ロンドン旅行記
〜AMP「シンデレラ」2nd Night編・9〜


<10/10・夜>

負傷して体力を消耗しているところにシンデレラを探してロンドンの街を歩き回っているハリーは、精神的にもかなりまいっている様です。徒労に終わるのかとやけになり、シンデレラの靴を橋の上から投げ捨てようとしました。しかし、寸前で思い止まり座り込むハリー。
そんな彼を街灯の側に立っていた二人が見つけ、靴を取り上げてしまいました。キャッチボールの様に靴を投げあう二人に翻弄されるアダム(ハリー)。
まあ、アダムに何をするのっっっっ!!!!!やめてーっっっ!かわいそうじゃないのっっっ!とハラハラしながら見守る舞台では、よろよろでボロボロのアダムが二人にあそばれています。

すると、不意に二人がその遊びにあきて、靴を地面に投げだしました。あざける様な表情の二人の若者。
後で覚えておきなさいっ!とは思いませんでしたが、また、その放り出された靴をすぐさま拾い上げるアダムを、君は犬かっっ!とも思いませんでしたが(ちょっと思ってる?)マシュー(振付家)はいじめるシーンが好きねぇとは思いました。「SWAN LAKE」でも、王子が結構いじめられてたし・・・・

そこに女性が登場。疲れきったハリーを優しく気づかいます。彼女の胸に頭を預けるようにして、私の目の前のベンチに腰掛けるアダム。
離れて、離れてっ!と心の中でつぶやいていると、女性の夫(?)が登場。あっと言う間にまたまたハリーはいじめられっこに転落しました。
皆にぼこぼこにされて更によろよろのボロボロになるアダム。再び舞台では、まあ、アダムに何をするのっっっっ!!!!!やめてーっっっ!かわいそうじゃないのっっっ!が繰り返されているのでした。もしかしてマシューはいじめっ子?などど余計な事も思わず考えてしまいます。

けんかが始まったとたんそそくさと店じまいするスタンドの主人。それを見て「スコット、バイバイ」と心でつぶやきます。
舞台にはいつの間にか一人、ハリーがうずくまっていました。
街でアダムが行き倒れていたら、私がすぐに救急車をよんであげるのに!などと一人遊びをしているうちに、舞台はシンデレラの居る病院へと移って行きました。

あっという間に片付けられた舞台は、先ほどまでの大掛かりなセットとは対照的に、とてもシンプルな世界が作られていました。
天井から大きな赤い十字架が下りてきます。と、同時に会場にどよめきが。確かに、この十字架は「病院」と太字のゴシック体で書かれたような分かりやすさがあります。そこに病院にある白い布を貼った、脚に車のついたついたてが、人に押されてカラカラと入って来ました。白い世界に赤い十字架。そこに、白衣を来たエンジェルが現れました。

白い髪、白い肌、そして医者の白衣をまとったエンジェルことウィリアム・ケンプは、どこから見ても白い人。メガネをかけて回診中の医者が良く使うバインダーを持っています。

まあ、エンジェルは何にでもなれるスーパーマンなのね!と会場の誰もが思っている事でしょう。でもケンプ扮するドクターは、若いが故にどうやって見ても研修医・・・・これがクーパーの日にはちゃんとドクターに見えるんだろうなきっと。などと、またまた空想モードに入ります。

白いついたてによって作りだされた病室。そこに一つだけあるベッドの上に、シンデレラ(サラ・ウィルドー)が座っていました。
衣装は一幕のブスっかわいいシンデラのままですが、例の靴は言うまでもなく、ハリーが持っているので、片方を失っています。そして、またまたAMPの芸の細かさを発見してしまいました。
シンデレラは黒いタイツをはいているのですが、その靴がない方の足の親指の部分に、穴が開いているのです。ブラザーストーンの性格からいってこれは間違いなく演出です。黒いタイツからのぞくサラの右足の親指。うーん、細かい!でも、それを見付ける私ももしかすると細かい・・・

沈み込んだシンデレラを、病室の椅子に腰掛けて壁と同化してしまいそうな程静かに座り、心配そうに見守るエンジェル。その目の前で、シンデラは片方しかない靴をはき、つまずきながらも踊り始めました。その姿がまた痛々しいのです。静かな悲しみが漂っていました。

静かな病院。シンプルで清潔な世界。ハリー、早くシンデレラを見付けだしてあげてと観客が舞台を見守ります。そこに、その場をぶち壊す一団が登場しました。

・上の写真はダンスブックスで購入した雑誌(左)とシンデレラのパンフレット(右)です。(著者撮影)

・「シンデレラ」の内容についてはこちらをご覧下さい。

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