H163
成人年齢引き下げは、女性の結婚年齢引き上げ、不同意性交罪の同意無効年齢の引き上げなどとは反対方向で、矛盾し相反する政策で他意あるものと見られる
5月9日のNHKテレビニュースは、「強制性交罪を不同意性交罪に変更 刑法など改正案 審議入り」と言うタイトルで、次の様に報じていました。
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強制性交罪を不同意性交罪に変更 刑法など改正案 審議入り
2023年5月9日 14時57分 NHK
「強制性交罪」について罪名を「不同意性交罪」に変更し、構成要件として被害者が「同意しない意思」を表わすことが難しい場合を具体的に示した刑法などの改正案が国会で審議入りしました。
現在の刑法では、強制性交などの罪は「暴行や脅迫」を用いることが構成要件になっていますが、被害者側は「暴行や脅迫」がなくても恐怖で体が硬直してしまうなどの実態があるとして見直しを求めていました。
こうした課題を踏まえ、改正案では罪名を
▽「強制性交罪」は「不同意性交罪」に
▽「強制わいせつ罪」は「不同意わいせつ罪」に変更します。
(中略)
また、性的な目的でSNSなどで子どもを手なずけて心理的にコントロールする行為に対応する罪を新たに設けるほか、性行為への同意を判断できるとみなす年齢を、現在の13歳以上から16歳以上に引き上げます。
同年代どうしを除き、16歳未満との性行為は処罰されることになります。
(以下略)
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要するに自分のしたことに責任を負えない、「責任無能力者」の年齢を何歳以下とするかという問題です。
暴力も脅迫もない中で、性行為に及び、後で判断能力無しとして、相手の責任を問えるとすれば、親は必要十分な教育・躾を怠ってはいけないと言う事にもなります。
今回の提案はそのような場合の、年齢のボーダーラインが引き上げられることを意味しますが、平均寿命の高齢化により、平均寿命が40~60歳の時代の20歳と、平均寿命が80歳台の現代の20歳では、昔の20歳の方が遙かにしっかりしていたと言う事は想像がつきます。
明治維新で近代化する以前の日本では、今の成人に当たる元服の年齢は、現代の成人年齢のように一律ではなく、かなり幅があったようで、12~16歳、15~21歳、12~18歳など諸説が有る様ですが、現代の成人年齢と比較してかなり若年であった事は間違いなく、近代になり平均寿命の上昇に伴って、成人年齢も引き上げられていったようです。
そして今回の@性交同意年齢は13歳から16歳へ引き上げられる事になりました。
これらの一連の“引き上げ”は平均寿命の上昇により、若者の精神的な成長速度が遅くなったと言う実態・考え方に基づいています。
法定の年齢制限としては、A結婚年齢が明治時代からの男子17歳、女子15歳が戦後には18歳、16歳に引き上げられ、更に2018年の民法の改定で女子は16歳から18歳に引き上げられた事に続く改正です。
しかし一方で、法律が定める成人年齢は、選挙法、民法の改正により20歳から18歳へ引き下げられました。これは、結婚年齢、性交同意年齢の引き上げとは反対方向の動きです。子どもと大人を区分する境界線が正反対の方向(権利の年齢は引き下げ、義務の年齢は引き上げ)に改正されたのは、一体なぜでしょう。
成人年齢の引き下げには下記の通り一部で、引き下げの対象にならない分野があり、改定がかなり無理をした形跡があります。
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成人年齢引き下げの対象から除外される(20歳成人)分野
飲酒をする
喫煙をする
競馬、競輪、オートレース、競艇の投票券(馬券など)を買う
養子を迎える
大型・中型自動車運転免許の取得
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18歳成人については、法律改正後に改正を疑問視する意見が多数報じられていました。
H93 民法改正(18歳成人)、成立してから問題点を報道するのでは遅すぎる、立法の過程に問題 −所有者不明土地問題に続く、国民不在の“問題官庁”法務省−
また、改正後初の自治体の成人式に於いては、多くの自治体が18歳でなく20歳以上を参加対象としていました。
H159 誰にも歓迎されない“18歳成人” −民法改正がこんなことで良いのか−
これらを考えると18歳成人については、他意(隠された目的)があった疑いが濃厚です。これが日本の民主主義の実態です。
令和5年5月15日 ご意見・ご感想は こちらへ トップへ戻る 目次へ