F73
「主権回復式典」を計画する安倍総理への不安


 3月7日の毎日新聞は、「安倍首相:講和条約発効の4月28日に『主権回復式典』衆院予算委で表明」という見出しで、次のように報じていました。
http://mainichi.jp/select/news/20130307dde007010051000c.html
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 安倍晋三首相は7日午前の衆院予算委員会で、1952年4月28日にサンフランシスコ講和条約が発効して日本が独立を回復したことを記念し「本年4月28日に政府主催の記念式典を実施する方向で検討している」と表明した。自民党は昨年の衆院選政策集で「4月28日を『主権回復の日』として祝う式典」を政府主催で開くことを公約している。菅義偉官房長官は7日午前の記者会見で式典開催を近く閣議決定する考えを示した。・・・
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 サンフランシスコ講和条約は、たしかに主権の回復という観点だけから見れば、その通りですが、それは、日本が海外領土をすべて喪失し、沖縄・小笠原が引き続きアメリカの占領下に置かれ、日本が戦前に諸外国と締結した諸条約の権利はすべて放棄させられ、各地の報復的な戦犯裁判での多数の処刑をすべて承認させられるなど、敗戦の結果をすべて追認した上でのものであることは言うまでもありません。

 私は以前にも言いましたが、この条約は
「講和条約」と言うよりも、「敗戦処理条約」と言う方が実態に近いと思います。
F34「敗戦処理条約」の記念式典
 いまになって、なおこの条約の
意義をたたえ、式典を行おうという安倍総理の歴史認識には大いなる不安を感じます。

 安倍総理は中国を意識してか、「日米価値観外交」を展開せんとしていますが、アメリカの外交を動かしているのは、「価値観」よりも「損得」です。それが分かった上で言っているのならともかく、本気でそう思っているのなら、そのうちアメリカに足元をすくわれると思います。

平成25年3月17日   ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ