ロンドン旅行記
〜買い物編・5〜


<10/13・夜>

暗い夜の街の中、スポットライトを浴びた「ジーザス・クライスト・スーパースター」の看板に見とれていると、今駆けだして来たところですというカップルが、劇場のドアの前で慌てています。どうやら遅刻して来たようで、開いているドアが見つからなくて困っていました。
そんな二人を見付けたスタッフが、こっちだよと手招きしています。時計を見るとそろそろ8時。かなり舞台は進んでしまっていのでしょう。
再び駆けだして劇場に消えていったカップルを見送り、ストランドの通りに出ました。信号を渡り、サヴォイの前の道を歩きます。もしかすると、チャリングクロス駅周辺ならまだ開いているお店があるかもしれないと思い、駅に向かって歩き始めました。

すっかり暗くなったストランドの歩道を歩いていくと、泊まっているストランド・パレスホテルの向かいにやって来ました。
道路を挟んでホテルを見ていると、今私たちがいる歩道に面したお店から、日本人の親子らしき人達が出てきました。出てきたお店はシンプソンズ・イン・ザ・ストランド。ここはローストビーフで有名な高級レストランです。
どうやら食事を終えた所のようで、ドアマンに何やら頼んでいます。何かしらと見ていると、入り口で写真撮影が始りました。
おお!日本人だっ!!!と自分も日本人だという事を忘れて見てしまいました。幸せそうにカメラのファインダーにおさまる三人家族(御両親とお嬢さん)を見て、この人達は平和だなぁ・・・としみじみしてしまいました。

ローストビーフをとうとう食べずに、それどころかイングリッシュ・ブレークファーストすら食べずにこの旅は終わってしまうのねと、ちょっと悔しい気持ちが湧いて来ましたが、今はブーツの修理が先です。

再び現実に戻り、スーパーを探してずんずんとストランドを突き進みました。
そして、漸くまだ店じまいをしていないスーパーらしきものを発見。やったぁ!と喜び中に入ります。入り口には化粧品と化粧道具が沢山積まれています。でもまあ、ボンドぐらいあるだろうと更に奥に入りました。
ところが・・・何故かどこにもボンドが無いのです。あるのは化粧道具やシャンプー、石鹸といったものばかり。
うーん・・・おかしいなぁと店の一番奥まで来てしまいました。するとそこには、グルミット(犬)のリュックがあったのです!
形はグルミットの全身で、彼の背中が人間の背中にくるようになっています。これを背負うと正しくグルミットをしょった様に見えるという代物です。これはかわいい!更に、その横には「ウォレスとグルミット」のシャンプーが。日本で子供用シャンプーにキャラクターグッズがくっついているというのがありますが、イギリスにも同じものがあるのです。
お風呂に入るグルミットの後ろに立つウォレスのシャンプーを見て、思わず買って帰りたいと思ってしまいました。でも、これを本当に使うの?という疑問が浮かび、重たいし、やっぱりやめようという結論に。そこで、はっと我に返ります。ボンド!こうしている場合ではないのよ!
友人にここには無いみたいだと告げ、再びストランドを歩き始めます。

ところが、遂に駅に辿り着いてしまったのです。 「何でボンドなんて簡単なものがないのよ!コンビニはないの?コンビニは!」
と無茶な事を言い、
「でも取りあえず、駅に入ってみていい?」
と友人に頼みます。
昨日、智子さんと一緒に来たチャリングクロス駅の構内に入ります。ここは少し広くなっており、色々なお店が並んでいるのです。まあ、駅だったらまだ開いているお店も多いだろうと思って入ったものの、イギリスではそんな事はないようで、ほとんどの店が終わっていました。とりあえず、ぐるっと一回りしてみます。靴の修理とかしてくれる所はないのかしら?と望み薄な事を考えながら歩きます。

そうしている間にも、私の靴底は、ペロン、ペロンとめくれているのです。 歩きにくい・・・その時、目の前に小さな警察が。ああ、これが日曜日にコンシェルジュが教えてくれた警察だったんだ!と驚きます。
あの時、私たちは「イギリス人に道を聞く時には3人に聞かなきゃ」なんて言っていたのですが、彼はちゃんと教えてくれていたのです。心の中で、コンシェルジュにお詫びを言い、前を通り過ぎると、外に出てしまいました。

ボンドーーーッッ!!!!と心の中で叫び、ふと横を見ると、駅の外のお店が一件開いていました。ショーウィンドーには紙袋や雑誌が置かれています。吸い寄せられるように中へ入ると、中にはポストカード、カレンダー、雑誌、ガイドブック、そして文房具!があったのです。これは、これはいけるぞっ!と喜び勇んで店内を足早に見て回ります。そして、遂に見つけたのです!しかも色々な種類があります。やった〜!これで歩きやすくなる!!!!

用途別のボンドを見比べ、その中から万能のようなものを選びレジに向かいます。 良かった、良かったと友人と話しながら漸く外へ。ボンドを探しだして1時間近く。何故ボンドごときにこんなに苦労しなきゃならないの?とは思いましたが、ほっとし、次の目的、夕食に向けて歩き始めました。

・上の写真は、ミュージカルの宣伝用リーフレットです。
左から、シンデレラ&フィガロの結婚(オペラ)、シンデレラ、レ・ミゼラブルです(著者撮影)

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