ロンドン旅行記
〜自然史博物館編・1〜


<10/11・午後>

先ほど来た道を引き返し、横断歩道を渡って今度は自然史博物館に移動します。
元々は大英博物館に展示されていたものを、余りに数が増え過ぎたのでこちらに移転したというこの博物館。ここには私と友人共通の趣味でもある恐竜のコーナーがあるのです。足取りも軽く博物館に向かいます。

人の流れに乗って歩いていくと、右手に教会のような美しい石造りの建物が現れました。美しい建物です。こちらもかなり広そうだと身構えて、入り口をくぐりました。

中に入ると、チケットブースには長い列が出来ていました。ここは完全にお子様ゾーンのようで、子供連れの家族がほとんどです。順番が来るのを待つ間、暇なので周囲の観察を始めます。チケットブースの丁度正面には、恐竜の骨格のレプリカが展示されていました。丁度向きあうかたちで置かれています。
あの顔の小ささからすると草食恐竜で、長さを見るとどうも、ゴビ砂漠から出てくるマメンチザウルスみたいだと、見当を付けます。入り口を入ってすぐの左側には恐竜コーナーがありました。
まずはここからスタートしようと話しあい、漸くチケット・ブースに辿り着き、£5.5を払って中に入りました。

チケット購入時に渡される白地にエンジ色でかかれた木のマークの入った、円形のシールを体に貼り付けます。子供が多いせいか、ここではシールが入場券がわりになっているのです。
館内の案内地図をもらい、いざ中へ。ここは大きく二つにわかれていて、今私たちがいる場所は「Life Galleries」で、チケットブースから正面奥を見て右へ進むと「Earth Galleries」になっています。ライフは恐竜や動物など、生命体の展示をしており、アース(地球)は地質学の展示になっているのです。

まずは恐竜という事で、先ほどから遠目で見ていた中央に展示されている恐竜を見に行きます。写真撮影が許可されているので、恐竜の写真を撮り始めます。巨大草食恐竜は、たいていカメラのファインダーには収まりません。
いつもの様に頭、胴体、しっぽの各部分にわけて写真を撮ります。今回は被写体との距離が余りないので、4つの部分にわけてシャッターを切りました。どう見てもマメンチザウルスの仲間です。全長18mぐらいはあるのではないでしょうか。以前恐竜博で見たものは27mもありましたが、それに比べるとこれは少し小振りです。 では、いざ恐竜ブースへという事で、漸く展示室に移動しました。

恐竜は相変わらず人気があるようで、ブース内は人でごったがえしています。
部屋に入ると、最初に階段を登って、部屋全体に掛けられた歩道橋のような所に登るようにと指示されます。この部屋は、最初に高い場所に展示されている恐竜の骨格レプリカを自分自身も同じ高さに登って見学し、一番奥まで辿り着いたら次にフロアーに下りて、恐竜の研究を分かりやすく説明した展示物を見てまわるというシステムになっているのです。
階段をのぼるなんて、車イスの人はどうするのだろうと辺りを見回すと、この階段にして15段ぐらいの距離に、ちゃんとエレベーターが備え付けられていました。さすがだと驚き、日本ではなかなかこうはいかないと感心します。

鉄製の歩道橋を渡り、左右に展示されている恐竜を見てまわります。ついでに下をのぞき込むと、子供たちの頭がたくさん見えました。
皆触って、見て、驚いて、楽しそうに歩き回っています。小型の肉食恐竜の骨格レプリカの横を通ると、歩道橋は次第に下降しはじめ、スロープという感じになってきました。一番奥の部屋からは何やら音が聞こえて来ます。何があるのだろうと暗がりに足を踏み入れました。

暗がりの中、前もはっきり見えない状態で、人だかりが出来ているらしい部屋に入ります。何があるのだろうとゆっくりと前に進み、人が立ち止まっている場所で私も立ち止まりました。
しばらくすると雷が鳴り始め、稲光がおこります。バリバリと激しい音のする中、稲妻の光でここにある展示物が姿を表しました。何と、草食恐竜が小型の肉食恐竜に食べられていたのです!その瞬間周囲に居た子供たちの泣き声がそこら中から聞こえて来ました。急いで子供をだっこする母親もいます。そう、ここはあっと言う間に、お化け屋敷と化したのです。

そうこうしている内に、室内の照明がつきました。明るい中でよく見ると、肉食恐竜の口からはリアルな肉と真っ赤な血が垂れ下がっています。もう、まったくイギリスはグロテスクなのが好きなんだからと、マダム・タッソーの拷問の部屋を思いだします。
明るくなり、更に敵の姿がはっきり見えるようになったので、子供たちは更に恐怖に怯えて母親にしがみついていました。見なきゃいいのに、怖いもの見たさで再び血を流している恐竜を見ている子もいます。どこの国も子供は一緒だなと笑いながら、しがみつく子供をしっかりと抱きかかえて出口に急ぐ母親の後について展示コーナーへ戻りました。

・上の写真は自然史博物館の入り口にある恐竜で、4枚の写真を繋ぎあわせたものです。
右が頭、左がしっぽになります。(著者撮影)

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