ロンドン旅行記
〜英国ロイヤルバレエ「ジゼル」編・1〜


<10/11・夜>

劇場の入り口を入ると左側に、チケット・カウンターがありました。どうやら当日券を購入する人が多いようで、短いですが行列が出来ています。それを見ながら更に奥へと進みます。

既にロビーには沢山の人がいました。ここにはあちこちにスタンドがあります。
まず舞台を向いて左には、ファンタやコカコーラなどを紙コップで売るソフトドリンクの簡単なスタンドがありました。ロビーの中央にはパンフレットのカウンターがあります。そして、右側にはアルコールを出しているスタンドがありました。
全員もちろん立ったまま飲み物を持ってうろうろしています。スタンドの中にいる店員はアフリカ系の人が多く、制服を着ているのですが、ヘアースタイルもファッションもバレエというよりはバンド系がぴったりくるという感じ。
実際、この「アポロ・ハマースミス」は基本的にハードロック、ヘビメタ系のバンドのコンサートに良く使われる場所らしいのです。何だか借り着のような雰囲気というか、放浪しているというか、珍しい所で今、ロイヤルは公演しているのねと思い、とりあえず自分の座席に移動しました。

ドアの所に立っている係員にチケットを見せ、一階のフロアーに足を運びます。
内部は赤で統一されており、舞台にはおなじみの紋章が掲げられていました。舞台の周囲はちゃんと赤いカーテンで覆われています。そして、もちろん赤い幕がひかれていました。
ちゃんとそれらしく作っているものだと思い、自分の席を探すうちに次第に舞台に近づいて行きました。気が付くと何と、オケボックスが目の前という所まで来てしまいました。今日の席は前から5列目の中央だったのです。
昨日のAMPに引続き、またまたオペラグラスなしで表情まではっきり見える席でした。じっくり見てみたいと思っていたヴィヴィアナの表情が、手に取るように分かる席だったなんて、嬉しいと改めて智子さんに感謝します。

結構ハードだった一日で疲れた体を座席に埋め、舞台を改めて見上げます。そこで、おやっ?と思う事が。幕の周囲の赤いカーテンの様なもので出来た枠と紋章・・・
これは全部絵だったのです。どうやら板にペイントした物のようです。大道具さんがペタペタと色を塗っている所が目に浮かびます。立体的に見えるように工夫されていますが、やはりちょっと安っぽい感じ。オペラハウス改装中はずっとこの苦労が続くのねと、ちょっぴりかわいそうになりました。

ほっと一息ついた後、パンフレットを購入しに再びロビーへ戻ります。赤い表紙に黒で中央に紋章が印刷されています。そして、その下には金色で「The Royal Ballet」の文字が。このパンフレットは、ハマースミスで行なわれる公演の共通パンフレットの様で、「ロミオ&ジュリエット」「ジゼル」「スリーピング・ビューティー」の解説と写真が掲載されていました。
早速間に挟まれたキャスト表を楽しみに開くと、それと同時に小さなプリントされた紙が滑り落ちます。
予想していた通りの、キャスティング変更のお知らせの紙です。やはりイレク・ムハメドフの怪我は治っていなかったのねと、残念になりました。更に、今ロイヤルは怪我人続出なようで、アシュレイ・ペイジまで休演しています。

その結果、アルブレヒトはイレクからスチュアート・キャシディーに変更。ヒラリオンがアシュレイ・ペイジからゲイリー・エイヴィスになっています。
ヴィヴィアナが元気だったのは幸いでした。他のキャストはバチルド「サンドラ・コンリー」ミルタは「ニコラ・トラナ」etc・・・
本来なら昨日ピカデリーで生き生きと演じていた、サラ・ウィルドーはここに出ていたのかと思うと、何だか不思議な感じがします。

時間が少しあるので、先ほど前を通ったスタンドで飲み物を購入。ハロッズですっかり疲れきった体に、冷たい飲み物が元気を齎してくれます。
混雑するロビーには人があふれていて、居場所がないので仕方なく友人とジュースを片手に二階への階段の端に立ちました。少し高くなった場所からロビーにいる人達を何とはなしに眺めます。観客の服装は結構普段の延長で、男性はスーツ、女性もスーツかワンピースといったもので、会社から来たと言っても通るような感じです。
疲れる事無くしゃべり続けるかれらを見ながら、疲れたなぁ・・・・とこれからバレエを観るというのに少しぼうっとしてしまいました。
先ほど予想した通り、ナイトブリッジの混雑で汗をかいてしまった体が冷え、風邪も少し悪化しているようです。

再び席に戻り、ロビーではなく1階席の内部にあるトイレに友人と交互に行きます。
さすがにここは大きな劇場なので、トイレの個室の数も昨日のピカデリーとは違って多いなぁと思ってから再び席へ。入れ代わりに友人が行き、着席する頃、開幕の時間がやって来ました。

コンダクターがオケボックスに登場し、会場から拍手が起こります。暗くなった会場が静かになりました。いよいよです。

・上の写真は、英国ロイヤルバレエ「ジゼル」のパンフレットです。(著者撮影)

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