ロンドン旅行記
〜AMP「シンデレラ」2nd Night編・10〜


<10/10・夜>

相変わらず周囲を気にせず、ずんずんと突き進むシビルファミリー。彼らは更にパワーアップしています。音楽に合わせて滑稽な様子で行進して入場して来ました。

三兄弟はコートを着ているので地味に見えますが、シビルとその娘達はますます派手さを増し、これから踊りにでも行くのかという奇抜さ。イレーネは白地に黒の豹柄のワンピース。それに同じ柄の帽子をかぶっています。
一方姉のヴィヴィアンは白と黒のシマウマ柄のドレスで、大きなとんがり帽子までシマウマです。
一番地味なのは黒ずくめのシビルですが、帽子は大きなハイヒールを逆さまにしたものという奇抜さです。彼女の帽子は頭の上がかかとで、顔の真上がつま先という形。ぱっと見ただけではなかなか気が付かないのですが、しばらくたつと、おや?と思い始め、次に笑ってしまう帽子です。シビルはますます怪しさを増し、黒い手袋をはめた手には、恐ろしい爪がついています。

見るからにヒステリックで近寄りたくない家族というこの御一行は、手に手にお見舞いの品を持って、ナースにお見舞いに来たという事をアピールしています。
しかし、その品々は良く見るとシンデレラの持ち物ばかり。唯一エリオットの持っている白い花束だけが、唯一のお見舞いの品です。

見るからに怪しい彼らに面会を断るナース。でもそれで引き下がる彼らではありません。
自分たちが持参したものをナースに振りかざし、会わせろと迫ります。首を縦に振らないナースに業を煮やしたシビルが、彼女を無視して突破。それに家族が続きます。

静かな病室に入り、あっと言う間にシンデレラを取り囲む悪役シビル・ファミリー。
持参した物をシンデレラに押し付けます。あの大人しいシンデレラはまたやられっぱなしなのかしらと観客が思っていると、彼女はきりっとした表情で、彼らに「出ていけ」と出口を指さしました。
今まで私たちもシンデレラと共にシビル・ファミリーのいじめに耐えて来た気分になっていたので、この時の胸がすく感じといったら!観客全員が「サラ、よくぞ言った!」と思ったであろう、瞬間でした。

めったな事では引き下がらないシビルも今までとは違うシンデレラに衝撃を受けたのか、案外簡単に引き下がります。
おや?と思うほどにさっさと退場して行きます。 どうも怪しい・・・・悪役お約束のパターンからすると、逆襲があるはずです。
昨日見て展開は分かっているのですが、今日もまた話しの展開を楽しんでしまいます。

再び静けさを取り戻した病室。ベッドに横たわるシンデレラ。そこに一人、こっそりとシビルが登場。
シーモア(シビル)は辺りを見回すように、こっそりとシンデレラの病室を目指します。その歩き方がまた正に悪役という感じで、笑いを誘います。
遂に病室に到達し、辺りを再度確認して、シビルは何とベッドの下にあった枕を取ってシンデレラの顔に押し付けました。その迫真の演技が凄いのです!本当にサラは窒息してしまうのではないかというほど、シンデレラにのしかかかる姿は真に迫っています。「死ね、死ね、死ね!」と言っているのが聞こえて来るような殺気(でもどこかコミカル)がシビルからは感じられました。
またサラも役者で、手足をバタバタさせてもがいている姿が本当に息苦しそうなのです。
それにしても、この展開。殺しちゃおうだなんて・・・・・マシュー、あなたの発想ってやっぱりおかしい。

そこにシビル・ファミリーが登場。昨日の悪は今日の正義という事で、彼らはシンデレラを助け出します。本当に息苦しそうに息をつくシンデレラ(サラ)。毎回死にかけていたりしてなどと思ってしまいました。

遂に子供たちに見限られたシビルは病院の職員に両脇をがっちり固められ、引きずられて行きました。・・・・この姿、「SWAN LAKE」の発砲事件の後の王子にそっくりです。
しかし今日引きずられている人は、王子がショックを受けた表情だったのとは対照的に、反抗的な目でもがいて逃げようとしています。悪の権化の退散は、物語的には気持ちがいいのですが、同時にシーモアの名演技の終了を示しているので、何だか寂しさを感じるワンシーンでした。

一方シンデレラは義兄弟姉妹と和解し、漸く平和を手に入れ、今は一人でベッドに腰掛けています。
さあ、いよいよ大切な人の登場です!

・上の写真はダンスブックスで購入した雑誌(左)とシンデレラのパンフレット(右)です。(著者撮影)

・「シンデレラ」の内容についてはこちらをご覧下さい。

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