H118
単なるネット・通販に過ぎない「ふるさと納税」の大義の欺瞞 −本旨逸脱は奈半利(なはり)町だけではない、泉佐野市を叩くのは不公平−

 3月3日の読売新聞は、
「返礼品人気の町 動揺…高知・奈半利町職員ら逮捕」と言う見出しで、ふるさと納税をめぐる事件について次のように報じていました。
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返礼品人気の町 動揺…高知・奈半利町職員ら逮捕
20200303 1500  読売

 
ふるさと納税の人気自治体として知られる高知県奈半利(なはり)町で、返礼品業者から町の担当職員側に金銭が渡された疑惑が浮上した。県警は3日朝、担当職員2人と業者を、職員の親族の住民票を不正に異動したとする容疑で逮捕。振り込まれた金は、ふるさと納税の返礼品で便宜を受けた見返りの可能性もあり、<ふるさと納税バブル>に沸いた人口3000人余りの町に動揺が広がった。

(中略)

 奈半利町は
人口3141人(昨年11月時点)。全国に知られたのはふるさと納税がきっかけだった。

 制度が始まった2008年度は36万円の寄付しか集まらなかったが、14年度に約2億円を集め、15年度には10億円を突破。17年度には全国9位となる
約39億円に達した。同町の地方税収は年3億円程度で、その十数倍にあたる金額だ。

 人気を集めた理由は、
カツオのたたきマグロなどの魚を詰め合わせ、毎月寄付者に届く「お楽しみコース」などの返礼品。寄付額に対する返礼品の割合を「7割以上」と宣伝し、「お得な自治体」としてテレビなどで取り上げられた。寄付を財源に、幼稚園や保育園を高台に移転する津波対策なども実施された。

(中略)

 第1次安倍内閣の総務相で、
ふるさと納税制度の創設を主導した菅官房長官は3日午前の記者会見で事件の感想を問われ、「あり得ないことだ」と批判した。
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人口が3141人で地方税収が3億円の町が、税収の13倍で全国9位の39億円のふるさと納税を受けた。その理由は人気の鰹のたたき、マグロだった。 「不正」を別にしても、「自分を育んでくれた『ふるさと』に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度(ふるさと納税研究会報告書)」と言う“ふるさと”納税の本来の趣旨から考えて、確かに“あり得ない”事だ。類似のケースは全国すべての人気自治体に当てはまるのではないか(参照 H115泉佐野市は法廷で“ふるさと”納税制度の不公平・欺瞞を主張すべき −菅官房長官は宰相の器か−)。

 
“泉佐野市”だけを叩くのは理不尽ではないか、菅さん。「あり得ない」の一言で済む問題ではありません。

令和2年3月4日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ