必要・有益で、それをためらう理由はありません。
 加害者(犯人)の
実名と顔写真が報道されれば、再犯のほとんどは防止することが出来ると思います。刑事事件にならないこと報じてはいけないというルールはどこにもありません。

 また、そうすれば仮に国の
教員免許制度等がいかに欠陥だらけのものであっても、再犯の可能性のある悪質前科者の再雇用を防ぐことは十分可能です。雇用する者が前科者を忌避することは“人権侵害”にはなりません。

 それにも拘わらず新聞が、加害者
“犯人”の氏名も顔写真も報じないのは、読者にとって必要な情報の「隠蔽」に他なりません。長年染みついた新聞記者達「教師・教育関係者」に対する歪んだ「仲間意識」の賜です。

 竹島問題に関して言えば、
アメリカは日本の敗戦直後からGHQの指令、SCAPIN第677号、SCAPIN第1033号等により、竹島を日本から切り離し、韓国に結びつける露骨な行動を取ってきました。このことを隠した、記事中の「経緯」の説明は、「竹島問題の“真犯人”はアメリカである」という、重要な歴史・経緯を隠蔽したものである事は間違いありません。これが膨張・増殖して今日に至っているのです。

 これらが「
信頼される情報」、「正確な報道」を強調して自画自賛する新聞社のする事でしょうか。

 日本の新聞はこの2つの例に止まらず、一例としてあげれば、
「少子化問題」「韓国・朝鮮」「中国」などに関して、多くの重要事実を隠蔽してます。
 「少子化」の本当の
原因は何か、「朝鮮総連の本部建物の競売問題」はどう決着したのか、「日中両国政府間の記者交換に関する交換公文」はどんな内容なのか、等は重要事実ですが、新聞は隠して報じません。

令和3年11月23日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ