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日本の領土問題とアメリカ(北方領土問題とアメリカ)

 産経新聞11月5日掲載の、地球日本史(299)「米国が変えた?四島の運命」を読みました。国際日本文化研究センターの木村汎教授は「北方領土に関する米国の公式立場は1955年頃以来一貫しており、日本側の四島返還の主張を支持している。しかし、歴史的に振り返ってみると、米国政府は時として領土問題ゆえに日ソ両国関係がぎくしゃくするのを望んでいたのではないか。そればかりではない、米国は日ソ関係の阻害要因を作り出すことに一役買いさえしている」と言っていますが、私もそう思います。

 北方領土問題で一番得をしたのは誰か。それは、間違いなくアメリカです。北方領土をソ連(ロシア)にくれてやることでロシアに恩を売り、次に日本の返還要求を支持してやることで日本に恩を売り、さらに、日本とロシアの和解を半永久的に不可能にすることができたのですから、これほどうまい話しはありません。しかも自分自身は何の負担も犠牲も払わずに済んでいるのです。ルーズベルトは、日本を敵視し、日本を憎悪した政治家です。北方四島が平和的な条約交渉の末、日本に帰属した日本の領土であるという歴史的経緯を知っていても、アメリカの利益のために四島をロシアにくれてやることをあえてしたと思います。

 沖縄の尖閣諸島の問題についても同じようなことが言えます。尖閣諸島が日本の沖縄県の一部であり、サンフランシスコ講和条約の結果アメリカの施政権下に置かれ、沖縄返還協定によって日本に施政権が返還された地域に属することは条約上、協定上明白で、日米安保条約の適用を受ける地域であることも何の疑義もありません。しかるにアメリカはアメリカの施政権下にあるときから台湾漁船の不法な侵犯に明確な態度をとらず問題が拡大していくのを座視していました。尖閣諸島が日中間の懸案になるや、この点について曖昧な態度をとるようになり、尖閣諸島が安保条約の適用となる地域であることを明言することを避けるようになりました。これは一体なぜでしょうか。アメリカは労せずして、日中両国を長期にわたって反目させるチャンスをつかんだと認識したからだと思います。

 台湾と中国の問題についてもについて似たようなことが言えます。アメリカは長年、自由な中国、台湾を支持してきましたが、現在では台湾の独立や国際社会への復帰に対しては反対しています。これは台湾を支持している一方で、中国に恩を売っていることになります。アメリカは双方をアメリカに依存させ、現状を維持することがアメリカの利益になると考えているのであって、台湾の自由を守ることだけが目的でもなければ、双方の和解のために努力しているわけでもないのです。

 日韓の懸案である竹島の問題にすら、アメリカが何らかの形で関与している可能性は考えてみる必要があると思います。当時アメリカは韓国の竹島占拠を消極的にでも承認した形跡はないのでしょうか。日本政府に対して、自衛権の行使を断念させるよう圧力をかけた形跡はないのでしょうか。

平成10年11月6日

平成22年11月6日追記
 島根県が平成8年3月に復刻版を発行した、「島根県竹島の新研究」(田村清三郎著)の116ページによれば、竹島問題は、1946年1月29日付けで、日本を占領していた連合国最高司令官により発せられた指令、「SCAPIN677」により、竹島が日本の行政上の管轄権外に指定されたことに端を発しています。やはり
竹島問題の黒幕はアメリカなのです。

平成24年8月19日追記
 竹島問題も、尖閣諸島の問題も共通して言えることは、いずれの問題も
アメリカの占領下に発生した問題で、日本政府は効果的な対応をとることができなかったと言うことです。反対にアメリカは効果的な対応ができる立場であるにもかかわらず拱手傍観して、これが日韓、日中の解決不可能な問題に成長していくのを見守っていたことになります。

 日本も韓国も建前上はアメリカの“同盟国”です。同盟国間の亀裂の拡大はアメリカの望まないところであるはずです。そうであれば亀裂の拡大には憂慮の念を示したり、何らかの調停の労を執ることが普通のはずですが、そうした姿勢は過去も現在も全く見られません。「話し合いによる解決を望む」などという当たり前のことを言うだけです。なぜでしょうか。それは、日本も韓国もアメリカの同盟国ではなく、アメリカは両国の反目を自国の不利益ではなく、利益と考えているからだと思います。
 参照 F64 竹島問題とアメリカ

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