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ダイハツの認証取得“不正”が、「事故」や「リコール」に結びつく報道はない。過去にも日産、日野と繰り返されて来た類似の“不正”に認証制度上の問題は無いのか −役所とマスコミの“癒着”はいい加減にすべき−

12月25日のNHKのテレビニュースは、「【詳しく】ダイハツ国内自動車工場 きょうから稼働停止 影響は」と言うタイトルで、次の様に報じていました。
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【詳しく】ダイハツ国内自動車工場 きょうから稼働停止 影響は
2023年12月25日 20時37分  NHK

 国の
認証取得の不正問題「ダイハツ工業」は、国内に4つあるすべての自動車工場の稼働を25日から順次、停止しています。会社は少なくとも1月中は稼働の停止を続けることを明らかにし、ダイハツの経営だけでなく取引先などを含めた地域経済への影響が避けられない見通しです。

 ダイハツ工業は、国の
認証取得不正問題で、新たに64車種で174件の不正が見つかったことを受けて、国内ですべての車種出荷を停止しました。

(中略)

 専門家 “自動車産業のすそ野は広く 影響は大きなものに”
自動車業界に詳しい東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは、ダイハツの自動車工場の稼働停止が
地域経済に与える影響について「取引先の企業は8000社くらいあると言われており、収益への打撃や資金繰りへの影響が当然ある。自動車産業ならではのすそ野の広さによって地域もまたがって大きなものになると思う」と指摘しました。

 一方、ダイハツの経営への影響については、昨年度の実績をもとに国内外あわせて1日あたりおよそ5000台の生産がなくなると仮定した場合、「詳細な分析は難しいが、だいたい1日あたりで売り上げで70億円から80億円ぐらいの影響があると思う。工場の
操業停止の期間もわからないし、先は見えない状況だと思う」と述べました。

 国土交通省 “全車種の基準適合の確認 数か月以上かかるか”
国土交通省はダイハツに対し、国が基準への適合を確認するまで、現在生産する
車の出荷を停止するよう指示しています。

 国土交通省によりますと、今回、不正が発覚した車種と不正の件数が多いため、
すべての車種基準適合が確認できるまでには数か月以上かかるとみられるとしています。

 基準適合を確認するには、不正が確認された
衝突試験ブレーキに関する試験などを国がやり直す必要があり、試験には一定程度、時間がかかるということです。

 こうしたことから国土交通省は、出荷停止の指示を解除するタイミングについて、全車種の基準適合が確認されてからとするか、車種ごとの判断とするか、検討しているということです。

森屋官房副長官 “法律に基づき厳正に対処していく”
森屋官房副長官は記者会見で「取引先への説明会の開催や個別相談への対応を含め、しっかりとした対応をお願いしたい。政府としては、相談窓口を設置してサプライヤーなどへの影響調査を行い、その結果を踏まえ必要な対策を講じていきたい。
道路運送車両法に基づく立ち入り検査を開始しており、今後、不正行為の事実確認なども踏まえ、法律に基づき厳正に対処していく」と述べました。
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 連日のように
ダイハツの“不正”問題が取り上げられていますが、その最中の12月23日には読賣新聞の「ホンダ 米で260万台リコール デンソー製ポンプ不具合で」と言う見出しの下記の記事がありました。
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ホンダ 米で260万台リコール デンソー製ポンプ不具合で
2023/12/23 05:00 読売

 【ニューヨーク=小林泰裕】ホンダの米国法人は21日、
自動車部品大手デンソー製燃料ポンプの不具合により、米国内で計約260万台をリコールすると発表した。エンジンが正常にかからなかったり走行中に停止したりする危険性があるという。

 発表によると、2017〜20年型のフィットやアコード、オデッセイ、CR―Vなどが対象で、デンソーの不具合に関したホンダのリコールは累計で約450万台に上る。不具合を原因として、
米国内で衝突や負傷事故が起きたという報告は受けていないとしている。

 燃料ポンプは、ガソリンタンク内の燃料をエンジンに送る部品。ホンダは、燃料ポンプの無料交換に応じるが、交換部品の在庫が足りないため、
来年2月以降、順次、所有者に連絡するという。

 デンソーの燃料ポンプを巡っては、ホンダが12月8日、日本国内でも「N―BOX」など、計約
113万台のリコールを届け出た。7月には、鳥取市でデンソー製の燃料ポンプの不具合によって、エンストしたホンダの軽乗用車に後続車が追突し、4人が死傷する事故が発生している。
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 ダイハツの件では、
30年前から“不正”が続けられていたと報じられていますが、それにより事故が多発したとか、リコールが繰り返されたとの報道はありません。

 そもそもマスコミ報道では“不正”の正体が
具体的に報じられていません。

 以前、H90日産の不正検査事件、読売新聞は国交省幹部が語る「現在の検査制度の問題点」の詳細を明らかにすべき (kcn.ne.jp) と、H154日野自動車の不正事件、ユーザーやその他に実際の被害・損害はあったのか。 −実害がなく単にルール違反に止まるのであれば、ルールに問題は無かったのか− (kcn.ne.jp) でも書きましたが、日本では同様の
“不正”が繰り返されていますが、事故多発リコールに結びついたと言う報道はありません。

 今回も記事は、「米国内で
衝突や負傷事故が起きたという報告は受けていない」と報じています。

 これは一体何を意味しているのでしょうか。

 
高い技術信頼性を誇っている日本の自動車メーカーが、事故リコールに結びつくような“不正”をすることは考えられません。

 それよりも考えられるのは、
“役所”“道路運送車両法”“認証制度”などの運用の怠慢と放置です。繰り返される“不正”は、視点を変えて原因を究明すべきです。

 
衝突ブレーキテストはちょっと聞くと重要な試験と思われますが、昭和20〜30年代ならいざ知らず、今の自動車メーカーにとっては、これらのテストは“結果合格”が分かりきっている、“当たり前の事”テストしているに過ぎず、“無意味”であると言う実態があるのではないでしょうか。

 現代の
事故でブレーキの不具合が原因というのは,極端な整備不良以外にまず考えられません。役所の怠慢が自動車メーカーに、不当で意味の無い無駄な行程を強要している可能性が高いと思われます。その意味で、日本の役所(国土交通省)・役人達は、国際競争が厳しい中で、自国の企業を支援するどころか、足を引っ張って居るのです。そしてマスコミはその役所・役人に都合の悪いことは書かず、企業叩きに走るだけなのです。

 
役所とそれを批判しないマスコミ“癒着”はいい加減にすべきです。

令和5年12月26日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ