ロンドン旅行記 〜ピカデリー・サーカス編・2〜


<10/10・夕方>

夜になり、だんだん混雑してきたピカデリーを地図を片手に歩きます。今向かっているお店はピカデリー・シアターの裏にある、イタリア料理店です。

こっちかなと言って進んで行くと、なんだか小汚い(と言っては悪いのですが)お寿司屋さんが現れました。中を見ると、またまた小汚い(また言ってしまった)感じの無精髭をはやしたおじさんが一人、ハチマキをしてお寿司を握っていました。
日本人・・・・と言うより東南アジア人という感じの人です。狭い店内にお客さんは二人しかいません。ここで生ものを食べるのは結構勇気がいりそうだけど、スーパーのお寿司よりもいいかも知れないと思いました。

暗くなって来た夜の街の、段々細くなって来る道を進みます。結構いかがわしい感じのこの道は、AMPの「SWAN LAKE」に出てくる「SWAN BAR」があってもおかしくない感じです。
派手な女の子がお店の前に立って話しています。もしかして怪しげなゾーンに来ちゃったかなと思った時、「ピカデリー」に到着しました。

表にあるメニューをざっと見てから店内に入ります。冷たくなりかけた体が一気に暖まりました。たむろしていたウェイターがさっとこちらにやって来てコートを預かってくれ、2人がけのテーブルに案内されます。
まだ六時と少し時間は早かったのですが、劇場街のレストランのせいか、結構お客さんは入っています。狭い店内には多すぎるウェイターがせわしく行き来していました。

壁を見るとそのウェイターたちをマンガにしたイラストと、ここを訪れたらしい俳優達の写真が沢山貼られています。さすが劇場街と思い写真をゆっくりと眺めましたが、私が知っている俳優は誰もいません。舞台俳優が多いのだろうかと思っていると、メニューを渡されました。
ボリュームの多さを考え、トゥデイズ・スペシャルを頼む程の胃袋ではなかったので、私はボンゴレ・スパゲティー、友人はラザニアを頼みました。

先に来たミネラル・ウォーターを前に友人と話していると、通路側に腰掛けている私の左隣にウェイターたちがたむろし始めました。
そこにはナイフ・フォークなどが置かれているので、彼らの待機場所でもあったのですが、5人ぐらいの人間が一斉にイタリア語で絶好調で話しはじめたその賑やかさといったら。彼らだけを見ているとここがイギリスとは思えません。
何をそんなに盛り上がっているのか良く分かりませんが、何度もイタリア語の数が出てきます。う、うるさい・・・・・どこか他でやって欲しいと思っていると、漸く料理がきました。ニンニクの匂いが結構しています。しまった・・・・・と思ってももう手遅れです。にっこり笑いながらウェイターがスパゲティーを置きます。

さ、ボンゴレ・ビアンコと思ってみると、ビアンコ(白)ではなくロッソ(赤)が来ていました。どこから見てもこれはトマト・ソースです。おかしい。とメニューをもう一度考え直し、あっと気がつきました。「ボンゴレ」としか書いていなかった・・・・
今日はトマトソースは食べたくなかったのに失敗したと思っていると、今度はコショウとチーズを持ったウェイターが登場。思わず「ノン、グラッツェ」とさっきからずっと聞かされていたイタリア語ではっきりと断りをいれます。

味はさすがにイタリア人が作っているせいかちゃんとしています。少しオリーブオイルが私には多目ですが、パスタのゆで具合も丁度いいし、ニンニクも思ったほどではありません。友人のラザニアもおいしいという答え。今日もあたりで良かったと胸をなで下ろします。

相変わらず私の左側にたむろしてしゃべっているウェイターたちの会話をBGMに、見た目よりも量の多いスパゲッティーと格闘を終え、飲み物込みで約£8を払い、イタリア料理はどこに行ってもはずれないと話しながら店を出ました。

いよいよAMPの公演のあるピカデリー・シアターに向かいます。今日はアダムでありますようにと祈り、胸の鼓動が速くなってきました。

・上の写真はピカデリー・サーカスのエロスの像です。(著者撮影)

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