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具体的な事実が明らかにされないダイハツの“不正”は、事故やリコール、消費者の不利益に結びつくものなのか “認証制度”が現実に合わないのではないのか

 1月15日のNHKテレビニュースは、「国交省 ダイハツ滋賀工場で車の安全性の確認試験を公開」と言うタイトルで,次の様に報じていました。

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国交省 ダイハツ滋賀工場で車の安全性の確認試験を公開
2024年1月15日 19時49分  NHK
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 自動車メーカーの「ダイハツ工業」が国の認証を不正に取得していた問題で、国土交通省は車の安全性に問題がないか確認する試験を進めていて、15日滋賀県の工場でその様子を公開しました。

 ダイハツ工業をめぐる国の認証不正取得問題では、現在、生産・開発を行っている全28車種などで不正が確認されたと、先月、会社から国土交通省に報告がありました。

 これに伴って、国土交通省は、国が基準への適合を確認するまで、現在生産する車の出荷を停止するよう指示し、会社では先月下旬から国内すべての自動車工場の稼働を停止しています。

 国土交通省は、滋賀県竜王町にあるダイハツの滋賀工場などで、基準に適合するか安全性を確認する試験を先週から行っていて、15日、一部を報道関係者に公開しました。

 公開されたのは小型の商用車を使った衝突試験で、15日は運転席と助手席に人形を置いて壁に時速50キロで正面から衝突させ、エアバッグが正しく作動したかや、人形にどれぐらいの衝撃が加わったかなどを確認しました。

 また、燃料漏れについても確認をしていました。

 国土交通省の担当者は「安全な交通環境確保するために適切試験を行い、迅速に結果を公表していく」と話しています。

 ダイハツ工業の星加宏昌副社長は「顧客に安心してもらうため全項目をしっかり確認していくことになる。国土交通省と調整してできるだけ早く確認してもらえるようにしたい」と話していました。

 国土交通省によりますと、すべての車種の基準適合が確認できるまでには数か月以上かかるということで、今後、試験を終えた車種ごとに結果を公表し、出荷停止の指示を解除するかどうか判断するとしています。
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 「認証」に関して、
“不正、不正”と報じられていますが、どの段階でどの様な不正が行われたのか、具体的な説明がありません。これでは視聴者・国民が今回の国交省の対応必要・妥当なものかどうかの判断が出来ません。
 なぜ隠すのでしょうか。隠しているのは国交省なのでしょうか、それともNHKなのでしょうか、それとも双方合意の上なのでしょうか。視聴者・国民に知られては困るようなことがあるのでしょうか。

 またその
“不正”の下で多数の自動車が製造・販売されていた訳ですが、それによる事故が多発したとか、クレームやリコールが多発したという被害に関する報道は何もありません。

 更にダイハツの自動車
海外にも多数が輸出されていますから、30年以上にわたり不正により認証された欠陥のある車両が輸出されていれば、多数の事故が発生したり、クレーム、リコールが多発し、輸入販売禁止はもちろん、損害賠償請求も多発しているはずです。
 しかるに今までその種の報道は皆無で、
日本車は今でもますます高い信頼人気を誇っています。また今回の“ダイハツ事件”に対する海外の反応が報じられているという報道はないようです。

 これは一体何を意味しているのでしょうか。仮に
“不正”はあったとしても、欠陥は無かったと言う事ではないのでしょうか。となればそもそも試験・検査項目の選定に問題があった、つまりする意味の無い検査項目検査を義務化していたと言うことになるのではないでしょうか。

 報道ではエア・バッグの作動試験を行い、結果を
確認したとありますが、結果が“合格”だったのか、“不合格”だったのか肝心なことが書いてありません。“燃料漏れ”についても「確認した」とあるだけで合格・不合格を明らかにしていません。これでは“公開”名ばかりで、実質的には“非公開”です。なぜ“非公開”なのでしょうか。

 そもそも、エァバッグ不作動・誤作動の
被害は頻発しているのでしょうか。それとも非常に稀(まれ)な事なのでしょうか。

 作動試験では実際に自動車一台を破壊するわけですから、そう何度も繰り返すことは難しいでしょう。実際今回の国交省の衝突試験も1回だけのようです。

 そう考えてくるとエアーバッグの装着が始まった当時であればともかく、今の時代エアーバッグの衝突試験をする
必要性・妥当性があるのか見直すべきという事になるのではないでしょうか。

 そうだとすれば今回の事態は、監督官庁である国交省が、
時代に合わないルールの見直しを怠り、海外企業との激烈な競争下にある日本の民間企業に過重な負担を負わせ、その結果今回の事態を招いたことになりかねません。そうであれば、批判に晒されるべきはダイハツではなく、国交省と言うことになるのではないでしょうか。

 彼らが
“不正”の実態や試験“結果”の公開に消極的なのは批判の矛先が自分たちに向けられることを恐れているのです。
 また、マスコミ民間企業の立場を考えず
“官”の擁護に就いているのは、日頃の“官・マス癒着”の表れです。彼らはそれにより民間企業が蒙る莫大な損害には意を介さないのです。

(参考)
H90 日産の不正検査事件、読売新聞は国交省幹部が語る「現在の検査制度の問題点」の詳細を明らかにすべき

H154 日野自動車の不正事件、ユーザーやその他に実際の被害・損害はあったのか。 −実害がなく単にルール違反に止まるのであれば、ルールに問題は無かったのか−

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