C92
 
現行憲法は、「LGBT」を想定していない。違憲の主張は根拠(証拠)がなく、判決は司法の越権・脱線・暴走である。

 5月30日のNHKテレビニュースは、「同性婚認めないのは憲法違反 違憲判断は全国2件目 名古屋地裁」と言うタイトルで次の様に報じていました。
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同性婚認めないのは憲法違反 違憲判断は全国2件目 名古屋地裁
2023年5月30日 20時23分  NHK

 同性どうしの結婚が認められていないのは憲法違反かどうかが争われた裁判で、名古屋地方裁判所は「同性カップルに対し、その関係を国の制度として公に証明せず、保護するのにふさわしい枠組みすら与えていない」などとして
憲法に違反するという判断を示しました。

 愛知県に住む30代の
男性のカップルは、同性どうしの結婚を認めていない民法などの規定は、婚姻の自由や法の下の平等を定めた憲法に違反すると主張して、国に賠償を求める訴えを起こしていました。

 これに対し、国は裁判で
「同性どうしの結婚は憲法で想定されていない」などと争っていました。

 30日の判決で、名古屋地方裁判所の西村修裁判長は、多くの自治体がパートナーシップ制度を導入している現状などを踏まえ、
「男女間の結婚を中核とした伝統的な家族観は唯一絶対のものではなくなり、わが国でも同性カップルに対する理解が進み、承認しようとする傾向が加速している」と指摘しました。

 そのうえで「同性愛者を法律上の結婚制度から排除することで、大きな格差を生じさせ、何ら手当てがなされていないことについて
合理性が揺らいでいると言わざるをえず、もはや無視できない状況に至っている」と述べました。

 そして「同性カップルに対し、その関係を国の制度として公に証明せず、保護するのにふさわしい枠組みすら与えていない」などとして、個人の尊厳と両性の平等に基づいて配偶者の選択などに関する法律を制定するよう定めた憲法24条2項に違反するという判断を示しました。

 さらに、「性的指向という自分で選択や修正する余地のないことを理由に婚姻に対する直接的な制約を課している」などとして法の下の平等を定めた憲法14条にも違反すると判断しました。

(中略)

自民 萩生田政調会長「現行憲法では想定されず」
自民党の萩生田政務調査会長は、与党政策責任者会議のあと、記者団に対し「同様の裁判は全国5か所で行われていて判断が分かれている。現行憲法下では、同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されていないというのが政府の立場であり、わが党も同様に考えている」と述べました。

(以下略)
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 報道には下記の部分があります。
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 30日の判決で、名古屋地方裁判所の西村修裁判長は、多くの自治体がパートナーシップ制度を導入している現状などを踏まえ、
「男女間の結婚を中核とした伝統的な家族観は唯一絶対のものではなくなり、わが国でも同性カップルに対する理解が進み、承認しようとする傾向が加速している」と指摘しました。

 そのうえで「同性愛者を法律上の結婚制度から排除することで、大きな格差を生じさせ、何ら手当てがなされていないことについて
合理性が揺らいでいると言わざるをえず、もはや無視できない状況に至っている」と述べました。
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 裁判所は
“世論”の変化を違憲の根拠にしていますが、裁判所の認定、認識には、「パートナーシップ制度」以外に何の具体的な根拠(証拠)も示されていません。

 裁判所の
認定、認識は具体的な根拠(証拠)に基づいて為されるべきであり、司法が具体的な根拠に基づかない“世論”の変化を口実にするのは“政治的”な判断であり証拠に基づいて進められるべき司法の役割を逸脱するものです。

 また、
「LGBT」の可否と言う、現行憲法が制定当時全く想定していなかった(と言うよりも当時は論外と考えられていた)ことが争点となり、違憲・合憲が争われたのであれば、合憲の根拠が無いとしても、違憲の根拠もないと言うのが正しい判断です。
 それに対して
法の番人に過ぎない裁判所が、違憲判断を下すのは“創憲”的行為であり、“法の番人”としての司法の職務範囲を逸脱するものです。

 原告の違憲の訴え(主張)に対しては、
違憲とする根拠(証拠)がないのであれば訴えを退け政治に判断を委ねるのが正しい判断です。司法はあくまで法治国家における法の番人であり、“正義の味方”ではないのです。

(参照 C88 時間の経過と共に現実社会と「憲法」の乖離は進む)

令和5年5月31日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ