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少子化対策が破綻して、外国人労働者(移民予備軍)がやってくる(その2) −出入国管理法改正案(骨子)に見る問題点−

−少子化対策の
破綻を取り繕うために、現状の違法就労の追認・合法化・拡充を、問答無用で国民に迫る安倍政権−
−移民(準移民を含む)が国民生活、日本の未来に及ぼす深刻な
悪影響を無視するな−

 10月12日のNHKニュースは、政府の突然の「外国人材受け入れ拡大」について次のように報じていました。
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外国人材受け入れ拡大へ 骨子提示「
住んでみたい国目指して」
2018年10月12日 12時22分 NHK

 外国人材の受け入れの拡大に向けた政府の関係閣僚会議が開かれ、2つの新たな在留資格を設ける出入国管理法などの改正案の骨子が示されました。菅官房長官は、受け入れの環境整備も必要だとして、対応策の検討を指示しました。

 人手不足を補おうと、政府は、来年4月から外国人材の受け入れ拡大を目指していて、総理大臣官邸で、菅官房長官や山下法務大臣らが出席して、関係閣僚会議が開かれました。

 会議では、受け入れの拡大に向けて、「特定技能」の「1号」と「2号」の新たな在留資格を設ける、出入国管理法などの改正案の骨子が示されました。

 このうち、「特定技能1号」の資格は、今後決定される受け入れ分野で「
相当程度の知識または経験を要する技能」をもつ外国人に与えられ、在留期限は最長で5年となっています。

 また、「特定技能2号」は、「
熟練した技能」をもつ外国人に与えられ、在留期限を更新できることから、条件を満たせば、長期の滞在や家族の同伴が可能となります。

 一方、来年4月に現在の法務省の入国管理局を
「出入国在留管理庁」に移行するための骨子も示されました。

 政府は、こうした改正案を今月下旬に召集される臨時国会に提出する方針です。

 菅官房長官は、「在留資格の制度を作るのと同時に、外国人を受け入れる環境整備が必要だ。外国人が働いてみたい
住んでみたいと思える国を目指して、職場、自治体、教育面などでの総合的な対応策の検討を進めてもらいたい」と指示しました。


 官房長官「いわゆる
移民の受け入れに当たらない」

 菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、「新たな在留資格のうち『特定技能1号』は、一定の
専門性、技能を有する外国人材を、在留期限の上限を設け、家族の帯同は持たないとの前提のもとで受け入れるものであり、いわゆる移民の受け入れには当たらない。また『特定技能2号』は、『熟練した技能』を要件としていて、現行制度においても家族の帯同や長期間の滞在を認めている。今までと同じことだ」と述べました。

 また菅官房長官は、外国人を受け入れる業種について、「
できるだけ客観的な指標で人手不足の状況を確認し、検討していきたい。来年4月の制度のスタート時点での対象業種は速やかに決定したいが、今後、人手不足の状況が確認される業種も当然、出てくるだろう。そうしたものについては随時受け入れを検討していきたい」と述べました。


 吉川農相「農業 漁業 食料品製造業 外食産業も検討」

 吉川農林水産大臣は閣議のあとの記者会見で、農林漁業分野での外国人材の受け入れ拡大について「農業のほかに、漁業や水産加工業、食料品製造業、外食産業についても検討をしている」と明らかにしました。

 農業では主な従事者のうち65歳以上の占める割合が65%に上り、高齢化や後継者不足が課題になっているほか、漁業ではこの15年で就業者の数が30%余り減少しているということで、吉川大臣は「必要な分野において、外国人の人材を円滑に受け入れることができるように、積極的に検討を進めていきたい」と述べました。


根本厚労相「受け入れる業種 客観的指標で」

 根本厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で、外国人材を受け入れる業種について、「中小企業や小規模事業者で人手不足が深刻化している状況を踏まえ、各業種の特性なども勘案しつつ、
できるだけ客観的指標によって状況を確認することが重要だ」と述べました。

 そのうえで、「世界的な人材獲得競争が進展する中、
日本で働きたいと思ってもらえるよう、労働条件や安全衛生の確保、適切な社会保険の適用など雇用管理の改善に取り組み、外国人材が能力を発揮できる環境を整備していきたい」と述べました。


山下法相「『移民』とは明確に異なる」

 山下法務大臣は、閣議のあとの記者会見で、「外国人やその家族を期限を設けることなく、受け入れることで、国家を維持していくという政策は取っていない。人材が確保されたと認められる場合には、新たな受け入れは行わないうえ、すでに、在留が認められているものも、雇用契約が更新されない限りは、在留期間の更新は許可されず、いわゆる『移民』とは明確に異なるものだ」と述べました。
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 今回の政府の「出入国管理法などの改正案」は極めて
ずさんという印象を受けます。例えば次のような表記には、問題が多いと思います。

住んでみたい国
 住んでみたい国とは何でしょう。
観光客誘致のキャンペーンだったら、「行ってみたい国」という表現はあり得ると思いますが、外国人労働者であれば、「働いてみたい国」ではないのでしょうか。
 「住んでみたい国」では、働くことよりも、住むことを目的としていることを暗示しており、
「移民の勧誘」という印象を受けます。
 
日本の行政が日本国民の利益・幸福を第一に考えているのならば、こういう人達なら日本は受け入れられるとか、こういう条件が不可欠だとかの表現が第一にあるはずです。「住んでみたい国」、この表現は、最初からピントが狂っているという強い印象を受けます。

人手不足
 まず考えるべきことは、
「人手不足」とは何か、何が基準で人手不足と判断するかと言う点です。雇用に関しては様々な指標(例えば失業率とか求人倍率など)があるはずですから、具体的な表示が必要です。
 
人手不足、就職難などの指標としてとしてよく使われる求人倍率というものがありますが、それを基準とするなら求人倍率が何倍以上を「(外国人が必要な)人手不足」とするかを明確にすべきです。出来ないはずがありません。出来ないというのなら、それは明確な基準に基づかない、制度の恣意的な運用を意図しているからだと思います。

 次に考えるべきことは、果たして
人手不足は「悪」かと言う点です。
 高度成長下では深刻な
人手不足が続いていましたが、、中卒、高卒の労働者が「金の卵」ともてはやされて、他に比べて見劣りのしない額の月給、日給を得て、優雅な独身生活を謳歌していた時代を思い起こすべきです。いわゆる単純労働者でも恵まれた待遇を得ていたのです。
 その時は誰も人手不足を訴えてはいても、
外国人労働者の導入をなどとは考えもしなかったのです。外国人を導入することなく近代化、省力化で困難を乗り越えて高度成長を実現して来たのです。
 単純に考えて、
人手不足とその反対の就職難とどちらが良いか、人手不足の方が良いという答えに異論は少ないと思います。人手不足を克服できない無能な経営者にとっては、「人手不足」は悪であると言う側面が強いと思います。

 かつて安易に
外国人(トルコ人)移民に頼ったドイツは、今トルコ人を巡って深刻で解決困難な国内問題を抱えています。また、イギリスがEUを離脱する選択をした大きな理由は、外国人(主にポーランド人)移民の急増です。
 これらを考えれば
「人手不足→外国人労働者」と言う議論になってはならないはずです。

 次に、大量の外国人労働者導入が
日本の労働市場に与える悪影響について考えます。
 労働需給が自由な
労働市場の動向に委ねられている場合(職業選択の自由が確保され、民間企業が賃金の決定など、自由に企業経営に当たることができる場合)は、特定の業種に顕著な人手不足が生じていて改善しないのは、その業種の賃金水準が業務内容に比して低すぎることを意味していると思います。

 そのような基本を考慮することなく、外国人の受け入れを
業種を特定して実施することは、ある意味でその業種を狙い撃ちにすることになります。
 例えば
建設、介護業界で顕著な人手不足があり、その為に外国人労働者の受け入れを認めると言うことは、その業界の労働需給を緩和させ、賃金を下方に誘導する作用が働きます(少なくとも上方に誘導することはないと思います)。
 政府は「外国人に対して
日本人と同じ賃金」を強調しますが、それは建設・介護労働者の低賃金が是正されることを意味するものではなく、賃金水準が低位に止まる(または賃金が更に低下する)可能性は否定できません。
 建設・介護労働者などに限り、外国人労働者を受け入れると言うことは、結果的にその業界に
低賃金(日本人のなり手が少ない状況)を定着させる方向に働きます(日本人の若者の低賃金は結婚・出産にマイナスに働くことは言うまでもありません)。

 これは経済界に毎年
執拗に賃上げを迫っていた安倍政権の基本方針にも反します。更に介護業界の従業員の賃金は、介護保険の縛りから、実質的には半ば公定賃金となっていますから、国が低額の公的介護サービス費用負担を維持するために、外国人を導入する結果になっているとも言えます。

曖昧で明確さを欠く表現
 次にこの改正案で使われている、「
相当程度の知識または経験」、「熟練した技能」、「条件を満たせば」、「いわゆる移民」、「一定専門性、技能熟練した技能」、「できるだけ客観的」、「随時受け入れを検討」、「雇用契約更新されない限りは、在留期間の更新は許可されず」などの用語・表現についてですが、これらの表現は、具体性・客観性・明確さに欠け、役所の解釈次第で、どうにでも出来る内容で、書いてある意味がありません。

 「
雇用契約が更新されない限りは、在留期間の更新許可されない」と言うのは、「雇用契約が更新されれば、在留許可も更新される」と言っているのと同じです。これは実質的に移民と変わりません。

 法律には
大まかで抽象的なことしか書かず、後の具体的なことは政令どうにでも出来るというのは典型的な官僚政治であり、民主的な法治国家のあるべき姿ではありません。

 安倍政権は何故このような手法をとるのでしょうか。それは、彼等が予定している外国
人材の規模と内容は、今ありのままに示せば猛烈な反対に遭うことが分かっているからだと思います。それを隠しているのです。

出入国管理庁の設置
 
法務省は「H86法務省による『「差別』の乱用 −『外国人住民調査報告書』は法務省の“反日官庁”体質の表れ−」 http://www.kcn.ne.jp/~ca001/H86.html でも指摘したように日本国民の立場よりも、一にも二にも特定の人の人権しか頭にない“人権印(じるし)”の傾向が顕著な、反日官庁の色彩が濃厚で、日本国民の立場・視点が欠如しています。
 今後外国人が増加し、日本への長期滞在が増加すれば、
日本国民との軋轢が増加することが予想されますが、その場合に人権印の常として、日本人と外国人の摩擦・トラブルはすべて外国人側の立場に立って議論されることでしょう。法務省は「(日本人と)外国人との共生」を唱えています。日本は日本人の国では無くなるのです。

 さらに出入国管理は、
「司法」の問題と言うよりも、「国境管理」の問題ですから、人権印の傾向が顕著な法務省が関与すべき問題ではなく、国境警備部門(警察、内務省)が所管する業務と言うべきです。法務省はその時に法的な問題が出てきたら、口を出せば良いのです。
 今まで法務省は変に
外国人の「人権」意識が突出して、出入国管理が行き届かず、治安維持、法令遵守による日本国民の被害防止の観点が欠落して、数々の不法就労、不法滞在野放しの温床となっていた現状を考えれば、出入国管理業務は法務省から切り離し、治安維持の観点を重視して「内務省」を復活して担当させるべきだと思います。

人間は「労働力」ではない
 以上のようにこの改正案には多くの問題点がありますが、根本的なところは、
「人間は労働力ではない」と言う一点に集約できると思います。
 人間は決して「労働力」ではありません。「労働力」であるのは、人間の持つ様々な側面の内の一側面に過ぎません。大量の外国人の流入に伴う問題を、
労働問題またはその延長線上の問題と考えるのが、そもそも間違いです。

 
外国人労働者の大量流入には、仮にメリットがあるとしても、大きなデメリット(無視できないデメリット)があります。
 
帰属意識、言語、生活習慣、宗教、価値観などの異なる多数の外国人集団と同一空間に生存することは、大きな苦痛と負担を伴います。歴史的にやむを得ない経緯があって、そうせざるを得ない国は世界にありますが、中には自らその失敗を招来した国もあり、深刻な事態に直面していますが、もはや元に戻すことは不可能です。

 しかるに、現状の外国人労働者に関する議論は、
メリットだけを論じてデメリットを無視するものが大半です。検討課題として論じられているのは、いかに当該外国人にとって不都合な事態を予防するかという点だけです。
 
自国民の被るデメリットは無視して、外国人の不都合予防だけを論じる議論は正気の沙汰ではありません。

 例えば国境付近の隣国人が、朝
国境を越えて通勤し、夕方には再び国境を越えて自国に帰るという実態(例えば釜山の韓国人が朝高速フェリーで対馬に来て工場敷地内で就労し、夕方には再び高速フェリーで帰国する)であれば、その韓国人達の問題を「労働問題」と考えることは可能だと思いますが、そうでなく、就労のために入国し、無期限あるいは一定期間(長期又は短期間)日本に生活基盤をおいて滞在するとなれば、その問題はもはや単なる労働問題として捉えること自体が間違っています。

 彼等は就労中は工場敷地内に止まっていますが、それ以外は日本国内で日本人社会の中で、日本人に混じって生活するわけですから、一定期間であろうとそれは移民と同じです。観光客や業務で出張してくる外国人、特定の業務のために転勤して来日し、一定期間で交代する
外国人駐在員とは明らかに違います。それらの人は特定業務のために必要があって滞在しているのであって、生活手段を得るために来日する外国人労働者とは明らかに異なります。

 多数の移民を迎えることのメリット、デメリットを考えなければならないにも拘わらず、今の議論は
デメリットを完全に無視しています。
 迎える側の日本人の被るデメリットは完全に無視し、やってくる
外国人の受ける不便、問題点だけが懸案であるかのごとき議論に終始しています。

 たとえ期限を定めたとしても、
日本に生活基盤が出来、自国に生活基盤がない人間は、期限が来ても、帰国に抵抗するものが出現し、不法滞在の可能性が高く、反日日本人の中に彼等を支援するものが出ることは必定です。反日日本人は各界にいて、無視できない勢力です。

平成30年11月21日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ