ロンドン旅行記
〜AMP「シンデレラ」編・3〜


<10/9・夜>

古いタイプの戦闘用飛行機が行き交うような爆音が会場に響き渡ります。どうやら爆撃されて故障しているらしく、エンジントラブルを起こしている音もしています。

その耳をつんざく様な音の中、会場は暗くなりました。
そしてその音が止んだ時、爆撃で破壊された街の中に水色の靴があるという、ポスターにもなっているシンデレラのイラストが描かれた幕が一瞬のうちに消え、シンデレラと両親が浮かびあがって来たのです。
幸福から不幸へというエピローグを終えると、再びシンデレラのイラストの幕が出てきました。不思議な構造なのですが、どうやらこのシンデレラのイラストが描かれた幕は薄い布で作られている様で、暗いとイラストが浮かび上がり、ライトをあてると中が透けて見えるという仕組みになっているようです。そして物語は始まりました。

初めて見るAMPの舞台はマシューらしさであふれていました。彼特有のユーモアと暗さ、そして美意識が伝わってきます。悪役は今回全員グレーもしくはブルーグレーのメイク(唇まで)という地味で奇抜な発想もAMPらしいと感じさせます。
今回の主要キャストは全員がAMPに昔から居る人達というものだったので余計にそうだったのかもしれませんが、全員がマシューのユーモアを良く理解している様で、生き生きと演じています。まさしくつぼを心得ているという感じ。

「SWAN LAKE」で王子を演じていたスコット・アンブラーは思っていた通りダンサーというより役者で(今回の役はほとんど踊りません)オペラグラスを通してみても、彼だとは分からないほど役柄になりきっています。
アダムではなかったのでがっかりしていたパイロットも、イワン・ワードロップが頑張っていてシンデレラと人形ぶりで踊るところなんかは中々の出来。上手い!と会場から大きな拍手が起こりました。

あっという間に休憩になり、会場内にはアイスクリーム売りが登場。これが噂にきいていたアイスクリームかと眺めていると、あっという間に長い列が・・・・
外のバーも沢山の人が・・・・イギリス人って舞台の途中に何か食べたり飲んだりする事が結構重要だと思っているのねと驚きました。

そうこうしているうちに2幕へ。今度は爆弾の爆発音ではじまりました。
物語はどんどん進み再び15分の休憩が入りまたアイスクリームが・・・・どうやら舞台は一幕45分で15分の休みをとるという一幕1時間サイクルで進んでいるようです。
展開の早い3幕を終え、あっという間にエピローグ。それに続くカーテンコールは凄い盛り上がりです。
踊りながら次々に出演者が挨拶していきます。その中での一番人気はエンジェルでした。役柄的に一番愛されているのはどうやらエンジェルの様です。
出演者全員が手をつないでダダダッ!と舞台前方に出てきて挨拶するという特徴のあるカーテンコールを繰り返し、パーティーの様な舞台が終わりました。

会場が明るくなり時間をみると、もうそろそろ10時半。
明日はクーパーでありますようにと祈りながら劇場を後にしました。

・上の写真はピカデリー劇場です。(著者撮影)

・「シンデレラ」の内容についてはこちらをご覧下さい。

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