ロンドン旅行記
〜ヒースロー空港ターミナル4編・2〜


<10/14・朝>

地下鉄ターミナル4のホームに下り立ち、再びスーツケースをガラガラと押し始めます。まるで双六の「ふりだしにもどる」のように、ロンドン旅行のスタート地点に戻って来ました。改札は相変わらず駅員の姿がなく、ざる状態です。地下鉄の駅はほとんどが日本と同じように自動改札機を導入しているのですが、ヒースローだけは国鉄と同じように、いい加減なのです。

切符を渡す人がいないので、そのまま改札を通り抜け、チェックイン・カウンターを目指します。出発フロアーの階でエレベーターを下りると、そこは荷物をカートにのせた人でごった返していました。このターミナル4はKLMオランダ航空と英国航空しか乗り入れていないのですが、凄い人です。

再びスーツケースを転がしながら、英国航空のチェックインカウンターに進みます。所々に取り付けてあるテレビの様な掲示板を見ると、まだ私達の便のチェックインは始っていないようでした。不安を感じそこにいた係員に尋ねると、チェックイン出来るとの答え。安心して、列に並びます。

順番が来たのでカウンターに進み、荷物を計量する為の台にのせます。
「禁煙で、窓側がいいんですけど」
と申し出て、しばらく待ちました。パスポートの提示を求められ、漸く発券が終わります。次は免税手続きだと考え、その場を離れようとすると、
「荷物、荷物!ここじゃ引き取れないの。向こうで渡して」
と呼び止められました。珍しいシステムだなぁと考えつつ、再び荷物を転がして先に進みます。
こっちだよという係員の手招きに吸い寄せられ、漸く荷物を渡します。
セキュリティーチェックも終わり、漸く免税店の並ぶフロアーに到着。ここで昨日と同じく、友人とは時間を決めて待ちあわせ、別行動タイムにする事にします。
ここまで来れば絶対はぐれないという確信のもと、散会。

私は免税手続きをすべく、入って右手にあるカウンターへ進みます。ガイドブックによると、時々うるさいらしい免税手続きに、がんばるぞと意気込んで移動。
ところが、辿り着いたカウンターに座っていたおばさんは、奥にいるスタッフと談笑中。とても和やかな雰囲気です。
書類を提示すると、ほとんどチェックも入れず、話しをしたままスタンプを押してくれました。何だか肩透かしな手続に、良かったと思いながらも首を捻り、書類を封筒に入れてのり付けしていきます。そこでふと、ポストはどこだろうという疑問が湧き起こり、再び免税カウンターへ。
「ポストはどこですか?」
「そこそこ。後よ」
と言われ振り返ると、私の背丈ほどもある大きなポストが・・・これに気が付かないなんて、結構恥ずかしいという位のポストがドーンと置かれていました。でも、ボディーは透明なのです。何だかとても変。中身が見えるポストに書類を投函し、漸く私もお買い物タイムに突入。

まずはいつも使っている、日本では廃盤になってしまった洗顔石鹸を免税店で探します。家族で使っているので一度に5つも購入。その他にもあれこれ積み上げ、こんなに買うの?という顔をしているスタッフにカードで払うと告げ、搭乗券を提示します。(免税店では、必ず搭乗券の提示を求められます)

金髪の前髪をカチューシャでとめ、メガネをかけたどこから見てもイギリス人女性といった感じの、人のよさそうなスタッフがレジをうち始めました。
軽快に打ち込み、合計を押した途端、
「えっ?!」
ぎょっとした顔をして、レシートをのぞき込んだのです。私も思わずのぞき込み、 その合計を見てぎょっとしました。
これは・・・日本円にすると30万円を越えている・・・
「ちょっと待って下さい。ごめんなさい!」
明らかに打ち間違えた事に気が付き、顔を赤くして最初からやり直し始めます。ところが、どうもレジ自体がおかしくなってしまったらしく、エラーが出てますます彼女は慌て始めました。他のスタッフにどうしようと相談するのを眺め、事の成り行きを見守ります。

どんどん増えてくるスタッフに「すみません、すみません」と言われる度に「いいですよ」「待ってますよ」と繰り返します。
何度かチャレンジした末に、結局違うレジで精算する事になり、数分後漸くカードのサインに辿り付きました。合計は先程の約10分の1になっています。
「すみませんでした」
そう言って彼女はせっせと試供品を袋に詰め込み、最後にはビニールのバッグまでつけてくれたのです。更に、
「使って下さいね」
そう言って、何と販売されているのと同じ口紅まで入れてくれました。
「ありがとう」
今や、トラブって良かったとにこにこで商品を受け取ります。お互いに何だかおかしくなって笑い合いながら別れました。

さて、次は何処に行こうかとお店のならんだフロアーをざっと見渡します。左右、どちらを見てもお店がどこまでもずらっと並んでいます。凄い!私が今まで見たどの空港よりも(数はしれていますが)充実しています。これに比べると日本の空港なんて、おままごとです。

とりあえず歩きだし、興味のひかれるままに商品を見てまわります。カラフルなネクタイが目をひくタイラック。今や日本でも定着してきたこのお店。ターミナル4だけで2店も出店しています。
次に見付けたのはあの、おもちゃのハムレーズ。もちろん他のお店と比べると品薄ですが、クラッシックカーのミニチュアがマニアックな雰囲気を出しています。
お約束の化粧品やアルコール、おかし等を扱うデューティーフリーショッパーズも点在しています。ブランド店も軒を連ねていますが、その中で、あちこちのミュージアムショップ商品を集めた店を見付けました。
V&Aミュージアムや大英博物館の商品が目を引きます。博物館の図録は見付けられませんでしたが、ミュージアムグッズを買いそびれた人にはおもしろいお店だと思います。

更に進むと、CDショップ、本屋が出没。ただの売店という感じの雑誌とお菓子、ドリンクなどを売っている店を見付け、少々疲れていたので飲み物を買ってしばらく休憩する事にしました。
オレンジジュースに決め、今やポンドをほとんど持っていない私は、値段の安いのを迷う事無く選びました。紙パックにストローをさして飲むというタイプのものを一つ取り、レジに向かいます。

80円ぐらいのジュースを手に、空港のベンチにドサッと腰掛けました。今買ったジュースを見ると、どうもお子様のようで、マンガの絵が描かれています。早速味を試してみると・・・・
「ま、まずい・・・」
思わず独り言をつぶやいてしまうほど変な味。そう、これは子供用風邪薬の味です。 あの、何とも嫌な甘くて苦い後味が口に残るのです。
最後の最後まで、やってくれるなぁイギリスはとしみじみしてしまいました。
イギリスの子供たちはこんなのを本当に飲んでいるんだろうか?という疑問を持ちつつ、のどを潤す程度に飲んでギブアップ。
結局高いジュースだったと思い、再び買物を始めました。

・上の写真は、私たちが乗った英国航空の飛行機です。(著者撮影)

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