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なぜ「こども家庭庁」が必要なのか 子供の“ホームレス化”を招いた男女共同参画社会 -劣化の一途をたどる 日本の社会と家庭、“縦割り”批判の狙いは“幼稚園潰し”

 1月11日の読売新聞は、「こども家庭庁 縦割り克服する体制を整えよ」と言うタイトルの社説で、次の様に論じていました。
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社説 こども家庭庁 
縦割り克服する体制を整えよ
2022/01/11 05:00 読売

 子供に関わる
幅広い政策を、強力に推進する司令塔になりうるか。政府は、関係省庁や自治体としっかり連携できる体制を整えねばならない。

 政府が、
「こども家庭庁」の創設に関する基本方針を決定した。近く召集される通常国会に関連法案を提出し、2023年度の早い時期の設置を目指す方針だ。

 こども家庭庁は、
内閣府厚生労働省の担当部局を移管し、内閣府の外局として設置する。専任閣僚を置き、200人以上の職員を配置するという。

 
子供に関わる施策多くの省庁にまたがり縦割りの弊害が指摘されてきた。組織を再編して、迅速に政策を進めていこうという狙いは理解できる。

 こども家庭庁は、
少子化対策をはじめ、保育所認定こども園児童虐待防止などを担当する。貧困など様々な困難を抱える子供を支援するため、制度の壁を越えた取り組みを進める予定だ。

 
少子化は急速に進み、児童虐待家庭内暴力は増加している。関係機関との連携ミスが生じたり、責任の押し付け合いになったりしては困る。子供の権利を守り、健やかな成長を支えるため、新組織が果たすべき責任は重い。

 
子育て支援教育などの実務の多くは、都道府県や市町村が担っている。自治体と緊密に連携できるかどうかが鍵を握ろう。

 子供の
性的被害を防ぐため、英国にならい、小児への性犯罪歴のある者が関連業務に就くのを制限する仕組みを検討するという。

 教員や保育士のほか、学童保育指導員による
わいせつ行為も相次いでいる。警察庁などとも協力し、横断的な対策を講じたい。

 
縦割りの象徴とされ、長年の懸案である幼稚園と保育所の一元化は、今回も実現しなかった。幼児教育の権限を守りたい文部科学省などの抵抗があったとされる。

 親の
就労の有無にかかわらず、すべての子供が安全な環境で過ごし、年齢にあった教育を受けることが望ましい。少子化がさらに進むことも視野に、政府は一元化に向けて引き続き検討すべきだ。

 
いじめ対策は、文科省に加え、こども家庭庁も関与する権限を持つようにする方針だ。深刻ないじめについて情報を共有し、自治体に助言や勧告ができる。インターネット上や塾など、学校外での防止策も強化するという。

 被害者側には、学校への不信感が生じがちだ。子供を守るため、第三者の立場から迅速かつ適切に
関与することが期待される。
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 政府が
「子供に関わる幅広い政策を、強力に推進」することを望んでいる父母が多数とは思いません。子供に託す夢・希望は人により様々であり、役所の強力な介入は望んではいません。それはどちらかと言えば「中国式」で、自由で多様な価値観を尊重する社会とは相容れない恐れがあります。

 「
少子化は急速に進み、児童虐待家庭内暴力は増加している」、「少子化がさらに進む」、「子供の権利を守り、健やかな成長を支えるため、新組織が果たすべき責任は重い」と言ありますが、新組織はこれらの「少子化」「児童虐待」「家庭内暴力」「いじめ」の増加(急増・激増)に対して、その解決、抑制、減少、撲滅の為に何かをするでしょうか。

 多分それは
予定範囲外だと思います。彼らがする事は異常事態(親権者の犯罪・責任放棄、役所・役人の怠慢・無責任など)によって生じた子供の被害に対して、対象療法(保護・治療など)をするだけだと思います。

 現在、女性が働くと言っても、昔のように
家業(農業、商店など)を手伝うのとは違い、幼児が朝から夕方まで母親と遠く離れて施設で団体生活を送るのが大半です。それはある意味で“ホーム(家庭)レス”と言っても言いすぎではないと思います。

 また、
離婚の増加とそれに伴う母子家庭(ひとり親?家庭)の貧困の激増も大きな問題です。

 「こども家庭庁」の必要が主張される事態に至ったのは、
子供の“ホームレス化”が原因です。「家庭」がその機能・役割を果たさない事態、家庭の劣化が生じているのです。
 
対症療法だけでは何の解決にもなりません。

 
少子化いじめ教師などのわいせつ行為などにも言及していますが、これらは広く「日本社会の劣化」として認識されるべきです。

 
「社会」と「家庭」の劣化「少子化」が並行して進行して止まりません。その主たる原因は「男女共同参画社会」による夫婦・父母の役割分担の否定です。しかるにその劣化に対してされている事は対象療法のみで、劣化・少子化の原因を直視して対策を取る気がありません。これが日本の社会の現状です。

 
縦割りの弊害が強調されていますが、縦割りがいけないなら、組織はすべて、横割り(地域別、年齢別など)か、一本化しかなくなりますが、それは望ましいことでしょうか、また可能なのでしょうか。
 
「保育所と幼稚園の一元化」「縦割り」の象徴として言及されていますが、取り上げられている各種の「劣化現象」は「縦割り」とは全く関係がなく、他意あるものと感じられます。単なる“幼稚園潰し”願望口実では無いのでしょうか。
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 (追記)

「縦割り」「幼保一元化」について
 「縦割り」については、
 ❶「子供に関わる施策は多くの省庁にまたがり、
縦割りの弊害が指摘されてきた。組織を再編して、迅速に政策を進めていこうという狙いは理解できる」と、
 ❷「
縦割りの象徴とされ、長年の懸案である幼稚園と保育所の一元化は、今回も実現しなかった。幼児教育の権限を守りたい文部科学省など抵抗があったとされる
 ❸「親の
就労の有無にかかわらず、すべての子供が安全な環境で過ごし、年齢にあった教育を受けることが望ましい」
 ❹「
少子化がさらに進むことも視野に、政府は一元化に向けて引き続き検討すべきだ」の4点の記述がありますが

 ❶については、「縦割りの弊害が指摘
されてきた」とありますが、一体指摘してきたのはなのか、どういう立場の人なのかと言う大事な点が抜けています。
 一人の子供が
幼稚園と保育所にダブって通うことはあり得ず、兄弟・姉妹で別々の方に通うと言うこともほとんど無いので、児童・父母にとって縦割りの不便はない筈です。
 ❷については、「幼児教育の
権限を守りたい文部科学省など抵抗があったとされる」と言う部分は曖昧で、どういう主張をしたのかという、一番肝心な事実関係が不明です。
 ❸については、これが
誰の意見なのかが不明です。新聞社の意見なのでしょうか。
 少なくとも幼稚園と保育所は
設置の目的が異なります。幼稚園に通わせることが出来ないから(幼稚園で受け入れる事が出来ないから)保育所があるのです。
 例えば学校学習塾予備校は一見似ています目的が異なり、これを「縦割り」と言って問題視し、一元化しようという人はいません。
 こういう
“縦割り”議論の主張をしているのは、おそらく保育所側の人達だけで、幼稚園側の人達は反対していると思われます。話しの本質は保育所対幼稚園であるにも拘わらず、それがあたかも“縦割り”の是非であるかのように話しをすり替えているのが実態です。彼ら・彼女らはなぜすり替えるのでしょうか。それは己の主張に理がない事を承知して(うすうす感じて)いるからだと思います。
 保育所の現状に不満があるのであれば、保育所の改革を進めれば良いのです。現状の変更(保育所化)に反対している幼稚園に“保育所化”を強要する正当な理由がありません。
 ❹については、
「少子化」「幼保一元化」と、どういう関係があるのでしょうか。
 今まで何かというと
二言目には「少子化!、少子化!!」連呼し、「少子化対策」に便乗して、「保育所の増設」「子育て休暇」等を実現したのに、「少子化」には何の成果も上げられなかったくせに、質が悪すぎます。
 参照 I53 幼稚園潰しの執念(5歳児義務教育化に隠された意図)
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令和4年1月15日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ