ロンドン旅行記
〜AMP「シンデレラ」2nd Night編・4〜


<10/10・夜>

昨夜と同じようにシンデレラがエンジェルに導かれて玄関のドアの方に向かいます。その扉を開けると、ハリーが立っているのです。いよいよだと目がドアにくぎ付けになります。
シンデレラがドアを開けました。そしてクーパーが額から血を流して倒れ込むように部屋に入ってきたのです。ア、アダムだーっっっ!でも、負傷しているので下を向いていて顔が見えない・・・・・
アダム、アダムと思っているうちに、彼はさっさと手当てを受ける為サラに奥の部屋に連れていかれてしまいました。うーむ。アダム、消えるのが早すぎる・・・・・痩せているという事ぐらいしか分からなかった・・・・

次のハリーの登場はいつだったかしらと考えているうちに、義兄弟、姉妹とその友達が家になだれ込んで来ました。
あ、「SWAN LAKE」で蛾の少女を演じていたジャクリーン・アンダーソンだ!キコリをしていたフィル・ヒルだ!と喜んで見ていると、長男がグレーの毛糸で編んだ棒針編みの編みかけの編み物を持って登場。出来過ぎだーっっと思わず笑ってしまいました。
嫌がる長男マルコムに弟たちは一番真面目そうで地味な女性兵士ベティー(ジャクリーン・アンダーソン)を紹介。長椅子に二人だけで座らされて長男は落ち着かない様子。長椅子のクッションをイライラするようにパタパタと叩く姿がまた出来過ぎ。
昨日のスコット・アンブラーよりもコリンの長男はそうとうデフォルメされています。とにかくおかしい!
そこに衣装をかえて黒ずくめになった継母シビルが登場。あっという間に主導権を握ってしまいました。レコードをかえてダンスの指導を始めます。曲は私が好きな「ガヴォット」です。この曲の滑稽な音とコミカルなダンスが笑いを誘います。

ダンスが終わり、やっと待ちに待ったアダム・クーパー扮するハリーが怪我の手当を終えて登場しました。アダムだーっっ!と喜んだのもつかの間。
またまた今度は継母シビルにあっという間に追いだされてしまいました。うーむ。どうして彼はこうこの家を通り過ぎていくだけで退場してしまうんでしょう。でもこの後にはシンデレラとのデュエットがある!と自分を慰めます。

家族たちが部屋を去り、舞台の上にはサラが一人で立っています。ハリーの忘れていった帽子を抱きしめるようにして一人たたずむシンデレラ。
彼女はその帽子を長男の大切にしているボディーにかぶせ、仮縫いのスーツの袖を持ち、ボディーの肩の手を置いて踊り始めました。

さあ、今度こそアダムが踊ってくれる!ボディーがシンデレラと一緒に階段の方に滑って行き、アダムとサラが舞台に現れました。
目の前の、手が届きそうなところにアダムがいます。LDで見た通りの顔。そして驚くほど痩せています。正にスレンダー。白鳥の時より痩せているようです。サラとアダムの息の合ったというより、お互いに相手が体の一部のような踊りが目の前で繰り広げられていました。

人形ぶりのアダムはなかなかサラの思うようには動いてくれません。そのまどろっこしさが観客の笑いを引き出します。カクン、カクンと動くアダム。
でも、最前列で見ているので、人形なのにアダムが瞬きするのが見え、仕方がない事なのですが、思わず笑ってしまいました。完璧な人形ですが、瞬きまでは我慢できないのでしょう。
遠くを見ている目、そして動かされた通りにしか動かないアダム。しかし、時々ある激しいリフトは凄いスピードです。相手がサラなだけに遠慮がないのか、情け容赦なく(?)サラを振り回しています。でもいつもの通り、着地させる時には相手の足を気づかってそっと置いています。
一幕の一番の見せ場「ダミー・デュエット」がブラボーの喝采の中終わりました。

元の人形に戻ったボディーとシンデレラが居る部屋に、再びエンジェルが登場。
それにしても白いケンプです。顔の白いお化粧は、白鳥の時とはまた違った発光色の白です。もちろん露出している手も首も真っ白です。そしてまゆ毛と唇、手の甲にはメレ・ダイアが貼り付けてありました。
何とも不思議な雰囲気です。ケンプはまるで猫のようにしなやかに踊ります。足音がしないのです。本当に猫のよう。さすがロイヤル・バレエスクール出身。基礎がしっかりしているのでしょう。

エンジェルに誘われて家の表に出た途端、正面にあったドアがパタンとひっくりかえり、家具がなくなりあっと言う間に舞台は街になりました。玄関の「12」の番地も表になっています。良く考えられたセットだなと感心させられます。

街を行き交う人々の群舞が始まりました。行き交う人の中にはガスマスクをつけた怪しげな人達もいて、シンデレラも怯えて逃げようとします。
白鳥の湖の王子を襲うどう猛な白鳥の流れがこのガスマスク集団に受け継がれています。
空襲が始まり逃げ惑うシンデレラ。しかし彼女は家に逃げ込む事が出来ずに爆風に倒れてしまいます。そしてエンジェルが再度登場しました。

シンデレラと二人、飛行士がかぶるような白い帽子をかぶっています。舞台の正面には大きな三日月が現れました。シンデレラとエンジェル、そして群舞が踊っています。
絶好調で踊るケンプの動きはどこか白鳥が入っているようです。それにケンプの癖なのでしょうか。相変わらず遠心力を使ったような踊りかたがところどころに見られます。見た目は変わってもケンプはケンプだなと思いました。

楽しげに踊るシンデレラとエンジェル。そしてエンジェルがシンデレラのかぼちゃの馬車にあたるサイドカーつきのバイクに乗って登場しました。
ナンバープレートには「AMP 2」と書かれています。「AMP 1」はどのバイク?などといらぬ事を考えているうちにサラとケンプはバイクに乗って出発。あっという間に一幕が終わっていました。

・上の写真はピカデリーシアターです。(著者撮影)

・「シンデレラ」の内容についてはこちらをご覧下さい。

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