ロンドン旅行記 〜ロンドン塔編・3〜


<10/10・午前>

疲れた足を持ちあげてホワイト・タワーに入る為の階段を上ります。入り口にはスタッフが立っていて、挨拶をするとウィンクを返されました。

ここはロンドン塔の原形となった建物で、ひときは大きくそびえたっています。三階建ての内部には武器などが展示されていますが、改修中という事で本来あるものがあちこちに分散されているのか、クローズになっているのか、広い割には見るものがないという感じです。
階段を上り、大きな部屋に入るとこのタワーが出きるまでのCGのフィルムを放映しているテレビがいくつか置かれていました。既に体力を失いつつある私たちは適当に内部を見学し、お土産屋さんに入りました。

そこにあったのはロンドン塔にちなんだ感じのレゴ・ブロックでした。あの黄色い面白い人形たちが中世の騎士たちに扮してレゴで出来たお城に配置されています。何故ここにレゴ・ブロック?と思ったものの、良く出来てるなぁと感心してしまいました。ここにはその他にロンドン塔グッズが色々並んでいましが、これが一番印象的でした。
ざっと目を通して長い階段を降り、最後の目的地、ブラディ・タワーに向かいました。

「血ぬられた塔」という名を持つブラディ・タワーとは一体どんなところだろうと少しドキドキしながら足を踏み入れましたが、中は肩透かしをくったと言う感じで、何の変哲もない贅沢な調度品が揃っている居間がそこにありました。
大きな窓がついているせいか結構室内は明るい感じです。彫刻の施された机と椅子、そして大型の暖炉。ここはジェームス一世を謀殺しようとした疑いで幽閉されていたサー・ウォルター・ローリーの書斎を再現しているというこの部屋は、どこから見ても快適です。
とはいうものの、その名が示すように昔は全ての窓に鉄格子がつけられていたそうで、ここは身分の高い人々ばかりが幽閉されていた場所だったそうです。身分の高い罪人を地位の高さに相応な住居で幽閉する為に作られた塔。それがブラディ・タワーなのです。

そしてこの「血ぬられた塔」の名前は王位継承の争いに巻き込まれ、葬り去られてしまったエドワード四世の二人の王子に由来しています。
彼らはロンドン塔に住んでいたのですが、ある日忽然と消えてしまい、その後ホワイト・タワーから二人の子供の白骨死体が出てきたそうです。その他にもこのブラディ・タワーでは自殺者が出たり毒殺された人がいたりと、とにかく血なまぐさい話しがついているのです。

上るのが怖いぐらいに幅の狭い階段を上り、二階へ進みます。さすがにこの階段にだけは牢屋といった狭さと不便さがあります。二階はローリーの寝室で、ここも昔のままに保存されている様です。

「血塗られた」という名前から、少しオカルト的なものを期待していましたが、ここは実に普通の住いでした。表にでると相変わらずの青空とビーフィーターたちと観光客ののどかな会話がありました。

広場になっている方へ歩いて行くと、石畳の中で一カ所何かの碑の様なものがあるところがありました。何だろうと思いながら通り過ぎ、のどかな日差しと人々の会話をききながらベンチで少し休みます。
後で分かったのですが、この石畳の上にあった碑は、何と処刑場跡だったのです。かのレディー・ジェーンが斧で首を切られた場所。そしてその他4人の女性が処刑された場所。それがここだったのです。

何だかイギリスは静かに怖い国だなぁと思いながら、予想とは掛け離れた広さだったロンドン塔を後にしました。

・上の写真はロンドン塔の「クイーンズ・ハウス」です。(著者撮影)

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