ロンドン旅行記
〜ウィンザー城編・2〜


<10/12・午前>

入場料を払いゲートを出ると、いかにもお城という建物が再び目の前に現れました。
とりあえず坂道を登っていくと、中庭に出す。しかし、柵の中にあるそれは、芝生が生えているだけで、花やトピアリーといった楽しいものは何もありません。あるのはチャールズ2世の乗馬像だけ。
何だかこれだけ眺めてもなぁ・・・と誰もが思っている様で、皆さっさと展示室に向かいます。

人形館がある所は、城の高台にありました。さきほどから吹いていた風は強風になり、入るために通る道は、城の外壁のすぐ上にあるため、風をまともに受けています。青い空の雲は凄まじい勢いで風に流されていました。
石で作られた塀の向こうをのぞき込むと、下は木が植えられていて森のようになっており、ここから落ちれば間違いなく死ねるという高さです。その下のちょっと離れた所には広場があるようで、運動会でもしているのかクリケットの試合なのか、大勢の人間が騒いでいる声がこちらに響いて来ていました。そして頭上には、ここから近いヒースロー空港に離発着する飛行機が時折、通り過ぎて行きます。

のどかな郊外のよく晴れた休日に、ウィンザー城にいる私たちは見学可能な場所がここしかないという事で、再び長い列に並んでいました。この列は全く前に進もうとしません。ただでさえ訪問者が多いのにここしか開いていない為、人が集中していしまうのに加え、館内が狭いので入場制限をしているのです。
城の外壁のすぐ側に立たされ、容赦なく吹き付ける強風の中をひたすら待ち続ける私たち。改めて、コートの裏を取りに帰って良かったと思いますが、ロングのトレンチコートに風は強烈にアタックし、あっという間に私の体温を奪い去っていきました。
寒い・・・一番防寒している私でさえこれだけ寒いのですから、ジャケットしか着ていない智子さんの寒さはものすごいものでしょう。薄手のハーフコートのようなジャケットを着た友人も寒がっています。
絶対お昼にはスープとか何か温かいもの食べましょうと話し、時折吹き付ける強、強風に悲鳴をあげます。これは、風邪ひきの私には相当悪いかもしれない・・・とドキドキしてきました。

お願いだから早く中へ入れてと三人で強風に凍える事40分。
歯の根がかみ合わなくなる寸前で、やっと館内に入る事が出来ました。こんなに寒かったのは、小学生の時晩秋に半袖半ズボンの体操服で連れていかれた、社会科見学以来だと思い出します。あの時は小雨まで降る最悪の状態で、全員ガタガタ震えて声が震え、まともに話せない有り様でした。

ドアを開けて館内に入ると、一気に温かさが私を包みました。そうなると今度は、あまりの急激な温度の変化に、鼻がぐすぐすになってきました。
まずい・・・くしゃみが出てきます。館内に入るとまず左の部屋へ入るようにと言われました。

暗い室内には「クィーン・メアリー」のドールハウスが展示されています。保存の為なのでしょう。中はもちろん撮影禁止で、更に照明が出来るかぎり落とされています。
既に出来ている人の流れにそって、ガラスケースに入れられた大きなドールハウスを見学します。これは1924年にメアリー王妃に献上されたもので、縮尺が12分の1で出来ている精巧な宮殿(と言っていいのだと思います)です。
この家は外壁を全て取り払った形になっていて、3階建て(4階建てだったかもしれません)の各部屋の中が、全て見えるようになっています。
寝室や広間、キッチンにバスルーム、メイドの部屋、居間などが、本物の素材を使って、驚くほど精巧に豪華に作られていました。更に、地下にはワイン・セラーまで作られています。

ガイドブックによると、上下水道、電気、エレベーターなどの機械仕掛けのものや、エンジニアリング機器は実際に機能し、レコード・プレーヤーからは音楽が流れ、ワインセラーに並ぶボトルには、本物の年代物のワインが入れられているという、信じられない凝りようだそうです。
更に、家具調度は実際の一流メーカーによって作られ、壁の絵画や図書館の本も時代を代表する著名な画家や作家に特注されたとの事。コナンドイルの本まで並んでいるとの事ですが、さすがに見付ける事は出来ませんでした。どれを取っても実際の豪邸そのものの部屋に、ため息しか出てきません。寒かったし未だにゾクゾク来ているけど、待ってて良かったと思います。

凄いですねと言いながら智子さんと一緒にガラスケースの周りを、列の流れにそってゆっくりゆっくり歩いて行くうちに、話しはいつしかAMPの「シンデレラ」へ。
あの舞台の時間の経過について、二人で話し合います。一幕の爆破と二幕のラストが繋がるという話しで盛り上がり、キャストの話しでまた盛り上がります。
その間も目はドールハウスにくぎ付けになっています。それにしても、贅沢な作りだとあちこちから覗き込み、隅々まで手が抜かれていないのに感心します。

そうこうしているうちに、もう出口まで来てしまいました。40分待って見学は5分ぐらいなの?と思いつつ、三人で隣の陶器の部屋に移動しました。

・上の写真はウィンザー城の中庭です。(著者撮影)

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