ロンドン旅行記 〜タワー・ヒル・ペイジェント編〜


<10/10・午後>

 入り口を入ると通路の正面にチケットブースがありました。お昼時のせいでしょうか。中は何だか閑散としています。

チケットブースにいたのはスペイン系らしきティーンエイジャーの男の子。彼に入場料(£6.95)を払うと、後ろのエレベーターで下に降りてと言われました。
みるとそこにポッカリ空いたエレベーターが開いた状態で私たちを待っていました。ここには私たち二人とチケットブースの少年以外誰もいません。何だか嫌な感じだなと思いながらエレベーターに乗り込みました。

エレベーターが下降を始めると、ガラス張りのエレベーターの周囲がどんどん地中に埋まっていくのが見えます。どうやらこれはタイムトリップを表現している様で、私たちの周囲は地層、土器、化石のような世界になっているのです。
2000年前のロンドンになりエレベーターが止まった時、目の前に広がっていたのは森のような薄ぐらい世界でした。こ、怖い・・・・失敗したかもと思いながらもここまで来たら引き返せません。通路を進み、「タイム・ランド」というらしいボックスカーの乗り場に行きます。

そこには二十代ぐらいの男性が、パイプ椅子に腰掛けて新聞を読んでいました。その横で動いているボックスカーはずっと空です。
あ、やっぱり私たち以外にお客さんが居ない・・・と思いながら彼に近寄ると、急に「ハッ」と新聞から目を上げてこっちを見ました。どうやら私たち久々のお客だったようです。

「言葉は?」と聞かれたので「日本語ガイドでお願いします」と言うと、「3台待ってね」と言われました。
ここはボックスカーについている音声ガイドを聞きながら見学するシステムになっていて、6カ国語のガイドが用意されているのです。カラカラ、カラカラと回って進む空のボックスカーを見送りながら、結構ここってお化け屋敷よりも怖いかもしれないと思い始めました。

漸く日本語のボックスカーが来ました。二人で乗り込み、中はどんなのだろうと思っていると椅子の上の電光掲示板のようなものが年代を表示し始めました。音声ガイドを聞きながらロンドンの歴史の始まりです。
さ、見るぞ!と思っていると、目の前に現れたのは森だった頃のロンドン。フクロウに鳥に森があります。でも、これってサイズが縦70cm横1Mぐらいのちゃちさなのです。え、こんなに小さいの?!これはまるで紙芝居立体版じゃないかっっ!

ボックスカーは右に左に回りながら、狭い通路を進んで行きます。ローマ人が攻めてきてという話しぐらいから漸く人形が登場し始めましたが、ここは想像以上の模型の館。でもそのちゃちさとボックスカーに乗って今ここにいるのは私たちだけという現実が、私の恐怖を呼び起こします。

目の前で繰り広げられる模型の世界。今、ここでこのボックスカーが止まったらどうしようとか、余計な事を考え始めてますます怖くなっていた時、突然目の前に処刑された犯罪者3人のさらし首が立体映像で目の前に現れました。
こ、怖すぎる〜っっっ!しかも目の前の模型はペストが猛威をふるった町なんかになっているのです。

早くここから出たい!と思っていると、目の前はまともな光景になり、コーヒーの輸入の話しが繰り広げられていました。するとどこからともなくコーヒーの匂いが。
その時、私の頭にガイドブックにあった「ドッキリするようなタネとしかけが」という文字が浮かびました。もしかして、仕掛ってこの匂い?何だかなぁ・・・・と思いながら更に進むと時代はどんどん今に近付き出口が見えてきました。

「こうしてロンドンは今、金融で経済的発展をとげようとしているのです」どうやら終わった音声ガイドを聞きながら最後に見た模型は、ウィンドーサーフィンをしている訳のわからないちゃちな模型・・・・・最後まで決めてくれたなと思いながら、ようやく出口へ。

そこには女性の係員がいたのですが、彼女は電話でおしゃべり中で、話しながら私たちを降ろしてくれました。気楽な職場だと思いながら、ここでは最後の見学場所の展示室へ。ここには何と4人のお客さんがいたのです!なんだ、私たち以外にもちゃんと見物者がいたのねと妙に安心しました。

ここにはテムズ川周辺で発掘された土器などが展示されています。何だ、日本のとあんまり変わらないなと思いながらざっと見てお土産やさんへ。
ナショナルギャラリーに早く行こうと簡単に店内を見、出口に向かいました。
すると、そこには犯罪者3人の実物大のさらし首が・・・・どうやらこの首を撮影してあの立体映像を作りだしたそうで、これはここの自慢の作だったのでした。

やっぱりイギリスって変にグロテスクと思いながら、下手なお化け屋敷よりも怖かったタワー・ヒル・ペイジェントを出て、再び駅への道を進み始めました。

・上の写真は地下鉄タワーヒル駅周辺です。(著者撮影)

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